きまぐれな日々

5月17日の記事 「アベシンゾーと丸川珠代のヘラヘラツーショット(笑)」 の末尾でもちょっと触れたが、18日に衆院を通過した教育改革関連三法案について、「サンデー毎日」5月27日号にわかりやすい記事が出ているので、これを紹介したいと思う。

まず、この「教育三法案」の骨子を以下に示す。

学校教育法改正案
  • 昨年12月成立した改正教育基本法を踏まえ、義務教育の目標として「我が国と郷土を愛する態度」「規範意識や公共の精神などに基づき社会に参画する態度」などを明記
  • 組織運営強化のために小、中学校などに「副校長」「主幹教師」「指導教諭」を置くことができる
  • 教育水準向上のために学校は、教育活動などについて学校評価を行い改善を図る

地方教育行政法改正案
  • 教育委員会の法令違反や怠りにより、緊急に生徒らの生命を保護する必要が生じた場合、教委に対する文部科学省の是正指示権を新たに規定
  • 生徒らの教育を受ける権利が侵害されていることが明らかな場合に文科相が教委に地方自治法で定める是正要求を行う
  • 都道府県知事は私立学校に関する事務について教委に助言、援助を求めることができる

教員免許法改正案
  • 終身制の現在の教員免許を2009年4月1日から有効期間10年の更新制にする
  • 更新前に30時間以上の講習が必要。講習を終了しないと免許が失効

一見してわかる通り、教育の国家統制を色濃くにじませた法案だ。

三法案は参院に送付され、会期内に成立することはほぼ間違いないが、法案成立のあかつきに生じる事態をわかりやすく書いたのが、今日の記事で紹介する「サンデー毎日」の記事だ。

記事の書き出しから紹介する。

 安倍晋三首相がどうしてもやりたいこと??それが「憲法改正」と「教育改革」なのは言うまでもない。国民投票法案が参院憲法調査特別委で可決され、次の焦点は後者である。法成立の暁には現場教師の大量リストラが待ち受けるが、それだけでは済まない。可愛い子どもたちが「スローガン漬け」になってしまうのだ。まるで「少国民」のように……。

 朝にもかかわらず、"免許の書き換え"のための講習で疲れた先生が言う。
 「皆さん、昨日の夜ご飯は、お父さんお母さんと一緒に食事ができましたか」
 塾で忙しい子どもは、申し訳なさそうに下を向いている。先生は続ける??
 「脱いだ履物はそろえることができましたか」
 「免許」が運転のそれでないのは言うまでもない。
 全国の小学校低学年の教室で09年4月から、こんな光景が見られるかもしれない。そう、教育ではない。しつけ、すなわち首相のお好きな「立ち居振る舞い」である。
 「家庭や個人のことに口を出すな」「余計なお世話」などと怒ったり笑ったりしてはいけない。大まじめに、しかも日本全体で実行しようとしているのが、ほかならぬ「教育改革」なのだ。

(「サンデー毎日」 2007年5月27日号掲載 『徹底シミュレーション 改正教育三法で教師は大量リストラ死する』 より)


記事は、教育三法案の骨子などを紹介したあと、安倍の真の狙いを暴く。

 前回衆院選で圧勝した政府・与党にしてみれば、安倍首相肝いりの最重要法案。何としても成立させるのは間違いない。
 では、首相がそんなにこだわるこの法案、建前はともかく、お国のホントの狙いはどこにあるのか。
 今年3月、文部科学省の幹部を迎え、教育関係者による勉強会が都内で開かれた。いわばその道のプロばかりが集ったものだが、出席者の一人は「思わず耳を疑いました」と、次のように振り返るのだ。
 「その官僚は議論をしているうちに、法案について『私たちの意図は(子どもを)まっとうな大人にすることだけではありません。実は、まっとうな日本人に育成することにあります』と説明したのです。極めて "右寄り" だと感じました」(出席者)
 「まっとうな日本人」を育てる資格や権限が、文科省にあるかどうかという議論は別にしても、いくら内輪の席とはいえ、こんな発言をすること自体、とても「まっとう」とは思えない。逆に言えば、それだけ彼らが目指す真の狙いが理解できるというものであろう。

(中略)

