きまぐれな日々

朝日新聞の世論調査でついに安倍政権の支持率が39%を記録し、主要マスコミの調査としては初めて40%を割り込んだ。
安倍内閣の今後を占う指標として、支持率40%が一つの目安とされていたから、この数字は安倍晋三にとっては痛手だろう。そろそろ、自民党内からも「安倍下ろし」の動きが出ることにも期待したい(笑)。

各週刊誌も、活発な安倍批判記事を載せるようになった。
どういうわけか、このところ「週刊現代」がやや精彩を欠くのだが、「週刊ポスト」「週刊朝日」「サンデー毎日」といったあたりが、毎号のように安倍批判記事を載せている。

簡単に紹介すると、「週刊朝日」の2007年1月19日号には、『囁かれ出したポスト安倍 その顔ぶれ』というタイトルの記事が掲載されており、鳥越俊太郎、森永卓郎、橘木俊詔、和田秀樹、やくみつるの五氏が、安倍政権の採点、辞める時期、ポスト安倍には誰が良いか、政治家に限らず日本を良くする首相は誰かという質問に答えている。さすがに、最後の問いに「きっこさん」と答えた人はいないけど(笑)。

ちなみに、鳥越さんは「40点、参院選敗北で退陣」、森永さんは「0点、5年くらい続く(!)」、橘木さんは「評価不能、参院選敗北で退陣」、和田さんは「55点、参院選または衆院選で退陣」、やくさんは「5点、参院選までに退陣」と予想している。
森永さんは、「0点」の安倍内閣が5年も続く、と予想しているのだが、そんなことになったら日本は滅びてしまうではないか。もっと言論人として自覚を持ってほしいと思う今日この頃である(笑)。←ジョークなので突っ込まないでくださいね

同じ「週刊朝日」の2007年1月26日号と、「サンデー毎日」の同1月28日号は、安倍政権がやろうとして引っ込めた「ホワイトカラー・エグゼンプション」を厳しく批判する記事を載せている。また、「週刊ポスト」の同2月2日号は、「安晋会」の不透明な金集めを追及し、謎の新興宗教に行き着いたという記事を載せている。

この「週刊ポスト」の記事は、その見出しを見て、また「慧光(えこう)塾」のことかと思ったらそうではなく、下関にある「関一心寺」という新興宗教だった。統一協会や慧光塾だけではなく、また聞いたこともない新興宗教と結びついているとは、安倍晋三の人脈は一体全体どうなっているのだろうかと、呆れるほかはない。

これらの記事は、もし機会があったら改めて取り上げることにして、今回は集中砲火を浴びている安倍が、もしめでたく「AbEnd」になったとしても、その後にコイズミなんかに復活されたらたまったものではないから、安倍とコイズミを同時に批判する記事を書こうと思う。

当ブログでは、昨年11月16日に『安倍晋三につながる極右人脈』という記事で、コイズミを支持していたのが主に経済右派であるのに対し、安倍晋三は主に政治思想上の右派であると指摘した。これは、当ブログの中でも比較的評判をとった記事である。

この時は「経済右派」「政治思想上の右派」という言葉で表記したが、普通に用いられる言葉でいうと、コイズミ支持者は「ネオリベ」(新自由主義者)、アベシンゾーの支持者は「ネオコン」(新保守主義者)と言い換えられると思う。

簡単にいうと、ネオリベは、資本の増殖それ自体を目的とする「市場原理主義」の経済思想であって、経済学者・ハイエクの理論に立脚している。一方、ネオコンは国家主義的・軍国主義的な政治思想である。両者には強い親和性があり、歴史的には1979年の英サッチャー政権、80年の米レーガン政権が両方の性質を併せ持っていた。日本では、中曽根康弘がこれを目指していたと思われるが、ある時期から中曽根は柔軟な政策をとるようになったので、日本は極端なネオリベ・ネオコン政権になることはなかった。

以前のエントリで、小泉政権が日本で初の本格的新自由主義政権だと書いたが、実はそれ以前の1998年に、小渕政権が、大きく新自由主義寄りに政策を転換し始めた(但し、「本格的」というには至らない)と私は思っている。

