きまぐれな日々

赤城徳彦農水相の事務所費の問題についてはこれまで書かずにきた。「またか」のスキャンダルで、多くのブログで取り上げられているし、何も同じような記事を当ブログも書く必要はあるまいと考えていたからだが、毎度オナジミになった安倍晋三の対応のまずさは、今回も存分に発揮されている。問題のある人物を起用して、こともあろうに「自殺」した前任者と同じ問題を起こしたことにも呆れるし、問題が発覚したあとの、誰からも疑念を抱かれずには済まないような稚拙な対応ぶりには、言うべき言葉もない。

実は、「kojitakenの日記」に書いた 「岸信介の自衛隊出動要請を拒否した赤城新農水相の祖父・赤城宗徳」 という記事中で、赤城徳彦の祖父・赤城宗徳が岸信介内閣の幕引きに重要な役割を果たしたことを指摘したことがあった。暗に赤城徳彦が安倍晋三内閣に対して同じ役割を果たすのではないかと言いたかったのだが、それが現実のものになろうとしている。

但し、赤城宗徳は岸信介が要請した自衛隊の出動を拒否するという見識を示したことで、岸内閣を崩壊に導いたのに対し、赤城徳彦は両親らの前言を翻させ、不見識を示すことによって安倍内閣を崩壊に導こうとしているあたりがなんとも皮肉だ。「東京に三代住むと白痴になる」と放言して批判を浴びたのは故大平正芳首相だが、「政治家を三代続けると○○になる」とは確かにいえそうだ(笑)。

ところで、大型間接税が初めて国政選挙の争点になったのは、その大平内閣当時の1979年総選挙だった。大平首相は、自民党の高い支持率をバックに、一般消費税の導入を総選挙の公約に掲げようとした。しかし、世論や野党から批判を浴び、与党からも「これでは選挙を戦えない」との苦情が出て、大平首相は公示日の第一声で一般消費税の導入を取り下げることになった。そして、自民党の優勢が予想されていたこの選挙は、蓋を開けてみると増税路線を批判された自民党が大敗したのである。

その後、中曽根内閣が86年の衆参同日選挙に圧勝したあと、選挙の公約に掲げていなかった売上税の導入を図った時は、世論の猛反発を受けて導入を断念した。結局、中曽根のあとを受けた竹下内閣が消費税を導入したが(1989年4月より実施)、竹下内閣はリクルート事件の影響もあって支持率が一桁にまで落ち、消費税導入2か月後の89年6月に総辞職し、あとを受けた宇野内閣も、同年7月の参院選に惨敗して、わずか2か月で総辞職に追い込まれた。さらに、97年の橋本内閣当時に消費税率が引き上げられると、たちまち景気が悪化し、橋本内閣は翌98年の参院選に惨敗して総辞職に追い込まれたのだった。

今回は、安倍内閣が相次ぐスキャンダルや年金問題の無策で批判を浴びているところに、安倍晋三首相が消費税率を上げると発言して、またまた消費税率の問題が参院選の争点に急浮上した。

「きっこの日記」 がまとめているように、安倍は7月1日に、年金の財源確保のために消費税率の引き上げを明言した。日本経済新聞の2005年11月21日付の記事 「風向計?26年目の恩讐」 に明記されているように、『2007年度をメドとする社会保障制度の抜本改革に絡めた「消費税率の引き上げ」』 は、以前からの自民党税制調査会の方針だったのだ。

ところが、7月5日の日本テレビで、安倍が「消費税を上げないなんて一言も言っていない。決して消費税から逃げることはしない」と発言すると、これが消費税率アップを示唆した発言であるとして、安倍は世論の猛反発を浴びた。すると安倍は発言をどんどん後退させ、しまいには「消費税を上げなくても済む可能性はある」とまで言うに至った。

従来なら、こういう発言の二転三転は選挙で票を取り逃がすことにつながるはずだ。1998年の参院選では、「恒久減税」をめぐる橋本首相(当時)の発言が二転三転した。

1998年7月7日付の「森田実の時代を斬る」 は、下記のように指摘している。


 大新聞が政府与党の指導者の発言に振り回され、情報操作に利用されるのは困ったものです。7月3日の橋本首相の熊本発言(恒久的な税制改革)をめぐって新聞報道の不正確さが指摘されています。

 7月3日(金)の各紙夕刊は、次のようにいっせいに「首相、恒久減税を表明」と報道しました。
 朝日=「恒久減税の意向表明、首相」
 読売=「首相、恒久減税を表明」
 日経=「首相、恒久減税検討を表明」
 産経=「首相、恒久減税を表明」
 東京=「恒久減税を実施、橋本首相が意向表明」
 毎日は7月4日の朝刊で「橋本首相、恒久減税の検討表明」と報道しました。

 報道がこれだけ揃えば、国民は橋本首相が恒久減税に踏み切ったと思ってしまうでしょう。

 しかし、7月5日(日)午前の民放の報道番組で、橋本首相は「私は恒久減税とは一言も言っていない」「私は“減税”の言葉は使っていない」と語り、報道番組を事実上否定しました。大新聞の面目はつぶれました。私は7月6日(月)の朝刊で大新聞がどう反撃するか楽しみにしていましたが、裏切られてしまいました。

 7月6日の大新聞は橋本首相の恒久減税否定発言をほとんど取り上げませんでした。大新聞は誤報か否かをあきらかにする責任があると私は思うのですが、あいまいにされたことは残念です。

 橋本首相の熊本発言は、“選挙のための発言”ともいわれていますが、大新聞には政治家の情報操作に利用されないよう、しかっりしてほしいと思います。

(「森田実の時代を斬る」 1998年7月7日)


