きまぐれな日々

一昨年末から昨年初めにかけての耐震偽装事件やライブドア事件に絡んで、安倍晋三の名前が取り沙汰されていたことは何度も指摘したが、当時から私は安倍晋三批判の記事が掲載されている雑誌を買い集め、最初は掲示板、ブログ開設後はブログでの安倍晋三批判の参考資料としてきた。

月刊誌に掲載されている記事はともかく、週刊誌の記事は玉石混淆の「石」の比率が高いため、ブログの記事に取り上げることを躊躇することが多い。しかし、こと安倍晋三批判の題材に関しては、どういうメカニズムが働いているのか、大新聞や全国ネットのテレビが全然取り上げないため、週刊誌に見るべき記事が多いように思う。

とにかく、国の最高権力者になろうとしていた人物に対する、ここまでひどい報道管制を、私はこの国ではいまだ見たことがなかった。

昨年1月17日、耐震偽装問題に絡んだヒューザー・小嶋進社長の証人喚問で、小嶋氏が安倍晋三の非公然後援会「安晋会」の名前を使って、マンション住民の不安を抑えようとしたことが明らかになっても、大新聞やテレビは「安晋会」について何も報道しなかった。「安晋会」についての報道に本当に寄与したといえるのは、「ストレイ・ドッグ」の山岡俊介氏と「週刊ポスト」だけだったと私は思う。

何度も書くことだが、特に、ライブドア事件に絡んで変死を遂げた野口英昭さんが「安晋会」の理事だったことを暴いた「週刊ポスト」(2006年2月10日号)のスクープの意味は大きい。1年前の今頃、この事件を取り上げて大々的なキャンペーンを張ったブログがあったが、「安晋会」に関して、該ブログが新しく提供した情報など何もなかった。どんなにブログの発信力が増したといっても、ソースに近いところで取材をしているプロのジャーナリストには、そうそうかなうものではない。

ただ、そうはいっても、「週刊ポスト」などの報道をきっかけに、ブログや掲示板が野口さん変死問題の徹底追及を求める声をあげた意味は小さくなかったと思う。特に、昨年2月8日付で「きっこの日記」に掲載された、「ある往復書簡」は、日本のインターネット史上に残る事件だったと私は考えている。

いずれにしても、大新聞とテレビが権力に制圧されてしまった状況下では、雑誌メディアやインターネット、あとは市民の具体的行動くらいしか、権力の横暴に歯止めをかけるものがなくなった。だからこそ、ブログで声をあげようとする者として、私は月刊誌および週刊誌に掲載される、コイズミやアベシンゾーへの批判記事にはずっと注目してきた。

結局、週刊誌の奮闘や、有志ブロガーによる「AbEnd」キャンペーンの甲斐もなく、安倍内閣は成立してしまったのだが、安倍政権成立直前の時期に頑張っていた週刊誌というと、私は真っ先に「サンデー毎日」をあげたい。

今でこそ、「週刊ポスト」と「週刊現代」が競って安倍晋三批判記事を掲載しているが、まだコイズミの「郵政総選挙」圧勝や「偽メール事件」の影響の残っていた昨年6月、安倍晋三が統一協会系の総会に祝電を送った時、「ポスト」も「現代」も、当然それを百も承知のはずだったのに、記事にしなかった。

あの当時は、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」でさえ、ネットで祝電事件が発覚して1週間が経ってから、ようやく安倍の統一協会への祝電の件を記事にしたくらい、「物言えば唇寒し」の空気が充満していた。「赤旗」が口火を切ると、少し遅れて写真週刊誌「FLASH!」が追随したものの、一般週刊誌でこれに追随したのは、私の知る限り、「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」(この3誌は同日発売)と、少し遅れた「週刊金曜日」の4誌だけだった。そして、その後も安倍批判を継続したのが「サンデー毎日」と「週刊金曜日」だった。
社民党・共産党支持者あたりをターゲットにしていると思われる「週刊金曜日」を別にすると、幅広い読者層を想定している週刊誌で、安倍晋三をマトモに批判する雑誌は、ある時期は「サンデー毎日」一誌だけだった観さえあるのだ。

「サンデー毎日」は、いうまでもなく毎日新聞社が発行する老舗の週刊誌だが、その発行部数は極めて少なく、約7万部だ。これは、「きっこの日記」の1日あたりのアクセス数と同じくらいだが、「きっこの日記」には同内容の「きっこのブログ」があるし、記事が毎日更新されていることを考慮すると、もはや「サンデー毎日」は、「きっこの日記」の十分の一程度の影響力しか持たないと私は見積もっている。しかし、その記事は決して無視できない質を誇っている。

当ブログの1月17日付記事 『年末年始に読んだ本(7)?「安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介(下)」』で孫引きしたように、安倍が早稲田大学で「小型なら核爆弾の保有(そしてその使用も)許される」というトンデモ発言をしたのを暴いたのも同誌なら、一昨年のコイズミによる「郵政解散」の直前に、竹中平蔵が、選挙に勝利を収めるための政府広報チラシの発注に、「口利き」したのではないかという疑惑を報じたのも同誌だった。

『竹中平蔵の「広報疑惑」を暴く??8月解散説浮上 大量造反で「郵政国会」一寸先は闇』
(「サンデー毎日」 2005年7月24日号)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20050713-182250.html

この件については、「口利き疑惑」そのものもさることながら、発注先の業者が作成した資料が、コイズミ内閣の支持者を「B層」と分類して、「IQが低く、具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」と定義していたのが暴露され、話題になったものだ。

