きまぐれな日々

今日は休日でもあり、手抜きして「論座」10月号に載った森喜朗元首相のインタビュー記事を抜粋して紹介する。これは今月初め発売の雑誌で、参院選の自民党惨敗から10日後の、8月8日に行われたインタビューである。本当はもう少し前に、同誌に載った他の記事と一緒に紹介するつもりだったが、安倍晋三首相の突然の辞意表明で、時機を逸してしまった。

森は投開票の当日午後4時から中川秀直幹事長(当時)と青木幹雄参院幹事長(同)といろんな場合を想定して話し合ったが、5時半頃中川が安倍に会いに行き、安倍から続投の意思を聞いたという。そして、安倍は森にも電話で続投を意思表示した。

当然森は、安倍は辞めるべきだと考えていた。なぜ安倍が続投を決めたかと聞かれた森は、自分で決めたかコイズミに激励されたかだろうと答えているが、巷間ささやかれているように、安倍に続投を指示したのは母親の安倍洋子だろうと私は想像している。ちなみに、このところ当ブログには検索語「安倍洋子」による来訪者が非常に多い。この検索語でGoogle検索をかけると、当ブログの1年前に公開した 「安倍晋三は「安倍家の面汚し」」 という記事が筆頭で引っかかるからで、この記事は安倍の辞意表明以来、1000件以上のアクセスを記録している。

さて、インタビューが進むと、森はどんどん安倍の周囲にいる議員たちの悪口を言い始める。たとえば、こんなことを言っている。


 今の若い連中は恐ろしいぞ。国会の開会式で正面玄関から天皇陛下が入ってこられるでしょう。別に決めてあるわけじゃないけど、おのずと国会に一番近いところが上席で、党幹部とか総理経験者が並ぶものなんです。自分らが最初にそこにいたとしても、先輩が来たら譲って下がっていくわけですよ。昨日(8月7日)の臨時国会でも、町村(信孝)さんと私とが並んでいたら、そこへ羽田(孜)さんが見えたの。そしたら町村さんが「どうぞ、羽田さん」と。これが常識なんです。ところが今の若い連中は、だれが来てもどかないからね。

(「論座」 2007年10月号掲載 「森 喜朗・元首相インタビュー」より)


森は、たとえば山本一太について、「走り過ぎて、さすがの安倍さんも使わなかった」、下村博文を「私から見ると浅い、浅い」と言い、彼らを「仲良しクラブ」というより「学芸会」だったんじゃないか、と評した。そして、もっと強く安倍や中川にいろいろ言うべきだったのかなあと思っているのだそうだ。

安倍が幹事長を務めていた3年前の参院選で自民党が敗北した時には、安倍が幹事長を辞任したのち、幹事長代理に降格された形で復帰したが、この時安倍に幹事長辞任を勧めたのが森で、慰留して幹事長代理に復帰させたのがコイズミだそうだ。これは当時から言われていた通りである。

参院選の惨敗については、「1人区は小泉改革でズタズタにされた」にもかかわらず安倍が選挙中、「引き続き改革を、改革を」と言い続けたため、1人区の人は「これ以上まだ改革をやるのか」という気持ちになった、そこを民主党につけこまれてやられた、と的確なコイズミ・安倍批判をしている。森のホンネは明らかに「反コイズミカイカク」なのだ。

さらに森は中川秀直を「1人区対策を全然やらなかった」と批判している。お膝元の石川選挙区(1人区)で自民党候補が落選し、カオを潰された森の怒りは、とどまるところを知らない。狂信的極右学者の中西輝政は、森と中川秀直を一緒くたにして批判しているが、「復活!三輪のレッドアラート!」 が指摘しているように、中川は「小泉から言われて幹事長になって安倍政権を監視していた、小泉のスパイ」なのかもしれない(笑)。

なお、「思想右派」で「経済左派」を自認する三輪氏は、「自End」にも「参加する方向に行きそう」とのことだから、期待しておこう。

さて、参院選惨敗にブチ切れた森の八つ当たりはさらに続く。片山さつき(無派閥)を、「あんな人を広報局長にしたのは最悪」、「財務省の役人をやっていた人間に、地方の厳しさも苦しさも分かるはずがない」、「選挙期間中の新聞広告を見て、ばかじゃないかと思った」とこき下ろしている。自民党は、朝日や日経などの全国紙に、「改革実行、何とかの自民党」と広告を打ったが、そうではなく地方新聞にこそ広告をドーンと打って「自民党はこうやってみなさんを救います、こう考えています、どうぞもう一度、自民党を信頼してください」と広告を打たなければならなかった、という森の指摘は、まさにその通りだが、逆に森ほどの「実力者」でさえ、選挙後にならないとこのような激しい(実質的な)コイズミ批判ができなかったほど、コイズミの独裁が自民党内を締め上げていたといえる。安倍晋三が選挙戦で「カイカク」を連呼しなければならなかったのも同じ理由で、安倍もまたコイズミに逆らっては政権を維持できなかったのである。

