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きまぐれな日々

守屋武昌・前防衛事務次官の2度目となる証人喚問が15日午後、参院外交防衛委員会で行われ、守屋証人は、山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者(69)の飲食接待の場に政治家が同席していたとされる問題で、「久間(章生)先生と額賀(福志郎)先生じゃなかったかと思う」と述べた。

守屋証人がこう述べた時、議場は騒然となったというが、久間や額賀は、もうとっくの昔から疑惑が濃厚な議員として噂されていた人物だ。たまたま額賀が財務相だから大騒ぎになっているが、こんな人物を財務省に起用した福田康夫の不明が問われるだけの話である。

防衛利権の闇は、そんな程度のものじゃない。11月14日の「きっこの日記」「アメリカにシッポを振り続ける自民党」)にも書かれているが、今回の「防衛疑獄」(贈収賄事件に発展してきているので、こう呼ばせていただく)の本命は、「沖縄利権」であるとはよく指摘されるところだ。

普天間飛行場の移転問題や、「きっこの日記」にも書かれている沖縄米軍のグァムへの移転に伴う利権が指摘されているのだが、これらは従来ほとんどメスが入っていなかった分野で、これが本格的に追及されたら、自民党議員や民主党の自民党出身議員が大パニックに陥るかもしれない。

とはいえ、その具体的な中身を当ブログ管理人が知っていようはずはない。だから、そこらへんについては事情通の方におまかせするとして、本エントリでは、この利権構造を生み出すもととなった「沖縄密約」について述べてみたい。

沖縄が日本に返還されたのは、35年前の1972年(昭和47年)だが、これは佐藤栄作内閣の最後の大仕事だった。前任の池田勇人内閣は、「所得倍増」政策を掲げ、日本経済の高度成長を成し遂げたとして高く評価されていたから、池田をライバル視してきた佐藤は、池田に劣らない成果を挙げて退任しようと思っていた。その「成果」として佐藤が力を入れたのが沖縄返還だった。

沖縄は、当時アメリカが施政権を持っていたが、72年に予定された返還について、佐藤は「沖縄はタダで帰ってくる」と言っていた。しかし、その言葉は真っ赤なウソだったのである。

1971年6月に調印、翌72年5月に発効した沖縄返還協定において、米軍用地復元補償費400万ドル(当時のレートで12億円強)は、アメリカが日本に「自発的支払を行なう」と記されていた。しかし、実際には日本側がこの400万ドルを「肩代わり」する密約があったことを、毎日新聞の西山太吉記者が突き止め、これをスクープした。ところが、西山記者と情報提供者だった外務省の女性事務官は国家公務員法違反容疑で逮捕されてしまった。毎日新聞はこれに反発して、国民の「知る権利」を政府が侵害していると主張する大キャンペーンを張ったが、権力や週刊誌、テレビのワイドショーなどによって、問題を下半身スキャンダルにすり替えられてしまい、密約疑惑は追及されることなくうやむやになってしまった(いわゆる「西山事件」)。

しかし、2000年になって、朝日新聞が米公文書をもとに、沖縄返還をめぐる密約の存在を暴いた。72年に西山記者が暴いた400万ドルはほんの氷山の一角に過ぎず、2億ドルもの「裏負担」を日本がしていたのだ。

さらに2006年、当時の外務省アメリカ局長・吉野文六氏が密約の事実を認める発言を行った。吉野氏は、2000年の朝日新聞報道で「密約」の存在が明るみに出た時には、その損座を否定していたのだが、06年、北海道新聞の記者に対し、一転して密約の存在を認めたのである。だが、資料が明らかにされ、当時の外務官僚の証言もあるのに、政府はなお「密約」の存在を否定し続けている。ここまで恥知らずな政府が、他の先進国にあるだろうか。

前記の毎日新聞・西山元記者が、『沖縄密約』 (岩波新書)という本を今年5月に出したが、この本によると、当時の佐藤首相は秘密交渉を好み、その任に当たったのが大蔵省ルートであり、外務省には何の連絡もないまま秘密交渉が行われ、外務省アメリカ局長だった吉野文六氏はそれにずいぶん振り回されたようである。吉野氏にはそのことへのわだかまりがあり、それが「沖縄密約」の存在を認めた発言につながったのかもしれない。佐藤首相から秘密交渉の命を受けた責任者は福田赳夫外相だった。いうまでもなく、佐藤栄作は前首相・安倍晋三の大叔父、福田赳夫は現首相・福田康夫の父である。

とにかく、密約の実体は、アメリカが払うとされていた費用の多くを、実際には日本が負担するというあきれ返ったもので、現在の「思いやり予算」も、この密約が隠し切れなくなってある時期に表面化させたものだ。佐藤が言った「沖縄はタダで帰ってくる」どころではない。この時の流れは現在まで続いており、米軍再現に伴う沖縄基地のグァム移転の費用も、そのかなりの割合を日本が負担することになった。「きっこの日記」に
総額で、1兆2000億円とも言われてる費用のうち、6割にも当たる7000億円をあたしたちから巻き上げた税金から、ホイホイと支払う約束をしちゃったのだ
と書かれている通りである。そして、日本側の負担の中には米兵の住居施設をグァムに建設する費用が含まれているが、これが積算根拠も示されていないいい加減な試算なのだ。このあたりも、「きっこの日記」にわかりやすく書かれている。そんなところに、巨額の利権が生じるのは当然の話であって、おそらく相当多数の自民党議員や、もと自民党に属していた民主党議員が「沖縄利権」に絡んでいるだろう。コイズミ本人や民主党の小沢一郎代表の名前も取りざたされていることは、皆さまよくご存知の通りだ。

今回、アメリカに「ホイホイと支払う約束をしちゃった」のは、もちろんコイズミだが、そのレールを敷いたのは、安倍晋三の大叔父・佐藤栄作であり、福田康夫の父・福田赳夫だった。佐藤も福田も、自民党の政治家の中でも対米従属の傾向の強かった人たちだ。それが、佐藤栄作最後の業績を挙げるために、国益を犠牲にして沖縄返還に伴う「密約」を行い、「沖縄利権」はそこから生まれた。

こんな罪深い政治家たちの二世や三世が牛耳る日本の政治を、なんとしても変えていかなければならないと思う今日この頃である。


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この件、kojitakenさん、
>沖縄返還に伴う「密約
タカマサさんが静岡新聞の記事を紹介してますよ~。
http://tactac.blog.drecom.jp/archive/2163

日本にも証拠があったとか・・。

2007.11.16 18:39 URL | 三介 #CRE.7pXc [ 編集 ]

こん晩は、何度も、どうも。
「衆院選後に政界再編も・小泉元首相 」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071116AT3S1601V16112007.html
やはり、再編含み、再確認ですね。
あちこちで、いろんな『お勉強会』が流行っているし。
こっちもおベンキョしなきゃ・。
>ふぅ~、、、 (11/16)

2007.11.17 00:34 URL | 三介 #CRE.7pXc [ 編集 ]

だいぶ前、グアムの新聞が、米兵の住居施設をグァムに建設する費用は 日本政府が発表している10分の1しか掛からないはずだ、と書いていました。つまり10分の9は、どこに入るのか?
だいたい 米軍がグアムに行って住む家に一銭のお金も支払ってやる必要がないのです。
でも佐藤の密約とかが尾を引いているということですね。

2007.11.17 08:51 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]













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