記事は、asahi.comにも掲載されている。
http://www.asahi.com/politics/update/0313/002.html
以下引用する。
石原・浅野氏、接戦の様相 都知事選で本社情勢調査
東京都知事選が22日に告示されるのを前に、朝日新聞社は10、11の両日、都内の有権者を対象に第1回情勢調査を実施し、取材で得た情報をあわせて情勢を探った。調査時点で支持の多くが現職の石原慎太郎氏(74)と前宮城県知事の浅野史郎氏(59)に集まっており、両氏による接戦の様相を呈していることが分かった。現時点で誰に投票したいかを答えた人は6割にとどまり、情勢が不透明な中で告示後の選挙戦は激しいものになりそうだ。
都知事選には両氏のほか、共産推薦で元足立区長の吉田万三氏(59)、建築家の黒川紀章氏(72)らが立候補を表明している。石原、浅野両氏は政党推薦を受けないとしているが、自民が石原氏を、民主、社民が浅野氏を支援する態勢だ。
投票先を明らかにした人の回答をもとに情勢を分析すると、自民支持層は石原氏、民主支持層は浅野氏支持にほぼまとまっている。有権者の大多数を占める無党派層では石原氏への支持が浅野氏支持を上回っている。
一方、選挙で「都政が大きく変わってほしい」と答えた人は全体の56%に達し、この層では浅野氏が石原氏をリード。選挙に「大いに関心がある」と答えた人は47%を占め、この層では両氏の支持が拮抗(きっこう)している。投票意欲の高い層ほど浅野氏支持の割合が高めの傾向で、前回44%台にとどまった投票率の動向も焦点になりそうだ。
石原氏の都知事としての支持率は42%、不支持37%で、2月3、4日調査(支持53%、不支持35%)から支持が下落していることが明らかになった。
(asahi.com 2007年03月13日00時56分)
正直言って、告示前から石原と浅野氏が接戦という調査結果が出るとは思わなかった。浅野氏は、上々の滑り出しを見せたというべきだろう。
もちろん、これに電波媒体や保守系メディアなど 「石原のイヌ」が黙っていようはずはない。早くも、「週刊文春」と「週刊新潮」は浅野氏のスキャンダルを書き立てたし、一昨日(3月11日)のテレビ朝日「サンデー・プロジェクト」は、田中康夫と櫻井よしこを使って、浅野氏批判キャンペーンを展開した。
田中康夫は一筋縄ではいかない人物で、他の「改革派知事」を大々的に批判したこともあるし、「サンプロ」に石原と一緒に出演し、意気投合して見せたこともある。だから、今回櫻井と一緒に浅野氏批判の歩調を揃えたことは、何も驚くには当たらない。もちろん田中は石原をも批判したが、驚いたことには、櫻井も石原を支持するとは言わず、両者とも「浅野氏にも石原にもつかない」態度を表明した。もちろん、視聴者に対しては、より浅野批判が印象に残るようなイヤラシイ番組づくりにはなっていたが、先日読売新聞や産経新聞も必ずしも石原支持の論調を示さなかったことと合わせて、保守系メディアや文化人も、全部が全部石原になびいているわけではないことは、何やら暗示的だ。
出馬の意思をほのめかしていた丸山和也弁護士も、不出馬を表明した。昨日、テレビ朝日の「TVタックル」で、白鴎大学の福岡政行教授が、「丸山弁護士が出馬したら石原の逃げ切り」と予想していたが、私は丸山は出馬しないと読んでいた。既に石原の対立候補として浅野氏が最有力になって追い風が吹いており、丸山が出馬することは、彼の名声を落とし、落選後のマスメディアでの活動にマイナスになることは目に見えているからだ。おそらく、丸山自身もそう計算して出馬を見送ったに違いない。予想以上に浅野氏への追い風が強いというのが私の感触だ。
とはいえ、現時点で投票が行われたらまだ石原の得票の方が多いだろうし、石原陣営は何とか浅野氏への追い風を食い止めようと、今後さらにネガティブ・キャンペーンを強めることが予想される。闘いは今後熾烈さを増していくだろう。
さて、「週刊現代」 3月24日号に 『浅野史郎 「石原慎太郎への批判と反論」 120分』 というタイトルの、浅野さんへのインタビュー記事が掲載されている。私の住む地方では今日発売だったので、さっそく雑誌を買い求めて読んだ。
浅野さんの石原批判の概要は、当ブログで 『石原慎太郎批判(その4)?イデオロギー抜きの石原批判』 および 『石原慎太郎批判(その5)?石原慎太郎の「人権意識」』 で書いた内容とほぼ重なるものだった。
