「広島瀬戸内新聞ニュース」 に、弊ブログ記事「右派言論の凋落」をご紹介いただいているが、この記事で、同紙主筆のさとうしゅういちさんは、「バックラッシュ、男女差別などを推進する政治的右派(安倍晋三さん、山谷えり子さんら)は、経済的右派である、ネオリベラルないしアメリカ的ネオコンを補完する役目があった」 と指摘している。
コイズミは、本来不人気を招くはずの(「痛みを伴う」と自ら認めた)経済政策を実行するため、他の政策で人気とりをする必要があった。政権最初には、ネオリベ(新自由主義)の政策を、こともあろうに「構造改革」という左翼用語を拝借した命名でそのおぞましい中身をごまかし、国民をダマした。しかし、翌年にはメッキがはがれ、景気も急速に悪化して株価は2000年の半値以下に暴落し、内閣支持率も急降下した。そんなコイズミ内閣の支持率を持ち直させたのが、2002年9月の拉致被害者の一時帰国だった。この時ヒーローになったのが、われらがアベシンゾーだったというワケだ。コイズミは、持ち直した支持率を背景に、ネオリベ政策を推進し、経済格差を拡大させていった。
ネオリベの政策推進のやり口を明快に説明しているのが、Kechackさんのブログ 「Munchener Brucke」 の記事 「経済保守陣営の本音 〜支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる〜」 だ。以下引用する。
参院選から1カ月過ぎ、経済保守派のホンネが散見されるようになった。彼らは安倍自民党惨敗により『消費税を上げて、法人税を下げる』という見通しが消えてしまったことが悔しくてたまらないのである。ドイツなど先進諸国が軒並み大衆課税&法人減税をセットにした税制改革を断行しているのを横目で見るにつけ、「なんで日本はそれができないんだ」と気を揉んでいるのである。
ただ選挙中は不思議なことに税制改革は争点にもならず、こんな話は寝耳に水と思う人も多いであろう。自民党に期待する経済保守派も、ベタにこんな公約を出したら選挙に不利になると自覚して黙っていたのである。強いて言えば中川前幹事長の「上げ潮路線」の究極のゴールがこれなのだが、オブラートに包んで敢えてわかりにくくしていたのである。
ようは自民党も自民党応援団の財界や新古典派の学者やアナリストも、みな国民を騙そうとしたのである。もっとも8/28のエントリーのように、そもそも庶民に厳しく企業に甘い政治など古今東西支持される訳がなく、それを実行するために騙すか他の部分で圧倒的な支持を集めて、多少不人気な政策を妥協させるのである。ネオリベに傾倒した識者は、ドイツ国民が敢えて企業の競争力を上げようという政策を支持したかのようなことを言っているが、事実は異なり、他の部分で支持ができるので、多少の気に喰わない政策があっても許容したに過ぎない。
小泉政治を思い出すとよい。彼は自分の政治には痛みがあるとはっきり言った上で、他の部分で大衆迎合的政治手法で支持を集め、痛みの部分を不問にした。これは保守政治の王道であると言ってもいい。保守政治の世界は、支持率を高め選挙で勝つのが目的ではなく、それだけでは評価されない。一旦高い支持率を獲得し、それを背景に支持率を犠牲にしても国民に不人気な政策も含めて実行して初めて評価されるのである。
財界などの経済保守勢力は常に国民的支持を喚起できるリーダーの出現を願っている。その為にポピュリズムを駆使し、その為に必要なパブリシティ費用の工面は惜しまない。もちろん高い支持率を背景に国民に不人気な「企業減税」を断行してもらいたいと願っているのである。
(「Munchener Brucke」 2007年8月30日 「経済保守陣営の本音 〜支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる〜」 より)
つまり、安倍晋三はコイズミのダシに過ぎず、経済右派が欲しかったのは、安倍の「コクミンテキニンキ」だけだったのである。安倍やその盟友・山谷えり子のバックラッシュ政策など、どうでも良いか、それどころか経済の効率化を妨げる邪魔者だった。それが証拠に、教育再生会議は当初から迷走し、規制改革・民間開放推進会議としばしば衝突した。
「改正教育基本法」の成立を報じる昨年12月16日の毎日新聞は、「10月、官邸に設置された教育再生会議は保守路線一本やりとはいかず、議論は難航。代わって教育改革の推進エンジンになっているのが、政府の規制改革・民間開放推進会議だ。教員評価の厳格化や学校の管理職の増員など民間企業並みの改革メニューには、経済界の意向がにじむ」と指摘した(弊ブログの昨年12月16日付エントリ参照)。また、今年2月17日の朝日新聞は、一面トップで「教委改革 深い溝」という見出しの記事を掲載し、教育改革関連三法案の制定などによって「国の権限を強化」したい教育再生会議に対し、規制改革会議が「地方分権に逆行」するものだとして激しく反発していると報じている。
安倍内閣の支持率は暴落し、参院選でも惨敗して自民党は参院では第二党となり、少数与党に転落した。しかし、安倍改造内閣でも山谷えり子は首相補佐官として生き残った。山谷について、いつも多くの興味深い情報を提供してくれるたんぽぽさんの 「たんぽぽのなみだ〜運営日記」 は、9月7日のエントリ 「安倍改造内閣発足」 で、次のように皮肉っている。
それから首相補佐官ですが、コイズミ以来の、
官邸主導を強化しようとして、安倍首相は、ご存知のように、
定員枠いっぱいの5人まで採ったのでした。
ところが、既存ポストの閣僚と衝突ばかりで、まともに機能せず、
改造内閣では、ふたりに減らすことになりました。
それで、ふたりのうちのひとりが、あの山谷えり子氏だったりします。
山谷も、教育再生会議で、伊吹文明氏ともめまくっていたし、
その伊吹は留任なのですが、だいじょうぶなのかな?
