きまぐれな日々

先日来の年金問題と松岡前農水相の「自殺」問題で、参院選の争点から「憲法」問題が遠ざかりつつあるが、私は、こういう情勢だからこそ憲法をしっかり論じておかなければならないと思う。

先日、明月さんのブログ 「反戦な家づくり」 が、民主党と自民党の参院選候補者を対象に、「9条改憲の賛否を問う質問」 を行った。このアンケートには、弊ブログも賛同人に名を連ねさせていただいたが、その結果が発表されたので、ここにお知らせする。

「反戦な家づくり」より
『9条改憲の賛否を問う質問 回答のまとめ(明月)』
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-379.html


結果については、上記リンク先をご参照いただきたい。念のために、当記事の末尾の「付録」(More ... 以降)にも、質問項目と回答結果を転載させていただいた。

さて、いま、1年前のブログ言論などを読み返してみて現状と比較すると、1年前と比較して世論が護憲に傾きつつあることがよくわかるだろう。この傾向は、特に憲法九条に関して顕著だ。

いまやリベラルというよりニュートラルな立場をとるようになった朝日新聞社の論壇誌「論座」 (編集長の薬師寺克行氏は、テレビ番組で「改憲論者」だと明言したことがある)が、6月号で憲法特集を組んだのに続き、7月号に小林よしのりの 「わしが格差拡大に反対するワケ」 を掲載している。この記事に対しては、「Munchener Brucke」 の興味深い論考 『日本に労働者や貧困層の支持を集める右翼政治家が出現する予感(悪夢か?)』 などもあるが、ここでは小林が憲法に触れた部分のみ紹介する。


 いまこの国は、とにかくどんどん儲ければいい、自分の利益が人事で国民がどうなろうと関係ないという話なんだから、ナショナリズムなんて最初からありません。だけど「砂粒化した個人」は社会にとって不安定要因になりかねないから、権力の側はそれを統制する手段としてナショナリズムを利用しているわけです。

 小泉の靖国神社参拝が、まさにそうでしょう。靖国を参拝してナショナリズムに片足かけながら、もう片方では、靖国に祀られている戦死者たちが守ろうとした故郷や共同体をどんどん破壊するような政策を進めているんだから。本当にインチキなやつだよ。安倍だって同じですよ。「憲法改正」って言いながら、日本の国柄そのものを破壊して、まったくのアメリカニズムに染め上げようとしている。

 これは、わしに言わせれば革命です。目本の国柄を破壊しようという勢力がいつのまにか無血クーデターを起こして政府の中枢に忍び込み革命を起こしている。だけど「靖国参拝」「憲法改正」を言っているから、保守の側も誰も批判しない。ばかばかしい話です。

(中略)そして自分たちが日本のエートスを崩壊させておきながら、給食費を払わない親がいるとか道徳心を失っているとか大騒ぎして、教育基本法を改正して「国を愛する態度」を盛り込んでみたり、「親学」とか言って、「子守歌を歌う」とか「早寝早起き朝ご飯」とか、教条主義的な提言をしようとしたりしている。それでみんなが言うことを聞くと思っているわけでしょ。頭おかしいよ。金正日が北朝鮮でやっていることと同じなわけよ。右を向きなさい、左を向きなさいと言ったら、それをそのまま間く人間を育てるつもりかって。全部が狂ってるよ。

 教育基本法改正も、憲法改正も、道徳教育も、トータルにわしは否定するよ。はっきりいって。左翼だって思われちゃうかもしれないけどね。わしは運動に直接かかわるのは懲りたから、描き続けることで、みんなにわかってほしいと思っています。

(中略)いまの政権を担っている自民党の政治家にしろ、親米保守にしろ、ネオリベを肯定するような人間は、靖国に祀られている戦死者たちがいったいなにを守ろうとしたのかというところに思いを致すことなんかないんですよ。彼らの関心は、「こいつは利用できるかどうか」にしかない。わしだって最初は、アメリカと一緒に戦争をやるために利用できると思われていた。それがアメリカを批判し始めたとたんに、「危険だ」と排除された。

 いま憲法改正が騒がれているけど、わしはもろ手をあげて賛成するわけにはいかなくなってしまってるわけよ。ただただアメリカ軍にくっついていって、イラクでもどこででも戦おうということでしょ。わしはそんな戦争には賛成しない。そんなものは、かつて英霊が戦った戦争とは違うということを、やっぱり言わなければならないと思っています。

