従来反自民の論調を張っていた人たちの間でも賛否両論が真っ二つに分かれた。たとえば森田実や天木直人は小沢一郎を厳しく批判し、白川勝彦や岡留安則は小沢に一定の理解を示していると言った具合だ。今朝の新聞に載っていた田中秀征のコメントも、小沢に理解を示していた。
ブログでは、共産党および社民党支持のブログではほぼ小沢批判一色で、民主党支持または無党派系のブログでは小沢支持が圧倒的に多い。当ブログのような無党派で小沢批判派はごく少数で、とらちゃんの「晴天とら日和」は当初「小沢辞任やむなし」という立場だったが、ナベツネや中曽根、福田、町村らを許せないから、まず彼らを倒すまでは小沢支持という立場に切り替えた。
当ブログでは以前からナベツネ(渡邉恒雄)を取り上げることが多かった。最近はプロ野球への興味がかなり薄れているとはいえ、以前には大のアンチ巨人ファンであった私は、ナベツネを憎むことに関しては人後に落ちないつもりだ。魚住昭の『渡邉恒雄 メディアと権力』は4度も通読したくらいである。
今回の「大連立未遂劇」がナベツネと森喜朗の仲介で行われたことは、朝日新聞も報じている通りだ。今回の件に関する読売新聞の報道は、一貫してナベツネの意向に沿ったものだった。
日本のジャーナリズム史に汚点を残したのは、読売新聞が「連立を持ちかけたのは小沢だ」という虚報を流したことだ。これについては、先日、TBSテレビの「NEWS23」で筑紫哲也が、名指しこそしなかったものの明らかに読売新聞を指すとわかる言い方で、メディアの「謀略報道」を批判していた。前述の魚住昭の著書をお読みいただければわかるが、ナベツネの信条は「権力と一体となったジャーナリズム」を目指すことだ。今回の読売の虚報に呆れた方が、もし読売新聞を購読しておられるなら、即刻契約を解除されることをおすすめする。
しかし、そんなナベツネの仕掛けに小沢一郎が乗ろうとしたことは、小沢が記者会見で認めた通りで、日本にとってもっとも危険な「大政翼賛会」的な政治が、危うく現出するところであった。それを重く見る当ブログとしては、小沢批判の看板を下ろすつもりはない。「小沢一郎でなければ政権交代はできない」という意見にも私は不賛成で、鳩山由紀夫では無理だが菅直人でもできるし、かなり落ちるが岡田克也でも不可能ではないと思う。一部で長妻昭の名が挙がっているが、長妻には年金問題で他の追随を許さない実績を上げたのちに、民主党幹部になってほしいと期待している。
いずれにしても、小沢続投が決まった以上は、この問題にこだわるのは止めたいと思う。但し、自分から「背水の陣」を呼び込んだ小沢に対して、今後も懐疑的な目で見ていくことになるのはいうまでもない。
本当は、今日は防衛利権に絡む記事を書く予定だったのだが、時間がないので明日に回す。このところの週刊誌報道では「週刊ポスト」と「サンデー毎日」が参考になり、この分野に明るくない当ブログは、これらの雑誌記事を紹介していくことになると思う。ただ、両誌の報道も、来週発売号は今回の「大連立・小沢辞意表明と撤回」一色になることが予想される。
かえすがえすも残念な、今回の騒動だった。
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TBを2個送ってしまいました。申し訳ありません。
『小沢氏会見、「読売」大新聞様は事実をねつ造するだけではなくて、記事自体もカメレオンのように変造していくんですね。(笑)』のトラックバック、こちらのエントリーのを生かしてください。
2007.11.08 07:36 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]
どうして小沢の是非だけを問題にするんだろう。小沢は明らかに失敗を犯したが、そのことだけを問題にすると、敵の罠に嵌る。民主党が危うく虎口を逃れたことが評価できなくなる。
敵にとっては、連立実現でも、小沢失脚、代表戦で民主党が分裂状態に陥るのでも、どちらでもよい。菅でも勝てるだろうが、党が分裂していないことが前提だ。
今回、自民党と読売の民主党解体攻撃を跳ね返し、戦いに勝利したのは菅と鳩山。さすが、これまで何度もしてやられてきただけに、百戦錬磨。まんまと嵌められた小沢を救うことで、民主党自体を救った。
民主党は、連立も拒否、分裂も回避するしかなかったのだが、見事に成し遂げ、敵の狙いを粉砕した。
しかも、小沢に、最期の戦いを自覚させ、独裁強化どころか、小沢自身が首に鈴をつ
けた。民主党は、曖昧だった党内民主主義に新たなルールを確立し、まさしく一歩後退二歩前進した。
組織が分からず、小沢しかみない、個人しかみえない目には、本当の戦いはできない。
2007.11.08 10:01 URL | aartaku00 #- [ 編集 ]
岡田だけは勘弁です
2007.11.08 23:21 URL | #pYrWfDco [ 編集 ]
こんばんは、
折角あちこちのブログを少しずつ取上げて書いたのに、
ここんとこ、TBの通り悪いみたいです。
リンク貼ってきます。
http://blogs.dion.ne.jp/ivanat/archives/6425435.html
では。
2007.11.08 23:46 URL | 三介 #CRE.7pXc [ 編集 ]
また、コメントさせてもらいます。
政治における個人への非難というのは、実は、個人崇拝と同じ構造なんですけど。政治闘争というのは、個人対個人ではなく、組織対組織ですし、それを個人だけの戦いに還元するなんて無茶苦茶です。。
今回の件は、組織的な振り込め詐欺集団に騙された直情径行の単細胞男性が、まんまと満額振り込まされて、家族から責め立てられたって構図でしょう。
でも、罪を問うべきは犯罪者の方ですよね。普通の感覚なら。で、被害者は、その迂闊さを責められるものの、家族全員で庇ってあげるというのが、まともな感覚じゃないですか。
犯罪者でなく、被害者の能力だけを問題にするって、人間というものが理解できていないってことじゃないでしょうか。
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現場もおかしいらしい(笑)
ここ数日適当にヲチしている小沢騒動だが、昨日の謝罪会見は野次馬的に面白く見せても
2007.11.08 11:53 | 黒猫亭日乗