前者の記事で当ブログは、月刊「現代」 4月号に掲載された青木理さんの記事 『石原慎太郎「モノ言う知事」の品性と功罪(前編)』 で指摘された石原都政への評価を紹介した。石原都政1期目のディーゼル車の排ガス規制や銀行への外形標準課税などの仕事については、浅野さんが言うように「非常に素晴らしかった」とは私は思わないが、一定の評価を受けるに相当するのではないかと思う。そして、今の都政がすっかりおかしくなっているという点では、浅野さんに同感だ。
浅野さんは、豪華な海外出張、四男を重用する「公私混同」、浜渦武生参与(元副知事)による「側近政治」「恐怖政治」を批判し、石原の「ババァ発言」や身体障害者に対する差別発言をとらえて、『(多くの問題発言を)あれだけ繰り返すのは、失言ではなく、それが彼の主張であり価値観だからです。その意味で石原さんの発言は、柳沢伯夫厚労相の「産む機械」発言の何百倍も悪質ですよ』と指摘している(二重括弧は「週刊現代」 3月24日号に掲載された浅野史郎氏の発言、以下同様)。
浅野さんは、日の丸・君が代の強制問題については、『私も国旗や国歌は大切だと思っています。しかし、それを他人に強制するわけにはいきません。拒否する人に直ちに処罰を下す体質は問題です』と語っている。
なお、石原自身は、祝日に自宅に日の丸を掲げるわけでもなし、かつて「『君が代』は嫌いだ」と公言したこともある人物だということを申し添えておく。
石原がぶち上げた2016年の東京オリンピックについては、浅野さんは『他に取り組むべき課題はたくさんあります。都政における優先順位で言えば、オリンピックは高くない』と言っている。
また、浅野氏の業績として称えられることの多い情報公開については、『情報公開がただの「流行」だった時代は終わり、いまや常識です。東京都の情報公開度が低いのは私から見れば「非常識」です』 『「公私混同」疑惑が追及されてから石原さんもあわてて、今後、知事の接待費は公表するなど言い出しましたが、「これから」公表するのでは意味がない。過去の恥部の含め公表することが情報公開の本質なんです。それができないなら、本当の情報公開ではない』など、石原の情報公開の「付け焼刃」ぶりを厳しく批判している。
よく対立陣営から批判の対象となる、宮城県政の累積赤字の増加については、浅野氏の県知事就任当時(1993年)の国からの要請によって景気対策を実施したためだが、『県債が積み上がっていったというのは事実ですから、知事として反省すべき点はあります』と語っている。
なお、石原陣営は東京都の財政赤字が縮小していると主張するが、『特別会計や監理団体なども含めた東京都の連結での負債(借金)は、バブル経済崩壊とその後の景気低迷の影響による都税収入の落ち込み、バブル期以来の臨海副都心開発の失敗などにより2006年度末に17兆円を突破しており、都民一人当たりの負債額は約140万円と共に全国最多、現在も増加し続けている。(東京都の借金時計)』(Wikipedia 『石原慎太郎』 より)という指摘もある。「コイズミカイカク」によって、東京に本社をおく大企業の好調な業績による税収増および地方経済の切り捨てがあったにもかかわらずこのていたらくだとしたら、石原都政の経済政策こそ大失敗だったのではないかと言わざるを得ない。
都知事選に出馬する決断をした理由として、浅野さんは下記のように述べている。
民主党からの立候補要請を断った僕が、一転して立つ決断をした理由は、名前が取りざたされるうちに、「都知事選に立ってくれ」という悲鳴に似たメールがたくさん寄せられたからです。しかも半分近くが東京都以外の方からでした。
多くの人が期待を寄せてくれた僕まで都知事選を傍観してしまうと、都政だけでなく日本の政治に対する信頼感を失わせる契機になりかねない??そんな危機意識が次第に芽生え、出馬を決断したのです。
(「週刊現代」 2007年3月24日号 『浅野史郎 「石原慎太郎への批判と反論」 120分』より)
なお、この記事で紹介した浅野さんへのインタビュー記事は、全体のごく一部に過ぎない。読者の方々には、是非雑誌の記事をお読みいただきたいと思う。「週刊現代」の今週号には、他にも興味深い記事が満載されている(「kojitakenの日記」?『安倍の健康問題を書き立てる「週刊ポスト」、浅野史郎氏インタビューを載せる「週刊現代」』 参照)。どの大手紙も「御用新聞」と化してしまった現在、かつて馬鹿にされがちだった週刊誌の記事のほうが、よほど読んで得られるところが多い。
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ポストも現代も買って読みましたが、表紙がすごくて・・おばさんは恥ずかしかった。週刊誌ってバカにされるけれど、週刊誌でスクープされたことって大概、その後事件になりますから、要チェックです。今回も拉致を食い物にする安倍の様子が詳しくのっていましたね。
