きまぐれな日々

狭い世界で馴れ合っているブログ界の沈滞ムードをよそに、世界の変化のめまぐるしさはますます加速する一方だ。たとえば、昨日の朝刊はアメリカ大統領選の民主党候補者争いにおけるバラク・オバマの勢いを報じていたが、アメリカのテレビがヒラリー・クリントンの涙を大写しにするや情勢が一変し、ニュー・ハンプシャー州の予備選はヒラリーが勝った。ヒラリーはオバマより新自由主義色が強いし、何より反日的な候補なので、私にとっては残念な結果だった。

日本でも今年には衆議院の解散総選挙が予想されている。今のままの枠組みのまま、たとえば秋に総選挙が行われるなら、昨年の参院選同様、民主党の勝利、自民党の敗北に終わることは必至だが、危機感を強めた自民党は、政界再編成へと大きく動き始めている。

自民党には、大きく分けて福田康夫総理・総裁に代表される旧保守、中川秀直やコイズミチルドレンに代表される新自由主義勢力、それに麻生太郎・中川昭一・安倍晋三らに代表される復古主義勢力の三派があり、これらが野合している。一方、民主党にもこれらに対応する三派があり、加えて社会民主主義的勢力を抱えているのは皆さまよくご存知の通りだ。

正確にいうと、同じ新自由主義勢力でも、自民党のほうがネオリベにネオコンを加味した傾向が強いのに対し、前原誠司ら民主党の新自由主義勢力は、男女共同参画についてはリベラルな傾向が強い。また、自民党で復古主義的な勢力の一部には、反新自由主義的な傾向があるが、男女共同参画についてはバックラッシュ的(反動的)な傾向が強い。総じて、経済政策では自民党と民主党の諸派閥の政策はかなりオーバーラップする部分が多く混沌としているが、政治思想的には自民党と民主党の開きは、一般に持たれているイメージよりは、かなり大きいように思われる。

とはいえ、自民党と民主党はともに保守政党であるとはいえるだろう。昨年の参院選は、あからさまな新自由主義政策を掲げる安倍自民党と、政策を社会民主主義寄りに転じたように見えた小沢民主党の対決となり、民主党の大勝、自民党の大敗に終わったが、何度も書くように、次の衆議院総選挙は、そんな単純な図式にはならない。

両党のどのグループがどんな合従連衡を目指し、それに小政党がどう絡むか、という話は、以前に書いたことがあるかどうかは記憶がさだかではないが、どうせありきたりのことしか書けないからここでは省略する。問題は、わが国・日本がどんな方向に進むべきかということだ。

さとうしゅういちさんの 「広島瀬戸内新聞ニュース」 に教えていただく形で、特集記事 "「北欧」はここまでやる" が掲載されている 週刊 「東洋経済」 1月12日号 を購入した。その特集の冒頭を引用する。

 医療、年金、介護問題など、日本は今、社会保障にかかわるさまざまな難問に直面している。いずれも有効な解決策が見当たらない。
 その背景にあるのは、社会の活力低下。つまり少子高齢化と格差社会の出現だ。OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本は平均より半分以下の収入しかない国民の割合(貧困率)が、先進諸国の中でアメリカに次ぐワースト2位だ。「一億総中流」の時代はとうの昔に終わってしまった。
 日本だけではない。市場経済を重視して規制緩和を求める「新自由主義」が世界に成長と繁栄をもたらす一方、貧富の拡大は世界的な課題になりつつある。1990年代終わりから「第3の道」を標榜し、新自由主義と福祉政策を融合させようとした英国は、確かに福祉政策で一定の成果を上げた。だが、その水準は決して高くない。世界中が福祉政策とどう向き合うか、模索を続けているのだ。
 経済成長を望むなら、"平等" は犠牲にしなければならないのか。
 95年から2006年までの1人当たりGDP伸び率と、平等性を測る指数であるジニ係数との相関を調べると、興味深い事実が浮かび上がる。GDPの高い伸びを示しているのは、むしろ所得の平等性が高い国々(ジニ係数の低い国)が多いのだ。少なくとも、ここからは成長と平等がトレードオフの関係にあるとはいえない。やはり、健全な中間層の存在こそが、経済社会を成立させる前提ではないのか。

(週刊 「東洋経済」 2008年1月12日号掲載 "特集/「北欧」はここまでやる" より)


引用部分は、40ページにも及ぶ特集の導入記事の、そのまた冒頭部分だが、以下、1993年に1人当たりGDP世界トップだった日本が、2006年に15位に沈み、その間1人当たりGDPが1.7%減った(ドル換算ベース)一方、高福祉政策をとる北欧諸国が高成長を遂げていることが指摘されている。同じ時期に、ノルウェー2.64倍、フィンランド2.31倍、デンマーク1.87倍、スウェーデン1.83倍といった具合だ。

1993年といえば、細川内閣発足の年だが、個人的な実感としても、国内メーカー製の電気製品の高品質のピークはこの頃だったと思っている。その後、グローバルな競争に巻き込まれた日本メーカー製品の品質は低下の一途をたどった。わが国の工業は、明らかにその長所を失いつつある。

