きまぐれな日々

明月さんのブログ 「反戦な家づくり」『年金問題で浮かれていていいのだろうか?』 は、とても良い記事だ。

この記事に書かれている「消えた年金問題が出てきたから社保庁を廃止するのではない」、「社保庁を廃止する方針を政府が決め、国会へ上程されたから、消えた年金問題が出てきたのだ」という指摘は、実に鋭い。しかも明月さんは、新聞記事で根拠を示しながら説明されている。

先週日曜日(6月10日)のフジテレビ「報道2001」で、自民党議員や竹村健一らが、年金問題を「民営化」問題にすり替えようとしていたことに対し、非常にイライラさせられた。

しかし、私も関岡英之氏の 「奪われる日本」 を読んだことがあり、健康保険の民営化問題について認識があったにもかかわらず、それを年金問題と結びつけて立論することができなかった。だから、「反戦な家づくり」の記事を読んで、目からウロコが落ちる思いだった。良い記事を書くためには、知識や情報収集能力もさることながら、点と点を結んで線にする着想のセンスが欠かせないと痛感した次第だ。

この「民営化」の問題点の説明については、明月さんの記事や関岡英之氏の著書に譲り、ここでは自民党の仕掛けに対する世論の反応を論じたい。

コイズミ時代の「郵政総選挙」であれほど猛威をふるった「民営化」なる呪文の威力は、今回はさほどではなかったように見える。実は私は、自民党議員や竹村健一らの主張が、有権者にかなり受け入れられるのではないかと警戒していた。しかし、彼らの主張によって安倍内閣の支持率が上がるどころか、逆に各社の支持率調査は、軒並み20%台に低下した。

今も思い出したくないシーンがある。

2005年8月、郵政民営化に関して、朝日新聞編集委員の加藤千洋は、レギュラー出演しているテレビ朝日の「報道ステーション」で、こう述べたのだ。

『小泉さんの夢をかなえてあげたいですね。』

これを聞いた時、総選挙の結果がどうなるかを私は悟った。そして、その通りの結果になった。

有権者は、「郵政民営化」の中身を理解してコイズミを支持したのではなかった。誰にも止めることのできない流れを、コイズミらに作り出されてしまい、マスメディアがそれに加担し、国民はそれに流されたのだ。朝日新聞の中枢にいる記者である加藤は、その流れを決定的にする役割を演じた。

私はコイズミなど全く評価しないが、コイズミの勝因は、彼があの総選挙に死に物狂いで臨んだことだったと思う。だから、加藤があのように口走ってしまった心理は、全く理解できないでもない。しかし、その方向性は、国民を不幸にするものでしかないことは明らかだった。コイズミの一種の「狂気」が、国民の心をとらえ、加藤のようなベテランのジャーナリストまでもが、判断を誤ってしまった。おそらく、「魔が差した」のだろう。

国民にとって幸いなことに、安倍晋三にはコイズミのような必死さはない。

加藤紘一が語るように、総理大臣の仕事は、本来命がけのものだ。だが、何を勘違いしたのか、自分が総理大臣になって当然と思い込んでいる安倍には、そんな気構えは全くない。「自殺」を遂げた松岡利勝が追い詰められていたことさえ思いも及ばなかったのではないかと思えるほどだ。

こんな人間だから、安倍のブレーンが、コイズミの時と同様のイメージ戦略で人気を浮揚させようとしても、すぐメッキがはがれてしまうのだと思う。

一昨日の記事で書いた大村秀章の愚劣さは、安倍晋三の愚劣さの反映だ。安倍晋三の姿勢がいい加減だから、安倍の「じきじきの指名」で「年金問題の説明役を命じられた」大村は、あの程度の説明しかできず、いとも簡単に長妻昭議員に撃沈されたのだ。そして、ジャーナリストもまた、安倍に対しては冷静に対処できる。一昨年、コイズミ自民党の圧勝に大きく貢献した田原総一朗、古舘伊知郎、岸井成格、みのもんたという、私のいうところの「四悪」のうち、古舘は安倍を応援していないし、田原と岸井は安倍びいきだが歯切れが悪い。唯一、みのもんただけは恥も外聞もなく徹底的に安倍を擁護しているが、「年金問題は国民の責任だ」などとほざいて、日本中から馬鹿にされる始末だ。

もちろん、「一寸先は闇」だから、今後何が起きるかはわからない。あの「偽メール事件」のようなことがまた起きて、情勢が一変するかもしれない。だが少なくとも、安倍に自力での勝利はない。安倍政権発足時に危惧されたような、ファシズムへの道をまっしぐらに走る事態だけは、今のところ避けられた。この流れをいかに拡大できるかが今後の課題だろう。


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ご紹介ありがとうございます。一寸先は闇。全くその通りですね。今日のニュースで流れていた6カ国協議に関するヒルの談話を聞いて、たぶん、横田恵さんが7月上旬に帰ってくるのではないか、という気がしています。それ以外に、安倍が選挙に勝つ手段はないでしょう。

2007.06.19 23:18 URL | 明月 #- [ 編集 ]

 明月さんの記事は私も読み、大いに共感いたしました。私も年金問題が大事になった頃、年金問題が解決するまでは、社保庁民営化は行うべきではないと、拙ブログで論じました。
 安倍は、夜郎自大な男です。「権力の頂点にある私が」っと言う一連の発言にそれが現れています。しかし一方、度胸の無い男でもあります。党内調整は下手だし、お友達内閣を見てもわかります。
 このお坊ちゃま体質では、自ら動いて、考えて、必死になることなど無いのです。「有識者」会議に丸投げするなど、能力と覚悟の無さがうかがわれます。
 こんな男を1日でも長く、日本の首班としておくことは、罪悪であると思います。

2007.06.20 04:24 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

既存の新聞・テレビなどのマスコミが、
権力側に都合の悪い情報を制限して流しており、
一方で、インターネット上ではこれら既存のマスコミには流れない
貴重な情報が多く流通しているのは周知のことと思います。

権力側として、規制できていないこれらインターネット上の
情報流通に制限をかける動きが進んでいます。

一般庶民が、権力者の暗部をお互いに伝え合うことができる
最後のとりで、インターネット上における情報伝達の自由を
守るべくみなさんの注意喚起をお願いいたします。

rolling beanさんのブログご参照ください。
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10037253801.html

2007.06.20 18:13 URL | hatakejin #8jHFfXP. [ 編集 ]

「テレビ朝日自体が、すでに安倍の持ち物」とさえ某所に書かれていましたが、
朝日新聞グループ全体には、首の皮一枚の所でしたが良心が残っていました。
「北朝鮮へのエクソダス」のような優れた新刊を出せるのですから、捨てたものではありません。
「朝日が右を向けば戦争が始まる」という・・・えっと、難しい名前のブロガーの方のお爺様の言葉が印象的ですね。
角を矯めて牛を殺しては元も子もないです。

2007.06.21 22:07 URL | ヒトシ #eCsBD4cM [ 編集 ]













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