山谷と安倍は、3500の事例アンケートを、いっしょに行なった仲ですし、
あえて留任させるのは、安倍にとって、このあたり(家族思想)は、
ゆずれないイデオロギーなのかもしれないです。
(「たんぽぽのなみだ〜運営日誌」 2007年9月7日 「安倍改造内閣発足」 より)
周知のように、首相補佐官の中でも、特に無能さの際立つ山谷は、内閣改造に際して、誰もが更迭を予想していたにもかかわらず留任した。いうまでもなく、安倍晋三首相の強い意向によるものだ。
憲法や教育基本法の改定といった方面にばかり熱心で、いっこうに国民のためになる政治をしようとしない「KY」安倍晋三に対する国民の不満が爆発したのが、先の参院選の結果であると私は考えているが、「広島瀬戸内新聞ニュース」や「Munchener Brucke」が指摘するように、人気を失い、不人気な政策を施行できないばかりか、経済効率を悪化させるような馬鹿げたバックラッシュ政策にばかりご執心の安倍晋三は、いまや「経済右派」にとってもアメリカにとっても「邪魔者」以外の何者でもなくなった。次から次へとリークされる安倍内閣閣僚のスキャンダルは、安倍が首相にとどまる限り止まることはないだろう。しまいには、「安晋会」に絡んだ疑惑の報道がまたぞろ噴出するのではないかという気さえする。
最後に、前記「Munchener Brucke」の記事の結びの部分を引用しよう。
安倍内閣発足時の捏造された“安倍人気”はまさに財界の野望そのものだ。その夢の楼閣はこんなに短期に崩壊してしまった。不人気な内閣というのは、国民受けを狙い、財界には都合の悪い政策を出してくる可能性があり、却って迷惑なので、存続を支持する価値がないのである。
逆説的に言えば、支持率の低い内閣が続くことが、国民にとってはプラスの可能性がある。
(「Munchener Brucke」 2007年8月30日 「経済保守陣営の本音 〜支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる〜」 より)
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もうひとり残った補佐官は、拉致問題の中山恭子ですからね...
やはりゆずりたくない、イデオロギーなんだと思います。
2007.09.08 15:31 URL | たんぽぽ #ZiqE0vWU [ 編集 ]
担いだ安倍神輿をさっさと捨てる山本一太と世耕
NHKニュース 改革は道半ば 竹中氏と勉強会 9月8日 7時21分
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/09/09/d20070908000019.html
2007.09.09 09:38 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
結局は、「自由主義」と「保守主義」とが全くの別もので、両者の対立は時として、(日本的な)「右」と「左」との対立よりも先鋭となる……
外国だったらよく起こるこの構図が、
日本にもようやく現れた、ということだと思います。
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2007.09.08 11:08 | 津久井進の弁護士ノート
安倍改造内閣発足
そう言えば、8月28日に、安倍内閣が改造されたのでした。 (もうすでに、ひとりやめているかたもいるけど。) 閣僚のリストは、こちら(顔写真入り)をご覧になるといいでしょう。 http://www.nikkei.co.jp/topic/sokaku/ 元岩手県知事の、増田寛也氏がいたり、 鳩山由紀夫
2007.09.08 13:31 | たんぽぽのなみだ~運営日誌
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国民の不安を減らせないすべての政権と政策は失敗である
(人気blogランキング参加中。応援クリックお願いします。)内閣府の「国民生活に関する世論調査一覧」の結果を各報道機関が伝えていますね。内閣府のサイトでも、1958年から実施されているという過去の調査の結果も含めて
2007.09.10 23:14 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室











