きまぐれな日々

参議院選挙後最初の週末は、さすがにゆったりした気分で過ごすことができる。ここ数か月は、参院選における自民党の得票を1票でも減らしたいという思いでブログの記事を書き続けていたが、正直言ってブログを楽しむ余裕は全くなく、一種使命感に駆られての記事が続いていた。必ずしも質の高いとはいえない記事もずいぶんあったと思うが、そこらはご容赦願いたい。

今回の参院選では、「新風」および「9条ネット」という、ネット右翼およびネットリベラル(?)を代表する党派の得票が伸びなかったことを指して、ネット言論の影響などしれている、という見方をする人もかなりいる。

しかし、ブログで国家主義的な主張をしているネット右翼だって多くは自民党に投票するか棄権しただろうし(私は、棄権したネット右翼が相当数いるとにらんでいる)、リベラル側にしたって、「9条ネット」ではなく既成政党の候補に投票した人が大多数だと思う。そして、従来自民党に投票していた人たちの2割以上が、今回の参院選で民主党などの野党に投票したといわれているが、このことへのネット言論の寄与は決して小さくないと考えている。

当ブログでいうと、7月度には21,534件の検索エンジン経由のアクセスがあった(新FC2アクセス解析による)。その多くは初回訪問者だと思う。政治ブログを運営する上でもっとも重要なことは、「一見(いちげん)さん」にどんな情報を提供できるかということだろう。以前にも何度か書いたが、掲示板やメーリングリストではこうはいかない。意見を発信する上で、ブログは依然として有力なツールであり、その影響力は現在も増し続けていると思う。一日のアクセスは数千件であっても、ブログに影響を受けた人が、引用元を示さずに自分の意見としてブログや掲示板で意見を発信することもあるし、しばしば「2ちゃんねる」などの掲示板で、当ブログの記事を無断でコピペした投稿を見かける。ブログの影響力は、決してアクセス数だけで量られるものではないのである。

よく「ブログの影響力を測る」と称するツールがあるが、これにも注意が必要で、リンクの数を評価の重要な要素にしているので、空トラックバックを多く打っているブログが高く評価される傾向がある。しかし、必ずしもそういうブログの影響力が大きいわけではない。たとえば、「きっこの日記」「きっこのブログ」 はコメントもトラックバックも受け付けていないので、ツールで測られる数値は必ずしも突出した数値ではないが、実際の影響力のすさまじさは皆さまよくご存知の通りである。

参院選の結果に話を戻すが、今回は特に、安倍晋三首相を支持する側のネット言論の力が非力だったことが大きかった。コイズミの郵政総選挙の頃、私はまだブログを開設していなかったが、掲示板におけるコイズミ支持派の勢いはものすごかった。郵政総選挙の最中から、私は 「B層」 を揶揄する記事をしばしば掲示板に投稿していたのだが、それに対して、「小泉首相の支持者は馬鹿だというのか、われわれは小泉さんの政策を真剣に支持してるんだ」などと、猛烈な反発を受けたものだ。その時、総選挙での自民党圧勝を私は覚悟したし、選挙結果はその通りになった。しかし今回は、安倍晋三を擁護する側に、人々を説得するに足る言論はなかった。安倍晋三や与党だけではなく、ネット右翼たちも民主党を誹謗中傷するしか能がなく、そんな言論で人心をつかむことなどできようはずもなかった。

ネットでは、「郵政総選挙の時もマスコミは野党有利と報じていた」などという言論が平気でまかり通っていたが、これは事実に反する。マスコミがそのような報道をしていたのは、解散直後だけであって、コイズミが「刺客作戦」を打ち出すや、朝日新聞が社説でこれを支持したのを皮切りに、マスコミはいっせいにコイズミ支持に雪崩を打った。これが事実である。いくら人心はうつろいやすいものだからといって、嘘の記事を書いてはならない。ブログ言論を展開しようとする者は、事実に立脚して記事を書かねばならないと思う。事実に立脚して真実を知らせること、これはポピュリズム(大衆迎合主義)に対抗するための基本中の基本だ。もちろん、今回民主党圧勝の風を吹かせたのもポピュリズムであったことは押さえておかねばならない。マスメディアの報道は、田原総一朗、岸井成格やみのもんた、あるいは産経新聞や読売新聞のような安倍自民党を勝利に導こうとする勢力と、その他大部分の自民党を敗北に追い込もうとする勢力による報道合戦の様相を呈していたが、後者の方が大衆に対して説得力があり、最後には雪崩現象が起きたと私は考えている。そして、「ポピュリズム」の汚名は、必ずしも御用マスコミの側にばかり着せられるべきものではない。

