参院選前に国会会期が延長された例は、1980年(昭和55年)以降はなぜか9年に1度の割合で生じている。80年には大平正芳首相が衆参同日選挙の期間中に急死し、結果は自民党の大勝だったが、1989年(平成元年)にはリクルート事件に関係した竹下登内閣の総辞職、宇野内閣への交替などがあって審議が遅れ、参院選では自民党が惨敗した。また、1998年(平成10年)は、特別減税等の補正予算の成立のために、与党の意向で8日間延長したものだったが、投票日1週間前の橋本首相(当時)の発言が国民の不信感を招いて、自民党有利の下馬評と全く異なる、自民党大敗の選挙結果となった。
結果的に、過去三度は極端な選挙結果になっており、三度とも選挙後に内閣が総辞職し、新内閣が発足している。今回も、参院選直後に内閣が総辞職することは、ほぼ確実だろう。
普通なら、参院選でちょっと負けたくらいで内閣が総辞職する必要などない。しかし、今回は安倍晋三首相が我を張って、嫌がる参院自民党を押し切って、無理やりに会期を延長したのだ。
6月22日付の「四国新聞」は、次のように報じている。
首相は年金記録不備問題や松岡利勝前農相の自殺をめぐる政権への逆風をしのぐには、公務員法改正などの「実績づくり」で局面打開を図るしかないと判断した。ただ参院選日程の先送りは、逆風が和らぐまでの「時間稼ぎ」との批判を招きかねない。与党内では、首相主導の会期延長が参院選で裏目に出れば、「進退問題に直結する」との見方も強まっており、首相は天王山となる参院選へ「背水の陣」を敷いた形だ。野党側は会期延長に反発し、内閣不信任決議案提出を含めた対応を検討しており、延長国会の攻防激化は必至だ。
(「四国新聞」 2007年6月22日付紙面より)
ついに、新聞の一面で安倍の進退問題に触れた記事が掲載されるまでになった。
「日本がアブナイ!」 の記事 『強引&迷惑な会期延長で首相責任論。「国民のためを考えない政治家は辞めた方がいい」by安倍』 でも、鴻池、扇、舛添、青木各議員らが、いっせいに安倍への不満を表明したことを紹介している。鴻池議員が自らのホームページで「参院は官邸の下請けと違うんやで」と、公然と安倍を批判したことは、この内閣が末期症状を呈していることを示している。舛添議員は「参院選で大敗すれば翌日、内閣総辞職だ」と語った。
かつて安倍を応援する「カイカクの歌」とかいうケッタイな音痴の歌を 『TVタックル』 で披露した山本一太は、安倍内閣の支持率が暴落する前から苦戦との観測があったが、ここへきていよいよ情勢が厳しくなり、どうやら当選はかなり難しそうだ。自分の尻に火がついているものだから、「コミ戦」どころではない。ここへきて安倍政権がイメージ戦略の拙劣さを露呈しているのも、宣伝要員がそれどころではないという事情もあるのかもしれない。
いずれにしても、安倍は、普通に負けるだけなら退陣の必要もないものを、わざわざ自分から窮地に追い込まれてくれたのだから、これを活かさない手はないだろう。ここは何が何でも安倍内閣退陣につながる与党惨敗を実現させなければならない。
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こんばんは。今日はお互いに記事更新が早いですね。
私も、違う論旨で話を始めながら、同じ結論の記事を書きました。
反安倍の風が吹いているのが、ブログのアクセスを分析して実感できます。
会期延長は、必ず裏目に出るでしょう。
1週間で年金問題を忘れるほど日本人は馬鹿ではない。逆に、そこまで国民を舐めた安倍を批判するべきだと思います。
2007.06.22 22:49 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]
きっと安倍は会期延長すると夏休みに突入し、有権者は旅行などに出かけてしまって投票率が下がるのを期待しているのでしょう。どこまで浅はかな奴なのか。
2007.06.23 14:16 URL | 美爾依 #HfMzn2gY [ 編集 ]
夏休みに突入し、期日前投票が増えるでしょうが、期日前投票は本当に信頼できるのか?
アベ政権の狙いはそこにあるのではないのかと心配性の私は疑っています。是非ともせめて選挙ぐらいは公正に戦って欲しいものです。ブッシュのように電子投票改ざんして当選したと言われないように!
2007.06.23 22:05 URL | scotti #- [ 編集 ]
1960年6月23日、新・日米安保条約が自然成立。
その後の7月19日に岸退陣。
岸の怨霊に取り付かれた安倍は、捨て身で安倍ネオコン色の法律成立に執念を燃やしているのではないでしょうか。
安倍内閣最初の短い第165回国会(臨時会)で、防衛省設置法と教育基本法改悪を成立させ、第166回国会(常会)では既に日本国憲法の改正手続に関する法律、イラク特措法延長、改悪教育基本法を具現化する学校教育改悪3法と重要法を成立させています。マスコミ報道では専ら年金2法と天下り隠蔽3法を重要法案であるとして成立させんがために安倍は会期延長に踏み切ったといわれています。
メディアが取り上げない、未成立・審議中の安倍ネオコン色の法案があります。拉致問題対処法改正は未成立ですし、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案と放送法等の一部を改正する法律案は未だに衆議院で審議中。
参議院で自公が過半数割れとなった状態で、小泉のお稚児さんとして育てられ、担がれて首相の地位に上り詰めた安倍には、まとめきる政治手腕はありません。だとしたら、退陣後にゆっくり料理するつもりで、安倍は退陣前提でこれらの安倍ネオコン色の法案に目鼻をつけることに執念を燃やしているのではないでしょうか。安倍の手に負えない国会運営・党運営は他人に預けて、自分の料理に舌鼓を打ち、機が熟したところで首相に復権して憲法改悪というシナリオを思い描いているのかもしれません。
それだからこそ、「3年後改憲を『宣言』 首相、参院選で争点化」という正攻法を掲げることにしたのだと思います。(3年後というのは、まさに10年の参議院選の年です。)
2007.06.25 04:38 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
<追伸>
W中川が参議院で自公過半数割れとなっても首相退陣の必要はないといっているのは、秀直幹事長はキングメーカーを僭称できる地位が危うくなる、昭一政調会長は火中の栗を拾わされるのは御免という思惑があっての発言でしょうか。
2007.06.25 04:43 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]
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