もちろん、「神の国」発言に象徴されるように、典型的な「政治思想右派」である森は、安倍の「戦後レジームの転換」にかかわる教育基本法、教育再生会議、国民投票法、防衛省昇格については高く評価しているが、「政治の要諦は、理想を実現させていくことも大事だけど、同時に、国民の苦しみを救っていくこと、困っている人に手を貸すことです。そこに目が行ってなかった。彼(安倍)の演説を聞いていて、いつもそう思ったね」と、安倍を批判している。もっとも、森政権時代、どんな「弱者」救済の政治が行われたかと振り返ってみても、何も思い出せないのだが(笑)。ただ、コイズミやアベシンゾーといった、並外れて異常な首相と比較すると、「サメの脳みそ」と酷評された森の方が、まだ少しはマトモな感覚も持ち合わせていた首相だったといえるかもしれない。まあ、比較する対象が悪過ぎるだけの話ではあるのだが。

最後に、参院選後の森と安倍とのやりとりを紹介しておこう。


 選挙後、安倍さんの記者会見を見て「もうちょっと負けた人のことを思いやったらどうか」と言ったんだ。「国政に参加しようという皆さんに、こんな思いをさせてしまって誠に申し訳なかった。一緒に戦ってくれた党員の皆さん、地方の県連の皆さんにも大変申し訳ないことをした」ということをもう少し出したほうがいいとね。そうしたら、「僕は最初にまず言いましたよっ」と。「そうだったかもしれないけど、聞いてる人の心に残ってないじゃないか。最後にもう一度、『党として頑張るので、またぜひ国政にチャレンジしてください、私も全力を挙げて、皆さんのことを思いながら頑張りますから』と言わないと」と諭した。そしたら、黙ってました。

(「論座」 2007年10月号掲載 「森 喜朗・元首相インタビュー」より)


いやはや、なんとも情けない総理大臣である。


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ただただ情けないですね。
あの森に言われたら、おしまいではありませんか。

でも、そのアベが、教育基本法改悪とか国民投票法とかいう、徐々に効いてくる恐ろしい法案を成立させたのですから、それを許した自民党も公明党も同罪ですよ。
公明党が賛成しなかったら、成立しなかったんです。ここを忘れたくないですね。

2007.09.16 21:00 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

うーむ。
自ENDのバナーなんですが、いまいちピンと来ませんね。
終わった人のバナーでもあるし、私としては自民が嫌いなんじゃなくて、構造カイカク反対なんですよね。
自民を潰す事に対しては、国民が幸せなら自民が居ても居なくてもオケな訳ですし。

日本国民は、体制への敵意に基づいて今回の参院選で動いたんでしょうか?
そうじゃないと思います。
基本的に自民が悪いんじゃないでしょう。
自民の政策が悪い筈なんです。居ても居なくても無問題。
邪魔だから、国民の害になるから排除。

その線で詰めた方が良くないでしょうか?
(ちなみに、ISDNだとSOBA様のサイト辛いです・・・。コメントすらできない。)

2007.09.17 00:04 URL | 三輪耀山 #X.Av9vec [ 編集 ]

先の参議院選挙の衝撃の結果を受け、続く与党自民党の国民から乖離した姿を見て、さすがにコイズミチルドレンと似たように、強行採決に協力してきた公明党でも、自民党との連立政権維持に迷いが生じているようです。公明党は、民主党が提出する1円からの政治資金規正法の領収書添付案に、同調する意向を見せています。次期衆議院選挙で、確実に自民党議員を落選させる近道は、公明党の自民党への選挙協力拒絶ですから、その意味で法務委員会の委員長の座を公明党に譲って、公明党の民主党アレルギーを増幅しなかったことは、次期衆議院選挙で、公明党の自民離れを誘発する為には、必要であったと思っています。また国民生活をも守る意味からも、予算を人質には出来ず、予算委員長の座を、自民党に譲ったのも戦略上は正しいと、私は思っています。このように民主党は、来るべき衆議院選挙に向かって、着実に手を打っていると思います。今後は、民主党は、ひたすら国民の暮らしの安全、安心を確保する政策を提出して、国民政党せることを全面に出して、正攻法で戦って欲しいと思っています。

2007.09.17 10:12 URL | scotti #- [ 編集 ]













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