きまぐれな日々

新聞報道によると、政府税制調査会(首相の諮問機関)が取りまとめている2008年度税制改正についての答申案の全文が19日明らかになり、2009年度に基礎年金の国庫負担引き上げを控え、社会保障の安定財源として「消費税が重要な役割を果たすべきだ」と明記し、税率引き上げの必要性を打ち出した。政府税調が答申で消費税率引き上げの必要性を指摘するのは3年ぶりとのことだ。

先に福田康夫首相は、2008年度中に消費税率を引き上げないと明言した。これは、ちょっとした政府の方向転換(というか先送り)だった。周知のように、元首相・コイズミは「私の任期中は消費税率を引き上げない」と言っていた。これは、コイズミの任期後は消費税を引き上げるぞ、という意味で、こんな発言をしながらコイズミの支持率が下がらなかったことが不思議なのだが、ともかく来年度の消費税率引き上げは自民党の大方針だったはずだ。

ところが、ここにきて福田内閣の支持率が大きく下がっている。これは、例の「大連立」騒動が国民に不信感を持たれたという理由(あまり言われないが、この件が未遂に終わったダメージは、民主党の小沢一郎代表だけでなく福田首相にも大きい)のほか、以前からの政府・自民党要人たちの「消費税率引き上げ」発言や、「大連立」仕掛け人のナベツネ(渡邉恒雄)が消費税率引き上げ論者であって、大連立協議では消費税率引き上げについても話し合われたのではないかという観測も影響しているのではないだろうか。

とにかく逆累進性の強い消費税率の引き上げほど国民の不人気になる政策はなく、消費税が施行された1989年や消費税率が引き上げられた翌年の1998年に行われた参院選では、いずれも自民党が大敗している。89年はバブル経済のピークの頃だったし、物品税廃止などの減税もセットになっていたこともあって、景気には影響を与えなかったが、97年の消費税引き上げは景気を直撃し、橋本内閣最大の失政といわれたものだ。今回、消費税率引き上げを政府・自民党の要人が口にするや内閣支持率が下がったので、焦った福田首相が08年度の消費税引き上げを否定したのだと私は推測している。

80年代以来の新自由主義政策によって、所得税率の累進性が緩和され、法人税が引き下げられた。それにもかかわらず、税制で優遇されている企業は賃金を上げず、「戦後最長の景気拡大局面」にあるとされているのに、賃金は下がり続け、国民は景気拡大を全く実感していない。その一方で、現在連日新聞紙面をにぎわせている「防衛利権」の問題などで、国民に負担を求めている政治家たちが、すさまじい「政官業」の癒着で腐敗していることが明らかになってきている。こんな情勢における消費税の引き上げが国民の理解を得られるはずがない。

それにそもそも、金持ちは税制で優遇されたって金なんか使わない。金を使わないから金が貯まって金持ちになるという単純な理屈だ。だから、所得税の累進性を緩和したって、経済の活性化なんかには全然つながらないのだ。税収を増やすには、所得税率の累進性の緩和をやめて元に戻すことと、やたら法人税を下げようとするのを止めることだろう。すでに国民は相当に疲弊しており、その不満が特に地方を中心に噴出したのが、さきの参議院選挙での自民党の大敗だった。

それに、なんといっても自民党長期政権によって生じた政官業の癒着を一掃することだ。官僚は政治家の僕ではなくて国民の僕なのである。それには、現在の自民党と民主党という似たところの多い保守二大政党ではなく、主張のはっきりしたいくつかの政党が群雄割拠し、政権が起きるたびに官僚人事も刷新されるような政治に変革していかなければならないと思う。とりあえずは、自民党政治を終わらせることだ。「大連立」は、今言ったことに反し、政官業の癒着構造を温存することにつながる。ナベツネは、コイズミや竹中らの極端な「市場原理主義」には反対らしいが、消費税率引き上げや日米同盟重視論者だ。つまり、「極端ではない新自由主義者」と位置づけられるべき人間である。ごく一部に、ナベツネが「新自由主義と闘う」人間であるかのような幻想を持っている人たちもいるようだが、それはとんでもない誤解である。ナベツネがプロ野球で何をやったかを思い出していただければすぐにわかることだろう。

それに、日米同盟路線といっても、内実は対米隷属であり、防衛疑獄も、日本がアメリカに莫大な利益供与をする際、日本の政治家、官僚や企業がそのおこぼれに預かるという構造であることを忘れてはならない。そんなことをしているから、政府の財政赤字が膨れ上がるのである。

今回の政府税調答申案には、所得格差を是正するための所得税率の見直しにも触れているそうで、ようやく「コイズミカイカク」に少しは修正が入るのかもしれないが、相変わらず「法人税率引き下げが必要との意見が多かった」とするなど、新自由主義路線を走っているようだ。国民は、まだまだ政府・自民党に選挙でダメージを与え続ける必要がありそうだし、民主党は小沢一郎がまた暴走して変なことを画策しないよう、党内民主主義を確立させていく必要があると思う。


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