もし、まだこれをご存知ない方がおられたら、スリード社の作成した資料は、下記URLから閲覧できるので、よくご覧いただきたい。

http://tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf

さて、ようやく本論に入るが、このようにコイズミやアベシンゾーの批判では実績のある「サンデー毎日」が、昨年8月13日号に、『激闘永田町 自民党内で囁かれる「小泉再登板」シナリオ』(執筆:石森孝憲)という記事を掲載している。ナナナナナント!「サンデー毎日」は、アベシンゾー内閣が発足する以前から、「ポスト安倍」を予想していたのだ。

以下、同誌の記事を引用する。

  もはや「安倍独走」の党内の流れは、誰にも止められそうにない。
  こうした中、派閥の会合などのたびに話題にのぼるのが、来夏の参院選を見据えた「安倍政権、その後」だ。安倍に干されたような面々から漏れ伝わることが多いから、少し差し引いて解釈する必要はあるのだろうが、簡単な流れを紹介すれば次の通りだ。
〈9月下旬に召集される臨時国会の冒頭に首班指名を受けた安倍は、組閣、党役員人事において「小泉流」を貫き、あくまで派閥の要求をはねつける。さらに、就任会見や所信表明演説などでも「小泉ばり」のパフォーマンスを展開。国民はその姿に期待し、ご祝儀相場もあって内閣支持率は7?8割と高くなる〉
  という「バラ色のスタート」に、それは始まる。
  しかし、その後はイバラの道をたどることになってしまうというのだ。
〈10月22日の衆院統一補選(神奈川10区、大阪9区)で2連敗し、いきなりつまずく。これを機に求心力を一気に失う安倍は、年末の予算編成作業などでも指導力を発揮できず、族議員を中心とした旧来型政策決定を黙認、内閣支持率は急降下する〉
"国民的人気"を失った安倍は怖くない。党内に「安倍降ろし」の芽が出始め、やがて悲惨な運命が待つことになる。
〈来年の通常国会が始まると、野党の攻勢も加わり、安倍政権は千鳥足のような状態に陥る。スキャンダル一つでもあれば、それに拍車がかかる。そして、春先には森政権末期の01年春のような「いつ政権が倒れるか」というカウントダウンの状況になっていく
(「サンデー毎日」 2006年8月13日号 『激闘永田町 自民党で囁かれる「小泉再登板」シナリオ』(石森孝憲)より)

現実の安倍政権は、10月の衆院統一補選にこそ2勝したのだが、仲良しクラブのような、国政をなめきった安倍の姿勢のせいか、求心力を徐々に失っていった。「郵政造反」議員の復党あたりから、安倍政権下では何をやっても許される、コイズミとは違うんだという安心感を自民党の議員に与え、教育基本法の改定の経緯に象徴されるように、議論を尽くさず数の力で与党単独採決で法案を成立させる安易な政治姿勢が、政府・与党におごりを生じさせた。その結果、閣僚らのスキャンダルや失言が続発し、それに対して安倍がいっこうに厳しく対処しようとせず、かばおうとし続けるので、政府・与党はますますたるみ切って醜態をさらし、内閣支持率は急降下した。スキャンダルは一つどころか、数限りないスキャンダルが噴出していったのである。そして、春先を待たずして、「いつ政権が倒れるか」というカウントダウンの状況になった。

前述「激闘永田町」は、コイズミの再登板を予想している。

  この後を受けて登場するのが「小泉再登板」説だ。01年の場合と同様、党内外から小泉待望論がわき上がるというのだ。安倍の「悲惨な運命」を予想する向きにとって、これは面白いシナリオではない。しかし、津島派幹部は、
「そういう状況になれば、自分たちのメンツとかプライドとは言ってられなくなる。まずは夏の参院選を乗り切ることだ。『党を守るためには小泉しかいない』というムードになる可能性はあるね。本当は小泉なんかに頼りたくないんだけど、それも仕方ないかなって」
 と苦々しく語る。
(前掲誌より)

この「津島派幹部」氏の志の低さにも呆れるが、何か月も前に週刊誌や与党の反町村派(旧森派)議員の予想した通りの末路をたどっている安倍政権は、ぶざまの一語に尽きる。

ところで、当ブログでは、昨年末の記事 『「コイズミへの回帰」ではダメだ。コイズミも安倍晋三もともに否定しよう』以来、コイズミのカムバックを阻止すべく、「格差社会」を招いた真犯人は安倍ではなくコイズミだと訴え続けてきた。

最近、毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授の協力を得て、小泉政権下の2002年以降、格差の度合いを示す「ジニ係数」が急上昇していったことを示す記事を掲載した。

『地域間格差:所得格差』「小泉政権下で拡大」実証 本社集計
(「毎日新聞」 2007年2月4日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070204k0000m010116000c.html

(リンクが切れている場合、「kojitakenの日記」をご参照下さい)

これは、コイズミ政治の犯罪性を根拠を示して暴いた、とても良い記事だと思う。ようやくマスメディアにもコイズミのパフォーマンス政治の迷妄を脱した報道が見られるようになったので、コイズミが復帰しても、以前のような熱狂で迎えられることはもはやないだろうと私は予想している。

ナガシマにも似て、動物的な勘だけは鋭いコイズミは、それを察知して、自らの名声を地に落とす再登板は避け、悠々自適のうちに「自民党がぶっ壊れる」さまを見て、人ごとのようなコメントを発し続けるのではないかと予測する今日この頃である。


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