きまぐれな日々

松岡利勝前農水相の自殺は、なんともやりきれない事件だ。自らの内閣を維持するための安倍晋三首相の思惑によって、本心では辞めたかったのに辞められなかった松岡大臣が心理的に追い詰められ、死を選んでしまったことは疑う余地がない。

この件に関して、鈴木宗男氏の談話がマスコミで報道されている。下記は毎日新聞の報道。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070530k0000m010053000c.html

以下引用する。


鈴木宗男氏:松岡氏は国対の指示で黙っていた、と明かす

 新党大地代表の鈴木宗男衆院議員は29日までに、自らのホームページ上で故松岡利勝農相が自身の事務所費の問題などについて「今は黙っていた方がいいと国対(自民党国会対策委員会)からの、上からの指示なのです。それに従うしかないんです」と鈴木氏に語っていたことを明らかにした。

 鈴木氏は自民党所属時代から松岡氏と懇意で、鈴木氏によると、今月24日夜にも東京都内で会食した席上、鈴木氏が「国民に心からのおわびをしたらどうか。国民に土下座し、説明責任が果たされていなかったと率直に謝った方がいい」と進言。これに対し、松岡氏は「自分も謝りたいが、今は黙っているしかない。政府方針も決まっているので、私が何か言うとおかしくなる」とも語ったという。

 これに関して、自民党の中川秀直幹事長は29日の記者会見で「国対に確認したが、そういう事実は一切ない」と否定。また、塩崎恭久官房長官も同日の会見で、松岡氏の事務所費問題で、首相官邸側が答弁内容を指示したかどうかについては「ありません」と否定した。【小山由宇】

(毎日新聞 2007年5月29日 19時44分)


いかな大嫌いな政治家ではあっても、死など選んでほしくはなかった。生きて罪を償ってほしかった。だが、自民党が、政府が、安倍晋三がそれを許さなかったのだ。

松岡大臣の自殺をどのようにメディアは報じるかを、私は注目していた。特に安倍晋三の責任をどこまで追及するかに関心があった。昨日のエントリで明記したように、私は安倍内閣は総辞職すべきだと考えているが、そこまでは書かずとも、安倍の責任を厳しく追及するだろうと予想していた。

しかし、マスコミの報道は予想よりはるかに腰の引けたものだった。

特に呆れたのは読売新聞の社説であって、5月29日付の同紙社説 『松岡農相自殺 悲惨な死が促す政治の信頼回復』 は、安倍の責任に全く触れていないばかりか、「今国会は、事務所費ばかりが問題になっているが、民主党の角田義一前参院副議長が北朝鮮と密接な関係のある団体から献金を受けていた事実は、はるかに重大だ。こうした問題の究明が、きちんとなされていないのは解せない」などと、矛先を民主党に転じている。

朝鮮総連傘下の団体から角田議員への献金が、大した問題ではないなどというつもりは毛頭ないが、松岡大臣が絡んだ疑惑が持たれている緑資源機構の談合疑惑に関しては、自殺者が3人も出ているのだ。これを無視して、民主党議員を攻撃する読売の社説は、どう考えても異常だ。

同じ日の産経新聞の社説 『松岡農水相自殺 政治とカネに蓋をするな』 は、読売の社説よりよほどまともで、
「松岡氏を閣僚に起用し、疑惑を追及されても擁護してきた安倍晋三首相の責任も小さくない。参院選を控え政権にとって大きなダメージだ」、
「閣僚を更迭した場合のメリットとデメリットを計算し、批判を受けることも承知の上で、あえて政治的判断をしたのだろう。結果的には政権運営上の失策といわれても仕方ない」
などと、手厳しく安倍を批判している。

もちろん、これで当たり前というより、産経新聞でさえこの程度の社説を書くということだ。読売新聞の社説がいかに異常か、よくおわかりいただけるだろう。
おそらく、読売の社説には、ナベツネの強い意向が反映されているのだろうと想像するが、ナベツネも耄碌(もうろく)したものだというのが率直な感想だ。

他に呆れたのは、日刊スポーツに出ていた政治評論家・浅川博忠のコメントだ。
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070529-205737.html


 政治評論家浅川博忠氏は「参院選の“お荷物”がなくなって、与党にとっては『災い転じて…』となるのではないか」と言い切る。「野党は苦し紛れに『なぜ辞めさせなかった』と追及するかもしれないが、インパクトは大きくない。死者にむち打つようなことはしにくく、野党は攻め道具を失った」と指摘した。

(日刊スポーツ 2007年5月29日7時50分)


「災い転じて」のあとにくる文句は、当然「福となす」だ。つまり浅川は、松岡大臣の自殺が自民党に「福」をもたらすだろうと言っているのだ。あまりに非常識なコメントに開いた口がふさがらなかった。浅川という男もまた、人の命の重さをこれっぽっちも感じることのできない人間なのだろう。こんな談話を掲載する日刊スポーツ編集者の良識も疑わざるを得ない。

安倍晋三といい読売新聞論説委員といい浅川博忠といい、これほどまでにも人の命を軽視する人たちが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)していることに、戦慄を禁じ得ない。


[追記]
(2007.5.30 1:10)

石原慎太郎が、松岡大臣の自殺を評して、
「何があったか知らないが、死をもって償ったという意味では、彼もサムライであった」
などとほざいたそうだ。
石原もまた、人の命を軽視する人間だということだ。こんな男を都知事に三選した東京都民の民度の低さを、改めて嘆かずにはいられない。


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 おはようございます。
 浅川の妄言は、私もネットで読みました。単純な発想ですね。
 読売の社説は、本当にアベコベですね。まぁ読売を読む人は社説など読まないと思いますので、影響は無いでしょう。
 あと、立花隆氏によると、松岡農相自殺の10日ほど前、地元の熊本で、松岡農相の秘書が自殺しているそうです。闇の部分に通じた秘書だったそうです。
 安倍が殺した人間の数は増える一方です。

2007.05.30 06:12 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

最近、読売新聞が購読をテレビCMで流していますが、自社の社説の酷さを直すほうが先決だと思います。主権在米推進のための読売新聞の購読は、コイズミ以降アベ内閣に政治献金しているのと同じです。BSE牛輸入拡大、米軍基地再編絶対協力、平和憲法放棄、
読売新聞は、まさに国売り新聞です。

2007.05.30 12:50 URL | scotti #- [ 編集 ]

読売の馬鹿社説といえば、3年前、プロ野球選手会がストを打ったときの「3日連続選手会攻撃社説」が有名です。
読売と同じくプロ野球球団を所有する中日(東京)新聞でさえ、選手会のストに一定の同情を示していましたから、圧倒的な世論に逆らう読売論説委員の異常さが目立ちました。

2007.05.30 16:22 URL | n #- [ 編集 ]

はじめまして、ガイチと申します。
先週末に出た内閣支持率の低下に慌てたのかどうかはわかりませんが、今週に入ってから讀賣の社説の酷さは目に余ります。今日の社説も読むに堪えないものでしたが、讀賣の社内では、こうした上層部の常軌を逸した言動への不満とか無いんでしょうかねぇ。

2007.05.31 14:10 URL | ガイチ #- [ 編集 ]













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