これは、国民が安倍晋三首相に「NO」の意思表示をしたことを意味する。安倍は選挙前、「私と小沢さんのどちらが首相にふさわしいかを国民に聞く」と言っていた。国民は、安倍は首相にふさわしくないという審判を下したのだから、安倍内閣は即刻総辞職すべきである。
安倍は衆参両院の「数の力」にものをいわせて、先の国会では実に18回にのぼる強行採決を繰り返した。しかし、安倍内閣自体は一度も国政選挙の洗礼を経ていなかった。衆議院の圧倒的多数は、コイズミが「郵政総選挙」で「B層」をダマして獲得したものであって、誰も安倍晋三なんかに信任を与えていないのである。
さて、今回の選挙で指摘しておきたいことがいくつかある。
それは、安倍の掲げる「戦後レジームからの脱却」(憲法改定を含む)や、選挙終盤で言い出した「改革」(コイズミカイカクの継承)が、この選挙結果によって否定されたということだ。
コイズミから安倍へと引き継がれた「カイカク」は、格差拡大、地方切り捨ての政策である。今回、地方の一人区で自民党は6勝23敗と惨敗したが、22日のエントリで指摘したように、地方は年金問題なんかに怒っているのではない。安倍らの「地方切り捨て」政策に怒っているのである。今後は、「カイカク」の正体を暴く言論が重要になろう。
もう一つ、今回の参院選の結果は、一昨年の「郵政総選挙」の裏返しであることも指摘しておかねばならない。一昨年、コイズミに熱狂して自民党を圧勝させたと同じ人々が、今回安倍自民党を惨敗させた。民意はますます流されやすくなっているように思う。
本来、選挙ではいろんな側面から政党や候補者が掲げる政策を検討した上で投票すべきものだ。しかし、現実に選挙を左右しているのは、ポピュリズム(大衆迎合主義)である。
今回、自民党の数少ない当選者の中に、丸川珠代(東京選挙区)、丸山和也(比例区)、義家弘介(同)などという有名人が含まれていることもそのあらわれだ。自民党の人材払底はますます深刻になったといえるだろう。
当ブログでは、なるだけ国民一人ひとりが政治を真剣に考えることができる環境づくりのようなものを目指している。絶対に許せない安倍晋三のような人間に対しては、『安倍を「the End!」させよう!』 などというスローガンを掲げて徹底的に戦うが、基本はあくまで「価値観の多様性」の重視である。
以前、『反ポピュリズム宣言』 という記事を公開したことがあるが、一見「わかりやすい」主張で大衆を束ねていくポピュリズムは、差異の切り捨て、価値観の多様性の否定と表裏一体であり、容易に全体主義につながるものだ。コイズミや石原慎太郎が代表的なポピュリストである。一方、安倍晋三にポピュリストとしての才能が全くないことは、今回の参院選の結果が証明した。「戦後レジームからの脱却」を掲げるこの男がポピュリストの才能を欠いていたことは、国民にとっては幸いだった。おかげで日本が「戦争への道」を突き進む事態は、当面先送りされそうである。
しかし、コイズミ的なポピュリズムとの戦いは、相変わらず国民にとっての課題であると思う。コイズミのワンフレーズ・ポリティクスに対して同じ手法で対抗してはならない。イメージ戦略だったら、その気になったら巨大広告代理店と提携できる権力側の方が強力であるに決まっているからだ。あくまで、個々の案件に対して国民一人ひとりが自分の頭で考える習慣をつけることしか、ポピュリズムに対抗する方法はないと思う。
私は、今回の選挙結果を手放しで喜ぶ気にはなれない。それは、野党勝利とは言っても、あまりに民主党ばかりが一人勝ちしてしまったこととも関係がある。政治には、もっと多様な意見を反映させる必要がある。その意味で、民主党がマニフェストに掲げた衆議院の比例区定数削減には、私は大反対である。選挙制度に関しては、逆にもっと比例代表の比重を高めなければならないと私は考えている。
いずれにせよ今後は、自民党だけではなく民主党の動向も厳しく監視する必要があると思う。
とはいえ、自民党の惨敗にはやはりほっとさせられた。そして、参院選の開票の真っ最中だった今日(7月30日)未明、「安倍晋三TBP」へのトラックバック件数が1万4千件に達した。
