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きまぐれな日々

朝日新聞は「あきれた政権放り出し 解散で政権選択を問え」、毎日新聞は「国民不在の政権放り投げだ 早期解散で混乱の収拾を」と説いた(9月12日付社説)。当然だろう。

安倍晋三は、とうとう一度も衆院選で民意を問うことなく、一年間の首相在任中に強行採決を繰り返して「改正教育基本法」、「教育改革関連三法案」、「国民投票法」などを成立させて去っていく。数の力を頼んだゴリ押しだったが、それは安倍政権が獲得した議席ではなく、コイズミが国民をダマして獲った水増しの議席だ。安倍はというと参院選で惨敗、幹事長時代の03年総選挙、04年参院選と合わせて、安倍が重職に就いていた時の選挙で自民党は3戦全敗だ。そもそも安倍の「コクミンテキニンキ」なるもの自体が、電通の捏造だった。その実体のない人気をバックにわがまま坊やがやりたい放題をやったこの1年間は、戦後議会政治史上最悪の期間だったといえるのではなかろうか。

自民党の総裁選は14日告示、23日投票と決まった。そのあと安倍内閣は総辞職し、自民党の新総裁が国会で首班指名を受けて組閣するのだろう。安倍「KY」改造内閣は結局1か月も持たなかった。

当ブログの8月3日付エントリで、安倍内閣成立直前の昨年9月に、浅野史郎・前宮城県知事が「新総裁は衆議院を解散して民意を問え」と主張してたことを紹介した。昨日の朝日・毎日両紙の社説が、衆院の解散を主張しているのは当然のことだ。自民党寄りの論者でさえ、次期内閣は選挙管理内閣の性格を帯びる、と指摘している。

そういうわけで、次期首相は誰がなっても短命に決まっていると私は思う。今、自民党を支配しているのは町村派(旧森派)だが、町村派の新旧三人の首相である森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三の3人は、それぞれ立場が違う。いうまでもなく森は福田康夫を推し、安倍は福田だけには政権を渡したくないと思っていただろうが、麻生太郎に「はめられて」政権を投げ出さざるを得なくなって入院してしまった。いわば「クーデター」によって安倍の寝首を掻いた麻生への自民党内の反発は予想外に強いようだ。それは麻生個人への反感というより、「コイズミ?安倍路線」への反感だと私は思う。鍵を握っているのはコイズミで、万一この男が首相にカムバックしたら日本は決定的に破滅してしまうと思うが、自分の名声をも失うことが予想されるコイズミは総裁選出馬を固辞し、福田を支持するようだ。麻生に裏切られたあげく、宿敵・福田に政権を明け渡さざるを得なくなった安倍は、病床で(?)屈辱に打ち震えていることと思うが(笑)、自業自得としかいいようがない。

反自民の側としては、福田康夫よりは麻生太郎の方が攻めやすい相手だ。福田とて、第一次から第二次(途中まで)にかけてのコイズミ政権の官房長官であり、アメリカ追随のタカ派政治家なのだが、その前のコイズミおよびアベシンゾーがあまりにひどい政治をやったので、その2人よりはマシに決まっている。一方、麻生太郎は、かつて差別発言をして野中広務に怒鳴り上げられ、シュンとなってしまってひとことも反駁できなかったというチキン政治家であって、コイズミや安倍に迫るバカだから、福田よりはるかに攻めやすい。どうせ選挙管理内閣なのだから、麻生にやってもらった方がこちらとしては助かるのだが、敵の嫌がることをやれという勝負の鉄則に従って、自民党は福田を選ぶのではないだろうか。

さて、14日の四国新聞に、田勢康弘のコラム「愛しき日本」が掲載されているので、そこからつまみ食いする。全文は数日後に四国新聞のサイトに掲載されるはずだから、それをご覧いただきたいと思う。

田勢はコイズミを称揚した元日経記者で現早大教授、というより安倍が退陣を表明した日に、テレビ朝日「報道ステーション」とTBSテレビ「NEWS23」にかけもちで出演し、安倍を厳しく批判するとともに、次期総裁は麻生で磐石などではない、コイズミの再登板もあり得ると述べた人だ。

