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きまぐれな日々

昨日(9月12日)は、本当はブログをお休みしようかと思っていた。月曜日(10日)からようやく一段落したとはいえ、今年の厳しい残暑で体調を崩しかかっていたからである。

だが、ゲンキンなもので、安倍晋三辞任のニュースを聞くと、元気が復活してきた。

とはいえ、今はまだ書きたいことをまとめ切る余裕はない。ただ、安倍が辞意を表明したばかりの現時点で指摘しておくべきことだけ指摘しておきたいと思う。

参院選で負けても政権の座にしがみつき、1か月もかけて内閣改造にかまけて(まるで、ご執心のはずの「テロ特措法」は延長できなくてもかまわないかのようだった)、臨時国会で所信表明まで行ったあげく、代表質問のその日に敵前逃亡するかのように政権を投げ出した安倍は、まさに「究極のKY」、辞任するには最悪のタイミングだったといえる。国民や野党だけでなく、自民党議員や御用評論家、それも塩川正十郎や岡崎久彦ら安倍に近い人たちまで安倍を強く批判していたのも当然だろう。安倍との共著まである岡崎久彦の冷たい言葉には驚いた。今朝の「朝ズバッ!」で逆上していたみのもんたは、最後の安倍サポーターだったといえるかもしれない。安倍晋三は最後の最後に最大の失敗を犯した。このタイミングでの首相辞任は、安倍の政治生命を絶ったと思う。安倍は、国政を混乱させた責任をとって、首相辞任のみならず国会議員を辞職すべきだと私は考える。

ところで、今回の安倍辞任に関して一点指摘しておきたいことがある。それは、「カルト的極右」のアベシンゾーは、「コイズミカイカク」を信奉する新自由主義者(経済右派)にやられた、ということだ。その背後には、もちろんアメリカがいる。

私は、新自由主義を批判しながら、政治思想上のタカ派議員たちには甘い一部の人たちに同調する気はさらさらない。安倍のような「政治(思想)右派」は、コイズミら「経済右派」よりずっとたちが悪いだと思う。経済右派は国民を窮乏させても命だけは奪わないが、政治右派はその命までも国民に差し出せと強要するからだ。経済右派か政治右派かの選択は、奴隷か死かの選択に等しい。こんなものはどちらも否定しなければならないが、より強く否定すべきは政治右派のほうであることはいうまでもない。

いつも簡潔かつ的確な記事を書くkechackさんの「Munchner Brucke」が、「安倍内閣前半の異常な時代を忘れてはいけない。」と書いている。以下引用する。


 安倍総理が辞任した。いまとなれば政権末期の迷走ばかりが思い浮かぶが、最初の半年のマスコミや世論の体制翼賛姿勢は脅威であった。そんなこともう忘れている人も多いのか。

 やらせのタウンミーティングで世論を捏造して成立させた改正教育基本法。こんな許せない暴挙にも多くの世論やマスコミは無批判で、現代の諸問題のすべてが教育に起因し教育を変えればよくなるという単純なロジックや、戦後民主主義教育は悪だから変えなければならないという意見に世論の支持が集まった。今でも教育基本法の改正を安倍内閣の成果として挙げる人が多い。

 私に言わせれば、こんなのは悪行であり、成果でも何でもない。百歩譲って成果を認めたとしても、血税を注ぎ込み世論を捏造するような行為は民主主語の死であり、この時点でこの内閣にレッドカードを出すべきものである。私には無批判な世論が脅威であった。

(「Munchner Brucke」 2007年9月13日 「安倍内閣前半の異常な時代を忘れてはいけない。」 より)


私は、マスコミや世論が異常だったのは安倍内閣前半というより、コイズミ内閣以来ずっとだったと思っている。教育基本法についていえば、改定推進派だった読売新聞でも反対派だった朝日新聞でも世論調査で「改定反対」はわずか6%だったのであり、安倍が首相に就任したあと「安倍晋三に告ぐ 『改憲政権』への宣戦布告」(月刊「現代」 2006年10月号)を書いて、教育基本法改定反対を声高に論じた立花隆らの奮戦があって、ようやく改定反対の意見が増えていったが、時既に遅く、昨年12月15日に同法は可決成立してしまった。

これは、コイズミ内閣時代にずっとマスコミが教育基本法改定、ひいては憲法改定の方向に世論を誘導していたからだ。その主役は読売新聞と産経新聞だったが、朝日新聞や毎日新聞も、「経済右派」的観点からコイズミを支援していたのだから同罪だった。コイズミ政権時代のマスコミは、「政治右派」の読売・産経と「経済右派」の朝日・毎日が合作した「翼賛体制」だったと思う。安倍内閣後半にこの翼賛体制が崩れたのは、「経済右派」が「政治右派」から離反したからだ。もう何度も指摘するように、「経済右派」は経済効率を悪化させる安倍や山谷えり子の狂信的バックラッシュ政策に強い不満を持っており、それは教育再生会議の発足当初から明らかだった。これにつられて、まず東京新聞(中日新聞)や毎日新聞、のちには朝日新聞が安倍内閣との対決姿勢を強めていった。