(「論座」 2007年7月号掲載 小林よしのり 「『戦争論』、それからわしが格差拡大に反対するワケ」 より)


加藤紘一は先日、TBSテレビ「時事放談」で、右翼雑誌(「諸君!」や「正論」などを指すと思われる)の読者数が減っている、親米右派と反米右派に分かれてきていると指摘していたが、小林は典型的な「反米右翼」であり、安倍内閣の発足前には、安倍に期待していたフシもあるが、政権発足後の早い段階で安倍を見限り、現在では引用文中にもあるように、「安倍政権下での改憲」への反対を表明している。他に、慶応大学教授の小林節なども、「安倍政権下での改憲」に反対しているが(「週刊朝日」 2007年6月8日号など)、興味深いのは同じ「小林」でも、Wikipediaの記述でも指摘されているように、小林節はリバタリアンとされており、安倍の復古主義的な方向性を持ち、かつ対米隷属的な「改憲」に反対しているということだ。つまり安倍(自民党)の「改憲」案は、民族主義的右翼(小林よしのり)にも、本来的な意味でのリバタリアン(小林節)にも反対されるような代物なのである。支持しているのは産経文化人(とネット右翼)、それに自民党・公明党や一部民主党議員だけと言っても過言ではない。

自民党の改憲案は、ただ単に、アメリカやそれに従属する日本の政権に国民を隷属させるだけのどうしようもないものなのだから、それが護憲派はおろか、真面目な改憲派からも支持を得られないのは当然のことだ。

当ブログの昨日の記事にコメントいただいた眠り猫さんのブログ 「平和のために小さな声を集めよう」 も指摘しているように、自民党の改憲案では、基本的人権の特に自由の権利に対して、大幅な制約を加えている。最近出版された保阪正康監修・解説の 「50年前の憲法大論争」 (講談社現代新書、2007年)などを読めばわかるが、これは半世紀も前からの自民党のもくろみなのである。要は、自民党右派の人たちは、敗戦後間もないことから考えていることは何も変わっておらず、ただひたすら戦前の体制を復活させたくてたまらない議員を多く抱えているということだ。安倍晋三は、その中でも特に極端な思想を持つ人物である。

元長崎市長の本島等さんは、憲法九条を守りながら、環境問題や人権問題の条項を加えていく「加憲」を主張しているが(「東京新聞」 2007年5月14日)、そのベクトルの向きは自民党の改憲論とは正反対である。

基本的人権を制限し、政権に都合の良い人間(=奴隷)づくりを目指すふざけた安倍政権を、一日も早く葬り去らなければならない。


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[付録]
「反戦な家づくり」?『9条改憲の賛否を問う質問 回答のまとめ(明月)』 より抜粋
(アンケート質問項目と回答結果のご紹介)

-------- (質問) --------

質問1  あなたが当選した場合、その任期中に憲法9条を改変することに反対しますか。
(改変に反対する・改変に反対しない のどちらかで回答ください)

質問2  できましたら、その理由を、以下にお書きください。

-------- (回答) ---------

合計16名の予定候補のかたから返信をいただき、うち1名は回答なしという結果だった。

また、15の回答のうち 9条の改変に
 「反対する」 13
 「反対しない」 2

政党では、有効回答はすべて民主党。連絡だけで回答なしの1件が自民党。


■皆吉 いなお (民主党 鹿児島) 
nao@minayoshi-aozora.com
http://minayoshi-aozora.com/

質問1  改変に反対する

質問2  世界に類のない憲法9条である。戦争する軍隊が行きつく先は戦争でしまない。
戦争には勝者もない敗者もいないことを過去の戦争、今の大儀なきイラク戦争から知るべきである。
世界の指導者に向かっていまこそ、武力を持たない日本を声高らかに主張すべきである。
人間の力を、心を信ずるべきではないだろうか。
私たちの子供や子々孫々に誇るべきものは、これしかないのではないか。


■はた ともこ (民主党 比例区)
h.tomoko@fine.ocn.ne.jp
http://www.hatatomoko.org/
http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826/

質問1  改変に反対する

質問2 私の第一の政策は、憲法9条の本質(集団的自衛権の行使を認めない)を守るということです。
このことを文章で表現するには、現在の9条のままでなければならないと思います。
その上で、個別的自衛権や集団的安全保障について、「安全保障基本法」を制定すべきだと思います。


