今日の毎日新聞のサイトにも出ている。
『オバマ議員:一貫して反戦…人気急上昇 米大統領選』
(「毎日新聞」 2007年2月7日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20070207k0000e030065000c.html
以下引用する。
米民主党のバラク・オバマ上院議員(45)の人気が急上昇している。米政界に突如現れた期待の新星で、08年米大統領選ではあのヒラリー・クリントン上院議員(59)を脅かす存在だ。米メディアが「初の黒人大統領誕生か」と注目する、若手政治家とは。【ワシントン及川正也】
2日、ワシントンで開かれた民主党全国委員会の冬季大会。「イラク戦争に反対したオバマ氏です」。長身で端正な顔立ちのオバマ氏が登壇すると、約4000人の聴衆は総立ちになり、会場は拍手と歓声に包まれた。「ロックスター」と異名をとる人気ぶり。「どうやってイラクでの戦いを終わらせるか、率直な討論が必要だ。紹介の通り、私は開戦前から侵攻に反対だった」。さわやかな弁舌に再び拍手がわいた。
対照的だったのはクリントン氏。世論調査の支持率ではオバマ氏を上回る。だが、イラク戦争について話し始めると大声のヤジが飛んだ。02年秋、イラク侵攻を認める決議にクリントン氏が賛成したからだ。「当時、私が大統領だったら戦争は始めなかった」と訴えたが、説得力を欠いた。
オバマ氏は一貫してイラク戦争に反対してきた。この先見性こそ、人気を支える大きな原動力だ。5月までにイラクから米軍の撤退を始め、08年3月までに戦闘部隊を完全に撤収させるという法案を提出しており、イラク問題で民主党の先導役になりつつある。
オバマ氏をスターの座に押し上げたのは、04年夏の民主党全国大会での基調演説だ。「我々は一つの国民だ。黒人も白人もなく、共に星条旗に忠誠を誓い、米国を守っている」。イラク戦争の是非などを巡って「分断する米国」と言われていた当時、まだ無名の新人が訴えた「分断の修復」は米国民の心をつかんだ。近著「大胆な希望」では「基調演説で『一つの国民』と言ったのは、人種問題が終わったことを意味するわけではない」とも強調する。
父はケニア出身の黒人で、母はカンザス州出身の白人。両親が出会ったハワイで生まれたが、幼少時に両親が離別。はじめはジャカルタで母親と、その後ハワイで母方の祖父母と暮らした。ロサンゼルスのカレッジを経てコロンビア大学に学び、ハーバード大ロースクールで弁護士資格を取得。シカゴで弁護士として活躍していたが、96年にイリノイ州の上院議員、04年に連邦上院議員に当選し、第二次大戦後3人目の黒人上院議員となった。政治歴はまだ10年余りに過ぎない。92年にシカゴ出身の黒人、ミシェル・ロビンソンさんと結婚。2人の娘がいる。
若いころは複雑な出自と家庭環境に苦しみ、学生時代にマリフアナやコカインに手を出したことも認めている。ただ、米国で黒人の大半は奴隷制度に苦しんだ先祖を持つが、オバマ氏は違う。少年時代は白人の中産家庭で過ごした。最終的に「アフリカ系米国人」として生きると決意したが、黒人層から必ずしも支持を得られているわけではない。
黒人作家のデブラ・ディカーソンさんは「オバマ氏は黒人ではない」とオンライン・マガジンに書き、全米で論争の的になった。ワシントン・ポスト紙の調査では、黒人層でオバマ氏支持と答えたのは2割にとどまり、対するクリントン氏は黒人層の6割を固めているという。
クリントン氏が先月27日、最初の大統領選遊説で乗り込んだアイオワ州の黒人女性、マーシー・ルイズさん(36)は「ヒラリーとオバマで正副大統領をやればいい。大統領は経験がある分、ヒラリーね」と笑った。
毎日新聞 2007年2月7日 12時58分 (最終更新時間 2月7日 15時12分)
この記事にあるように、オバマ氏は、04年に連邦上院議員(イリノイ州選出)になったばかりの若い政治家で、その力量は未知数といわれているそうだが、人気は抜群で、早くも大統領選の有力候補として、ヒラリー・クリントン上院議員(ニューヨーク州選出)を急追しているそうだ。
オバマ氏は父がケニア人、母がスウェーデン系の労働者一家の出身。両親はオバマ氏が幼い頃に離婚している。彼のミドルネームが「フセイン」であるのは、彼の父および祖父がイスラム教徒であったことに由来するそうだ。
アメリカのイラク侵攻に一貫して反対し続けてきたことから、高い人気を獲得するに至ったとのことだが、その出自といい経歴といい、忘れかけていた「アメリカン・ドリーム」という言葉を思い出させるにふさわしい候補者といえると思う。
同じ「若き政治家」といっても、安倍晋三ほどオバマ氏と対極にある人物も珍しいだろう。