2007.03.14 19:56 URL | メロディ #- [ 編集 ]
田中元知事は、はっきりしなくて、イシハラキャンペーンに乗ってしますような形になったのですか。都知事に、と一時は名前が出た田中さんなのだから、はっきりイシハラはダメ!とはっきり言ってほしかったですね。浅野さん批判もしたんですか。
でも、
>先日読売新聞や産経新聞も必ずしも石原支持の論調を示さなかったことと合わせて、保守系メディアや文化人も、全部が全部石原になびいているわけではないことは、何やら暗示的だ。
なら、今後の展開に希望が持てるということですね。
浅野さんの言葉
>多くの人が期待を寄せてくれた僕まで都知事選を傍観してしまうと、都政だけでなく日本の政治に対する信頼感を失わせる契機になりかねない--そんな危機意識が次第に芽生え、出馬を決断したのです。
この言葉が、浅野さんに立候補して、とエールと送った人たちの気もちを代弁しているでしょう。
2007.03.15 09:17 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]
【岩手に生まれた者は強者の論理をとってはならないと言うこと】
浅野さんが当選すれば、石原都政の怪しい方向を正してくれると期待されているようです。
自分が言われているわけではないのに、同郷の者としては嬉しいやら恥ずかしいやらでくすぐったい気分です。
さて、民主党では岩手県民小沢一郎さんが党首となり、国政批判の先頭に立っています。
自民党では岩手の俘囚長を先祖にもつ安部晋三さんがモゴモゴやっています。
これで都知事が浅野さんとなれば、岩手県人揃い踏みとなります。
(日教組の委員長も岩手人の森越先生です。連合の代表にでもなれば森越先生も日本のキャスティングボードを握るひとりになるかもしれません。)
さて、実は郷土自慢で述べたわけではありません。
本来マイナーなはずの岩手人脈がかつて我が国の主要ポストについて活躍した時代を思い出したからです。
太平洋戦争直前、国内政治・外交・経済のあらゆる面で行き詰まりがおこり、その混乱の中、中央政界と軍で岩手県出身者・岩手縁者が台頭しました。
現在ではなかなか信じてもらえませんが、現在では平和主義者とされる米内光政と軍国主義者とされる東条英機は同じ郷土的・歴史的背景を背負っており、同じ時期に左右両極端の指導的立場を岩手県民が占めたことは実は偶然ではありません。(板垣征四郎と米内光政が中学時代からのツーカーだったことも忘れてはいけません。さらにこの人脈は何故か石原莞爾を経て宮沢賢治につきます)
話題のお偉いさんで岩手出身者あるいは岩手の縁者が目立つと、嬉しさの反面、そう言う良くなかった時代のことが思い出されて、言いようのない不安を感じてしまいます。
選挙戦を通して浅野さんは新自由主義への決別を明確にすると思います。
それで当選すれば、我が国のトレンドの大きな転換点になるでしょう。
逆に、当選後、浅野さんが新自由主義的な政策をとったり、石原的な堕落と傲慢に陥ったならば、かつて間違って歩んだ道に再びすすむことになるのかも知れないと心配もしています。
2007.03.19 10:37 URL | sonic #- [ 編集 ]
はじめまして。こんにちは!
素敵なブログですね。
更新楽しみにしています。
また遊びにきますね。
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「“浅野さんと都民が東京を語る会”2007年3月9日金曜日」集会後記者会見そのまんまインターネット放送。
仕事後、参加してきたよ。会場が広かったので、空席が少し目立ったけれど、それなり
2007.03.14 06:37 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
障害者の熱烈な「浅野さんがんばれ」の声を聞いた後、日共系heartの口汚い中傷を読むと怒りに震えずにはいられない。
阿修羅への投稿です。クエスチョンは阿修羅での僕のハンドルネームです。 阿修羅
2007.03.14 06:37 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
浅野さんに対して、これはひどい、ひどすぎる。共産党って票のためなら誹謗・中傷、嘘もデタラメも平気なんですか?
共産党ってこんな党だったんですか、。いまさらながらビックリです。 以下、「広
2007.03.16 07:14 | 雑談日記(徒然なるままに、。)