四国新聞のコラムで田勢は、大臣は普通の人でもつとまるが、内閣総理大臣はそうはいかない、重圧や孤独に耐えられる人でないとつとまらない、過去田勢が取材した19人の首相のうち数人が重圧に耐えかねて政権を投げ出した、と書いている。ここで面白いのはコイズミの言葉だ。以下引用する。


 いまも思い出す。昨年の夏、小泉純一郎氏がまだ首相在任中のことだ。
「どうしても安倍さんは総理総裁の器だとは思えないが」という私の質問に小泉氏はこう答えた。
「総理なんてね、やってみてわかったけど、だれだってできる。それに安倍君は、幹事長と内閣官房長官をやって飛躍的な成長を遂げたよ。二つとも、予定できないことばかり扱うポストだからね」。

(四国新聞 2007年9月14日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より)


コイズミのような神経の図太さ、というより無神経さは誰もが持っているわけではないと思うのだが、コイズミには理解できないようだ(笑)。

さて、田勢はテレビでも述べていた安倍批判を、コラムにも書いている。その部分を紹介する。


 国家のリーダーを評価するとき、人柄だとか頑張っているからとかいうことを基準にしてはならない。政治指導者はあくまで結果がすべてである。もっともしてはならないことは「辞め際を誤る」ということである。なぜ、代表質問の直前なのか。理由がわからないとだれもが首をかしげる。幾日かたって、わからないはずだ、理由はないんだ、ということに思い当たった。
 所信表明演説でこれから何をするかを説いた首相に野党が質問を浴びせる。あの日、首相の前には官僚たちが書いた「首相答弁」草稿が積み上げられていたはずだ。午後一時からの衆院本会議を前にそれを読んでいた首相が、突然、不安に襲われた。自分にはもうできない。試験の日の朝、すべてが絶望的に思えて学校へ行かなくなった子供のような心理。そのころ閣僚たちは国会の中の閣僚応接室で開会を待っていた。鳩山由紀夫民主党幹事長は質問の草稿を読み終え、会議場三階の記者席は埋まり始めていた。首相が突然、辞意を表明したことですべてが止まってしまった。同じ国会で二度も首相の所信表明演説が行われるという明治憲法下でもなかったようなことがこれから起こる。

(四国新聞 2007年9月14日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より)


田勢は「すぐれた指導者を発掘し、育成する仕組みを本気で考えなければならない」とコラムを締めくくっているのだが、それは二世、三世議員たちに牛耳られた自民党にはムリだ。

自民党は歴史的役割を終えた政党である。次の衆院選で、国民の手によって自民党政権を「the End!」(=「自 END」)させなければならないと思う。


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私も、自民党は、アベに懲りて、国民の支持を得られやすい福田を選ぶと思いますよ。

四国新聞 2007年9月14日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より) は、なかなか面白いですね。
>国家のリーダーを評価するとき、人柄だとか頑張っているからとかいうことを基準にしてはならない。政治指導者はあくまで結果がすべてである。

これに同感します。だからこそ、日本を戦争が出来る国にし(しつつある)、格差を広げて、貧困が深刻な問題に成った国にしてしまった、コイズミやアベ、そして彼等をやりたい放題にしていた自民党が許せないです。

2007.09.14 09:06 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

 おはようございます。
 安倍辞任に際して、山口県のおばあちゃん達が、「がんばってたのにかわいそう」などと言っていましたが、そういう、村の理屈で国政を預かるのは許されないことでした。
 今日の記事は、理性的なkojitakenさんにしては、かなり激烈な言葉が並ぶ珍しい記事ですね。同感ですが。
 私も、ここ数日の記事は、中身の割りに、言葉遣いがきつくなっています。
 やはり、AbEnd達成で、気づかぬうちに興奮しているのかもしれません。
 冷静になってがんばるつもりです。
 ではでは。

2007.09.14 09:28 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]













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