その他に、12月8日の大事件というと、1980年のジョン・レノンの暗殺があった。これは、一つの時代の終わりを印象づけるできごとだった。あの1980年という年も、時代の大きな変わり目だった。アメリカ大統領選でレーガンが当選し、ソ連はその前年末に起こしたアフガニスタン侵攻という失策によって国を傾けてしまった。モスクワ五輪も西側諸国にボイコットされた。ウサマ・ビンラディンは対ソ連への抵抗運動を支援したCIAによって育てられたようなものである。日本では大平内閣の不信任案が可決されて衆参同日選挙となったが、選挙期間中に大平首相が急死し、選挙は自民党の圧勝となった。保革伯仲の時代はこの年で終わり、以後現在に至るまでずっと保守の圧倒的優勢が続いている(民主党は旧自民党と旧社会党・社民連がそれぞれ約半数ずつを占めており、保守とも革新ともいえないと思う)。山口百恵が引退して松田聖子がデビューした。王貞治が現役を引退し、長嶋茂雄が巨人軍の監督を解任されて、原辰徳がドラフトで巨人に指名された。ナベツネは、前年に読売新聞の論説委員長に就任し、読売新聞の社論を大きく右に傾け始めた。そんな激動の年の最後に起きた忌まわしい事件が、レノンの暗殺だった。
このように、事納めの事件と事始めの事件が起きる、何か特別な日という印象が12月8日にはある。1991年にロシア、白ロシア、ウクライナ代表者の秘密会談によってソビエト連邦の解体が宣言されたのも12月8日だった。
幸か不幸か、今年の12月8日には大事件は起きていないようだが、水面下では不気味な動きがいろいろある。電子投票法案(11日衆院通過の見通し)やネット情報規制を視野に入れた「情報通信法」制定(2010年の国会に提出の総務省方針)への動きなどだ。前者は、電子投票が米大統領選に導入されてから2度も続いて不透明な選挙となったし、後者のネット情報規制に至っては論外だろう。
もっとも私は、ネット情報の規制に関しては、自民党は既に後手を踏んでおり、「1984年」的な大衆支配を現実のものとする前に、自民党政治が終焉を迎えるだろうと予想している。
自民党といえば、最近中川昭一や無所属の平沼赳夫ら極右議員たちが「勉強会」を立ち上げたが、これが、以前から言われていた「極右新党」の立ち上げにつながるのではないかとの観測も出ているようだ。この勉強会は、安倍晋三内閣が行おうとしていながら参院選の自民党惨敗で頓挫した極右政治の復権を狙う性格があるらしい。勉強会の設立総会の出席者については、毎日新聞の記事に名前が出ていた。
【本人出席】赤間二郎、江藤拓、奧野信亮、鍵田忠兵衛、小島敏男、清水鴻一郎、島村宜伸、薗浦健太郎、高鳥修一、戸井田徹、中川昭一、中野清、永岡桂子、西本勝子、萩生田光一、平沼赳夫、古屋圭司、馬渡龍治、松本純、水野賢一、武藤容治、山口泰明、山中あき(火ヘンに華)子(以上衆院)浅野勝人、鴻池祥肇、佐藤正久、塚田一郎、中川義雄、中曽根弘文、西田昌司(以上参院)
【代理出席】井上信治、宇野治、遠藤宣彦、小川友一、近藤基彦、清水清一朗、塩谷立、鈴木馨祐、武田良太、中森福代、中山泰秀、西村明宏、西村康稔、野田聖子、鳩山邦夫、平沢勝栄、二田孝治、古川禎久、牧原秀樹、松浪健太、宮下一郎、村田吉隆、山口俊一(以上衆院)秋元司、荒井広幸、衛藤晟一、岸信夫、末松信介、世耕弘成(以上参院)
衛藤晟一や岸信夫ら安倍晋三に直結する名前も出ている。もし「平沼新党」が発足する場合、安倍晋三や現在浪人中の城内実も参加して、戦後では初となる本格的な極右政党になるのではないかという気がする。郵政民営化撤回のスタンスをとる可能性もあるかもしれない。先月未遂に終わった福田自民党と小沢民主党の「大連立」構想が再燃した場合、極右勢力は徹底的に冷や飯を食わされる可能性が高いから、極右は極右で団結しようとしているのではないかと思う。ようやく、自民党にも分裂の兆しが出てきたというのは、楽観的に過ぎる観測だろうか? そして、新自由主義勢力以上に警戒すべきは、彼ら極右政治家たちであると当ブログは考えている。
PS
「AbEnd」 や 「自End」 でおなじみの、美爾依さんのブログ 「カナダde日本語」 が、2007年度の 「アルファブロガー・アワード」 でアルファブロガーに選出されました(計15のブログが受賞)。なんと毎日新聞にも出てるじゃん。美爾依さん、おめでとうございます。
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ありがとうございます。今年は10のブログを選出する予定が最終的に15に増やされたようです。私はきっと最後の5ですれすれ受賞だったのでしょう。ラッキーでした。
2007.12.09 09:24 URL | 美爾依 #HfMzn2gY [ 編集 ]
おお。美爾依 さん、アルファ何とか、おめでとうさんでございます。自虐ネタっぽい、受賞カイケン、そちらで読ませていただきました。
「おめめを赤くして」とかの・・。
ハラ黒~い連中をこれからも、ピ視パ詩、虐めてくださいね。
でも黒きフィリックス君は大いに可愛がって、お写真も忘れないでね。あ、そういえば、うちにも中学か高校生の時、ハッピーという黒の雄猫いたんだ。コタツで一緒に寝てたら、なんと急に痙攣起こして、腕の中で行っちゃった児が・・。多分2-3歳という早い死やった・・。それに比べて今のナットは17歳という長寿。ニャン生も、色々です。
で、kojitakenさん、こんちは。
>もし「平沼新党」が発足する場合、安倍晋三や現在浪人中の城内実も参加して、戦後では初となる本格的な極右政党
人生色々の小泉氏に追い出された、けど、舞い戻ってきた連中の吹き溜まり?の寄せ集めですかね?
侘重層構造?といえば、格好良過ぎやし、軟弱「地盤」という訳でもなさそうやし、『看板倒れ』っていうには、結構「貯」名人の子孫ばっかりやし、「叩き上げ」いうより「喝」揚げのほうがウマそうやし、
ケッタイナ人等の集まりですな~。
とか言って遊んでみたりします。
ネット規制とか、旧郵政省の管轄やったはずやから、気いつ憲といけませんね。
ではでは。
2007.12.09 14:16 URL | 三介 #CRE.7pXc [ 編集 ]
初カキコですm(__)m
私的には、安倍が総理大臣を辞任してから、日本がファシズム政権に傾く懸念は多少は薄らいだかな、と思ってたのですが、しかしまだまだ要警戒というところなのですね。
先の「自・民大連立」構想以降、民主党に対する失望感が国民の間で広がっている状態ではkojitanさんのおっしゃる「極右政権」がポピュリスティック的手法(反新自由主義を掲げる、とか)で人気を集めて政権を…と言う事態も考えられますね。
2007.12.10 23:10 URL | mash #- [ 編集 ]