きまぐれな日々

このところ、当ブログでは連日、東京都知事選の話題を扱っている。四国の田舎者が何を言うか、と思われるむきもあるかもしれないが、私は過去にはのべ7年間ほど東京都民だった時代もある。7日と8日の記事で触れた下北沢にも友人の家があって、何度か訪ねたことがあるし、東京の西部には割と土地勘があるほうだ。

さて、62年前の今日は、その東京が大空襲に見舞われた日だ。今日は、この東京大空襲をはじめとする戦争体験を語り継ぐ目的で出版された本を紹介したい。

東京新聞社会部編 『あの戦争を伝えたい』 (岩波書店、2006年)である。

この本は、2005年の終戦60周年を機に「東京新聞」に連載された記事をまとめたものだ。3月10日の東京大空襲に関しても、『「敵国の母」祈りは海を越え』、『絵で語る「地獄の橋」』、『母への思い、悔悟の心』の3本の記事が収録されている。

ネット検索したら、著者である当時の東京新聞社会部長(現論説委員)の菅沼堅吾さんが専修大学育友会の会報「育友」に寄せた文章が見つかったので、紹介する。
http://www.ikuyuu.com/newsletter/107/p43.html

以下引用する。

『あの戦争を伝えたい』発刊に際して

『あの戦争を伝えたい』(東京新聞社会部編、岩波書店)は戦後60年の昨年、東京新聞に通年で連載された「記憶?新聞記者が受け継ぐ戦争」の企画を本にまとめたものです。世代を超えて読まれることを目指していますが、やはり戦争を知らない世代、特に若者に読んでもらいたいと願っています。『育友』で紹介できる機会をいただき、感謝しています。

実はこの本自体、20代の記者が3年前の夏から取り組んでいる企画の延長線上にあります。当時、戦争体験者への取材経験が若い記者にあまりないことを知りました。これでは報道する側が、戦争の風化を後押ししているようなものです。

8月の終戦記念日の前後だけでも毎年、20代の記者が交代で戦争体験者の記憶を受け継ぐ企画を連載しよう。社会部内で話し合い、こんな結論になりました。読者からの反響は予想以上に大きく、若い記者には励みになったようです。

戦後60年の節目の年には記者の「年齢制限」をやめて、部員全員で取り組むことにしました。1955年生まれの私が最年長という社会部の年齢構成です。 20代の記者にあれこれ言うほど、みんな戦争を知らないと反省したからです。今取材しないと直接話を聞ける機会を永遠に失ってしまう。こんな焦燥感もありました。

17人の部員が自分が知りたい戦争について取材しました。当然ながらテーマは東京大空襲、戦艦大和、沖縄戦、原爆投下、回天特攻、中国や韓国での加害、シベリア抑留、BC級戦犯、満州棄民、キリスト教徒弾圧、米兵になった日系二世などと多岐にわたりました。取材上の原則は無名の庶民にとっての戦争を伝えることです。無名の庶民の戦争は、戦死者数などの数字に置き換えられかねません。それでは「戦争とは何か」が人々の心に届くことはないでしょう。

取材には戦争体験者の記憶を自分の心に刻み込む決意で臨むことも確認しました。加害など戦争の生々しい体験を聞き出すことは簡単ではありません。「受け継ぐ」という強い気持ちがあって初めて、「話したくない」という心の壁を突破できるのです。

加害、被害の両面を含め、戦争の全体像を浮かび上がらせることができたのでは、と思っています。過去と向き合うことで今を、そして未来をどうすべきかしっかり考えてほしい。これが編者の願いです。今の日本は再び戦争に向かって歩んでいないか。戦争体験者の憂いの声が私たちの元に届いています。

在学生の感想文を読ませてもらいました。いずれも編者の想定を超える深い考察です。「願いはかなう」という希望を持つことができました。森敦さんは今も戦争中とは異なる「貧困さ」と「不自由さ」が社会にあることを指摘。「豊かな」「自由な」社会を築く決意を述べています。そのことが平和な社会を、世界を築くことにつながると分かっているのでしょう。

金城芽里さんは沖縄出身ですが、沖縄でも戦争は風化しているようです。伝えていくことより人の記憶の薄れがいかに早いかを実感しているのです。それでも「自分には関係ない」と考えず、戦争体験者の「想い」を次の世代に伝えていこうと呼びかけています。

