きまぐれな日々

浅野史郎さんが東京都知事選への立候補を正式に表明した翌日、朝日、毎日、読売、産経、東京(中日)の5紙は、一斉に東京都知事選を論じた社説を掲載した。

不思議だったのは、5紙ともほぼ同じような論調だったことだ。すなわち、リベラル寄りといわれる朝日・毎日・中日も、政府寄りといわれる読売・産経も、いずれも石原・浅野両候補の事実上の一騎打ちとなるとの見方を示し、どちらに肩入れするでもない中立的な立場に立っている。一面に「日本よ」というタイトルの石原慎太郎の論説を時々掲載している産経新聞までもが、予想に反して中立に近い論調だったのには驚いた。

ぶざまだったのは朝日新聞であり、同紙は2月23日付の社説で民主党の菅直人代表代行に都知事選への出馬を求める社説を掲載したのだが、それを下記のような表現で取り繕っている。

 石原氏は早々と3選への出馬を表明した。ところが、最大野党である民主党がなかなか候補者を決められなかったため、私たちは社説で「東京を選挙区とする菅直人代表代行を立てて首都決戦を挑め」と主張していた。

 実際にそうはならなかったが、浅野氏が都民の声に推されるかたちで立ち、民主党は一歩退いて支援に回る。自民党も裏に回って石原氏を応援する。浅野氏と石原氏が表舞台でぶつかるだけでなく、2大政党の対立が鮮明になったのは結構なことだ。
(「朝日新聞」 2007年3月7日付社説 『都知事選―これで面白くなった』より)

朝日は、吉田万三氏と黒川紀章氏の出馬表明にも触れつつ、『首都決戦が盛り上がれば、各地の選挙も熱を帯びるだろう。候補者は真っ向から政策をぶつけ合い、各党も総力で支援することを期待したい』と、どの候補にも肩入れしない無難な表現で社説を結んでいる。

この朝日とそっくりな社説を掲載したのが毎日新聞であり、タイトルも 『東京都知事選 やっと面白くなってきた』と朝日そっくりなら、文面も朝日そっくり、『とりわけ候補者選びで場当たり的に迷走を重ね、最後は浅野氏に乗っかる形となった民主党は、その力量不足を率直に反省した方がいい』と、民主党に反省を求める一方で、石原に推薦を断られながら独自候補を立てる姿勢をみじんも見せなかった自民党を不問に付すところまで朝日とウリ二つだった。毎日新聞の記事は出来不出来の波が大きいが、この社説などは不出来な記事の典型だろう。

ここでは内容を紹介しないが、東京新聞もまた、ぱっとしない社説だった。

最近は、新聞を読んでも得られるところが少ないので、雑誌を買うことが多い。私がよく買うのは、週刊誌では「週刊ポスト」「週刊現代」「サンデー毎日」の3誌であり、月刊誌では「現代」を買うことが多い。朝日新聞社発行の「AERA」と「週刊朝日」も、朝日新聞本紙よりよほどましな記事が載っていることがあり、時々買うことがある。

「サンデー毎日」は、私がよく買う週刊誌の中でも発行部数が特に少なく、値段の割にページ数が少なくて割高感があるが、内容的にはもっとも健闘している週刊誌の一つであると、私はかねがね高く評価している。勝谷誠彦なる自称「コラムニスト」の愚にもつかない「小説」を連載しているという欠点があったが、知らぬうちにその連載も終わっていた。不人気で打ち切りにでもなったのだろうか。

その「サンデー毎日」の最新号である3月18日号に、「都知事選が面白くなってきた!!」という副題で、『浅野史郎前宮城県知事の「誤算と勝算」』という記事が掲載されている。

この記事に、2月25日に開かれた「浅野さんのハートに火をつける会」が紹介されている。「市民グループによる集会」としてマスコミで報じられた会だが、この会を実質的にプロデュースしたのは、「サンデー毎日」によると「Save the 下北沢」という団体だという。東京都世田谷区下北沢の、都と区による再開発計画については、マスコミでも報じられており、地方在住の私も聞き知っているが、これに反対しているのが前記の団体で、共同代表の下平憲治さんは、「旧来の市民運動とは違う、洗練された活動を目指してきました」と語っているそうだ。

この再開発反対運動には、下記の有名人も名を連ねているのだという。

リリー・フランキー、黒田征太郎、浦沢直樹、坂本龍一、おおたか静流、西田敏行、よしもとばなな??

