きまぐれな日々

35年前の今日、1972年5月15日に沖縄がアメリカから日本に返還された。

当時私は小学生で、日本中が「沖縄ブーム」に沸き立ったことを覚えている。沖縄が返還された72年5月15日に天然記念物に指定されたイリオモテヤマネコが特に印象深いが、「復帰により今後発行されなくなるから値上がりする」と本土の一部切手商業者が投機を煽ったあげく、返還翌年の73年に価格が暴落して社会問題になった沖縄切手騒動などもあった。

しかし、Wikipediaの下記記述にもあるように、返還当時の佐藤栄作内閣がアメリカに多大な配慮をしたため、その後の長年にわたる禍根を残した。


1969年(昭和44年)の日米首脳会談で、アメリカ大統領リチャード・ニクソンが安保延長と引き換えに沖縄返還を約束したが、屋良(朝苗知事=筆者注)や復帰賛成派の県民の期待とは裏腹に、米軍基地を維持したままの「72年・核抜き・本土並み」の返還が決定し、1972年(昭和47年)5月15日に日本へ復帰した。佐藤はニクソンとの取り決めで、非核三原則の拡大解釈や核兵器持ち込みに関する秘密協定など、アメリカの利益を最大限尊重した。

また、日本政府は返還協定第7条にもとづき、特別支出金として総額3億2000万ドルをアメリカに支払った。特別支出金の内訳は、米軍政下で設置された琉球水道公社・琉球電力公社・琉球開発金融公社のほか、那覇空港施設・琉球政府庁舎、あるいは航空保安施設、航路標識などの民生用資産の引き継ぎの代金1億7500万ドルが含まれていた。県民の間からは、「これらの施設・資産は無償譲渡されるべきものであって、アメリカ政府に対価を支払うのはおかしい」といった批判が噴出したが、日本政府は取り決めに従いこの巨額の対価を支払った。このため、沖縄県民は「沖縄は日本政府によって金で買い取られた」という認識を強く持つようになったという意見もあるが、それが沖縄県民以外の日本国民の税金であることも注意しなければならない。

これらの過程は、ベトナム戦争に伴うアメリカの財政問題や貿易収支とも関係しており、アメリカ政府の支出削減のためのベトナム戦争終結(中華人民共和国との国交樹立と中華民国との国交断絶)、収入増のための沖縄返還(上述のバーター)、貿易収支改善のためのニクソン・ショックへと繋がる。しかし、二度のオイルショックで合衆国の財政が悪化すると、日本政府は思いやり予算の支出に迫られ、足元を見られ続けることになる。

Wikipedia: 『沖縄返還』 より)


また、当時私の家で購読していた毎日新聞は、沖縄返還をめぐる日本政府とアメリカとの密約を暴いたが、スクープをした西山記者が国家公務員法違反の容疑で逮捕され(「西山事件」)、これに抗議して「知る権利」の大キャンペーンを張っていた。西山記者は裁判で有罪が確定したが、現在再審を請求中である(一審で棄却されたが、現在控訴中)。当ブログでも、3月29日付記事でこの件を取り上げた。

さて、沖縄返還から35年が経過したわけだが、長い月日が経って、中央のメディアはすっかり沖縄に関心を失ってしまった。

私がそれを痛感したのは、安倍政権発足を目前に控えた昨年の9月25日に、辺野古の米軍新基地建設の準備作業のひとつである文化財調査に対して、キャンプ・シュワブ前で阻止行動をしていた平良夏芽牧師が逮捕された記事をブログに書いたときだ(『安倍政権成立目前の日、辺野古で牧師さん逮捕!』=2006年9月25日付記事)。

これは、読者からの情報に基づき、ネット検索で裏を取りながら公開した記事だが、私は初め朝日新聞、毎日新聞、共同通信などのサイトに当たったが、全然情報が得られず、はたと気づいて沖縄のメディアのサイトにアクセスして、ようやく事件の情報を得たのだった(詳細は、『沖縄の逮捕劇を報じない中央のマスメディア』=当ブログ2006年9月27日付記事=を参照)。
その後、この逮捕劇が権力に狙い撃ちされたものであることが、ほかならぬ米軍の準機関紙 "Stars and Stripes" によって明らかにされた(『やはり平良牧師は「狙い撃ち」されていた』=当ブログ2006年9月30日付記事=を参照)。

5月12日の「きっこの日記」で紹介されている、「辺野古 HENOKO 2007」 にも、この時不当逮捕された平良牧師のメッセージが収録されている。

「カナダde日本語」 でも指摘されているように、平良牧師の言葉は、穏やかで淡々としたものだが、その言葉はとても訴えかける力が強い。

私は、特に下記の2箇所に強い感銘を受けた。

まずは、学ぶだけでは平和はやってこないという訴え。以下、動画の字幕からの引用。


今でも多くの平和学習団が辺野古を訪れますし、沖縄を訪れます。平和のために、さまざまなことを学ぶということはすごく大事なことですけれども、平和は、学ぶだけではやってきません。しかし、学ぶということを目的にしてしまった人達が、辺野古で学び、「いい学びをした」と言って、満足して帰っていってしまう。このことに対して、辺野古の年寄り達も、私達も、非常に複雑な思いで多くの人達を出迎え、また見送ってきました。

