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きまぐれな日々

すったもんだの末、小沢一郎が留任したことについては、ブログの記事を書くのも億劫になるほど重い気分だ。ブログへのアクセス数は2日続けて10月度には一度も記録しなかった4千件を超えたが、アクセス数が増えたのに気分が沈んだのは今回が初めてだ。これまでは、安倍晋三が失態を演じたり安倍の新たなスキャンダルが露見するたびにブログへのアクセス数がはね上がった。ところが、今回は「自End」の尖兵であるべき民主党の小沢代表が、福田首相率いる自民党と、こともあろうに「大連立」を組もうとしたことが露見したとされているのだ。気分が浮き立つはずもない。

小沢一郎が辞意を表明しても、小沢の合流以前から民主党の看板だった菅直人や鳩山由紀夫が理性的に動くと思っていた。だが、なぜか民主党は小沢一郎慰留で党内がまとまってしまった。私からしたら選択を誤ったようにしか見えない。

今回、「小沢氏の他に適当な人がいない」という声がかなりあるが、これを聞いて私が直ちに連想するのは、「コイズミさんの他に適当な人がいない」とか「アベさんの他に適当な人がいない」とかいう、時の内閣を支持する理由の上位を占めた意見だ。

しかし、現実には過去10年の国政選挙では、「コイズミ旋風」が吹き荒れた2001年の参院選と2005年の衆院選を除いて、民主党はすべて党勢を伸ばしているのである。これは、民主党の力がついたということではなく、自民党の力が衰えたため、有権者は野党第一党に期待せざるを得なかった結果だと思う。自民党に期待できそうだ、と有権者が錯覚した01年と05年にのみ、自民党は圧勝した。

つまり、小沢一郎の代わりなどいくらでもいるのである。それなのに、それまでの路線を180度転換する「大連立」の受け入れに傾きかけた党代表を続投させるという理解不能の選択を民主党はしてしまった。これに私は大いに失望したし、同様に多くの国民が失望したと思う。今後、民主党が党勢を拡大するのは難しくなった。「小沢一郎でないと総選挙を戦えない」などというのは無責任極まりない態度だ。「アベさんでないと参院選に勝てない」などと、現実には幹事長時代国政選挙に2戦2敗だった安倍晋三にすがって自滅した自民党を、これでは笑えない。

そして、民主党がこのまま党勢を拡大すると、自民党と民主党の二大政党が「大連立」なる平成版大政翼賛会を形成してしまうリスクが高まることがはっきりした以上、私は第3極の形成・強化を目指す立場に立たざるを得ない。今の自公連立に民主党が加わってしまうと、野党は共産、社民、国民新の3党だけになってしまうが、この3党は合計してもいかにも非力だ。

特に社民・共産両党は、従来のように「9条護憲」ばかり唱えるのではなく、「25条護憲」をもっと前面に押し出すとともに、説得力のある経済政策を打ち出して、これまで民主党に投票していた人たちから票を奪わなければならない。

今回の「大連立」騒動で、民主党は「野党共闘」を呼びかける資格を失ったと思う。たとえば、民主党が社民党に共闘を求めるのは、右手で頬を思いっきりひっぱたいておきながら、左手で握手を求めるに等しい。ブログでも、ふだん「野党共闘」を呼びかけていながら、その野党共闘にもとる行動をとろうとした小沢一郎を正面切って批判できなかったところもあった。今後、どの面下げて「野党共闘」を求めるというのだろうか。こういう事態が起きた時には小沢を厳しく批判してこそ、その主張が信頼されると思うのだが。

ブログの言論で私が一番失望したのは、少なからぬブログが「陰謀論」を展開したことだ。ナベツネや中曽根が仕掛人だというのは「陰謀論」ではない。「大連立」はナベツネと中曽根がかねてからテレビや読売新聞の社説で主張し続けていたことだからだ。しかし、たとえばロックフェラーの来日と「大連立」構想の関連云々については、誰も根拠を示し得ない妄論だ。私は全く知らなかったのだが、ロックフェラーが「ユダヤ系」だとして「ユダヤの陰謀」論を唱える向きがあるのだそうだ。ロックフェラーがユダヤ系だなんて初めて聞いた。ロスチャイルドと混同しているのではないか。そもそも、芸術や学問に多少なりとも興味のある人間にとって、「ユダヤ陰謀論」ほど唾棄すべきものはないが、政治・経済を論じるブログではこんなトンデモが蔓延していると知って驚いた。