皮肉なことに、翼賛体制から日本を救ったのは、「経済右派」が安倍の極右路線に強くブレーキをかけたことだったといえる。つまり、「経済右派」が「政治右派」の安倍晋三を征圧したのである。

もちろん、「政治左派」は改憲指向の安倍を、「経済左派」は「コイズミの後継者」としての安倍をそれぞれ批判し、「経済右派」による安倍批判と合流して大きな流れになった。それには、「AbEndキャンペーン」も一定の役割を果たしたと思う。

今回の安倍の辞任で、当面日本が戦前指向の道を突っ走る動きには強いブレーキがかかった。次の段階としては、「経済右派」との対決が課題になると思う。

次期自民党総裁(つまり次期首相)は麻生太郎というのがマスコミ辞令のようだが、福田康夫や谷垣禎一を推す声もあり、昨日のテレビを見ていると、田勢康弘がコイズミ再登板を示唆していた。「コイズミチルドレン」ら30人(朝日新聞)あるいは31人(毎日新聞)がコイズミに自民党総裁選への出馬を要請したという報道もなされている。毎日新聞によると、メンバーには小池百合子、片山さつき、佐藤ゆかり、川条志嘉、杉村太蔵らが含まれているそうだ。

相手がコイズミだとこちらとしても臨戦態勢になるが、おそらくそれはない。マスコミの言うとおり麻生だとしたら、彼はどちらかというと「政治右派」だから、経済右派からさほど強いバックアップを期待できるわけではなく、「選挙管理内閣」的性格の短期政権になるだろう。経済右派が期待する麻生の役割は、麻生が適当なことを言って国民受けしながら自民党の支持率を回復させ、次の総選挙を乗り切った上で、「経済右派」やアメリカにとって都合の良い政権を誕生させることだろう。そこで総理大臣になるのは、他に誰もいなかったらコイズミになるが、せっかく手にした名声を失う再登板をコイズミが選択するとは私には思えない。さりとて自民党に「ネオリベの星」はあまり思い浮かばず、あえて挙げるなら民主党の前原誠司の名前が浮かぶ。しかし前原もまた「偽メール事件」におけるKYぶりでミソをつけた人物である。国民にとって幸いなことに、ネオリベで「切り札」と呼べる人材は存在しない、といってよさそうだ。

繰り返すが、今後は、「経済右派」との対決が国民の課題であり、経済右派の背後にはアメリカがいるから、今後の政治は、従来の対米従属一本槍ではなく、アメリカ・中国と等距離で接する方向へ政策を転換する必要がある。日米同盟の重視というと聞こえは良いが、実態はアメリカによる日本の国富の搾取だ。もうこれ以上アメリカに富を吸い取られるのはまっぴらだ、というのが私の正直な感覚である。

この点でいうと、民主党に日米同盟最重視派が少なからずいる一方、自民党に加藤紘一のような「日米中の三角形」を主張する政治家がいるという込み入った状態は、あまり好ましいものではない。

政界には再編成を求めたいが、国民の側としてやるべきことは、これまでと変わらず「政治右派」と「経済右派」の両方に反対することだと思う。もっとはっきり言えば、自民党政治に反対することだ。

最後に、美爾依さん(「カナダde日本語」 管理人)から、「AbEnd」を達成した現在、「安倍晋三リンクリスト」をどうすべきかという問いかけがなされているが、「AbEnd」の次の目標は「自民党政治」そのものの終了だと思う。私からは、音楽用語として知られる「ディミヌエンド diminuendo」(だんだん弱く)に引っ掛けた「ジミヌエンド JiminuEnd」を提案した。「自民」という「鵺(ぬえ)」を「エンド」にしよう、という主旨で、「鵺」とは、辺見庸のいう「鵺のような全体主義」からきている(昨年11月28日付弊ブログ記事参照)。

もっとも、「ジミヌエンド」だと意味が通じにくいから、「自民エンド」またはSOBAさんの提案された「自END」でも良いかもしれない。名称はともかくとして、自民党政治を終わらせよう、というブログ運動へと発展させるのが良いと思う。

安倍晋三リンクリストを改称して自民エンドにするか、新しいリンクリストを設けるかについては、それに関するこだわりは特にない。「AbEnd」は来週にも予想される安倍内閣総辞職をもって「the End!」にするのも良い考えだ。ただ、新しいトラックバック・ピープルのテーマを設ける場合も、引き続き美爾依さんに管理人をお願いできればと思う。「AbEnd」というと 「カナダde日本語」 と誰しも思い浮かぶブランドになっているからで、動員力を最大にする意味からも、ここにあつかましくお願いする次第である。


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私は、イラク戦争で死んだ米兵よりも、コイズミカイカクで自殺するしかなくなった日本国民のほうが、圧倒的に多いと思っています。まして自殺予備軍は計り知れないし、悪意のコイズミカイカクがもたらした日本社会の疲弊は、絶対に許されないものだとも思っています。現実には経済で殺される弱者が圧倒的に多いのではないでしょうか?

