守屋武昌・前防衛事務次官の証人喚問は29日に決まったようだ。
国会での証人喚問は、昨年1月17日のヒューザー・小嶋進社長(当時)以来となる。ライブドア強制捜査の翌日行われたこの証人喚問で、民主党の馬渕澄夫議員の質問と小嶋氏の証言によって、小嶋氏がマンション住民への説明会で、氏が安倍晋三内閣官房長官(当時)の非公然後援会「安晋会」の会員であり、安晋会会長から(安倍の政策秘書の)飯塚氏を紹介してもらい、将来の(国交省の)事務次官になる人に連絡してもらっている」「その人に電話してもらったから、安倍長官が閣議後に『遺漏なきよう対応させる』と発言したのもそのため」などと証言したことは記憶に新しい。
いや、安倍晋三がらみのことになるとついつい脱線してしまう。守屋前次官の話に戻ろう。
守屋前次官の喚問は、もともと民主党が海上自衛隊のインド洋での給油がイラク戦争に転用された疑惑に絡んで要求していたものだ。現在は、守屋氏が防衛・航空分野の専門商社・山田洋行から一昨年までの5年間に計約140回、1000万円超のゴルフ・飲食接待を受けた疑惑、さらには次期輸送機(CX)のエンジン調達を巡る疑惑が取り沙汰されており、喚問ではこれらの究明が焦点になる。
この件とテロ新法は、福田内閣を揺るがせかねない問題である。「サンデー毎日」11月4日号に、「テロ新法 "逆ギレ解散" なら「12月16日」総選挙」と題された記事が掲載されている。
マスコミの記事では、守屋氏を接待した側の山田洋行元専務の実名は書かれていないが、すでに「FACTA」などが報じているように、元専務の名前は宮崎元伸氏という。首都圏などでは今日(10月25日)発売の「週刊新潮」の最新号には、宮崎氏が実名を出しての「特別手記」が載っているらしく、"「新聞記者」も業者の「ゴルフ接待」を受けていた" と銘打たれているが、当地ではまだその記事は読めない。
ところで、政治ブログの中でも、「守屋前次官を国策捜査から守れ」だの、「守屋前次官の証人喚問なんて自民党が喜ぶだけの時間稼ぎだ」などのトンチンカンなことを書いているところがあるが、これは、これまでメスが入らなかった防衛利権の闇をどこまで明るみに出せるかがかかる、きわめて重要な問題なのである。「サンデー毎日」の記事にもあるが、宮崎元専務は昨年、山田洋行の経営権をめぐってオーナーサイドと対立して退社、部下約20人を引き連れて「日本ミライズ」を設立した。つまり、現在は山田洋行と対立関係にある。
「サンデー毎日」に掲載された捜査関係者の言によると、
実際、10月28日の「しんぶん赤旗・日曜版」が、久間防衛庁長官(当時)も山田洋行元専務から接待を受けていたことを報じている。
http://www.jcp.or.jp/akahata/week/index.html
だから今、自民党は守屋氏に全責任を押しつけて、問題を矮小化しようと必死なのだ。守屋氏を守れとか、証人喚問など福田内閣を助けるだけなどと主張するブログは、自民党が逃げ切るのに手を貸しているも同然だろう。そもそも、守屋氏と小池百合子が喧嘩している時、守屋氏がシビリアン・コントロールの原則を危うくする言動を取っていたことに対してまるで無批判な姿勢が、私には信じられない。
この問題を追っている 「thethe」 からまたトラックバックをいただいたが(「大ちゃんス大作戦」)、その中に気になる記述があった。
記事中に、野中広務?古賀誠ラインが防衛利権疑惑をうやむやにしようとしているとの指摘があるが、昨日、三介さんからも野中広務についてコメントをいただいた。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-481.html#comment2185
「単純に『新自由主義』とか、ネオコン批判だけじゃあ済まされない、超?複雑な縺れがある」とのご指摘だったが、たまたま昨日、野中広務と野村克也が共著者となっている 「憎まれ役」 という本を立ち読みしたところだった。これは単に野中がコイズミを、野村が長嶋茂雄をそれぞれ罵倒しているだけの本で、立ち読みで済ます程度で十分な、最近よくあるジャンク・フードみたいな書物だと思うが、これまでコイズミ対小沢の図式で単純に捉えがちだったが、そういえば野中も考えに入れなければならないなあと思い出したところだった。
明後日、新党構想を持っているといわれる平沼赳夫を批判する記事を公開しようと思っているが、その平沼によると、福田康夫首相は、父・福田赳夫元首相とは異なる自民党内左派で、野中広務や後藤田正晴と思想的に近いとのことだ。つまり、「コイズミ・安倍一派」、「野中・福田一派」、それに「小沢一派」の保守三勢力の三つ巴の対立構造として捉えることが、確かに必要だろうと思う。
