きまぐれな日々

当ブログの「裏ブログ」にあたる 「kojitakenの日記」 に、"「安全な戦争」ならやってもかまわないのか" という記事を公開したところ、31件の「はてなブックマーク」がついて、この記事だけで1,700件以上のアクセスをいただいた。

これは、フジテレビの番組「報道2001」で、司会の黒岩祐治アナウンサーが、民主党の菅直人代表代行に対して、現在自衛隊が行っている給油活動と比較して、民主党・小沢代表が政権を取ったら自衛隊を参加させたいとしているISAFの活動がはるかに危険を伴う活動であることを再三菅氏にたずねていたのだが、その聞き方が、あたかも「安全」な活動であれば戦争行為をやっても構わないかのように聞こえ、非常に強い違和感を覚えたことを記事にしたものである。

そう、テロ特措法が認めているインド洋での給油活動は、疑いもなく戦争行為であり、明確な憲法違反だ。

現在、民主党の小沢一郎代表の自衛隊ISAF参加発言が話題になっているが、「安倍晋三TBP」「自民党TBP」 にTBされたさまざまなブログの記事をご存知の方にとっては、「そんな前から言われている話が、なんで今ごろ問題になるのだろう」という感覚ではあるまいか。

何度も書くように、私は小沢代表の意見に必ずしも賛成ではないが、10月5日のエントリ "「復古的改憲」の危機は去っていない" でも指摘したように、日本国の主権から離れて、「国際警察」の観念につながる警察を前提として兵力を持つことは、憲法改定をしないでも可能なのではないかという考え方は古くからある。私の知る限り南原繁がそうで、南原の主張は、立花隆編 「南原繁の言葉?8月15日・憲法・学問の自由」 (東京大学出版会、2007年)に収録された「第九条の問題」(1962年)で読める。また、松尾尊兌編 「石橋湛山評論集」 (岩波文庫、1984年)に収録された石橋湛山の「日本防衛論」(1968年)も、憲法と矛盾しないとは明記されていないものの、南原と同様の主張であるように読める。

今回の論文では、小沢は横田喜三郎の学説に基づいた主張であると述べている。横田は、満州事変が起きた時、「中国側が仕掛けたものであり、自衛権の行使に当たる」とした政府の見解にいち早く疑義を呈し、関東軍の謀略ではないかと指摘したリベラル派の学者のようだ。残念ながら、私は横田の論文を読んだことはない。

私が小沢の論文で問題だと思うのは、大国の強い影響下にある現在の国連にどこまで信を置いて良いかということ、民主党の枝野幸男議員も指摘しているように、ISAFは国連軍ではなく、自衛隊の軍事参加は国権の発動にあたる疑いが強いのではないかと思うこと、それに、何よりもまず軍事面以外での国際貢献を第一に考えるべきなのではないかということだ。

また、小沢の論文には、南原繁や石橋湛山のような軍縮の思想があまり感じられず、もちろん軍縮には言及していない。それが読後感を南原や石橋の論文とずいぶん違ったものにさせている。小沢は、論文の終わりの方で、「貧困を一つ一つ克服し、人々の生活を安定させることが、何よりも大事」、「貧困を克服し、生活を安定させることこそが、テロとの戦いのもっとも有効な方法である」と主張しているが、とってつけた感は否めない。論文全体の、文章の流れがスムーズでなく、そのために読み終えた時、どうにも頭がスッキリしなかったのである。

しかし、とにもかくにも、小沢の主張がそれなりに筋の通ったものであることだけは認めたいと思う。少なくとも、ISAFへの参加は、完全な憲法違反である給油継続と比較すると、はるかに論じるに値する主張である。何度も書くように、上記に挙げたような理由により、私は小沢の主張には賛成できない。賛成はできないが、議論を行うに値すると述べているのだ。

これに対し、給油活動は言語道断の憲法違反行為であり、議論の余地は全くない。世界のどこに、兵站(ロジスティクス)が戦争行為でないという学説があるのだろうか。

報道を聞くところでは、自民党は小沢一郎の主張を「憲法違反」だとして攻撃し、衆議院選挙の争点にするのだと息巻いているというが、噴飯ものである。明確な憲法違反の戦争行為である給油活動を認める新法の制定を主張している一方で、憲法と矛盾しないという学説も存在する小沢の主張を「憲法違反」だと攻撃するのは、国民を馬鹿にしている。自民党の政治家は、国民の多くが 「B層」 だと思っているから、そんな主張ができるのだ。国民を馬鹿にするのもいいかげんにしろ、と言いたい。

そもそも、給油はアメリカの戦争行為への加担に過ぎず、しかもその大部分がイラク戦争のために行われていた疑いがきわめて濃厚だ。さらに、給油の実態は、アメリカから高値で買った燃料をアメリカの船に給油するという、実質的にアメリカに金をくれてやっているものだという指摘もある。つまり、自民党のいう「国際貢献」の実体は、アメリカへの利益供与だということだ。

書いているうちにどんどんヒートアップしてきたので、そろそろ結びにしたいが、この記事の初め方で触れた「kojitakenの日記」にも書いたように、フジテレビ・黒岩祐治アナウンサーの菅直人氏への聞き方が、あたかも「安全」な活動であれば戦争行為をやっても構わないかのように聞こえたことには、非常に強い違和感を覚えた。この時テレビで大写しになった黒岩の顔を見て、この男が真正の馬鹿であることを私は確信した。だが、伝え聞くところでは、マスコミに出てくるキャスターたちは、みな黒岩と同じような論法で、小沢一郎や民主党を論難しているらしい。これには、この件で民主党の主張に賛成できない私から見てさえ、きわめてアンフェアであるというしかない。