「辺野古 HENOKO 2007」 収録の平良夏芽牧師のメッセージより)


そして何よりも、非暴力抵抗運動の訴え。


私達は、基地建設を止める、その決意で様々な行動をしましたけれども、その根底に大きな約束がありました。それは、完全非暴力でこのことをやり遂げるという約束です。私達は平和を作るという、大きな素晴らしい理念を持っていますが、この目的のために、暴力をふるってしまって、そしてそれを認めてしまったら、私達は軍隊と同じになってしまう。平和を作る者達は、どんな理由があっても暴力を使ってはならない、暴力で自分達の目的を達成してはならない。そのことを誓い合って、言葉も、態度も。物理的な暴力も使わないで、この基地建設を止めるというふうに決意して、戦ってきました。

(中略)

しかし、向こうはプロですから、ものすごい勢いで襲いかかって来ました。何人もの仲間達が傷つきましたし、病院に運ばれていきました。気を失って、血を流して倒れていった仲間達もいました。でも、そんな時も、私達はお互いに声をかけ合って、「今一番闘わなくてはならないのは相手ではなく自分の心の中の暴力性なのだ」と、「怒りなのだ」ということを確認しました。病院に運ばれた仲間が、無事だったと言う連絡を受けたら、彼を殴った人のところに行って、「あなたのことを憎んでいない。あなたのことを敵だと思っていない。あなたにも家族がいて、仕事をしなくてはならない事情を私達は理解している。明日もまた、ここで会うことになると思いますけれども、お互い気をつけましょうね」というふうに声をかけました。私達の阻止行動の中で、一番勇気が試されたのは、船の前に飛び込む瞬間でもなく、殴られる瞬間でもなく、殴った相手に声をかけに行く瞬間でした。でも、辺野古の仲間達は、このことをやり通すことができました。暴力に対して暴力でやり返すのではなくて、本当に紳士的な態度で、向き合い続ける。そのことによって相手がこちらを殴れなくなってくる。そういう関係を作っていくという戦いをし続けて、基地建設をまず止めて、その第一案、海上の辺野古沖に基地を作るという案は、白紙撤回にまで追い込むことができました。

「辺野古 HENOKO 2007」 収録の平良夏芽牧師のメッセージより)


これは、敬虔なクリスチャンによる、非常に感動的な言葉だ。

宗教は、時に原理主義を生み出し、悲惨な戦争を招くこともあるが、平良牧師のように平和への大きな力を生み出し得るものだと痛感したしだいだ。


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>敬虔なクリスチャンによる、非常に感動的な言葉だ

まさにその通りです。武器には武器で、暴力にはそれ以上の暴力でやり返せというネトウヨには絶対に理解できない考えでしょうね(笑)。

2007.05.15 23:40 URL | 美爾依 #- [ 編集 ]

平良さんの言葉には、そして一緒にビデオメッセージに収まっていた方々のことばには、
感銘を受けます。

今、まさに、この高潔な精神の持ち主たちに、自衛隊を使ってまで、国は、襲いかかり、辺野古に新基地を作ろうとしています。

平良さんたちと国の言うことの、どちらが平和をつくり、私たちが平和に暮らして行けるか、明らかではないですか。

それなのに、こうやってブログやMLは、情報を発信しているのに、本土のマスコミは、何をやっている?
トップニュースに殺人事件を持ってきて、国の暴挙を覆い隠し、アベの支持率アップに貢献し、日本を戦争のできる国(すでに、イラクで戦争をしている)になるよう手助けしているではありせんか。

本当に、腹立たしいですね。マスコミは、前の戦争のとき、戦争に加担したことを、忘れていないでしょうに。

2007.05.16 09:21 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

私も沖縄返還の時には小学生でした。
また当時、ウチの家では毎日新聞をとっていました。偶然ですね。
でも、その当時の私には沖縄返還の意味や、その経緯もわからなくて、ただ学校が半日で終わったのが嬉しくて、それで覚えてたのですが。

それにしても自衛隊が民衆に銃口を向けるなんて、恐ろしい国になってしまった、とつくづく思います。
何年か前に、引退された野中広務氏などは「自衛隊が国民に銃口を向けることがあってはならない」と主張しておられたのに、今はそういう良識派の人も居なくなってしまったのでしょうかね?

2007.05.17 15:17 URL | 虎豚 #X.Av9vec [ 編集 ]













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