下平氏は、都庁に何度も出向き、石原にも面会を求めたが、『会う必要はない』と断られ、もう知事を代えるしかない、と思い始めていたところに対抗馬として浅野さんの名前が報じられるようになり、この人なら分かってくれるのではないか、と思ったのだという。

浅野さんは、出馬表明の記者会見で、「石原都政に勘弁してくれという市民の悲鳴に似た声が聞こえている」と語ったが、その悲鳴をあげていたのが、下平さんたちだったのだ。

2月16日に開かれた、『浅野史郎さんを"東京都知事"に出馬させる会』を主催した、五十嵐敬喜・法政大教授はこう語った。

「浅野さんの名が挙がっていると聞き、出馬するよう電話しました。その時は固辞されましたが、複数の情報から、政党でなく市民が推す形なら可能性があると判断して『出馬させる会』を開いたのです」
(「サンデー毎日」 2007年3月18日号掲載記事 『浅野史郎前宮城県知事の「誤算と勝算」』より)

同誌によると、同時期に浅野氏に接触していた別の市民グループとして、「東京。をプロデュース2007」(楠典子代表)という団体もあり、この団体も2月12日に初めて浅野氏と会い、出馬を求めたのだそうだ。この団体の賛同人にも、竹下景子、根岸季衣の両氏が賛同人として名を連ねているという。

さすがは首都東京、浅野さんを担いだ原動力となった市民団体にも著名人が多くかかわっているものだと感心した。世田谷というと、やはり浅野さんへの全面支持を打ち出した「きっこの日記」のライター・きっこさんも同区在住だったと思う。

民主党と社民党が浅野さん支援を決定したが、これまで石原都政と癒着してきた民主党都議の中には、前回、2003年の都知事選でも石原を応援した馬鹿議員がおり、彼らは今回も石原を応援する構えを見せているという。今朝のテレビ朝日「スーパーモーニング」の冒頭でも、石原を推そうとしている都議のインタビューが映っていたが、ナント、この都議はテレビに顔が映っていなかった。つまり、この男は匿名で石原を支援しているも同然の卑怯者だということだ。堂々と名乗りを上げて石原を支援するのではなく、コソコソと名前を隠して石原支援・反浅野氏に走る都議がいる。これもまた民主党の一面だ。

今回の都知事選は、このような卑劣漢ともども石原都政を粉砕したいものだと、心から思う。


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 一方、戦いの構図が固まる過程で見過ごせない点もあった。

 二大政党を自任する自民党と民主党が独自の候補を擁立せず、推薦、支持というはっきりした形すらとれずに政党としての存在感を発揮できなかったことだ。
(中略)
無党派層の動向をにらんだ候補の側の政党離れに、当の政党側が対処できない実態が浮かび上がる。

 地方の首長選に政党色を持ち込むことには賛否両論がある。

 ただ、十二年に一度、参院選と同じ年に実施される統一地方選はその重要な前哨戦だ。とくに今回の参院選は「天下分け目の戦い」であり、各地の知事選が持つ意味はいつになく重い。

 地方分権推進や都市と地方の格差是正など争点も大事なものばかりだ。

 これらについて無党派層を引き付ける魅力的な政策を提示できず、選挙戦では表に立たずに後ずさりするだけというなら政党の看板が泣くだろう。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?j=0032

関西人でありながらいつも読んでる北海道新聞の社説は自民・民主ともに苦言を呈する形でした。
今回の都知事選の社説も個人的には北海道新聞が一番共感できました。

2007.03.07 23:01 URL | のと #- [ 編集 ]

なにかひっかかるのは気のせいでしょうか。悪者をやっつけるシナリオとかあるのかなぁ。

2007.03.08 00:32 URL | #- [ 編集 ]

コメントありがとうございました。

stop the 石原!の広い広がりが出来ないのが残念です。

我々は浅野氏の宮城県での問題点を指摘せざるを得ません。

オリンピック白紙、憲法九条改悪反対を明言しない以上宮城と同じことになるので支持する訳にはいきません。

2007.03.08 09:22 URL | ポラリス #ZMUMkWGc [ 編集 ]

1.「朝日」が今回の都知事選挙の本質を正直に言ってますね。「浅野氏と石原氏が表舞台でぶつかるだけでなく、二大政党の対立が鮮明になったのは結構なことだ」ってね。

2.二大政党制の「本質」は、同じ仲間同士が共産党排除に奔走するってことですね。

3.昨日の「朝日」最後の頁で「無党派をつかめ メディア戦略に躍起」って「二大政党制」を煽っている!2人は写真入りで。浅野氏は43行、石原氏は23行、黒川氏は、9行、吉田氏については、13行しか書いていない。
「浅野氏が出馬が取り沙汰されるようになった2月末、陣営は公平・平等な報道をメディア各社に要請。6日はテレビなど3社のインタビューをおなした」だって!テレビの露出度だってアンフェアーそのものだがね。

4.「朝日」は2面で五輪・新銀行・教育行政・情報公開を上げ4人を比較しているが、肝心の福祉と大型開発に伴う借金・憲法を争点にしていない。

5.7日付「しんぶん赤旗」には、浅野氏の記者会見のコメントが出ています。石原都政の継承と憲法第9条擁護の立場に立っていなかった宮城県知事時代の発言や大型開発に税金を国策に従って推進してきたことなど。

6.こういう浅野県政時代の事実を抜きに二大政党制の「政権交代」論という劇場型選挙が煽られていくのを許してはなりません!

