きまぐれな日々

月刊『現代』2006年5月号に掲載された、魚住昭氏の「追及!耐震偽装問題 "悪人"をでっち上げた霞が関の迷走と悪知恵」というレポートを読みました。19ページに及ぶ長い記事です。

筆者の魚住昭氏は、1951年生まれ、元共同通信記者のフリージャーナリストで、私は、6年前に『渡邉恒雄 メディアと権力』(2000年、講談社)を読んで以来のファンです。これまでに読んだ魚住氏の著書は、前記のナベツネの評伝以外に、『特捜検察』(1997年、岩波新書)、『特捜検察の闇』(2001年、文藝春秋)、『野中広務 差別と権力』(2004年、講談社)です。どちらかというとリベラルな立場から、鋭く対象に切り込む文章が魅力です。

その魚住氏が、耐震強度偽装問題を取り上げました。ブログがマスコミに大きな影響を与えたことでも知られる事件ですが、姉歯元建築士、イーホームズ、木村建設、総合経営研究所などを悪玉にして大騒ぎされながら、結局大山鳴動ねずみ一匹で終わりそうな気配です。

しかし、この問題が最初に報道された頃を思い出してみると、これは規制緩和の悪しき面が現れた問題だ、とされていたはずです。事件が最初に報道された昨年(2005年)11月中旬に、関岡英之著『拒否できない日本』(2004年、文春新書)を読み始めたところだったのですが、その第2章に、1998年の建築基準法改正によって、建物の安全性の審査基準が大幅に緩和されたこと(建築検査機関の民営化も含む)が指摘されていて、それが明るみになったばかりの耐震強度偽装問題の本質を言い当てていることに感嘆したものです。

その後、姉歯元建築士の風貌や、ヒューザー小嶋社長の特異なキャラクター、そして「黒幕」とされた総合経営研究所の内河健氏らが、次々とマスコミの報道を賑わす一方で、なぜか「民営化の落とし穴」を突いた論評は影を潜めていきましたが、今回の魚住氏のレポートは、この問題の原点を改めて想起させるものだったように思います。

一般誌への寄稿にもかかわらず、きっちり欄外に「主な参考資料」を掲載しているあたりが、原理原則に忠実な魚住氏らしいと思いますが、当然ながら関岡英之氏の『拒否できない日本』が挙げられています。
関連記事
スポンサーサイト
2006.04.16 23:30 | 耐震偽装問題 | トラックバック(-) | コメント(-) | このエントリーを含むはてなブックマーク