 この出席者が驚かされたのは、参加者全員に配布された一枚の紙片だった。そこには、故ジョン・F・ケネディ米国大統領の有名な演説が、和訳付きの英文で記されていた。下線を引いた部分??それがすなわち、
 「わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何かできるかを問おうではないか」(大統領就任演説、1961年1月20日)
 だったという。出席者があきれ顔で言う。
 「その意味するところが、『もっと国に尽くしなさい』という趣旨を含むのなら大問題でしょう。子どもに『戦争に行きなさい』とでも言うのでしょうか」

(前掲誌より)


記事はさらに、学校教育法改正案の『義務教育』の項にある、「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」とした「愛国心」の規定を、国際基督教大の藤田英典教授の意見を引用して批判する。

 「歴史に対して『正しい理解』と殊更書いたのはなぜでしょう。歴史の理解には多様性が求められますが、『唯一、正しい日本の歴史』を規定しようとし、特定の考え方を教えるべきだとのニュアンスを含んでいます。思想・良心の自由に抵触する恐れがあるし、ある種のイデオロギー性が透けて見えます」(藤田教授)

(前掲誌より)


記事はさらに、「日の丸・君が代」強制の恐れが強まることや、教員の「免許更新制度」や、その際に最低30時間講習の受講が義務化されることの、教員に与えるストレスや現場にかかる負担を指摘している。

しかも、法案からは肝心の学習指導のテコ入れが抜け落ちており、成績がふるわない生徒が激増して、日本人の学力が低下している現状への対策が、国会審議や教育再生会議でさっぱり議論されないことを批判した上で、教育の現場の現状を下記のようにレポートしている。

 ある小学校のPTAが各家庭に配布した文書には「進んであいさつできる子を育てます」「会話のある家庭の中で思いやりのある子を育てます」などという、一見、だれも反対しないスローガンがズラリと並んでいる。
 また、別の小学校では、冬休み用に「家庭教育たしかめカード」を作成した。「ありがとう。ごめんなさいが素直に言えましたか」「元気よくあいさつや返事ができましたか」などの項目のうち、「取り組めたもの」に父母らと一緒に「○」を記入して提出するよう、子どもたちに求めている。
 「元気で明るい子」が「いい子」だというわけだ。それはそれで結構だが、これでは、「元気がなくて暗い子」は「わるい子」になってしまう。文部科学行政に詳しい井上哲士参院議員(共産)は、こう分析する。
 「まず教育現場で、『いい子』という枠にはめる。そして『いい子』がどれだけ増えたか、数値に表す学校が増えていくでしょう。簡単に言えば息苦しい学校になり、一人一人の人格を育てる教育とは正反対の方向に進みます。安倍政権は自民党内に従来ある保守・復古主義に加え、エリートとそうではない層を、教師と子どもの両者で分けようとしています。新自由主義的な発想が盛り込まれているのが特徴です」

(前掲誌より。前の段落に言及する部分などを一部書き換えました)


要は、「権力の頂点」にいる「最高司令官」の安倍晋三にとって都合の良い、権力に従順で独裁者に忠誠を誓う「明るくて良い子」を選抜し、多様性を排除して上記の枠にはまらない子どもは切り捨てるのが安倍政権の「教育改革」というわけだ。

記事は、この教育三法が、民主党の有力な支持基盤である日教組を叩いて、民主党の弱体化を狙っているのではないかと指摘している。しかし、日教組は組織力が低下しており、組合員が民主党にどれだけ投票しているかも疑問で、自民党が意識しすぎなのではないかと、同党をからかっている。

最後に、「サンデー毎日」の記事末尾を引用して、本日の記事の結びとしたい。

 いずれにしても、安倍政権にとっては、子どもを「まっとうな日本人」にすると同時に、現場教師の負担を重くすることで「政敵」を弱体化させる一石二鳥の策が、今回の教育関連三法案なのは確かだろう。
 「子どもは母乳で育てろ」とのたまわったのは、かの山谷えり子首相補佐官(教育再生担当)だが、「母乳が出ない女性に配慮が足りない」と批判を受けて撤回したのはご承知の通り。
 「美しい国」には要らないとらく印を押される「美しくない」教師、そして子どもたち??。私たちは、どうやら本気で怒る時が来たようである。

(「サンデー毎日」 2007年5月27日号掲載 『徹底シミュレーション 改正教育三法で教師は大量リストラ死する』 より)



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2007.05.22 09:47 |