いずれにしても、小沢一郎にしてもそれこそ保守本流にいて、どっぷりその利権構造に使っていた人間だから、叩けば埃が出るのは当然だろう。おそらく防衛利権にからんでは、あきれ返るばかりの大癒着構造があるに違いないが、東京地検特捜部には頑張って膿を出してほしいものだ。
国策捜査大いに結構。国策捜査にも「良い国策捜査」と「悪い国策捜査」があり、ライブドア事件に手をつけたのは「良い国策捜査」だと評したのは大谷昭宏であり、当時私も同じ感想を持った。結局ライブドア事件の捜査は政界まで行き着かなかったが、自民党が退潮にある今は、検察にとってもチャンスの時期なのではなかろうかと思う今日この頃だ。
(結局タイトルの「福田 "逆ギレ解散"」の話題まで行き着きませんでしたが、続きはこちらをご覧ください)
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国会での証人喚問は、昨年1月17日のヒューザー・小嶋進社長(当時)以来となる。ライブドア強制捜査の翌日行われたこの証人喚問で、民主党の馬渕澄夫議員の質問と小嶋氏の証言によって、小嶋氏がマンション住民への説明会で、氏が安倍晋三内閣官房長官(当時)の非公然後援会「安晋会」の会員であり、安晋会会長から(安倍の政策秘書の)飯塚氏を紹介してもらい、将来の(国交省の)事務次官になる人に連絡してもらっている」「その人に電話してもらったから、安倍長官が閣議後に『遺漏なきよう対応させる』と発言したのもそのため」などと証言したことは記憶に新しい。
いや、安倍晋三がらみのことになるとついつい脱線してしまう。守屋前次官の話に戻ろう。
守屋前次官の喚問は、もともと民主党が海上自衛隊のインド洋での給油がイラク戦争に転用された疑惑に絡んで要求していたものだ。現在は、守屋氏が防衛・航空分野の専門商社・山田洋行から一昨年までの5年間に計約140回、1000万円超のゴルフ・飲食接待を受けた疑惑、さらには次期輸送機(CX)のエンジン調達を巡る疑惑が取り沙汰されており、喚問ではこれらの究明が焦点になる。
この件とテロ新法は、福田内閣を揺るがせかねない問題である。「サンデー毎日」11月4日号に、「テロ新法 "逆ギレ解散" なら「12月16日」総選挙」と題された記事が掲載されている。
マスコミの記事では、守屋氏を接待した側の山田洋行元専務の実名は書かれていないが、すでに「FACTA」などが報じているように、元専務の名前は宮崎元伸氏という。首都圏などでは今日(10月25日)発売の「週刊新潮」の最新号には、宮崎氏が実名を出しての「特別手記」が載っているらしく、"「新聞記者」も業者の「ゴルフ接待」を受けていた" と銘打たれているが、当地ではまだその記事は読めない。
ところで、政治ブログの中でも、「守屋前次官を国策捜査から守れ」だの、「守屋前次官の証人喚問なんて自民党が喜ぶだけの時間稼ぎだ」などのトンチンカンなことを書いているところがあるが、これは、これまでメスが入らなかった防衛利権の闇をどこまで明るみに出せるかがかかる、きわめて重要な問題なのである。「サンデー毎日」の記事にもあるが、宮崎元専務は昨年、山田洋行の経営権をめぐってオーナーサイドと対立して退社、部下約20人を引き連れて「日本ミライズ」を設立した。つまり、現在は山田洋行と対立関係にある。
「サンデー毎日」に掲載された捜査関係者の言によると、
「山田洋行が元専務を特別背任などで告発すれば、防衛省の巨額受注業務にからんで守屋氏には収賄容疑がかかる。東京地検特捜部は、贈収賄事件としての立憲を視野に入れています」とのことだ。同じ記事に、次のような司法ジャーナリストの言葉が紹介されている。
「山田洋行は、空自の次期輸送機(CX)搭載エンジンの販売代理店契約を米GE社と結んでおり、約1000億円の受注が控えている。ところが、日本ミライズに山田洋行の米GE担当者も移籍したため、日本ミライズ側に賠償を求める提訴をするなど、ドロドロの内紛劇を繰り広げています。
また、防衛省では米軍基地が集中する沖縄などで巨大な発注業務を抱えるだけに、守屋氏のかかわる防衛利権疑惑が丸裸になれば、自民党防衛族の有力政治家などに飛び火する可能性も否定できません」
実際、10月28日の「しんぶん赤旗・日曜版」が、久間防衛庁長官(当時)も山田洋行元専務から接待を受けていたことを報じている。
http://www.jcp.or.jp/akahata/week/index.html
久間防衛庁長官(当時)も接待受けた