ところで、最近、当ブログに対していただくコメントになかなか反応できなくて申し訳ないのだが、先日、ある学生さんから、本当にありがたく、かつ共感できる非公開コメントをいただいたので、その一部を紹介したい。なお、ご本人には無断での公開になるが、個人情報の推測につながりかねない部分は削除してあるので、ご容赦いただきたいと思う。


(前略) 取り合えずは自民党の惨敗ということでホッとしております。
しかし、本当に安心はできません。私の思いは選挙当日のNEWS23で森達也さんが代弁してくださいましたが、今回の選挙は年金だけの問題ではないということです。私は大学の前期のゼミにおいて、憲法九条に関するレポートを書きました。それによって、九条について多くのことを学ぶことができ、また絶対に守らなければならないものであるという確信ができました。そのため今回の選挙において、護憲を訴え続けている政党が議席を減らしたことは本当に残念に思います。民主党は護憲を訴える方もいれば、自民党に近いネオコンの方もいますから。

(中略) また管理人さんが言うように日本人はポピュリズムに本当に弱いと思います。メディアでも連日年金問題ばっか取り上げ、小泉の「郵政選挙」のようになっていました。ですから、次の選挙では、また自民党が圧勝するのではないかと心配になります。その点、今回の最後にも書いてありましたが、民主党の監視もしっかり行っていかなければいけないし、民主党の方々にも浮かれないで欲しいと願っています。


このコメントには、私が今回の選挙で特に問題だと感じた点が指摘されている。まず、今回の選挙が「年金未記録」のシングル・イシュー選挙の様相を呈してしまい、憲法問題をはじめとする多様な争点についての議論がなされなかったこと、そして、選挙戦後半にはまるで「郵政総選挙」の裏返しのような民主党への風が吹いたことである。

民主党圧勝の報道を見ながら、私は「これでは郵政総選挙の問題は何も解決されていない。次の総選挙でまたコイズミのような人間が出てきたら、自民党が再び圧勝してしまうのではないか」などと漠然と考えていた。コメントを下さった学生さんも、まさに同じことを感じておられたようだ。こういうコメントをいただくと、無理にひねり出すような記事の連続ではあっても、ブログをやっていて本当に良かったと思える。

そして、個々のブログの力には限りがあっても、「反安倍」を共通点にしつつ、さまざまなブログ記事が読める 「安倍晋三TBP」 は、「AbEnd」キャンペーンを推進する側の手前味噌で申し訳ないが、実に有用な情報基地になっていると思う。何より、マスコミ報道のように画一的ではないので、ここにトラックバックされている記事を何本か読むだけで、多様な視点からの意見を知り、読み手の頭を活性化することができるのではないか。実は、ブログの先人たちにもよく似た発想があったようなのだが、それは必ずしも成功しなかった。「安倍晋三TBP」は、軌道に乗せるまで宣伝を重ね、ブロガーにTBを呼びかけるなどの活動を経て、現在に至ったと自負している。ある意味、小沢一郎の「一人区行脚」とも共通する発想だったかもしれないが、小さな力が結集して大きな力となる、これが、カリスマ的な中心ブログを持たない「AbEnd」の思想だと私は勝手に考えている。そして、一人一人の自由な発想を重んじる行き方こそが、ポピュリズムを打破するためにもっとも有効な方法ではないかと考えるのである。


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 こんにちは。ブログ記事ご苦労様でした。
 私も、参院選後半、睡眠時間を削って、朝晩2記事をアップして、ひたすら安倍政権の非をならし続けてきました。
 やはり疲れました。この週末に合わせて、夏休みを取り、ようやく疲れが取れました。