例によって、千件ごとのキリ番の記録を下記に示す。
2006年6月18日:「安倍晋三?トラックバック・ピープル」開設
2006年9月12日:1000件(開設日から86日)
2006年10月27日:2000件(1000件到達から45日)
2006年11月27日:3000件(2000件到達から31日)
2006年12月24日:4000件(3000件到達から27日)
2007年1月26日:5000件 (4000件到達から33日)
2007年2月21日:6000件 (5000件到達から26日)
2007年3月18日:7000件 (6000件到達から25日)
2007年4月12日:8000件 (7000件到達から25日)
2007年5月5日:9000件 (8000件到達から23日)
2007年5月27日:10000件 (9000件到達から22日)
2007年6月15日:11000件 (10000件到達から19日)
2007年7月2日:12000件 (11000件到達から17日)
2007年7月17日:13000件 (12000件到達から15日)
2007年7月30日:14000件 (13000件到達から13日)
今回もまた、過去最短の間隔でキリ番を記録した。
「安倍晋三TBP」 は、昨年6月18日、「カナダde日本語」 の管理人・美爾依(みにー, minnie111)さんによって開設された。そして、開設から1年1か月と11日後の昨日、参議院選挙で自民党が大敗し、自民党は参議院の第1党から転落したのである。
参議院選挙は終わったが、「AbEndキャンペーン」 はまだまだ続く。安倍晋三が衆議院選挙で落選し、政治生命を絶たれるまで続くと考えている。「岸信介のDNA」などを売り物にしている男に、国政を好き勝手にされてはたまらない。
皆さまには今後も、「AbEnd」へのご支援とともに、今からでも決して遅くはないので、「AbEnd」への新規参入をお願いしたいと思う。
今回の参院選は、戦いへのエントリが許されるかどうかの予備選に過ぎなかった。真の戦いは、これから始まるのである。
ただ、読者の皆さまには申し訳ないが、今後はしばらくブログ更新のペースを落とさせていただく。ブログの質を向上させるために、充電が必要だと痛感するからである。
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自民党大敗でしたね。
2007.07.30 08:22 URL | 干物女テスト #- [ 編集 ]
今回の選挙の結果、民主党だけが圧勝したのは、私は、それだけ現実的に国民生活が、限界に達しているからだと思っている。多くの国民には、すぐにもこの暮らしの現状を改善してくれる政治が必要なのだと思う。だから確かな野党や護憲だけでは、とても満足できないのだと思う。民主党が、政権交代目指すなら、民主党議員が、今朝のテレビで言っていたように、直ぐにも障害者自立支援法を改正し、年金を恒久的に流用する法案を再改正し止めるなど、国民に目に見える形で、国民主権の政治を、具体化して示すことが必要なんだろうと思う。アベの強行採決路線に、確かな野党では対抗できないことも、今回の結果になった原因のひとつなんだろうと思う。
2007.07.30 09:17 URL | scotti #- [ 編集 ]
>丸川が当確(呆)
>やはり東京都民はバカだった...
東京は青島幸男に石原慎太郎、大阪は横山ノックが知事になったし、立候補者の多さと泡沫候補者の得票数が多い。2大都府の選挙区の構造は負け組・四国の方には理解しがたいでありましょうが、これをもってバカと切捨てているようでは、いつまでたっても「B層」の罠から抜け出られず、護憲派が勝ちを得る展望は出てこないと思います。
2007.07.30 14:51 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
We are the NO.1!
