きまぐれな日々

最近は、ニュースが報じられるたび、「誰がどういう意図でこのニュースをリークしているのか」と考えるようになった。それくらい、情報の流れが妙に不自然なのだ。

それまで、北朝鮮、北朝鮮と連呼していたニュース番組から、ぱったりと北朝鮮の名前が途絶え、代わって、突如として高校の必修科目の未履修問題が声高に叫ばれるようになった。

私などは、あっ、これは安倍晋三が執念を燃やしている教育基本法改定のためのキャンペーンの幕開けだな、と最初からしらけた気持ちでニュースに接していたのだが、某有名コラムニスト氏はうれしそうにこのニュースに飛びつき、自身がネット上に持っている日記で、未履修を報じられた東北の名門公立高校の元教頭をあげつらうなど、連日この件を取り上げていた。

この話には面白いオチがある。その数日後、コラムニスト氏が卒業した高校でも未履修が発覚し、そればかりかその高校にはそもそも家庭科の教室がなく、数十年にわたって未履修がまかり通っていたことが明らかにされたのである。コラムニスト氏がいきなりおとなしくなってしまったことは、いうまでもない(笑)。

もっとも、自分が出た高校で未履修があったことなど、コラムニスト氏は百も承知ではなかったのかとも思うが、それを失念していたとしたら、コラムニスト氏自身がおそらくまともに高校の授業を受けていなかったのではないかと推測される。授業を受けていなければ、ある科目を未履修だったかどうかなど考えもしないだろうからだ。クラブの部室で、少女漫画でも読んでいたのであろうか(笑)。

まあ、「いちびり」というかお調子者のコラムニスト氏のことなどどうでも良いのだが、コラムニスト氏の出身高校は極端な例であるにしても、全国的にあちこちの学校でずっと前から行われていたに違いない「未履修」のニュースが、安倍内閣が「教育基本法」の改定を狙っているこの時期に限ってクローズアップされたことを奇異に思わないほうがどうかしていると私は思う。

フジテレビのような御用放送局は、ここぞとばかりこの件を「教育の荒廃」であるとして、「安倍内閣の唱える教育改革」の必要性へと論を進め、暗に「教育基本法改定」への道を開こうとしていた。

だが、教育基本法改定とは、いかなるものなのか。
この件に関して、どう書いたものか頭を悩ませていたのだが、星影里沙さんのブログ「憧れの風」経由で、東京新聞立花隆さんが優れた記事を書いていることを知った。ブログの記事「興味深いなwというか、自民公明のみなさん、絶対読めw」(下記URL)に全文が転載されているので、是非ご参照いただきたい。

http://yuirin25.seesaa.net/article/27431934.html

ここでは、立花さんのインタビューから、特に注目すべき部分をピックアップして再掲する。

 ――安倍政権が教育基本法改正案可決を急ぐ真意は。

 安倍首相は、日本の戦後レジーム(体制)を変えたいのだろう。根本は憲法を改正したい。戦後世代は皆、改憲を望んでいるかのように(彼は)いうが、実のところはそうではない。ただし彼は違う。岸信介(元首相)の孫だからね。岸氏は安保条約改定で、特別委で議論打ち切りの動議を出し、衆院本会議もあっという間に通した。警官を動員し、一度にやってしまった。自宅をデモ隊に囲まれた中で、祖父がいかに毅然(きぜん)としていたか、安倍首相は記憶している。安保はその後も役立っており、北朝鮮問題でも米国が日本を守っているとか、そういう発想しかない。

 ――教育基本法の改正は憲法改正のためなのか。

 大日本帝国憲法時代は、国体を根付かせるために教育勅語という当時の教育基本法を作った。親孝行をしろとか、天皇に忠義を尽くせとか、命令を並べていた。天皇のために命をささげる国家になったのは、国民にそういう教育を幼少から繰り返したたき込んだからだ。

 戦後新憲法ができたが、国民のマインドが一挙に変わるわけはない。制度を根付かせるために教育の力が必要と、新憲法とペアをなす形で作った法律が教育基本法だ。世界の普遍的な価値の下に憲法を作り、日本全体にしみ通らせるのが目的だった。前文で日本国憲法に触れ、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」とした。

 憲法改正に必要な三分の二の議席を衆参両院で得るには、憲法を正しいとする教育基本法を変えなくてはならない。「将を射んと欲すれば、まず馬から」という発想であり、憲法改正の地ならしだ。教育基本法の改正もまた、自民党の悲願だった。

 しかし、教育基本法に書かれている普遍的価値とは、フランス革命などの歴史の積み重ねから、国家より上にある価値として人類が築いたものだ。憲法と並ぶような重要な法律なのに、中身のちゃんとした議論もされていない。長くて五年、短くて数カ月の時の政治政権が簡単に変えるようなものであってはならない。

