きまぐれな日々

北朝鮮核実験を強行したというのは、何だかんだいっても気が重くなるニュースだ。7月5日(米国時間7月4日)のミサイル発射といい今回といい、どうして北朝鮮安倍晋三の思う壺のタイミングで脅しをかけてくるのだろうか。

この件に関して、北朝鮮をかばい立てなどしてはなるまい。ずっと以前にも書いたことだが、私は北朝鮮というのはとんでもない犯罪国家だと考えている。麻薬密輸、拉致、殺人と、北朝鮮がやっている犯罪は数え切れないほどだ。

だが、だからといって、北朝鮮の挑発に乗って、軍拡・核保有などの軍国主義路線を突っ走るほど愚かなことはない。

今日は、長ったらしい記事は書かず、太田光中沢新一のベストセラー「憲法九条を世界遺産に」より、もっとも印象に残る箇所を引用するにとどめたい。この本は、最近、本屋では安倍晋三著「美しい国へ」と並べて陳列されており、書店によっては、安倍の本より売れ行きが良いようである。

以下引用する。

日本にたった一つ残された拠り所

太田 憲法九条は、たった一つ日本に残された夢であり理想である、拠り所なんですよね。どんなに非難されようと、一貫して他国と戦わない。二度と戦争を起こさないという姿勢を貫き通してきたことに、日本人の誇りはあると思うんです。他国からは、弱気、弱腰とか批判されるけれど、その嘲笑される部分にこそ、誇りを感じていいと思います。
中沢 僕もそう思います。日本国憲法というのは、日本人のドリームタイムなんです。ドリームタイムというのは、オーストラリアのアボリジニが、自分たちの根源の場所として確保している場所のことです。そこへはめったなことではたどり着けないし、現実には踏み込めないことだってある。その場所には、恐ろしい虹の蛇が棲んでいるともいわれてるんですが、そういう場所があることを知って、そこに心を向けることで、世界は正しい方向に向かっていける。
 現実には、そんなものは存在しない。かつても存在しなかったろうし、これから先も存在しない。しかし、そういうものについて考えたり、それをことばにしたり、地上にそういうものが宿ることのできる場所をつくっておくことは、人間という生き物の生き方にとっては、とても重大なことです。それを人類は捨ててきました。ところが、日本国憲法は、ことばでできた日本人のドリームタイムなんですね。このことばでできたドリームタイムによって、日本人は今まで精神の方向づけを行ってこられたんです。
 日本国憲法の文言をそのまま守っていると、現実の国際政治はとてもやっていけないよ、というのはほんとうです。北朝鮮が日本人を拉致した。こんな国家的な暴力にどう対処するんだと憲法に問いかけても、憲法は沈黙するばかりです。いつだって神々は沈黙するんですよ。イエス・キリストだって十字架の上で、このまま私を見殺しにするんですか、と神に向かって訴えたけれど、神は沈黙したままでした。
 おそらく日本国憲法も、そういうものだろうと思うんですよね。それはことばにされた理想なのですから、現実に対していつも有効に働けるとはかぎらない。働けないケースのほうがずっと多いでしょう。でも、たとえそれでも、そういうものを捨ててはいけないんです。そういうものを簡単に捨ててしまったりしたら、日本人は、大きな精神の拠り所を失うと思います。この憲法に代わるものを僕たちが新たに構築するのは、不可能です。
太田光中沢新一憲法九条を世界遺産に」=集英社新書、2006年=より)


この本の中でも、特に印象に残った箇所である。遠藤周作の「沈黙」を読んだ人であれば、この小説を思い起こさずにはいられないだろう。

俗耳に入りやすい、好戦的で勇ましい論調に対抗するのは並大抵ではないが、こういう時こそ日本国憲法に込められた平和主義の理想を高く掲げたいものだ。


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>おそらく日本国憲法も、そういうものだろうと思うんですよね。それはことばにされた理想なのですから、現実に対していつも有効に働けるとはかぎらない。働けないケースのほうがずっと多いでしょう。でも、たとえそれでも、そういうものを捨ててはいけないんです。そういうものを簡単に捨ててしまったりしたら、日本人は、大きな精神の拠り所を失うと思います。