 護憲勢力が伸びなかったから、ブログ言論が限界だとは思いたくないですね。
 どちらが先かは知りませんが、私達が主張してきた、安倍政権の反国民生活性、強行採決を繰り返す、議会制民主主義の無視、そして国民無視の強行的法規の数々に、国民が反発しての、自民党惨敗であったと思います。
 そこに、私達ブログ言論が力を及ぼせなかったとは思いません。
 私のブログへのコメントで、「今までもやもやしていたのが、ここの記事を読んでその理由がはっきりしました。」と言うのは、私達が、国民が感じていることを整理して、言葉に変換し、発信して来たのは無駄ではなかったと思います。
 今後も記事を書き続け、自民党政権打破、また民主党への監視を強めて行きたいと思います。

2007.08.05 12:57 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

 自民党の政治には賛同できないのだが、反対派であるはずの野党民主党が独自性を打ち出せていないのも問題。顔ぶれといい政策といい、あれでは第二自民党だ。
 本当の意味での野党、反対派の言論が必要だ。

2007.08.06 02:14 URL | 泡雲法師 #- [ 編集 ]

>政治ブログを運営する上でもっとも重要なことは、「一見(いちげん)さん」にどんな情報を提供できるかということだろう、
 とおっしゃるならば、フォントをもっと大きくしてください。今のフォントでは小さくて読みにくくてしょうがないのです。なぜブログはこうした小さなフォントのものが多いのでしょう? 理解に苦しみます。

2007.08.06 20:11 URL | Oxford #wXqHR0LA [ 編集 ]

どうも上部構造の「コミ戦」ばかりに目を奪われているようですが、下部構造の政治・選挙戦略あっての「コミ戦」です。

小沢が選挙のために何をしてきたか、その裏側を垣間見せてくれるのが以下の記事。

特集ワイド:参院選 民主・小沢代表、かく戦えり 元参院議員・平野貞夫さん-07参院選:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/07saninsen/archive/news/2007/07/31/20070731dde012010017000c.html
 ◇参院選で自民を大敗に追い込んだ「知恵袋」が明かす秘策

そして安倍の敵失があり、小沢はそれを徹底的に追及した。

本社世論調査:「民主勝因は敵失」8割-行政:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070806k0000m010127000c.html

自民「敵失」で民主躍進…読売ネットモニター調査 : 政治 : YOMIURI ...
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070805i1w5.htm

2007.08.08 19:49 URL | ゴンベイ@AbEndフォーラム #eBcs6aYE [ 編集 ]

「ポピュリズム」を知っているならば当然「プロパガンダ」もご存知だと思います。政治学や社会学で用いられるこの2つの概念の提供する視座に立てば、「B層」なるものを今更事新しい概念のようにもてはやす必要があるのでしょうか?
テサロニケの呪縛から抜け出られないとは、どこかでマインド・コントロールでもされているのでしょうか?


# 「ポピュリズムを打破するには」という題名のこのエントリーは「ポピュリズム批判」ではなくて「AbEnd(安倍エンド)」カテゴリーに分類されていることに居心地の悪さを感じます。

2007.08.13 06:56 URL | ゴンベイ@AbEndフォーラム #eBcs6aYE [ 編集 ]

ゴンベイさん、

「プロパガンダもご存知だろう」とは、どえらく高圧的な物言いですね。

ナチスで徹底的に活用されたプロパガンダとポピュリズムが日本でも有効であることを強烈に示したのがコイズミが仕掛けた「郵政選挙」でした。これに対抗する方策はずっと模索していかなければなりません。

今の政治ブログの現状は、反自民系であっても、安きに流れる言論がまかり通っており、これでは権力の人身掌握術の前では全くの無力だろうと考えています。

そもそも私は「B層論」は、「世に倦む日日」が一昨年12月に記事にするずっと前、郵政選挙の選挙戦のころからこだわっているテーマで(当時ブログは未開設でしたが)、マインドコントロール呼ばわりは心外ですね。

自らブログの開設もせず、気楽にコメントだけ書いている人にそんなことを言われる筋合いはありません。

カテゴリの件も大きなお世話です。こっちも考えがあって分類しています。何もあなたのためにブログの記事を書いてるわけじゃありませんから、勘違いなさらぬよう。

2007.08.14 18:49 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













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