そして、93年に発足した細川内閣は、宮沢内閣にとってかわる「非自民・非共産連立政権」だったが、一方で旧保守の経済政策を、新自由主義の政策を掲げる新保守の政策へと切り替えようとした内閣だったという位置づけも、忘れてはならない。翌94年の自社さ連立政権(村山内閣)には、旧保守と社会民主主義勢力の連立という意味合いもあり、この政権を担った人たちがもっと有能だったら良かったのだが、結局自民党を延命させるだけの役割しか果たせなかったことは、一大痛恨事だった。その後、橋本内閣、小渕内閣と経世会系の内閣が続きながら、経済政策は新自由主義色が強まっていき、2000年、ついに政権が国家主義と新自由主義の融合を重視する森派へと移行、2001年には日本で最初の本格的新自由主義内閣であるコイズミ内閣が発足して、国民生活は大きなダメージを受けたのである。安倍内閣に至るまで、総理大臣が代わるたびに政治が悪くなっていった印象がある。しかし、安倍晋三より劣る総理大臣というのは考えられないから、日本の政治の劣化にもようやくピリオドが打たれようとしているというのが、私の現状認識だ。なにも福田康夫を評価するのではなく、最低最悪の安倍晋三よりはいくらかましだろう、という意味だ。

しかし、福田康夫内閣では、安倍より悪くなることはなくとも、安倍内閣に至るまでの歴代内閣が損ねてきた日本の国力を再浮上させることはできない。

前にも書いたように、自民党にも民主党にも旧保守、新自由主義勢力、復古主義勢力の3派があり、民主党にはこれに加えて社会民主主義勢力もある。また、野党では国民新党が旧保守で、社民・共産両党が社会民主主義勢力だ。私は政権の枠組みとしては、旧保守と社会民主主義勢力の連立が好ましいと考えている。ここで注意すべきは復古主義勢力で、コイズミによって自民党を追われた平沼赳夫が、新党結成をもくろんでおり、新党が結成されたあかつきには、自民党の麻生太郎、中川昭一、安倍晋三といった復古主義勢力と提携を探るものと思われる。現に平沼は中川昭一らと「真・保守政策委員会」なる勉強会を立ち上げた。

新党が結成されれば、それは野党だから、「野党共闘」論者の中には、民主党と平沼新党の提携を呼びかける人たちも出てくるだろうが、民主党と復古主義政党との野合は、昨年夏の参院選で民主党に投票した人たちの多くを裏切るものだと当ブログは考える。自民党が分裂した場合であれば、民主党は自民党の旧保守勢力と提携すべきである。親和性の高いのはその組み合わせだ。そして、前原グループには民主党から出て行ってもらって、自民党の新自由主義勢力と一緒にネオリベ新党でも結成してもらえば良い。

日本の政治や社会の再建への道のりは遠いが、地道に声をあげ続けるしかないと思う今日この頃だ。


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遅くなりましたが、本年もよろしくお願いします。
非常に明快なご説明、どうもありがとうございます。私も東洋経済の特集を読んでみます。
経済面で社会民主主義が再度注目されることを祈るとともに、それを表看板にしている社民党が具体的な政策を打ち出していくことを期待しています。

2008.01.10 09:33 URL | sdpj_2007 #RJKcIgjQ [ 編集 ]

 自民党に旧保守、新自由主義勢力、復古主義勢力の三派があるというのはわかりやすいと思います。ただ自民党は上記のベクトルすべてを「保守主義」として内包してきた歴史があるため、現状でも未分化で、安倍内閣は3つすべてを両立させようとして、当初はすべての派からの支持を得たが、結果的にすべての部分が中途半端になりそれぞれ別の角度から批判されて支持率を下げていったのだと思います。
 旧保守からは、当初小泉改革の修正と郵政造反組の復党を期待されて支持されましたが、地方重視の旗色が不鮮明と批判されました。新自由主義勢力からは、当初は小泉路線の継承者として高い支持を受けましたが、郵政造反組と小泉改革路線の逆行を批判されました。復古主義勢力からは概ね利害を一致させてきましたが、アジア重視外交と慰安婦非難決議の対応を批判されました。
 自民党はいまだに「保守は一つ」という妄想から抜けない人が多く、お互いの「保守主義」のベクトルがバラバラなのに、意外とそれに気づいていない議員」が多い。
 一方民主党も自民党と同じ構図ですが、自民党より分化してスタンドアローン化しているのが特徴ですね。意外とマスコミや有権者の理解が不足していて、前原のようなネオコンと松原のような復古主義を「民主党保守派」で人くくりにしようとする。実はまったく意味がない分類です。
 またいままで余り認識されていなかった、旧保守と社民主義の親和性の高さが威力を発揮し、小沢代表がこれを利用し求心力を高めたことが参院選の勝因になったと考えられます。

>民主党の新自由主義勢力は、男女共同参画についてはリベラルな傾向が強い。

本来、新自由主義=実力主義なので、実力のある女性には魅力的な思想です。実際キャリアウーマンは男性以上に新自由主義に染まる傾向にありますよね。ただ自民党の新自由主義者は純粋性が低く、復古主義が混ざったような人が多いのでそう感じるのだと思います。民主党内の新自由主義者はアメリカ直輸入の純粋な思想保持者が多いので、そう感じるのだと思います。

2008.01.10 12:06 URL | Kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

しかし,アメリカの大統領選挙って,基本的に州ごとの選挙人の数で選ぶ間接選挙ですから,たった4人の選挙人しか獲得できない New Hampshire という東北のすみっこの州で白人のクリントン夫妻が有利だというのは,あたりまえのような気がするんですけど…….

要するに,選挙人55人のカリフォルニア州,34人のテキサス州,31人のニューヨーク州,27人のフロリダ州,21人のイリノイ州・ペンシルベニア州,20人のオハイオ州をかっさらえば,もう勝ったも同然な訳で.(^^;)

2008.01.15 17:49 URL | kaetzchen #HfMzn2gY [ 編集 ]













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