テレビは、最強の自民党政権の延命装置である。テレビを見ていては、「B層」から脱却できない。できるだけテレビを見ないようにしたいものだと思う今日この頃である。


[追記] (2007.10.13)
小沢一郎の主張は、横田喜三郎著 『自衛権』 (有斐閣、1951年)に基づくもののようです。


↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング
関連記事
スポンサーサイト

テレビは最強の自民党政権の延命装置。もはや百害あって一利なしです。コイズミ前は少しはまともであった黒岩アナも最近は特に酷い部類に属しています。国民の為に税金を使う政策を少しでも野党が述べると、条件反射でバラマキですか、公共事業ですかと絶叫する見識の無さです。コイズミ以降、財政再建と称して財務省主導の政策を推進していますが、結果として国の債務は膨張し、コイズミ政権は過去最悪の国債も発行しています。経済の原動力である国民の所得を回復しない政策では、国が良くならないことは明らかであり、コイズミ政権の政策はまったくのデタラメであったことがここでも証明されています。郵政民営化後の世論の逆風を恐れてか、フジ系列のラジオで、あの悪名高きほら吹き竹中元大臣が、10月から新番組をもって、コイズミ擁護特集のような放送を開始していますが、その中でここ10年百貨店の売り上げが落ちている理由を、経済が10年悪いことを理由の一つに挙げていますが、竹中時代から政府発表では戦後最長の景気拡大の中に未だに日本はいるはずなのに、ここにも多いに矛盾があります。また自慢たらたら不良債権の処理について話していましたが、不良債権の原資は国民に払われなかった金利であり、不良債権処理の最大の功労者は日本国民です。また竹中元大臣はハゲタカの要求どおり、無理矢理不良債権と称して、多くの企業をタダ同然外資に売却させましたが、そのときに不良債権処理を急ぐ理由を、銀行を身軽にさせて、前向きな投資に向かわせるためと理屈をつけていますが、その後、処理後も需要そのものが無い日本経済では、銀行の投資もいっこうに増えていません。むりやり会計基準を変えて、銀行を経営悪化に追い込み、不良債権化を加速し、大量に企業倒産させる理由は、外資に売却させるため以外にはなかったことになります。このように日本を植民地化させたコイズミ政権以降、日本の社会が劣化しているのは当然のことなのです。テレビについでラジオも危険な状態になっているようです。自らの支持層をテレビばかり見るB層と国民を馬鹿にする呼称をつけた竹中元大臣のシンクタンクですが、本当は彼ら売国族議員こそ、国民からB層政治家と呼ばれるべき人たちなのではないでしょうか。テレビの暴挙を抑止するために、国民の不幸を誘導する酷い番組のスポンサー企業の製品を購入しないことを提唱します。

2007.10.12 10:24 URL | scotti #- [ 編集 ]

こんにちは。

温和なmewでございます。(~~)
先日、↓にコメントを入れようとしたのですが、
うまく行かなかったので、こちらに書いてみるです。

私は小沢ISAF発言には、かなり困惑しています。
当分、悩んでしまいそうです。<その悩みを
これからブログに
書いて行こうかな~と思っています>

ネオコンとネオリベの関係も難しいですね。
経済学に強い人の話によれば、ニューリベこそ
植民地政策が前提となっていたとのこと。
<自国の国民の社会政策を行なうには、その分、
他国からの搾取が必要らしい。>

アメリカは、歴史がない&異様な形の多民族国家
ゆえ、考えも特殊なのかもしれないと思うことも
あります。

2007.10.14 03:22 URL | mew #mQop/nM. [ 編集 ]

scottiさん、mewさん、

コメントどうもありがとうございます。
mewさんの言われる「ニューリベ」とは、おそらくかつて「ニューリベラル」といわれた福祉国家の政策のことを指すのだろうと思いますが、確かに経済のグローバル化によって、自国の社会政策を行おうとすると、資本が海外に流出してしまうことから、ケインズ的経済政策が行きづまってしまい、それでサッチャリズムやレーガノミクスといった新自由主義が台頭してきたことになってますよね。

でも、新自由主義はあまりにも非人間的な結果を招いてしまいました。経済危機をこの方法で乗り切ろうとしたことは間違いだったと思います。それで、現在社会民主主義的な行き方が見直されているのではないでしょうか。

罪深いのは、サッチャーやレーガンの失敗が明らかになってきた時期に、過激な新自由主義政策をとったコイズミや、それを引き継いだ安倍だと思います。

2007.10.14 14:24 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

こんばんは。
第三の選択肢‥あったら欲しいです。(苦笑)
自民党は、コイズミ時代に国会で「自衛隊がいくところが非戦闘地域だ!」などと言ってのけたトンデモ政党ですもの。あとは、「自民党が言っていることは違憲であるはずがない。天下の自民なのだから‥」って論法ですよね。ここまでくると処置なしです。私たち日本国民は後進国の国民より不幸です。

2007.10.18 02:08 URL | ココロ #mQop/nM. [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/471-83f19176

自民党内閣はお飾り、実態は官僚答弁
 国会が論戦の場というのは、嘘である。  質問に対し、正確な答弁がない。これでは

2007.10.12 12:08 | ジョディーは友達

信なくば立たず/小沢民主党に喝!うさエール、撤回!!&「先住民族の権利に関する国連宣言採択:国際NGO合同声明」
2007.10.11.18:10ころ (2007.10.11.20:30ころ、関

2007.10.13 12:40 | 多文化・多民族・多国籍社会で「人として」

平和憲法の求めるもの:自衛隊アフガン派遣かテロ特措法か
民主党小沢党首の発言がいろいろ波紋を呼んでいます。テロ対策新法:「地上軍へ参加」民主・小沢氏提案波紋 「対案なき」原則論小沢党

2007.10.22 16:09 | 自分なりの判断のご紹介