100回を超えるゴルフ接待。マージャン・飲食も―。巨額の軍事費をねらう軍需商社と防衛省の守屋武昌前事務次官との癒着が大きな問題になっています。この商社側の接待は次官だけでなく、時の防衛庁長官にまで及んでいました。昨年12月上旬、東京・赤坂の料亭で宴席がもたれました。顔を出したのは久間章生防衛庁長官(当時)。宴席を計画したのは、守屋前次官をゴルフ接待していた軍需商社、山田洋行の元専務――。
(「しんぶん赤旗」日曜版 2007年10月28日付より)
だから今、自民党は守屋氏に全責任を押しつけて、問題を矮小化しようと必死なのだ。守屋氏を守れとか、証人喚問など福田内閣を助けるだけなどと主張するブログは、自民党が逃げ切るのに手を貸しているも同然だろう。そもそも、守屋氏と小池百合子が喧嘩している時、守屋氏がシビリアン・コントロールの原則を危うくする言動を取っていたことに対してまるで無批判な姿勢が、私には信じられない。
この問題を追っている 「thethe」 からまたトラックバックをいただいたが(「大ちゃんス大作戦」)、その中に気になる記述があった。
裏で山田洋行のスキャンダルを右旋回させ、民主党と手打ちにすべく力が働いているように思う。福田内閣誕生の経緯から言って野中-古賀ラインが完全復活し、悪魔とまで呼んだ宿敵・小沢一郎氏に本格的に対決しはじめた、ということだろう。小沢氏は、「(選挙に備えて)地方行脚を始める」と早速身を引き始めた。「ISAFに参加」発言で、インド洋給油問題で自民党を深みにはめ、大義を見いだす議論を封じ、「国際貢献」とは数段レベルが低い「給油継続」という(アメリカへの)アリバイのみで法案を通そうとしている、という印象を与えることに成功した小沢氏だが、スキャンダルを好む劇場型政治になれきったマスコミ・世論が、守屋たたきを一斉に始めたため、その効果が幾分薄れたように感じる。また自民党も失敗の全てを民主党に転嫁するのは無理と見て、守屋氏に全ておっかぶせる方針に舵を切ったのだろう。かくして議論は本質から逸れていく。
(「thethe」?「大ちゃんス大作戦」より)
記事中に、野中広務?古賀誠ラインが防衛利権疑惑をうやむやにしようとしているとの指摘があるが、昨日、三介さんからも野中広務についてコメントをいただいた。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-481.html#comment2185
「単純に『新自由主義』とか、ネオコン批判だけじゃあ済まされない、超?複雑な縺れがある」とのご指摘だったが、たまたま昨日、野中広務と野村克也が共著者となっている 「憎まれ役」 という本を立ち読みしたところだった。これは単に野中がコイズミを、野村が長嶋茂雄をそれぞれ罵倒しているだけの本で、立ち読みで済ます程度で十分な、最近よくあるジャンク・フードみたいな書物だと思うが、これまでコイズミ対小沢の図式で単純に捉えがちだったが、そういえば野中も考えに入れなければならないなあと思い出したところだった。
明後日、新党構想を持っているといわれる平沼赳夫を批判する記事を公開しようと思っているが、その平沼によると、福田康夫首相は、父・福田赳夫元首相とは異なる自民党内左派で、野中広務や後藤田正晴と思想的に近いとのことだ。つまり、「コイズミ・安倍一派」、「野中・福田一派」、それに「小沢一派」の保守三勢力の三つ巴の対立構造として捉えることが、確かに必要だろうと思う。
いずれにしても、小沢一郎にしてもそれこそ保守本流にいて、どっぷりその利権構造に使っていた人間だから、叩けば埃が出るのは当然だろう。おそらく防衛利権にからんでは、あきれ返るばかりの大癒着構造があるに違いないが、東京地検特捜部には頑張って膿を出してほしいものだ。
国策捜査大いに結構。国策捜査にも「良い国策捜査」と「悪い国策捜査」があり、ライブドア事件に手をつけたのは「良い国策捜査」だと評したのは大谷昭宏であり、当時私も同じ感想を持った。結局ライブドア事件の捜査は政界まで行き着かなかったが、自民党が退潮にある今は、検察にとってもチャンスの時期なのではなかろうかと思う今日この頃だ。
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別のところでも書いたが、平沼は旧来のコテコテの反共勢力なんだなと思います。
何か脳が化石になっているようなそんな気がします。あの方の話を聞いてると。
野中についていえば、時事放談などを見ている限りは福田、古賀に一定の評価をしつつ、小沢に対して決して批判的ではないですね。一方、麻生などに対して非常に批判的であり、ここに自民党のねじれを感じます。
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