■大島 九州男 (民主党 比例区)
kyuchan@oregano.ocn.ne.jp
http://kusuo-o.net/
http://blog.goo.ne.jp/q0611

質問1 改変に反対する

質問2  交戦権を認めないという9条の基本的理念を根本から変えて、日本が戦争の出来る国に変える憲法になることに、反対をします。
尊い人命を犠牲に手に入れる事のできた現憲法は、戦争に行ったことの無い、またその恐怖を体験した事の無い人間が、軽々しく変える物でないと思います。
もし変える議決をする人は、自衛軍の最前線に自分が立ち、その後にその人達の親族、そして、その後に自衛軍が立ち、戦場に自分が立つ前提で、議決していただきたいと思います。


■とくら たかこ (民主党 山口)
FAX 0834-32-6072
http://www.tokuratakako.jp/
http://ttokura.exblog.jp/

質問1  改変に反対する

質問2


■高竹 和明 (民主党 比例)
takatake@takatake.com
http://www.takatake.com

質問1  改変に賛成する。

質問2  まず、第一義に私は日本国民が自分たちで考え、自分たちで作る自主憲法が必要だと考えます。
憲法を議論することでこの国の行く先を見出せると考えます。
9条に関しては
1.日本国民は自分の国は自分で守るという姿勢が大事。
2.戦争をしないということはルールで決めるものではなく、教育や精神が大事で、もっとも大事なのは
  政治だと考える。これをいうと「昔に戻る」と言う人がいると思うが、そうさせないのも教育や政治です。
  戦争放棄の理念を憲法の前文などに入れることは賛成ですが、ルールで決めるとそこで思考停止してしまうだけです。
3.日本から世界平和をリードしていく方法はもっと他にあるはずです。


■水戸 まさし (民主 神奈川)
FAX 045-866-3107
http://www.ki.rim.or.jp/~kickoff/

質問1  改変に反対する

質問2  日本の誇りであり、国民の願いである平和の精神を守るためには、改正は必要ない


■長崎 けいいち (民主 比例区)

質問1  改変に反対する

質問2  いまだ世界各国で内戦が続いていますが、犠牲になるのは罪のない子どもや住民です。
戦争は悲惨です。二度と過ちを犯してはいけないと思います。


■山崎 まや (民主 比例区)
FAX 03-5155-2531
http://maya-net.jp/

質問1  改変に反対する

質問2  9条の改変は、戦後60余年、非戦の姿勢を貫いてきた日本の平和国家を目指す方向性を逆行させるものである。
国際社会の中で、唯一の被爆国である日本だからこそ、憲法9条は堅持しなければならない。
子どもたちを戦争にはおくらない。


■小川 勝也 (民主 北海道)
info@ogawa-k.net
http://www.ogawa-k.net/

質問1  改変に反対する

質問2   まず、国民的な論議を欠いた憲法改正論議です。
憲法は理念であると共に、国民の権利を保護し、政府の権力を規制するもの。
政府は憲法を遵守する義務があります。
政府からの提案には、国民の同意や理解を得たものとはいえず、反対です。
また、9条の理念を生かして行くべきと思います。
二次大戦後への反省に立ち日本の戦後外交は憲法の理念を堅持してきました。
今後も外交の基本とし、国是としての平和主義を掲げるべきです。


■牧山 ひろえ (民主 神奈川)
FAX 045-226-2393
http://www.makiyama-hiroe.jp/

質問1  改変に反対する

質問2  武力の行使では平和維持はできない


■米長 はるのぶ (民主 山梨)
info@harunobu.net
http://www.harunobu.net/

質問1  改変に反対する

質問2  フジテレビ記者として、世界の紛争地域から(イラク、アフガニスタン、イスラエル他)映像を日本へ中継する中で、「戦争」の悲惨さをこの目で見て来た。
「戦争は政治が引き起こす」の思いを持っている。
9条を戦争につながり得る方向で変えられる恐れがあり反対。
自衛隊の海外活動は認めない。
集団的自衛権は行使すべきでない。