「‥‥とは一言も言っていない」とは、今回の安倍晋三の発言とそっくりだ。結局、発言が全く信用されなくなった橋本首相が率いる自民党は、この参院選で惨敗し、橋本内閣は退陣へと追い込まれた。

今回の安倍晋三の発言のぶれは、橋本龍太郎の比でないくらいひどい。きっこさんも指摘しているように、安倍は小沢一郎の主張をいつの間にか自分の主張にしてしまっている。これでは安倍自身が小沢に対して「勉強不足」と言った言葉が、そのまま自分自身にはね返ってくるのだが、そんなことに気づく知性も、安倍晋三は持ち合わせていないのだろう。

安倍は一事が万事この調子で、年金問題は、野党の追及をやり過ごそうとしていながら、騒がれるようになると、自社さの橋本内閣で厚相をつとめていた菅直人・民主党代表代行に責任を転嫁しようとしたり、自治労叩きで矛先をかわそうとしたり、果ては鋭い質問で片山さつきや大村秀章を立ち往生させた長妻昭議員(民主)の質問を封じるために委員会を開催しないなどの「敵前逃亡」までやってのけた。

だが、自民党が年金問題に真面目に取り組むつもりなど全くないことを示すのが、6月17日にテレビ朝日の「サンデープロジェクト」で放送された長妻昭議員と大村秀章議員の論戦だ。

「YouTube」の動画は既に消されてしまったが、「ニコニコ動画」で見ることができるので、未見の方がいたら、ぜひご覧いただきたい。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm469090

とにもかくにも、これほど厚顔無恥な政権は空前だろう。これを「絶後」にするためにも、参院選は自民党を惨敗させなければならない。こんな政権がこれ以上続いたら、日本の国益が損なわれることこのうえない。

能力なき者は政権を去れ、と言いたい。


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 また、TBが通りませんでした。
 安倍については、もうあきれ返って物が言えないですね。久間の処分も、消費税発言も、赤城の問題も、収拾狼狽しているだけじゃないですか。安倍があほなのはわかっていましたが、無駄に大量にいる補佐官を含め、ブレーンたちも、みんなあほばかりだと言うことが、良くわかりました。
 安倍早期退陣あるのみ。居座れば支持率はさらに下がるでしょう。

2007.07.10 10:43 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

こんにちは。いつも楽しみに拝読させて頂いております。

安倍首相は、先のNHKでの小沢氏との討論において「久間さんのことがあったから急にそんなことをおっしゃるのであって・・・」と気色ばんでしまったことに相当反省しているようで、きっぱりとゆっくりとカメラ目線でものを言うようにこころがけているようですね。

あのオバーバと顔なしを足して2で割ってから品性と知性とかわいらしさを取り去ったような・・・片山さつきでしたか、あいつも「あまり早口でまくし立てるな。」と厳命されいるようですしね。

そう思って見ていると実に滑稽な茶番で、自民党に未来はない、と確信します。

そんな中で赤城農水大臣の言い草は、お笑い種にならない政権の目指す方向の危険性を感じます。

法律にのっとって適正に・・・というのは、『だって政治家だもん!』『おじいちゃんは立派な政治家っだったんだぞ!』という特権意識の表明以外の何ものでもないでしょう。

これらの茶番劇を滑稽だと笑ってばかりもいられないのは、政府よりのマスコミや似非ジャーナリストの連中による世論操作がいずれ盛んに行われるからです。

これまでの小泉・竹中・安倍による6年に及ぶ悪政とそれの目指す方向性を、幾度も幾度も反芻することが必要となります。「そんなことは分かっている。どうでもいいんだ。」というのが口癖の田原の口車に乗せられるようなことがあってはいけません。

重要なことは幾度も何度でも言うべきです。

忘れないためのB級対策が野党に欲しいですね。
農業の人、小沢氏に是非ともがんばって欲しいところです。

2007.07.10 18:47 URL | ossann #4ycjQa9o [ 編集 ]

「kojitakenの日記」に 「岸信介の自衛隊出動要請を拒否した赤城新農水相の祖父・赤城宗徳」 の記事には気づきませんでした。今日は偶然同じような事を書いてしまいましたね(笑)。

2007.07.10 20:35 URL | 美爾依 #HfMzn2gY [ 編集 ]

赤城宗徳-赤城徳彦と岸信介-安倍晋三の因縁話はウィキペディアを見るだけで簡単にソースが手に入りますが、安倍寛-晋太郎-晋三と岸信介のファミリー全体を把握するには、この「きまぐれな日々」抜きには実現できません。これって結構重要なポイントだと思います。
時折関係エントリーをまとめて紹介されることがありますが、一発でアクセスできる固定メニューがあればいいなと思いますね。

2007.07.11 09:12 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]

[消費税増税 - 税率 10%, 16%, 18% or 30%?]
’07参院選:全候補者アンケート 消費税、自民「引き上げ論」74%-政党:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070714ddm003010048000c.html

財界や政府・自民党から消費税増税・法人税減税大合唱
http://www.toshoren.jp/Ctg-Toshoren_Undo_News/news2007_06/news2007_06-02.htm
米国からの便り 消費税が16%?
http://kensirou2001.blog79.fc2.com/blog-entry-67.html
八国山だより 消費税を16%に
http://patience052.blog101.fc2.com/blog-entry-4.html

日本経団連意見書:「近い将来の税制改革」についての意見 消費税率引上げの展望
「消費税率を、第一段階として3%程度は引き上げるべき」
「消費税率を遅くとも2007年度までには10%とすべきである。」
「消費税で賄おうとすれば30%以上の税率」
「2025年度までの消費税率の増加を18%程度までに」

棄権は危険!そのわけは??
http://senkyo2.seesaa.net/

2007.07.18 22:50 URL | No More Tax #0qO4p4sk [ 編集 ]













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