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きまぐれな日々

17日のエントリでも紹介した、参院選高知選挙区の自民党現職候補・田村公平氏(60)による安倍晋三首相のスローガン「美しい国」への批判が波紋を広げているが、四国遊説を予定している安倍が、高知県での遊説だけを取り止めたというニュースには笑ってしまった。

さっそくブログで取り上げようと思ったら、ナナナナナント!きっこさんのお友達、美爾依(みにー)さんのブログ 「カナダde日本語」 が、一足お先にこの話題を取り上げてくれていた(「中田英寿が参院選への投票を呼びかける動画」)。

さて、最新の朝日新聞の世論調査によると、自民党は一人区で大苦戦を強いられているという。
http://www.asahi.com/politics/update/0719/TKY200707190567.html
(リンクが切れている場合は、「kojitakenの日記」をご参照ください)

しかし、四国の選挙区では依然として自民と野党の候補が激戦を展開している。ただ、読売の調査でも朝日の調査でも、どうやら徳島は民主党がかなり優位に立っているようだ。しかし、他の三県は全く予断を許さない。

四国の自民党公認4候補は、いずれも現職であり、全国でももっとも自民党の得票率が高い地方だけのことはある。東北、北陸や九州などで、公示前に自民党優勢と見られていた選挙区が、次々と互角または野党有利に変わるつつある中、四国は中国地方とともに自民党が粘り腰を発揮しているのである。

四国の自民党4候補に共通するきわだった特徴は、いずれもコイズミの郵政民営化にネガティブだったことだ。前記の田村公平氏と真鍋賢二氏(香川)は反対票を投じ、北岡秀二氏(徳島)は棄権した。関谷勝嗣氏(愛媛)は郵政族で、郵政民営化に批判的だったが、派閥の長である山崎拓の意向に従って、しぶしぶ賛成に転じた経緯がある。いわば、全員が「抵抗勢力」であり、当然ながら町村派(旧森派)は一人もいない。

政策的には、若い頃に故大平元首相の秘書を務めていた真鍋氏がもっともハト派的で、毎日新聞の「えらぼーと」で見ると、改憲の党是には従いながらも憲法九条の改変には反対している。他の3氏はいずれも九条改変に賛成で、もっともタカ派的な北岡氏は、核武装も国際情勢によっては検討すべき、との主張だ。

面白いのは、もっともタカ派的な北岡氏が、4候補の中では今のところいちばん当選圏から遠く、逆に公認をめぐってもめて出遅れ、公示前から苦戦が予想されていた真鍋氏が、予想外の粘りを見せていることだ。このあたりに四国の保守の気質が現れているのではないかという気がする。保守とは本来大きな変化を望まず、「戦後レジームからの脱却」を訴える安倍晋三は、保守というよりは「右翼反動」というべきではないかと私などは考えるのである。

ところで、今回公然と安倍に反旗を翻した田村氏の選挙区は、前述のように高知県だが、高知は四国の中でももっとも大都市圏からのアクセスが不便で、1人あたりの県民所得は常に下から数えて3、4番目、ひんぱんに台風に襲われる上、いずれ必ず起きる南海地震では甚大な被害が予想されているという土地柄だ。

今回の田村氏の安倍批判を「利益誘導型の旧来保守の典型例」と評する声もあり、それは間違いではないが、前記の高知の事情を考える場合、私は必ずしもそれを非難ばかりする気にはなれないのである。無駄な公共事業はもちろん削減すべきだが、全部の公共事業が無駄なわけではないのは当然のことだ。

そして、何より見過ごせないのは、高知を遊説先から外した安倍の判断である。自民党幹部は、官邸の「意趣返し」であることを認めているそうだが、地方在住者から見たら、これは安倍の地方切り捨て政策の象徴に見える。

一説によると、アッキー(安倍昭恵・首相夫人)が選挙の応援に訪れると、応援を受けた自民党候補の票が逃げていくそうだが(笑)、安倍晋三に応援をキャンセルされることは、「土佐のいごっそう」を売りものにしている田村氏の評判を高め、選挙戦を有利にするのではないかという気がする。田村氏や自民党がそこまで計算している可能性があるとさえ思う。

しかし、よく考えていただきたい。仮に田村氏が、その安倍批判が評価されて当選したとすると、それはすなわち安倍を助けることになってしまうのである。高知県にお住まいの有権者の方には、そのあたりを冷静にご判断いただきたい。もし田村氏が落選したならば、次は安倍と真っ向から対決する立場の党派から立候補されてはどうかと思う。

また、他の一人区の地域にお住まいの方には、今回はしなくも露呈した安倍晋三の「地方切り捨て」の本性をしっかりと認識された上で、貴重な一票を投じていただきたいと心から念じる次第である。

いまや自民党は、保守の敵、地方在住者の敵なのである。


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四国4県の衆議院全13小選挙区のうち徳島県 1区の民主党ベテランの仙谷を除いて12選挙区を自民党で占め、愛媛県 1区選出の塩崎は内閣官房長官、高知県 3区選出の山本は内閣府特命担当大臣(金融)と安倍内閣で2人も閣僚を出している。
参議院では四国4県各2人計8人のうち7人が自民党。四国はまさに自民王国である。

しかし前回参議院選・今回非改選の高知選挙区で初の野党系である広田が当選している。
今度の参議院選で野党系議員が複数当選するようなら自民王国・四国の解体が一気に進むことになり、自民党、特に塩崎と山本、それに高知の改選対象の田村の危機感は相当なものがあるだろう。

2007.07.20 08:50 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]

晴天とら日和:自民党崩壊前の、あ・そ~とシオザキシ。
http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann/archives/51009179.html
のところに、あしゅら経由の記事
●(しんぶん赤旗日曜版 7月22日付)
<事務所費疑惑>
今度は塩崎官房長官/何に使った1330万円
/弁明は松岡元農水相、赤城農水相と同じ
http://www.asyura2.com/07/senkyo38/msg/818.html

2007.07.20 11:37 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]

やっぱりやりましたか「津島派潰し」。
発言というより総裁選の意趣返しじゃないですか。
現にここには麻生が応援に入ってますし。
まだ「角福戦争」をひきずってるんですね。

2007.07.20 19:32 URL | 望潮楼 #- [ 編集 ]

 四国は、私も4歳から7歳までを過ごした、実質的なふるさとです。
 本当に田舎ですが、人情は厚いと思います。
 最近、地方新聞を漁っていて見つけたのが、四国新聞には、「うどん」と言う、恒常的にうどんの記事を載せるコーナーがあることで、思わず笑ってしまいました。
 私の父の従兄弟は、故・大平元首相の後援会長だった人物で、公選法違反でしょっ引かれたこともありました。
 そんな四国ですが、今回は、4議席すべてとは行かなくても、野党の健闘を祈っております。
 意趣返しとは、安倍の器の小ささを示すもので、今日の私のブログエントリーをお読みいただければ、安倍の頭の中がわかると思います。

2007.07.20 22:48 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]













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