きまぐれな日々

このところ、「安倍内閣とは何だったのか」と考え続ける毎日だが、昨日、「日経ビジネスオンライン」のサイトに、とても納得できる記事を見つけたのでご紹介したい。

「新政権、本当の課題」と題された政治学者の渡辺治氏へのインタビュー記事で、「新自由主義と新保守主義の狭間で立ち尽くした安倍ニッポン」という副題がついている。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070913/134917/

詳しくはリンク先の記事をお読みいただきたいが、論旨がすっきりしていてとてもわかりやすい記事だ。

渡辺氏は、「新自由主義」と「新保守主義」の狭間で、立ち尽くしてしまったことが安倍の失敗の本質だと指摘する。安倍晋三前首相は、本来新保守主義(ネオコン)の人で、新自由主義(ネオリベ)とはなじまないのだが、小泉元首相の後継者として登場したばかりに、「構造改革」をやると言わなければならず、安倍前首相はその両立に失敗したのだという。

これは、当ブログでこれまでずっと指摘し続けていたことだ。面白いと思ったのはその先で、サッチャーやレーガンは新保守主義と新自由主義をともに推し進めたのに対し、小泉元首相は新自由主義だけを推し進めたという指摘だ。

渡辺氏は、日本では80年代に中曽根康弘政権がサッチャー、レーガンのマネをしようと国鉄民営化や規制緩和をしたが、当時の日本企業の競争力は、世界でもダントツに強く、新自由主義的な改革は続なかなかったと指摘する。そして、もともと日本の経済政策は、福祉国家型の所得再分配ではなく、地方の公共事業投資で経済発展を促して、結果的に所得格差を是正する「開発型」の政策であった、福祉政策としては不十分でも、ともかく経済が発展して完全雇用を望めたと述べている。

このあたりは、なるほどと思える指摘だ。かつての自民党政治は、福祉国家を目指したわけではなかったが、田中角栄に代表される「開発型」の政策が、結果的に格差を是正していたというのだ。

リンク先記事の2ページ目以降は、日経BPのサイトに登録した人のみ読める設定になっているようだが、ブログ管理人は登録しているので、以下に要点を紹介する。別に日経BPの回し者ではないが、興味のおありの方は、同サイトに登録の上、詳細をご確認いただきたいと思う。

小泉元首相が「構造改革」によって、それまで安定していた地方の自民党支持基盤を壊してしまったが、従来の選挙では民主党も構造改革を唱えていたので、不満の持って行き場がなかった。しかし、今回の参院選では、民主党が政策をそれまでの新自由主義型から福祉国家型へと大きく転換した。これが参院選の民主党圧勝につながった。今後の政策の選択肢は4つあり、急進的な構造改革路線、漸進的な構造改革路線、新保守主義路線、福祉国家路線だ。自民党にはこのうち最初の3つを追及する流れがあったが、新保守主義路線は安倍前首相の退場によって代表選手がいなくなり、急進的な構造改革路線も自民党が地方を支持基盤としている以上、今となってはとりようがなく、結局誰が首相になっても漸進的な構造改革路線をとるしかない、というのが渡辺氏の見立てだ。確かに、自民党総裁選では福田康夫首相と麻生太郎氏はともに「修正構造改革」路線を主張した。修正の度合いは麻生氏の方が大きかったように思う。

これに対し、渡辺氏は福祉国家型へ政策を転換すべきだと主張している。そして、EUを参考にして、アジア経済圏のような共通経済圏を作って、新自由主義を止め、共通の労働条件規制や環境規制を導入することを提言している。

これは、自民党ではとりようのない政策だろう。私は、民主党がどこまで本格的に政策を転換したのかについてはいささか疑問を持っている。現状は、福祉国家指向と新自由主義指向が混在している状態だろう。現在は小沢一郎代表が、参院選で示した実績を背景に、前原誠司氏ら新自由主義勢力を抑え込んでいるが、新自由主義勢力の間には不満が高まっていることだろう。しかし、現在の小沢路線を追求し続けることが、民主党が政権に近づくだけではなく、民主党が政策で自民党と対抗することが、日本の議会政治の質を高めていくことにつながると私は考える。日本に新自由主義政党は2つも要らないのである。


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 安倍政権が、ネオリベとネオコンの融合した奇妙なキメラであったということを私のブログで指摘したのは随分前でした。
 ネオリベとネオコンは必ずしも両立しない。レーガン政権もサッチャー政権もその混在の結果、結局民営化したものの再国営化など、後の政権で修正されていることは多々ある。
 過去の例から見ても、新自由主義を志向しながら、軍拡志向のネオコン政治が両立しないのは見えていた。
 今回、安倍の退陣で、ネオコン的側面が後退するかと言うと、それはまだわからない。
 コイズミは軍事費を減らしはしなかったが、正面装備の削減など、軍拡志向ではなかったが、福田はどうであろうか?父親はタカ派だった。鵺のように正体が見えない福田の正体を見極めていくのがまず肝要であろう。

2007.09.26 12:10 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]













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