きまぐれな日々

柏崎原発で起きた、放射性物質を含んだ冷却水漏洩や火災などのトラブルは、どう考えても大ニュースだと思うのだが、マスコミの報道ぶりはやけに鈍感だ。安倍晋三首相が被災地を訪れたなどというのはどうでも良いニュースだ。安倍はすぐトンボ帰りして、被災者の訪問が選挙向けのパフォーマンスに過ぎなかったことを露呈した。他の政党も似たり寄ったりかもしれないが、たとえばやはり現地を訪れた民主党の鳩山幹事長がテレビに大写しされることはほとんどなかったのだから、震災報道の一部が自民党の選挙活動への協力になったことは否めない。

さて、柏崎市の会田洋市長は18日、東京電力の勝俣恒久社長らを市役所に呼んで、柏崎刈羽原発の地盤に痛みが見つかったとして消防法に基づいて同原発に緊急停止命令を出した。

この命令について、「広島瀬戸内新聞ブログ版」は、下記のように伝えている。


柏崎市長は、柏崎刈羽原発の使用停止命令を出しました。

消防法に基づくもの。こんなことができるのです。

第12条の3 
市町村長等は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者に対し、当該製造所、貯蔵所若しくは取扱所の使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

2 第11条の5第4項及び第5項の規定は、前項の規定による命令について準用する

自治体も現行法の枠内でも、住民を守るためにできることはあるということを改めて実感したニュースです。

「異例」ではありますが、しかし、間違いなく「合法」です。そして、50件もトラブルがあったというなら、なおさらです。

むしろ、停止させないで何か起きたら、最近なら「不作為」で、住民から訴訟を提起されてもおかしくないのではないか、とも思います。

(「瀬戸内新聞ブログ版」?『柏崎刈羽原発に使用停止命令・市長「安全性確認できず」』 より)


この使用停止命令に対する現地の反応が報道されている。以下は「四国新聞」からの引用だが、共同通信の配信記事と思われる。


 「客は東電の見学ツアーや工事作業者などほとんど原子力関係。停止命令は必要だけど、ずっと続いたら仕事がなくなる‥‥」。原発近くにある料理店の経営者は苦しい胸の内を明かす。
 施設で働く東電や関連企業の社員のうち2市村に約3800人が住む。柏崎刈羽原発をめぐっては2002年に修理記録改ざんなどのトラブル隠しが発覚。04年の中越地震では地元自治体との連絡体制の不備が問題化し、今回は火災と放射性物質の検出。住民の不信感はピークに達している。
 それでも地元と東電との関係が保たれているのは、電源開発促進税法などに基づく交付金制度の存在も大きい。
 断水で公共施設に給水を受けに来た男性(42)は、原発直下に断層がある可能性が出ていることについて「確かに地元を潤わせてくれるが、事故で最初に被ばくするのは住民。危険な場所にあるならしっかり耐震補強を」と話す。
 刈羽村の場合、交付金は06年度で約7億円に上り、歳入全体の約17.4%を占める。小中学校を建て、村内にケーブルテレビ網を設置‥‥。原発は人口わずか5千人の村を確実に潤している。
 原発施設内の緑化事業を請け負う会社の男性従業員は「この地域は原発の恩恵を受けている。原発の危険性は承知のうえで仕事をしている。(停止命令は)どうとも思わない。騒ぐ話じゃない」と落ち着いた様子。
 そんな村の実情を原発反対派の宮崎孝司柏崎市議(63)が説明する。「住民も不安を感じているが、多くが原発関連で働き、原発に依存していることは否定できず、矛盾を抱えている」

(「四国新聞」 2007年7月19日付紙面より)


おそらく「原発城下町」といわれるところには、どこも似たような事情があるのだと思う。

これに対し、行政や司法の対応はどうかというと、これが露骨に電力会社寄りの姿勢を示し続けているのである。

同じく四国新聞の記事(共同通信の配信と思われる)から引用する。


 「危険性を過小に評価していたことが証明された」と指摘するのは京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)。東京電力は「想定外の地震の規模」と強調するが、地震の強さを示す加速度は柏崎刈羽原発1号機で最大で680ガルに上った。この値は耐震設計値273ガルの約2.5倍だった。
 政府は2004年の新潟県中越地震の後、柏崎刈羽原発に大きな影響を及ぼす断層は存在しないとする答弁書を提示し、東京地裁も05年、原発設置反対の住民が主張した断層の存在を「地震の原因にならない」と判断。国、裁判所、東電が危険性を見逃した形だ。その背景として今中助教は「耐震設計にできるだけ費用を掛けたくないのが電力会社側の論理」と経済性優先の姿勢を指摘する。
 「原子力資料情報室」の西尾漠共同代表も、電力会社が地層や地盤などを自ら調査し、安全性を判断する現状を批判。「電力会社に任せていては、危険は見つけられない。すべての原発を止めて調査すべきだ」と話す。
 柏崎刈羽原発の心臓部はどうなっているのか。今中助教は「放射性ヨウ素が大気中に放出されており、炉心内部にある燃料棒の破損が想定される。配管のひびや、制御系回りのトラブルが発見される恐れもある」と分析している。