■かがや 健 (民主 千葉)
FAX 043-285-2271
http://www.kagaya-ken.com/

質問1  改変に反対する

質問2  1.戦前回帰的発想の強い「自主憲法」制定を掲げる自民党の政権、もしくは自民党中心の政権下での改憲に反対である。
2.「9条」は、第二次大戦への反省と、日本人の戦争体験から、圧倒的多数の日本国民に支持されていると考える。


■ひめい ゆみこ (民主 岡山)
himei@mbs.ocn.ne.jp
http://himei.jp/

質問1  改変に反対する

質問2  世界に冠たる平和憲法の条文であるから


■三輪 のぶあき (民主 比例区)
FAX 052-896-1430
http://www.miwa-n.jp/

質問1  改変に反対しない

質問2  解釈拡大で憲法を使うのはよくない


■塚田 一郎 (自民党 新潟)
t-ichiro@au.wakwak.com
http://www.t-ichiro.net/

貴重な問題提起としてありがたく受け止めさせていただきます。しかしながら、この場で具体的な回答ができない失礼をお許し下さい。今後、より良い日本となります様、貴会のご活躍をご期待申し上げます。私もご質問内容について真剣に向き合って参ります。


■大河原 まさこ (民主 東京)
info-om@ookawaramasako.com
http://www.ookawaramasako.com/

質問1  改変に反対する

質問2  憲法議論でたえず焦点となってきた9条について、自衛権の名のもとでの戦争や、国連決議によらない海外での武力行使を認めるような改憲には強く反対します。
しかし、いくら9条の文言だけを墨守してみても、時々の内閣の都合による解釈変更などによって憲法の条文と実態との乖離が著しくなっているのも事実です。
政府が行う自衛権の行使や国際協力などについて国民がきちんとした歯止めを設けていくという観点が必要です。

(回答以上)

(最終更新 2007年6月12日 02:19)
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 私の昨日の記事をご紹介いただき、ありがとうございます。
 貴兄の記事の趣旨の通り、今、年金問題が揺れる中、それはそれとして、改憲を正面から争点化するといい、自らも反動的法案を強行採決で強引に通してきた、安倍首相に対する審判を、憲法を考える立場から下すべきときに来ていると思います。
 予想通り、サミットから帰った、安倍は、改憲の争点化の事実上の取り下げを黙認した状態ですが、安倍の本質が変わるわけではなく、既に表明されている、安倍の反動的、時代錯誤的反動改憲は、この参院選で審判を受けるべきです。
 ですから、私達護憲派は、売られた喧嘩なのですから、今更相手が尻尾を巻こうと、とことん憲法議論をして、意識を高めて、安倍を追い詰め、追い落とすべきなのです。
 理論武装を得意とする私のブログでは、今日はその記事を残してあります。是非、お越しください。
 kojitaken氏も、時宜を得たエントリー、さすがだと思います。

2007.06.11 13:14 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

産経新聞社の「正論」はともかくとして、文藝春秋社の「諸君!」「文藝春秋」さえもここにきて論調を変えてきたように思います。あれほど若者の右傾化に貢献した小林よしのり、改憲の旗を振った小林節の両小林がコロっ!となったのですから、恐れることはありません。今までどおり堅実に行きましょう!

2007.06.11 17:11 URL | ヒトシ #eCsBD4cM [ 編集 ]

kojitakenさま、「ツァラトゥストラはこう言っている?」のブログにコメントいただきありがとうございました。

一枚岩の公明党が自民党を支える構図が、分かりやすいデータで示されているエントリーがありましたので「アヴェスター」のブログの方からTBさせていただきました。

http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-entry-157.html

余談ですが、「古典ブログ」著者のテサロニケ氏が微妙に動き始めた感じがありますね。ある意味、面白くなってきました。

2007.06.12 03:45 URL | Zarathustra #- [ 編集 ]

とても面白かったです。小林よしのりには、驚きました。アベからかなり距離をとりましたね。見限ったのですか。改憲派やウヨクでも、ずいぶん、いろいろですね。
「反戦な家作り」のアンケートは興味深いです。本来は、改憲派の多い民主党だと思いましたが、国民投票法を自公が強行採決してから、国民の改憲への警戒感を感じ取ってくれたのでしょうか。

2007.06.12 20:53 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

TBありがとうございます.
今日はどうもTBが通らないみたいなので...
護憲候補者リストに少し追加があります.
http://exodus.exblog.jp/5928637/

2007.06.19 23:16 URL | exod-US #3ShXLHts [ 編集 ]













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