昨日の「四国新聞」に田勢康弘のコラム「愛しき日本」が掲載されていた。"衆参ねじれ 民主党も「寸前暗黒」" というタイトルで、四国新聞のサイトで読める。
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tase_column/20071016.htm
この田勢は、早稲田大学大学院教授、日本経済新聞客員コラムニストで、テレビの報道番組の売れっ子コメンテーターでもあるが、なぜか「四国新聞」という香川県の地方紙にコラムを月1回ないし2回掲載している。「四国新聞」は、正直言って情報量が豊富な地方紙とはいえないが(失礼)、田勢のコラムは売り物の一つだと思う。
しかし困ったことに、この田勢という男は新自由主義者である。私は、小渕政権時代からコイズミ政権初期の頃にかけて、日本経済新聞を購読していたことがあるが、その頃日経の記者だった田勢のコラムを読んで共感したことはほとんどなかった。田勢が新自由主義政策を支持していたからだ。
しかし、そんな新自由主義者である田勢にとっても、前首相安倍晋三のイデオロギー政治は、おそらく経済の効率化の妨げになるからだろう、大いに批判的だった。当ブログでも「四国新聞」に載った田勢のコラムを何度か紹介したことがある。詳細については、当ブログの過去ログより、四国新聞のサイトを直接当たられた方が良いと思うので、当ブログの該当記事へのリンクは張らない。
さて、リンクを張った記事で、田勢は、
しかし、私の意見は違う。民主党は、明らかに小沢一郎が代表に就任して以来、それまでの新自由主義路線から社会民主主義寄り路線に転換した。それが、参院選での民主党の大勝につながった。参院選当時は、山口二郎が言うように、「安倍の進める新自由主義」対「小沢の掲げる社会民主主義」(「論座」11月号より)という対立軸で戦われたと思う。そして、「安倍の進める新自由主義」が敗れたのだ。
現在起きているのは、福田康夫政権が新自由主義路線に修正をかけ、民主党の政策にすり寄ってきていることだ。新自由主義路線が特に「格差」問題による社会・経済の不活性化によって行き詰まっている以上、当然だろう。こうして、再び自民党と民主党の政策が近づいてきているのではないかと思う。しかし、自民党は党を選挙で圧勝させたコイズミの呪縛から逃れることはできない。コイズミは、もともとは政治史思想面でも経済思想面でもまったくの無思想で、究極のポピュリストだと私は考えているが、背後霊のようにコイズミに取り付いている竹中平蔵(こいつこそ諸悪の根源である)の思想を無批判に受け入れているため、究極の新自由主義者になっている。だから、自民党が新自由主義政策に修正をかけたって、そこにはおのずと限界があるのだ。
一方、民主党内にも、よく言われる松下政経塾出身者を中心に、自民党以上に過激な新自由主義者たちがいて、現在は小沢一郎が、やはり参院選における実績をバックに、力ずくで彼らを押さえ込んでいる状態だ。不思議なことに、民主党内の新自由主義者は揃って親米で、インド洋上の自衛隊の給油活動にも理解を示す人たちである。自民党に行けばよいと思うのだが、腐った自民党では、安倍晋三、福田康夫や麻生太郎のような世襲議員しか出世できないらしいから民主党にとどまっているのだ、という説がある。それなら、「真に実力で勝負する新自由主義政党」でも立ち上げればよさそうなものだ。そして、「非世襲」と「世襲」を対立軸に自民党と競い合えば、恰好の見ものになるだろう。
無駄口の度が過ぎたかもしれない。いずれにしても、自民党の「脱新自由主義」に限界がある以上、野党はそこを最大の争点にして攻めるべきだと思う。その際、田原総一朗ら新自由主義の走狗が「バラマキ」攻撃を強めてくるだろうが、その時にはアメリカに協力するためのバラマキをやめろ、と反論すればよい。基地建設だってそうだし、現在争点になっている「給油活動」はその象徴的な例だ。「給油活動よりISAFを」という小沢一郎の主張を、憲法問題だけを論じて非難するのではなく、対米隷属か国連重視かの観点を常に忘れず、アメリカに媚びを売るために無駄な金を使う自民党政府の「バラマキ」をやめさせなければならない。
新自由主義者の田勢は、おそらく以上に指摘したような対立軸を意識的にぼかして、民主党に再び新自由主義色を強めさせたいのだろうと、意地の悪い読み方をした次第である。
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http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tase_column/20071016.htm
この田勢は、早稲田大学大学院教授、日本経済新聞客員コラムニストで、テレビの報道番組の売れっ子コメンテーターでもあるが、なぜか「四国新聞」という香川県の地方紙にコラムを月1回ないし2回掲載している。「四国新聞」は、正直言って情報量が豊富な地方紙とはいえないが(失礼)、田勢のコラムは売り物の一つだと思う。
しかし困ったことに、この田勢という男は新自由主義者である。私は、小渕政権時代からコイズミ政権初期の頃にかけて、日本経済新聞を購読していたことがあるが、その頃日経の記者だった田勢のコラムを読んで共感したことはほとんどなかった。田勢が新自由主義政策を支持していたからだ。