安倍は、元首相・岸信介の孫として、何不自由ない環境で育ちながら、家庭教師をつとめていた平沢勝栄によって、「俺が必死に勉強を教えてやったから、大学になんとか行けたんだ。俺が仕込んでやらなかったら、今頃は刑務所にでもいるんじゃないか?」と酷評された人物だ。マイノリティから実力でのし上がったオバマ氏に対し、安倍には政治家としての実力も実績も全然なかったのに、なぜか総理大臣に担ぎ上げられた。しかし、当然ながら力不足も良いところで、「ホワイトカラー・エグゼンプション」にしても「共謀罪」にしても、安倍は「導入する」と口にしたものの、世論の猛反発を食って、いずれも発言の取り下げを余儀なくされた。閣僚は好き勝手な発言を繰り返しているが、安倍は失言を重ねる閣僚を更迭することさえできず、内閣はもはや空中分解目前だ。
安倍は、かつて「アメリカを疑うのは失礼に当たる」とまで言った「属米主義者」だが、自国の政府の政策を堂々と批判することによって大衆の支持を得つつあるオバマ氏と、なんという違いだろう。なぜ、安倍のような奴隷根性の男を、日本人は総理大臣にしてしまったうえに、未だに4割近い国民がこんなものを支持しているのか。これは、われわれ日本人にとって「恥」以外のなにものでもないと思う。
ところで、この記事を書いている最中、イラクで米軍が大規模な武装勢力の掃討作戦をはじめたというニュースが飛び込んできた。
当然、安倍はこれを支持するだろうが、最終的にはイラクを思うがままに支配しようとするブッシュのもくろみは崩れ去るだろうと私は予測している。
来年のアメリカ大統領選挙は、ヒラリーかオバマかはともかく、民主党の候補が勝つだろう。ヒラリーが勝てば、アメリカ初の女性大統領誕生、オバマが勝てば、アメリカ初の黒人大統領誕生になる。もちろん、大統領選まではまだまだ時間があるので、この2人以外の有力候補が台頭する可能性もあるが、いずれにしても、ワクワクドキドキすることができる。
一方、安倍晋三内閣は間もなく勝手に倒れるだろうが、その後釜が、たとえば麻生太郎内閣であるならば、日本国民は何の期待感も政権に抱くことはできないだろう。彼我の差は実に大きい。
アメリカは、その一国主義(ユニラテラリズム)に象徴されるように、欠点も多いが、反面、今回のオバマ氏の台頭に見られる社会の活力も認めざるを得ない国だ。ブッシュのように極端なネオコンに走る大統領が出現すると、必ずその揺り戻しが生じる。
ところが、日本は、いったん流れができてしまうとどこまでもそれに流される傾向がある。
現在、ようやく反安倍晋三の機運が盛り上がってきたのは喜ばしい限りだが、今になって安倍を批判し始めた人たちは、どうしてマスコミが自民党総裁選の流れを「安倍晋三有利」に持って行こうとしている時、それに反対する声を挙げなかったのかと、もう8か月も前から「AbEnd」(安倍を「the End!」させよう)を標榜している当ブログとしては文句を言いたい今日この頃なのである。
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安倍は末期症状と言われながら、モリタクのように長期になると予想する人もいるわで、全くよくわかりませんね。それにしても、日本とアメリカの違いは、日本は四大を卒業しただけで総理大臣になれちゃうのに対し、アメリカではほとんどが大学院卒以上で、弁護士やら専門の資格を持っていることでしょう。日本の平均的学歴は高いのに、こういったトップの人間の学歴及び知能指数が低いというのは、恥ずかしいことです。総理の思考能力が欠如しているため、問題が起こるとそれに対処しきれずに徐々に崩壊していく安倍内閣。こんな内閣に税金を無駄遣いされているのですから、国民はもっと怒りをぶつけるべきなのに、がまんしてしまっている。というか、TV番組やマスコミに騙されてしまう。悲しい現実です。
2007.02.08 06:49 URL | 美爾依 #- [ 編集 ]
久間大臣は、米軍再編に関して沖縄は感謝せよ、などと言って、沖縄県民の反感をかったけれど、イラク戦争とアメリカを批判しています。その真意はよくわかりませんが、イラク戦争が間違いだったことは、正しいです。
これを首相を始め、政府与党関係者が誰も言わなかったこと自体が異常な国ですが、今回の掃討作戦という名も大虐殺も、安倍政権は、非難もせず、ひたすら空自で協力するのでしょう。
イラク戦争開戦理由のウソもばれ、日本は
参戦していると同様のことをしているのに、
ひたすら対米追従しか能がない政権は、それだけでも退場すべきです。
オバマ氏のような議員のいるアメリカは、これからちょっと期待できますね。
揺り戻しができる国は、希望が持てます。
それに引き換え、
>日本は、いったん流れができてしまうとどこまでもそれに流される傾向がある。
ですね。
2007.02.08 09:13 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]
興味深いことを書いていますよね。僕は、米人なんですけれども、日本語で、環境問題と米国2008大統領選挙をめぐってブログを書いているからよかったら見てください。
http://renaldo.4.dtiblog.com/blog-entry-733.html
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