(「四国新聞」 2007年7月19日付紙面より)


以上に見たように、まだ新聞は多少なりとも原発問題を論じる姿勢を見せているが、反応がいたって鈍いと思うのがテレビである。たとえば、地震当日の16日夜、「報道ステーション」(テレビ朝日)と「NEWS23」(TBS)を見たのだが、特に「NEWS23」では原発トラブルについてほとんど報じなかった。

こんなことでは、いざ大事故が起きるまで問題が先送りにされてしまうのではないかと思う。

例によって、7月17日の「きっこの日記」(「原発事故は人災です」)が、現地の方やその親族の方からのメールを掲載しているので必読だ。

いつの間にか、事実を知るにはマスコミ情報だけでは不十分で、ブログなどのインターネット情報に頼らなければならなくなってしまった。


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 私は、科学的にはどうあれ、もう柏崎原発は再稼動はできないと思っています。
 原発敷地の直下に、今回の震源となった断層が走っているらしく、それを評価できなかったのは、耐震設計審査指針に反します。
 たとえ、綿密に調査をした結果の判断だったとしても、事前調査で、断層の存在はわかっていたのであり、過小評価の批判は免れません。
 まぁ、東海地震の地震断層の真上に立てられている、中部電力の浜岡原子力発電所は、昨年の指針の改定前から、1000ガルにも耐えうると言う、耐震強度増強工事を行っています。
 東電もそれくらいしないと、とても再稼動は無理でしょう。
 まぁ、実際には、一度動いた断層は、日本海側の場合、300年くらいは地震を起こさないのですが、そういう議論ではないでしょう。

2007.07.19 07:54 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

そういえば、昨日かおとといのワイドショーの見出しが「この夏は大停電が起こる!?」となっていました。おそらく柏崎原発に関連することかと思いますが、にしてもマスコミは電力需要の逼迫という脅しを使って無理にでも柏崎原発を再開させたいのでしょうか???

2007.07.19 11:52 URL | mash #- [ 編集 ]

kojitakenさん、こんにちは。

>いつの間にか、事実を知るにはマスコミ情報だけでは不十分で、ブログなどのインターネット情報に頼らなければならなくなってしまった。

本当にその通りだと思いますね。

重要な情報が隠蔽されても気づかないような状況よりは、まだインターネットで取得できる可能性があるほうが、ずいぶんマシだと考えるべきなんでしょう。そう考えないと鬱になってしまいますものね。

AbEnd !
Power to the people!

2007.07.19 18:56 URL | ossann #XN01D24I [ 編集 ]

[nmw] 転送:緊急・日本軍、沖縄に総攻撃中
http://www.asyura2.com/07/senkyo38/msg/789.html

元琉球新報記者・同埼玉新聞記者で草の根メディア9条の会メンバーの近田洋一さん
からのメールです。
転送転載の許可済みですので、どうぞ広めてください。


【以下転送・重複ご容赦】


緊急・日本軍、沖縄に総攻撃中


親しいみなさまへ
参院戦の最中です。新潟で大きな地震がありました。いずれも重要なニュースで強い
関心を持ち、心を痛めています。地方紙も大手メディアの地域面はこの時期「夏の甲
子園・地区予選」の記事で埋め尽くされています。
結構です。
だがこれでいいのでしょうか。沖縄・辺野古では連日防衛省が出動し、基地建設を強
行しています。あろうことか、この先の東村高江では新たなヘリパット建設に強行着
手。現地で必死に抵抗しています。メディアでは伝わってきません。
僕のもとには朝、夕、そしてこの時間、さらには明け方まで、刻々とその日の動きが
入ってきます。
すべてお伝えすることはできません。
せめて、次の認識を持って頂きたいと思います。
?沖縄はかつて本土防衛の「捨て石」だった。いまもそうです。
?戦後27年米軍支配中も捨て石であった。今もそうです。

■状況は変わったか?。最悪です。総攻撃に日本軍が加わっっているのです。

就任した小池防衛大臣は辺野古ヘリ基地建設でこれまでの長官が曖昧にしていたこと
をずばり言ってのけました。「現地・沖縄県との位置をめぐる調整問題は理解しても
らうよう努める。だが日米合意の履行が最優先だ」。
今、沖縄の辺野古・東村高江で起きている重大な事態は、この意志の貫徹です。

沖縄は、今、日米両軍から大がかりな総攻撃を受けているのです。報道も、選挙と震
災報道(高校野球)に埋もれ、消されています。くたくたに疲れ切り、なお諦めない
現地・仲間の声を聞いてください。
BCCでご容赦を。可能な限り転送してください。

        近田洋一  ジャーナリスト(元琉球新報記者・同埼玉新聞記者)

【転送おわり】

掲載責任★遊牧民★
携帯090-8192-3790
平和と公正の選択を求めるネットワーク(略称:へいこうせん)
http://heikosenweb.oboroduki.com/

2007.07.20 02:50 URL | 転送:緊急・日本軍、沖縄に総攻撃中 #eBcs6aYE [ 編集 ]













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