しかし、そんな新自由主義者である田勢にとっても、前首相安倍晋三のイデオロギー政治は、おそらく経済の効率化の妨げになるからだろう、大いに批判的だった。当ブログでも「四国新聞」に載った田勢のコラムを何度か紹介したことがある。詳細については、当ブログの過去ログより、四国新聞のサイトを直接当たられた方が良いと思うので、当ブログの該当記事へのリンクは張らない。
さて、リンクを張った記事で、田勢は、
「自民党とどこが違うのか」と問われると、民主党の議員は下を向いたり、もごもごと言い訳する人が多かった。野党ゆえに自民党とはっきりと政策や路線が違わなければならない、と有権者ばかりか、民主党の人たちでさえ、そう思っているようだ。私は民主党の人たちに機会あるごとにこういっている。「優先順位が違うが、大筋ではかなり同じ部分が多い」と堂々と言い放ったらどうか、と。と書いている。
金魚鉢の水はときどき取り替えないと水が腐って金魚は死んでしまう。政治もときどき政権を替えないと必ず腐敗する。われわれは基本政策では自民党とそれほど違わないので、政権を担っても混乱はおきません。だから、どうぞ、一度政権を与えてみて下さい、そういうべきだと考えている。
しかし、私の意見は違う。民主党は、明らかに小沢一郎が代表に就任して以来、それまでの新自由主義路線から社会民主主義寄り路線に転換した。それが、参院選での民主党の大勝につながった。参院選当時は、山口二郎が言うように、「安倍の進める新自由主義」対「小沢の掲げる社会民主主義」(「論座」11月号より)という対立軸で戦われたと思う。そして、「安倍の進める新自由主義」が敗れたのだ。
現在起きているのは、福田康夫政権が新自由主義路線に修正をかけ、民主党の政策にすり寄ってきていることだ。新自由主義路線が特に「格差」問題による社会・経済の不活性化によって行き詰まっている以上、当然だろう。こうして、再び自民党と民主党の政策が近づいてきているのではないかと思う。しかし、自民党は党を選挙で圧勝させたコイズミの呪縛から逃れることはできない。コイズミは、もともとは政治史思想面でも経済思想面でもまったくの無思想で、究極のポピュリストだと私は考えているが、背後霊のようにコイズミに取り付いている竹中平蔵(こいつこそ諸悪の根源である)の思想を無批判に受け入れているため、究極の新自由主義者になっている。だから、自民党が新自由主義政策に修正をかけたって、そこにはおのずと限界があるのだ。
一方、民主党内にも、よく言われる松下政経塾出身者を中心に、自民党以上に過激な新自由主義者たちがいて、現在は小沢一郎が、やはり参院選における実績をバックに、力ずくで彼らを押さえ込んでいる状態だ。不思議なことに、民主党内の新自由主義者は揃って親米で、インド洋上の自衛隊の給油活動にも理解を示す人たちである。自民党に行けばよいと思うのだが、腐った自民党では、安倍晋三、福田康夫や麻生太郎のような世襲議員しか出世できないらしいから民主党にとどまっているのだ、という説がある。それなら、「真に実力で勝負する新自由主義政党」でも立ち上げればよさそうなものだ。そして、「非世襲」と「世襲」を対立軸に自民党と競い合えば、恰好の見ものになるだろう。
無駄口の度が過ぎたかもしれない。いずれにしても、自民党の「脱新自由主義」に限界がある以上、野党はそこを最大の争点にして攻めるべきだと思う。その際、田原総一朗ら新自由主義の走狗が「バラマキ」攻撃を強めてくるだろうが、その時にはアメリカに協力するためのバラマキをやめろ、と反論すればよい。基地建設だってそうだし、現在争点になっている「給油活動」はその象徴的な例だ。「給油活動よりISAFを」という小沢一郎の主張を、憲法問題だけを論じて非難するのではなく、対米隷属か国連重視かの観点を常に忘れず、アメリカに媚びを売るために無駄な金を使う自民党政府の「バラマキ」をやめさせなければならない。
新自由主義者の田勢は、おそらく以上に指摘したような対立軸を意識的にぼかして、民主党に再び新自由主義色を強めさせたいのだろうと、意地の悪い読み方をした次第である。
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刺客選挙で、民主党が敗北したのは、対立軸を失っていたからだ。しかし、政界の再編の可能性すらある。田勢のように新自由主義者は、もともと無思想である。どこかで、遠藤周作の沈黙の景色に感動したと書いてあるが、踏み絵を踏んでただ許されるだけのことである。長いものには巻かれろ、強いものには従えと主張しているだけか。
2007.10.17 07:32 URL | Orwell #qsvP4ThM [ 編集 ]
こんばんは。昨日『政治判決』があったので、
あらためて読んでみました。植草氏の主張↓。
2006.07.21
第11回「失われた5年-小泉政権・負の総決算(5)」
http://web.chokugen.jp/uekusa/2006/07/11_4e5b_1.html
『リソナの3年繰り延べ』を巡る話。
「『粉飾』の元祖がここにあったと言っても過言ではない」
「外交は「対米隷属」に終始・・世界一の強国米国に隷属しておけば安心との、自国の尊厳も独立も重視しない姿勢」批判。
「出演していたテレビ局にさまざまな圧力」
の末に、今回の冤罪事件と不当判決がある?
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