そんな中で、昨夜「自民党TBP」にトラックバックされた 「反戦な家づくり」 の記事 「人の世に熱あれ 人間に光りあれ」 が印象に残った。「人間」は「じんかん」と読む。陰謀ですべてが決まってしまうという考え方は、人間を絶望させ、強力な指導者を求める流れを作りやすい。

そうではなく、どんな事態に遭っても決して絶望することなく、運動を放棄することなく前に進んで行きたいものだ。目標はあくまで自民党政治を終焉させること、「自End」である。


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自民党と読売の攻撃を見事に跳ね返し、戦いに勝利したのは菅と鳩山。
さすが、これまで何度もしてやられてきただけに、百戦錬磨。
まんまと嵌められた小沢を救うことで、民主党を救った。

敵にとっては、連立でも、小沢失脚、代表戦で民主党分裂でも、なんでもよかった。
民主党は、連立を拒否、分裂も回避するしかないのだが、見事に成し遂げ、敵の狙いを粉砕した。
しかも、小沢に、最期の戦いを自覚させ、独裁強化どころか、小沢自身の手で首に鈴をつけさせた。

民主党は、曖昧だった党内民主主義に新たなルールも確立し、まさしく一歩後退二歩前進した。

2007.11.08 05:12 URL | 荒岡拓弥 #- [ 編集 ]

こんにちは。民主党支持のブロガーで、このように道理の通った意見を述べられてるのは、あなくくらいでしょうか。大方は、「荒岡拓弥」氏のコメントがその典型ですが、事実を打棄り、思い込みと希望的観測をまくしたてる代物。まるで、撃ちてし止まん、進め一億火の玉だ、ってな論調ですね。前々から感じていたのですが、イチローくんの思想信条や民主党の成立基盤を問うことなく、そもそもそれが不可解ですが、これを積極支持するブロガーの言動には明らかにファッショの匂いがあります。くわばらくわばら。

2007.11.08 15:14 URL | BLOG BLUES #- [ 編集 ]

>民主党がこのまま党勢を拡大すると、自民党と民主党の二大政党が「大連立」なる平成版大政翼賛会を形成してしまうリスクが高まることがはっきりした。

そのとおりですね。

「大連立」と聞いた時も、一番先に思ったのが、これでした。そして最終目標は自民党は改憲してしまいたいのだろうな、ということ。

>社民・共産両党は、・・・これまで民主党に投票していた人たちから票を奪わなければならない。

kojitakenさんのこれを読んで、ハッとしました。その通りですよね。不可能と思っていたことですが,これくらいやらないと生き残れませんし、護憲派の託すところがなくなってしまいます。


2007.11.09 22:23 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

その後の展開をみれば、王手飛車取りをかけられた民主党に小沢を許す以外の道はなかったし、それが、これから改めて小沢を外すにしても、間違っていなかったのは確かだろうに。自民党を終わらせるのに役立たない、条件反射バカはどっちだ。

2007.12.15 06:22 URL | 荒岡拓弥 #- [ 編集 ]













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「陰謀論」と平和運動、レイシズム
2007.9.27.20:30ころ 野暮用に追われまくって更新がすっかり滞り気味

2007.11.07 09:07 | 多文化・多民族・多国籍社会で「人として」

小沢一郎氏の信念は民族意識にある。だから右も左も無い。
 今回の小沢一郎氏の行動は、注目に値する出来事であると思われる。この民族意識を高...

2007.11.08 00:20 | 日本を守るのに右も左もない

民主党・小沢氏の代表辞意撤回問題における日本共産党の志位・市田両氏のコメントに同感!
 民主党 小沢氏、辞意撤回へ 党あげての慰留うけ 志位委員長がコメント(2007

2007.11.08 23:06 | 嶋ともうみ☆たしかな野党を応援し続ける勇気を!