痛いほどわかります。
いい文を紹介してくださって、ありがとうございました。

2006.10.10 23:14 URL | 花美月 #jN/NqR4g [ 編集 ]

>日本国憲法の文言をそのまま守っていると、現実の国際政治はとてもやっていけないよ、というのはほんとうです。北朝鮮が日本人を拉致した。こんな国家的な暴力にどう対処するんだと憲法に問いかけても、憲法は沈黙するばかりです。

この箇所に、はげしく突っ込みをいれたいのですが、まずは全編読まなければ・・・

ご紹介、ありがとうございました。

2006.10.11 00:24 URL | 五件 #- [ 編集 ]

平和憲法は、絶対に失うことは、出来ません。生かすことが必要です。私も、この本を読みました。太田さんのような人が、意見を発信することが大切ですね、読者はもちろん、発信したくても躊躇している有名人肩を押すのではないでしょうか。9日の北朝鮮の地下核実験?のニュース一色です。こうやって戦争への世論を作っていくのだ、と恐ろしくなりました。核実験をやったインド、パキスタンのとき、そして、イスラエル派とっくに核を持っている。それらに対して世界は抗議を今と同じにしたんだろうか。核の被害を受けた日本は、2重基準ではなく、大国にも抗議してほしい。ただし、それがきっかけで戦争など始めるのは、おろかの骨頂。でも、今、沖縄の桟橋で、機動隊を導入して、

2006.10.11 09:00 URL | 非戦 #- [ 編集 ]

阻止行動をする市民をごぼう抜きにして、コンテナを積んだトレーラーが出て行こうとしています。
いよいよパトリオットミサイルの搬入がなされようとしています。

という速報が入ってきました。

実に恐ろしいことです。

沖縄では、米軍が、戦争、しかも北朝鮮を想定していたような訓練などがおこなわれていたそうです。

これでは、憲法を9条がなし崩しに改悪されてしまいます。危機感を持たなければ!

(この前のコメントは、途中でしかも訂正する前に送信してしまったので、読みにくくてすみません。)

2006.10.11 09:12 URL | 非戦 #- [ 編集 ]

花美月さん
コメントありがとうございます。この本の全部をお読み頂くことを、是非おすすめします。

2006.10.11 21:15 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

五件さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
仰せの「つっこみ」が、護憲の立場からもっと現実的な対応策を提示するものなのか、はたまた改憲の立場からの批判なのか、コメントだけからは拝察できませんが、いずれの場合であっても楽しみにしております。

2006.10.11 21:19 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

非戦さん
コメントありがとうございます。
沖縄へのパトリオット配備について、10月9日の「きっこの日記」が取り上げていて、平良夏芽牧師のコメントも紹介されています。
いずれにしても、安倍政権というよりアメリカの理不尽な圧力によって、日本国憲法の平和主義の理念が脅かされていますね。安倍は、わが国の国益より、アメリカの国益を優先する売国奴ですから、戦争を起こさせないためにも、「AbEnd」を成就させる必要がありますね。

2006.10.11 21:23 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

記事を引用させて頂きましたm(__)m

確かに、北朝鮮に対する強硬姿勢は、突っ走るとロクなことにならないように思います。
しかし、1994年の米朝枠組み合意の時のように、北朝鮮の暴挙に対して、金や重油などの支援を引っ張り出させられるかと思うと、どうしたものか思いますが・・・

2006.10.18 00:43 URL | ないとう@なんで屋 #vs0NW1Qw [ 編集 ]

ないとう@なんで屋さん

遅くなりましたが、コメントありがとうございます。
日本の外交ってどうかしてるんですよね。
対中国にしても、対南北朝鮮にしても、一度きっちりと謝罪して、それ以後は「過去は過去、現在は現在」という毅然とした態度をとるべきだと思います。「しょうがないから謝ってやった」みたいな態度をとるから、いつまでも謝罪を要求されるし、信用も得られないんだと思います。
北朝鮮の暴挙に対しては、決してゴネ得を許さない、という態度は必要ですね。ですが、それは米朝間の戦争を後押しするようなことであってはならないと思います。

2006.10.23 22:18 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













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極論でしょうか
仮想臨時委員会 出席:硬、乙、平、停 ・平 北朝鮮の核爆発実験が騒ぎになっている

2006.10.11 10:10 | 反戦老年委員会