私などは、国富を全てアメリカに差し出し、日本国民皆殺し政策をとっている安倍内閣への支持率が今なお4割を超えているということが信じられないが、それでも、発足当初の60%台半ばから70%という数字よりは相当に下がった。
ただ、その原因を、安倍内閣の性格が小泉内閣とは異なり、かつての自民党内閣に近いからと解説する向き(たとえば12月23日付の毎日新聞など)には、私は強い違和感を覚える。それは、あまりに皮相的な見方だ。
私の感覚に近い意見を発表されているのは、森田実さんだ。ひところ、AbEndに記事をTBするブロガーの間で、森田さんの文章を紹介するのが流行ったことがあるが、最近はあまり見かけない。しかし、依然として活発な意見を「森田実の時代を斬る」に発表し続けている。その12月23日付の記事を、以下に引用する。
マスコミの世論調査の読み方はワンパターンであり、ピントが外れている。安倍の小泉離れが不支持の真の原因ではなく小泉離れが不徹底だから支持率が急落しているのだ。
新聞社・通信社・放送局が行う世論調査のなかで、私は、時事通信社の調査が最も信頼できる調査だと思っている。調査方式が個別直接面接方式であり、電話調査よりも数段すぐれている。有効回答数が、他の報道機関よりも高いのも時事通信調査の長所である。
12月の時事通信世論調査では安倍内閣支持率は、41.9%まで急落した。12月15日の東京新聞朝刊の記事で、調査内容を紹介しよう。
《時事通信社が14日まとめた12月の世論調査結果によると、安倍内閣の支持率は41.9%で、前月に比べ 9.5ポイントも下落した。10、11の両月は5割台だったが、政権発足3カ月で大きく割り込んだ。郵政造反組の自民党復党は「支持しない」が53.2%に上った。この問題や政府のタウンミーティングでの「やらせ質問」などが支持率の急落につながったとみられる。
調査は7日から10日にかけて、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回答率は67.3%だった。
安倍内閣の不支持率は27.0%で、前月比7.2ポイントアップ。政権発足以降、上昇が続いている。不支持の理由は「期待が持てない」が13.5%(前月比3.2ポイント増)とトップ。》
最近の世論調査における「安倍内閣支持率急落の原因」に関する各新聞社の分析は、「構造改革のトーンダウン」と「古い自民党への回帰」の2つに偏っている。まったくワンパターンである。情けないほど貧しい発想だ。ピントが外れている。新聞記者が思考停止に陥っている結果である。
内閣支持率急落の最大の原因は、国民が小泉「やらせ」(前)政権の情報操作で、騙されていたことに気づき始めたことにあると私は思う。
「やらせ」の政治は、嘘の政治である。小泉政治は嘘で固めた政治だった。国民は、嘘をついた政治家は絶対に許してはならない。とくに、それが首相であれば、その責任は徹底的に追及しなければならぬ。
小泉政治とは「やらせ政治」だった。国民を騙す政治だった。小泉前首相は逃げようとしてしている。絶対に逃がしてはならぬ。国会は小泉前首相を証人喚問すべきである。
(「森田実の時代を斬る」 2006年12月23日付より)
あらかじめおことわりしておくが、私は、ここに書かれた森田さんの分析自体は極端に過ぎ、多少はアベシンゾーに失望し、コイズミを懐かしんでいる人たちもいるとは思う。
真実は、安倍政権の政策のうち、コイズミ流の新自由主義政策がさらに押し進められたことが安倍政権の支持率を下げた最大の要因だと思う。そして、一部の人はそれを「安倍政権のせい」だと錯覚している。もちろん、安倍政権もその一翼を担っているのだが、実は、90年代の小淵内閣時代からアメリカの介入によって押し進められてきた新自由主義化の流れに、安倍政権の経済政策も位置づけられるに過ぎない。前にも書いたように、安倍自身は軍国主義化には熱心だが経済政策には興味がないので、周囲への丸投げが野放図な新自由主義政策推進につながり、それが弱者いじめの「国民皆殺し」政策であることが多くの国民の目にも明らかになってきた。だから安倍政権の支持率が下がったのだ。
この新自由主義化政策をもっとも強力に推し進めたのは、いうまでもなく「コイズミカイカク」をスローガンにしていたコイズミ政権である。だから、真に安倍政権の支持率を下げているのはコイズミであり、その点では森田さんの分析は正しいと思う。森田さんの分析で抜けているのは、「本当はコイズミが一番悪いのに、それを安倍のせいにしている人たちが多い」という一点だろう。
私は何も安倍を庇おうというのではない。国家主義的な政治思想に基づく極右的な政策に関しては、安倍はコイズミよりずっと悪質だ。だが、弱肉強食の経済政策の真犯人はコイズミだと言いたいだけである。
タウンミーティングのやらせについても、コイズミ政権下で官房副長官、幹事長、副幹事長(降格人事w)、官房長官と、政権の中枢にずっといた安倍晋三の責任がきわめて重いことはいうまでもない。しかし、この件に関してもっとも罪が重いのは、森田さんも指摘されているように、当時内閣総理大臣だったコイズミなのである。
どういうわけか、人気の高いコイズミへの批判は、最近解禁された観のある安倍批判と違って、今でもマスコミの間でタブーになっているように思えてならない。しかし、コイズミ批判抜きで安倍だけ批判していたのでは、新自由主義政策批判が安倍晋三批判に矮小化されてしまう。そんなことで国民の生活が良くなるはずがない。
とにかく、「コイズミへの回帰」は絶対にしてはならない。反安倍の言論を展開するにあたっても、コイズミも安倍晋三もともに否定するという姿勢が求められると思う。同じ「反安倍」だからといって、コイズミを懐かしむような輩と手を組むようなことがあってはならないと思う。
「古い自民党への回帰指向があるから安倍政権はダメだ」などというマスコミのデマには騙されないことだ。
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今朝26日のNHKニュースで、「アベの支持低下は教育改革はうまくいっているけど、復党問題やタウンメーティングのやらせが響いて、、」、という趣旨のことをアナウンサーが言っていました。まだ、こんな馬鹿なことを言って、国民をなめているのか、と腹が立ちました。これじゃNHKは、基本法改正も教育再生委員会の提言もよかった、とアベの政策を支持しているということではありませんか。koitakenさんが、「国家主義的な政治思想に基づく極右的な政策に関しては、安倍はコイズミよりずっと悪質だ。だが、弱肉強食の経済政策の真犯人はコイズミだと言いたいだけである。」と書かれたのが、正しいです。
そして「「コイズミへの回帰」は絶対にしてはならない。反安倍の言論を展開するにあたっても、コイズミも安倍晋三もともに否定するという姿勢が求められると思う。」に同感です。2人の本質が分かっている国民は、どちらも支持などしません。どちらのほうが良かったという問題ではありません。
2006.12.26 11:28 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]
非戦さん、コメントありがとうございます。
小泉の何が嫌かって、安倍なんかよりずっと心の冷たいやつなのに(安倍は無能なのに名家に生まれたばかりにスポイルされた馬鹿だとは思うけど、心底悪い奴だとは思えません)、どこが良いのか支持し、陶酔する人が多いことですね。
もし安倍がコケても、こんなのに復帰されたら元も子もないから、安倍批判と並行して「コイズミカイカク」の欺瞞を暴き続ける必要があると思います。
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今年最後を飾る決定版強烈バナー、「日本の9・11絶対に忘れない」、kojitakenさんに背中押された(かな?)(笑)
僕のココログのトップには以前に書いた「47.7%の得票率で、73%の議席獲得の
2006.12.26 12:58 | 雑談日記(徒然なるままに、。)