1つながりで。
本当は、参院選までで終えて仕事に専念するつもりだった私ですが、今後も活動を継続することにしました。
時間がきついです。飲みにも行けません。
本当は夏休みをとって讃岐に行って、貴兄とリアルでお会いして、うどんの食べ歩きをしたかったのですが、衆院選勝利までお預けですね。今後は民主党内の右派の撲滅を目指しての活動も加わってきました。
今回の参院選に向けてのゆるやかなブログネットワークの力をより良く発展させるためにがんばりたいと思います。
今日は寝ます。
2007.07.30 20:25 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]
安倍提灯持ちマスコミ幇間、田原・岸井を祭り上げよう!
http://atbb.jp/abend/viewtopic.php?t=629
このアイデアはどうでしょう。
2007.07.30 20:55 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
今回の選挙は、自民党の大敗北であると同時に左派の大敗北でもあったと銘記しなければいけない。
これだけの風を受けながら、共産、社民とも議席を減らした。
両党はなぜ負けたのか、より徹底した敗戦の調査検討をして、思い切った改革をしないと、12年以内に党が消滅してしまうだろう。
その時、参考になるのは、例のイラク邦人虜囚に対するバッシングである。
この国では、正しいことをする人に対する異常に粘着質な、悪質なやっかみ・いやがらせ・犯罪があとをたたない。
しかもそれは国民の一部と言うより、もはや大多数と言える。
これは、いじめ問題にも通底する。
政党は、人気商売なので、この問題に真正面から向き合うと自らの首をしめる恐れがあるので、問題提起できない。
だれかが代わって問題提起する必要があるだろう。
よくKYなどと言って、空気読めることを自慢するアホ面の若者がいるが、愚か者と言わざるを得ない。
空気を読むと言うことは自主規制であり、施政者にとってこれほど都合のいいものはない。
また、太平洋戦争時の国民の様子も考えたい。
あの時、なぜ国民が戦争を支持したか。誰かが書いていたが、「明確な理由はない。そういう空気だった。」
空気とは何か。全体主義である。KYといって人を蔑むものこそ蔑まれなければならない。
また、空気とは何かについての参考として以下のようなものがある。
http://plaza.rakuten.co.jp/kk47520kk/diary/200605180000/
状況の力、と言うものである。
誰かの金言か忘れたが、日本国民全てに良く噛み締めて欲しい。
「人間は、自分が正しいと思っているときほど、進んで悪を犯すことはない」
賢明なるkojitakenさんであれば、誰の金言か知っているかもしれません。
2007.07.30 22:04 URL | 古雑誌 #TY.N/4k. [ 編集 ]
女子高生オリジナルというKYは確かに古雑誌さんが仰るとおり、「長いものに巻かれろ」全体主義に通じるものであり、
「花・髪切と思考の浮游空間」や「アドルノ的」などのブログが言及する、加藤周一が「日本文化における時間と空間」で抉り出した「いま=ここ主義」と同根のもだと思います。
ただ、私の場合、安倍のKYは女子高生オリジナルと異なり、小泉のように政局を嗅ぎ取って果断に対応する政治家としての資質に欠けているという意味で使っています。
安倍は、今回の歴史的な惨敗の原因について、「やっぱり赤城がまずかったのかな?」って、ボソッと側近に漏らしたそうですが、まさにこのことは安倍が政局を読めていないKYのボクちゃん政治やさんの典型例だと思います。
2007.07.31 03:16 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
おはようございます。
今回の選挙結果は、大方の予想の範疇でした。しかし、護憲政党も伸びませんでした。
これは憲法改正が議題にならなかったからだと思っています。
次の新政権は、民主党が中心になるのですが、そこに護憲政党も含んだ平和を目指す政権になって欲しいと考えています。
そんな訴えを、これからも続けるつもりです。
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自らと未来はきっと変えられるから
自民党の歴史的敗退をもろ手を上げて歓迎します。
2007.07.31 00:02 | 大津留公彦のブログ2