(中略)

 ――政府は「いじめ」「必修漏れ問題」などを「今の教育は崩壊している」と教育基本法の改正に結びつけているように見えるが

 それは明らか。教育の問題のすべてが教育基本法が悪い、という空気を醸成しているのが見え見え。しかし教育基本法を変えれば、全部良くなるわけではないし、そうしていけない。教育基本法をそういうふうに使い、例えば「国を愛する心」に、点数を付けてどうのこうのという話になってしまう。

 ――来週にも採決と言われている。

 それが問題だ。なぜ、そんなにあっという間に決めるのか。昨年の総選挙で自民党が圧倒的な議席を得て、今ならかねて懸案の法律があっという間に通るからという理由でしかない。米国のアイゼンハワー大統領が来るまでに安保条約を通そうとスケジュールを組んだ岸氏と同じだ。この後の政治展開はますます心配。安倍首相はますます祖父に近づいていくのではないか。

(「東京新聞」 2006年11月10日より)

立花さんが明快に指摘している通り、安倍の真の狙いは日本国憲法の改定だ。教育基本法の改定は、そのためのきわめて重要なステップであり、安倍は、それをはっきり言わず、「教育改革」の美名に隠れて、国民を騙してやろうとしているのだ。
このところテレビで氾濫する「いじめ」や「必修漏れ問題」報道は、実は安倍の意図に沿ったものなのだ。立花さんが指摘するように、ミエミエの情報操作なのだが、そのことに気づかない国民が多すぎる。いい加減に目を覚ませ、と強く言いたい。

こんな重要な案件が、あっという間に可決されたのではたまったものではない。ましてや「強行採決」なんて言語道断だ。安倍の野望は、断固としてくじかなければならない。
「なんとなく」安倍を支持している人には、「安倍支持やめますか、それとも人間やめますか?」と言いたい。

最後に、立花さんへのインタビュー記事の末尾に掲載されている、教育基本法の改定案と現行法の「前文」を転載する。よくお読み比べいただきたい。

■改正案前文

 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。

 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

 ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓(ひら)く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

■現行法前文

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。

 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。

 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

(「東京新聞」 2006年11月10日より)


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立花さんとkojitakenさんが、ご指摘の通り、教育基本法改正の狙いは、「憲法9条改正」をしたいからです。「憲法9条改正」で軍隊を持ち、「教育基本法改正」で国家、軍事をささえる国民の意識つくりをし、「靖国の国営化と天皇参拝」で愛国の母つくりです。つまり、戦争で死んだら普通は悲しいですよね。それを、国のため、天皇のために戦死することは、悲しむべきことではない、むしろ喜びとすることです。
国は、「戦争できる国」にする前に、「戦争をする国民、容認する国民、支える国民」を作りたいのです。
だって、軍隊を持っても、戦争をすることを支持する国民の意識がなければ、みんな死ぬのはいやだから、戦争が続かないですものね。だから死んだ人を英霊にしてしまうのです。
この辺のことは、高橋哲哉先生も、分かりやすく教えてくださいました。
そこを見抜けないと、憲法9条を変えるのには反対だけど、教育基本法改正には、なんとなく賛成なんてことになるんです。それは、国にまんまとだまされているんですよ、と強く言いたいです。

2006.11.14 13:05 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

 こんにちは。非戦さんのおっしゃることは、まさにその通りだと思うのですが、安倍のある意味怖いところは、「こうしたら、日本はどうなるのか?」と言う、ロゴス(論理)が無く、単に、「祖父の衣鉢を継ぐ」と言う、血統的エートスのみで動いていることです。これでは討論も議論も何も意味を持ちません。小泉政権下での自民党多数の状況下で、何が何でも通してしまおうということです。議論などする気ないのです。
 ただ、その一方で私達に有利なのは、無能な安倍は、問題解決、突発事態対処能力が無いです。ですから、今後、小泉改革のツケや、アメリカの政策変更、強硬路線への国民の反発などに、合理的に対処できずに墓穴を掘ると思われます。その瞬間を叩かねば。
 安倍の支持率は、1ヶ月6%も下がりました。これは、同時に行われた世論調査で、日本は核兵器をもつべきでない、が68%に達したことと無関係ではないでしょう。拉致問題も既に国連制裁になっている以上、補選では宣伝になりましたが、今後はもう宣伝にはあまり使えません。
 国民のまともな神経が、安倍を敗北させるのです。

2006.11.14 14:02 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

 おはようございます。眠り猫です。
 私なりの反安倍政権のための、新しい活動を始めるべくTBさせていただきました。ご覧いただいた上ご意見などあれば、お寄せください。
 よろしくお願いします。

2006.11.15 07:39 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

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2012.11.26 16:40  | # [ 編集 ]













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