これは何も私が自力で気づいたことではなく、1999年に栗本慎一郎が「自民党の研究」(光文社)という本の「終章」で指摘したことである。この「終章」には、「自民党が沈み、日本は焦土と化す」という不気味なタイトルがつけられている。栗本は、それまで社会主義的経済政策をとってきた自民党政権が、グローバル・スタンダードの方向へと転換したと指摘し、次のように書いている。

 自分自身の基盤があまりにも脆弱だと考えた小渕は、余命のいくばくたるかを考えざるを得ない竹下登の許可も得て、初めからアメリカの諸要望に白旗を掲げたのである。これは、自民党としても戦後保守政治としても、きわめて大きな転換なのだ。特筆すべき大きな転換だ。
 もしもこのことを自民党が全身で認めるような方向に進むなら、それは悪魔に身を売ったことになると考える自民党政治家は、少なからずいる。だからこれは、自民党において、近日中に大きな問題となっていくことだろう。

(栗本慎一郎著 『自民党の研究』=光文社、1999年=より)

不幸なことに、この栗本の予言は当たってしまった。栗本がこれを書いた1999年には、まだ小渕恵三政権下で、竹下登も生きており、まさか小泉純一郎が総理大臣になろうなどとは誰も予想しなかっただろう。自民党をアメリカに魂を売ったネオリベ独裁政党に変えてしまったのは、コイズミだった。前述のエントリで紹介した佐藤優の文章にあるように、コイズミは首相就任直後にはネオコンとネオリベの両面を持っていたのだが、次第にネオコンには関心を失ってネオリベ政策一辺倒に傾いた。もちろん、実際にはコイズミは何も考えておらず、おそるべきネオリベ政策を立案していた売国奴は竹中平蔵だったのだが。

一方、安倍晋三はネオリベとは必ずしもいえず、ネオコンへの傾斜が強い。この記事の最初の方で紹介した「週刊朝日」1月19日号の記事で、橘木俊詔氏は安倍晋三をこう評している。

本来なら政権は最初の3カ月が勝負のはずだが、どういう社会なり経済なりを念頭に置いているのか、いまもってよくわからないことにやや不安を感じる。経済にあまり関心がないのでは、と予想される。

(「週刊朝日」 2007年1月19日号『早くも囁かれ出したポスト安倍の顔ぶれ』より)

そう、安倍は経済政策になど全く興味がないのである。

世論やマスコミの集中砲火を浴びた「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、典型的な新自由主義的経済政策である。これは、本来経営層などごく少数の人たちだけに適用されるべき「成果主義」を、権限などろくすっぽ持っていない層の従業員にまで押しつけようという稀代の悪法なのだが、安倍にそんなことを解する知能などあるはずもなく、「少子化対策になる」などというボンボンの無知丸出しの発言をして、世間の嘲笑の的になったのだ。

ほんとうは安倍は、岸信介について彼がイメージしているであろう国家主義や軍国主義について興味があるに過ぎないのだ。ネオリベの経済政策になど全然興味がないから、「沖縄タイムス」の記事が紹介しているように、安倍は『日本経団連など経済三団体の新年祝賀会で「景気回復が家計にも広がる経済にしていきたいのでご協力いただきたい」と述べ、企業経営者らに賃上げを促した』のである。

これ自体は、まことに結構な発言である。これは、旧保守の発想だ。しかし、この安倍発言に対して、経済三団体の反応は冷淡そのものだったという。当たり前だろう。ネオリベは、利益を家計に還元などしないのである。安倍は、自らが協力してきた「コイズミカイカク」の正体を全く理解していなかったらしい。呆れた話である。ましてや、コイズミが「ぶっ壊す」と叫んでいた対象が、安倍の祖父・岸信介が築き上げた戦時統制経済体制(いわゆる「1940年体制」)であるなどとは、安倍は全く認識していないだろう。

だから、その酷薄な経済政策は必ずしも安倍の本心から出たものではないと私は思う。「ホワイトカラー・エグゼンプション」に代表される「国民皆殺し政策」の責めを負うべきは、安倍よりむしコイズミなのである。

私は、軍国主義的・極右的な政策については安倍晋三、新自由主義的な国民イジメの経済政策についてはコイズミを批判の中心に据えるという形で、以前のエントリのタイトルにしたように、『安倍晋三もコイズミもともに否定しよう』をモットーにして、政権批判の言論を展開していきたいと考えている。


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2007.01.28 00:15 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]













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