7.安倍首相は憲法改悪推進法を5月3日に向けて強引に成立させようと動きだそうとしていますが、都知事選挙で憲法問題を争点にしないのも、安倍首相の不正献金問題黙殺も、劇場型政治・選挙と同根です!

2007.03.08 10:10 URL | コミュニスト #- [ 編集 ]

こんにちは
同じく3紙の社説を従軍慰安婦問題で評をあげました。毎日はわたしにとってはできのいい方でした。
 購読しているのですこし甘くしたかもしれません(笑)。

2007.03.08 20:20 URL | ましま #- [ 編集 ]

こんにちは。
今回の都知事選は、共産党の真の正体は自民党の応援団であることを、全国民に示す絶好の機会だという側面もある、重要な選挙です。
http://www.asyura2.com/07/dispute25/msg/342.html

そして、下北沢住民の石原都政に対する怒りが東京中に広まり、必ず石原を権力の座から追い落とすものと確信しています。

2007.03.09 03:33 URL | スパイラルドラゴン #- [ 編集 ]

スパイラルドラゴンさんへ
1.「今回の都知事選は、共産党の真の正体は自民党の応援団」って、それは戦後の歴史を見誤った判断ではありませんか?

2.勅令第730号(政治犯等の資格回復に関する件45.2.29)・宮本顕治の復権「証明書」(47.5.29)の事実をご存知でしょうか?

3.立花隆氏「日本共産党研究」(76.1号)を掲載、それを受けて民社党春日一幸委員長が衆院本会議で「治安維持法等被告事件」として宮本委員長に対する法的に決着済みの戦前のスパイ査問事件を利用した質問を行う(1.27)。稲葉法相国会で宮本復権は法的に決着ずみを認める(3.5)、春日質問の資料は鬼頭史郎裁判官が違法に宮本委員長の身分帳を網走刑務所から写し取ったことが判明(10.22)、最高裁鬼頭裁判官を国会の裁判官訴追委員会に訴追

4.何故このようなことが?72年から77年までの歴史をよ~く見ていただけると、ご理解できると思いますので概略を一覧してみます。
第33回総選挙(72.12)で共39、社118、公29、民19、自271沖縄人民党1など、「革新」の前進、72年5月小選挙区制反対運動社共公、総評など18団体中心に233団体が結集し、田中内閣の小選挙区制を断念させる、73年には社共公の政権構想が出る。第10回参院選挙(74.7)で共17、社28、公14、民5、自63など、革新前進、田中金脈で首相辞任(74.11)、第8回いっせい地方戦(75.4)で革新統治得候補知事選など37自治体で実現、革新自治体は全国で205、人口は約4700万人・約43%となる、ロッキード事件発覚(76.2)、河野洋平氏ら新自由クラブ結成(76.6)、第34回総選挙(76.12)で共19、社123、公55、民29、新自ク17、無所属19

5.現在日本共産党がどのような活動を地方と国会で行っているか、都議会ではどうか、再度検索してみてください。そうすれば「真の正体は自民党の応援団」などという暴論というか、無責任な発言はできないはずです。

6.むしろ自民党が最も恐れているのは日本共産党です。小選挙区制をつくったのも、公選法を変えてきたのも、二大政党制をつくってきたのも、日本共産党の躍進を阻むためのものです。その種の自民党の議員の発言は枚挙にいとまがありません!ぜひともお調べになってください。

2007.03.09 21:38 URL | コミュニスト #- [ 編集 ]

9日の都議会で何が起こったか!「しんぶん赤旗」と他の新聞をよ~く比較してみてください。いかにメディアがおかしいか、一目瞭然です。これで都知事戦など、政治面における二大政党制の欺瞞性=「偽りの対決構図」がつくられていませんか?

またこうした手法で憲法改正手続法が通され、憲法改悪が進められようとしているのですね!

かつて総和初期と戦後直後の歴史を踏まえ、「反共は戦争の前夜」って言われたことがありましたけど、現局面をみると、ますます真実味を帯びてきた感じがしますが・・・。

2007.03.11 09:37 URL | コミュニスト #- [ 編集 ]













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リアヨロ(リアルタイム世論調査)の、東京都知事選支持率調査を当雑談日記でも表示しておきます。
 僕も下記のコメントとともに1票を投票してきました。 とにかく石原を一日も早く引

2007.03.08 01:02 | 雑談日記(徒然なるままに、。)

従軍慰安婦問題
 いわゆる従軍慰安婦問題について米国議会の動きがあることに関し、読売、朝日、毎日

2007.03.08 20:15 | 反戦老年委員会