2007.09.13 11:35 URL | scotti #- [ 編集 ]

 珍しく、意見が異なります。
 私は安倍は、単に個人的事情で職を放り出しただけだと思います。
 そして、次が予想される麻生は、コイズミカイカクを止める、古い自民党政治の復活をもくろんでいます。
 経済界はともあれ、自民党内では、郵政造反議員の復党も含めて、コイズミカイカクへの反発が始まっていると思います。
 私の予測では、コイズミは再登板しない。 もし、総裁選に出たとしても、麻生に負けると思っています。それは、自民党内でも、コイズミカイカクで地方の集票マシンがぼろぼろになったことが、参院選の敗因と考えている意見が多く、コイズミカイカクに熱心ではない勢力が多いと思います。

2007.09.13 12:06 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

経済右派より政治右派のほうが危険という点には賛成できません。政治右派が政治をやれば憲法が改正されるかもしれませんが、それで困るのは左翼だけです。経済右派の場合だと政治的立場や政治に関心があるかどうかに関係なく、国民の生活に関わってくるのだから、経済右派のほうが危険だと思います。

2007.09.13 13:11 URL | hercules #- [ 編集 ]

こんにちは、Kojikitakenさん。
ポスト安倍に向けて総理の人選が政界では行われているようですね。
自称マンガおたくの麻生太郎さんがなるのか無関係の福田さんかそれとも安倍さんとは逆の立場をとった谷垣さんかと色々取り沙汰されています。

外交問題を考えると麻生さんに対して警戒感はありますが、小泉元首相が出馬するかもしれないとのニュースを聞いた時、どの面下げて出馬するんだ?!と思わず耳を疑ってしまいました。
うちの両親共々冷ややかに「もう小泉さんには、騙されたくないね」という一言でした。
小泉さんになってからというもの、地方行政は地方に丸投げ、夕張市などは経済破綻するだけでなく、今も混乱が収まってません。
国内は、経済的格差が生まれ、経済的困難で自殺者が急増しています。
中国や韓国とは靖国問題で外交関係が悪化。
現在、軌道修正されつつあるも悪化した感情がもとに戻るまでまだ時間がかかるでしょう。
自民党をぶっ壊す、痛みに耐えろ、米百俵の精神だという言葉にどれだけの人が騙され、どれだけの人が痛手を負い、命を失ったか、国内がおかしくなったかと思うとタイムマシンで何年か前に遡り、自分や知人、友人たちに「小泉に騙されるな」と言いたいくらい怒りしかありません。
小泉が退陣した後、中国や韓国との外交問題を修正しようとした安倍さんのがまだましかな?と正直に思ってしまいます。
経済と外交を混乱させたあの張本人小泉さんには、もう騙されたくありません。
何かをしてくれそうだと信用させ、期待を裏切り問題を拡大するのがあの小泉さんだと担ぎ上げようとする人たちは忘れないでほしいです。

2007.09.13 16:13 URL | アビ #Xk9USjWA [ 編集 ]

はじめまして。政権交代してほしいのは私も同じです。ただし小泉が有力かどうかはまだ判断がつかないと思います。国民投票ならば話は変わりますが、総裁選では都道府県連の票があります。地方自治体は小泉を支持していないでしょうから、基本的に小泉に入るのは都会の自治体と国会議員票になると思います。すると多数の候補者に票が分散すれば有力な候補になりますが、麻生に票が票が集まることがあれば少々小泉には分が悪いと思います。

2007.09.13 16:16 URL | jakka #- [ 編集 ]

はじめまして。izaの気持ち悪いウヨブログばかり読んでいたらますます気持ち悪くなりました。早く回復してもらって再登板を!そのために千羽鶴を追って差し上げましょう・・・なんて本気で書いているブログがあり、また賛同するブログ読者たち。ああ、気持ち悪い(って、見なければいいのに)
こうやって正論が書いてあるブログを読むとスッキリ爽快ですね。私も勉強になりました。

2007.09.16 05:53 URL | リベラル応援団 #h4Xb7Rc6 [ 編集 ]













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断固として、でたらめな自民党を終了させよう!!!自民を「The END」(ジ・エンド)だから「自 END」バナーにリニューアル。
 以下、まず使ったバナーを3個停止コマでご紹介。  取り敢えず7種類のバナーだけ

2007.09.13 18:28 | 雑談日記(徒然なるままに、。)

安倍辞任と今後の課題
 安倍を首相辞任に追い込んだ最大の物は、人民大衆が7月の参院選で見せた反自公の投

2007.09.13 23:55 | アッテンボローの雑記帳

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