専大に今春入学した二男に本を渡しました。読み終わった時、何を考えたか聞きたいと思っています。未来を切り開くのは若者です。その若者に自分たちの体験を伝えるのは年長者の役割です。過去の教訓を生かせず、同じ過ちを繰り返すことほど愚かなことはありません。

(専修大学育友会会報「育友」より 菅沼堅吾氏の寄稿)


この本は、できるだけ多くの方、特に若い方々に読んでほしい本だ。

当ブログでも、微力ながら戦争体験を語り継ぐ記事を時折掲載している。読者からのコメントを集めたエントリもあるので、未読の方には是非ご覧いただきたいと思う。

「きまぐれな日々」より 『コメント特集?戦争反対の小さな声』
(2006年12月23日付記事)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-208.html

リンク先の記事の中から、「あんち・アンチエイジング・メロディ」の管理人・メロディさんのコメントを再掲する。

私の父は、戦争で直接間接に妻とこどもを亡くしていますし、自分もシベリアに抑留されています。外地で暮らしていて、たまたま東京大空襲の直後に東京に戻り、焼け野原を見て敗戦を確信したと言っていました。戦争で犠牲になるのはいつも庶民です.安倍政権を支持する若者はそのことをどう思っているのかいつも疑問です。

2006.12.21 10:24 (メロディさんのコメント)

私が当ブログでしばしば書くことだが、この世には、絶対に忘れてはならない事柄というのが存在すると思う。戦争体験というのは、その最たるものだろう。
東京大空襲の日である今日、3月10日に、あらためて戦争の悲惨さに思いを致すとともに、都政を二期八年にわたって戦争大好きの極右・石原慎太郎に委ねてきた恥辱に思いを致し、きたる都知事選では、この好戦家を何が何でも権力の座から引きずり下ろさなければならないという思いを新たにしたいものだ。


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2007.03.10 17:18 URL | risppa運営事務局 #- [ 編集 ]

うちに、ボロボロの雄鶏社発行、東京大空襲秘録写真集があります。
いつ買ったものか不明ですが、多分、以前近所だった劇場が写っているから、祖母が買ったのでしょう。

その劇場の前にお堂があって、毎年慰霊祭をしているのを見かけました。朝、お堂の前にテントが張ってあるのに気づくと、戦争を知らない世代の私でも、ああ、そうか、空襲の日だと気づかせてくれました。

秘録写真集の写真家さんは、警視庁の人だったので、何とか空襲の写真が撮れたのだとか。
もし、GHQに渡していたら、もっと真実が判らなくなっていたかもしれませんね。
http://www.etmau.com/19450310/archives/cat2/index.html

図書館でたまたま見かけて借りた、マッカーサの見た焼跡っていうのも、新宿駅が、どこの田舎の駅だろうと言う感じです。
それと、バートン・ホームズの撮った明治ぐらいの日本の写真と比べたりするのも面白いです。

図書館であったら、紹介された本、借りてみます。

2007.03.11 01:35 URL | jittan #ziTXqYR2 [ 編集 ]

メロディさんのお父様も大変な経験をされたのですね。

「あの戦争を伝えたい」と言うような本は、みんな(特に若い人)が読むべき本ですね。事実ほど重いものは無いと思います。

東京大空襲・戦災資料センター(http://www9.ocn.ne.jp/~sensai/) 

というところは、イシハラがお金をケチったので、市民の募金でできて、市民が運営しているそうですが、ここに行くといいようです。

東京大空襲を計画したカーチス・ルメイという将軍は、自衛隊の育成に貢献したとの理由で勲一等旭日大綬章を受けている、ということも知って、私は驚いています。
(なんてことだ!)

沖縄でも戦争の風化をおそれ、琉球新報(新聞社)が、沖縄戦の復刻版新聞を発行しています。これを読むと、沖縄戦の民衆を見捨てた大本営の姿などもありありと浮かんできます。

戦争を繰り返さないために、こういうことはすーと継続していかなければいけない大切なことだと痛感します。





2007.03.11 09:34 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]













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東京大空襲の日に
今日はもう一つ記事を上げます。今日、3月10日は「東京大空襲」の日です。

2007.03.10 13:31 | あんち・アンチエイジング・メロディ

白馬事件の全貌
従軍慰安婦の証拠・白馬事件など に対し多くのコメントを頂き今も討論になっています

2007.03.11 12:56 | 大津留公彦のブログ2

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2007.03.20 00:36 | 大津留公彦のブログ2