だが、事態はその真逆(まぎゃく)の方向へと進んだ。まさしく悪夢のような2週間だった。それも、その大半は先週1週間に起きた。
まず、小池百合子が「希望の党」を立ち上げ、自ら党代表に就任すると発表した。これが9月25日で衆院解散の3日前。
次いで、民進党代表に選ばれたばかりの前原誠司が、事実上民進党を解党し、希望の党に合流すると発表した。衆院解散前日の27日だ。
実は私は民進党の解党には全然驚かなかったが、当初希望の党への「合流」と報じられた時には「あり得ない!」と思った。というのは、私はまだ民進党代表選が行われる前の8月2日付の『kojitakenの日記』に、下記のように書いていたからだ。
なお、仮に民進党代表選が枝野幸男と前原誠司との争いになる場合の私の予想は下記の通り。
まず枝野幸男が勝った場合、民進党は分裂するか、または右派の議員が衆院選前に大量に離党し、次の衆院選では「国民ファ★ストの会」から出馬する。
また、前原誠司が勝った場合だが、この場合も民進党が丸ごと「国民ファ★ストの会」と合併することはあり得ない。民進党とは、国ファがそうなるであろうような右派ポピュリズム政党にとっては疫病神なのだ。特に民進党内の中間派やリベラル系議員は、長島昭久や渡辺喜美や若狭勝や、その背後にいる小池百合子(小池自身は次の衆院選には間違いなく出馬しない)に排除されるだろう。民進党の看板があっては国ファには絶対に受け入れられないから、結局前原が勝った場合に起きるのは、民進党の解党だろう。「国ファ」の公認さえもらえれば、いくら「元民進」だろうが勝てることは都議選の結果がはっきり示している。ついでに書くと、無所属の推薦程度ではダメなことは柿沢幸絵が示した(ざまあ!)。
一部から、
と驚かれているこの予想だが、特に驚かれるには値しない。なぜなら、民進党の右派議員たちが自ら「解党」を言い募っていたのは周知だし、先の東京都議選でも「小池ファースト」(=「都民ファーストの会」と「希望の党」の総称として用いる。以下同様)が民進党候補者の選別した実績があるからだ。この人、8月からこんな予想をしてたのか。ほとんど当たってるし。なんでこんな先のことが見通せるのだろう。
但し、私は40歳前後の頃に大会社で人事権の濫用に私自らが振り回された経験があることから(それは2度の転職によって大都会・東京に移住する原因となった)、権力者が振り回す人事権に敏感だという特性はある。だから今回の小池百合子の「排除」劇を、まさしく「排除」という言葉そのものを用いて2か月前に言い当てることができたのだ。私の経験から言って、小池百合子は2005年の「郵政総選挙」における小泉純一郎や現総理大臣の安倍晋三と同様、もっとも強烈な独裁者で、絶対に上司に持ちたくない人間だ。だから、小泉だの安倍だの小池だのに少しでも惹かれる人間を見つける度に、私は瞬間湯沸かし器と化す。
この政変においては、小沢一郎が大きな役割を果たしたことも指摘しておかなければならない。
従来、小沢は「野党共闘」の中心人物の一人とされた。一昨年以来、「SEALDs」だかを介して共産党と小沢一郎が「手打ち」し、それに岡田克也代表時代の民進党や社民党も加わって「野党共闘」が成立した。私は当初それを馬鹿にしていたが、昨年の参院選の「激戦1人区」で「野党共闘」が11勝1敗の好成績で健闘したことから考えを改めていた。
一方で私は従来からずっと続けていた小沢一郎と「小沢信者」に対する批判も継続していたが、小沢一郎があそこまで「野党共闘」のイデオローグである学者たちの(根拠のない)信頼を得ていたとは、うかつにも認識していなかった。
もちろん90年代からの「政治改革」の旗手として、小選挙区制実現に尽力した山口二郎(山口はのちに小選挙区制の誤りを認めてはいるが)と小沢との「蜜月関係」は承知していたが、中野晃一や木下ちがや(「こたつぬこ」)といった、一般に共産党系と目されている学者たちまでもがここまで小沢に入れ込んでいたとは、という驚くべき事実を、小沢が前原誠司や小池百合子と共謀して今回の「クーデター」をしかけたあとに認識せざるを得なかった。
中野晃一はあまりTwitterへの意見表明が活発ではないが、木下ちがやはきわめて活発であり、それを眺めながら、小沢がクーデターに加担したあとになっても、小沢への幻想を捨てきれない迷走ぶりには驚かされた。
また、「野党共闘」への関わりの程度は存じ上げないが、「戦史/紛争史研究家」の山崎雅弘が発した下記のツイートには呆れたというより激しい怒りを覚えた。
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/913264796262293504
今回の小池新党騒動で一番意外な感じがするのは、小沢一郎氏が全面的にこの流れに同調していること。一部では「小沢氏が仕掛け人」との説もある。小沢一郎氏と自由党の政治的路線は、日本国憲法の理念に一番近いと思っていたが、大きな勘違いだったのかもしれない。山本太郎議員のコメントも聞きたい。
21:51 - 2017年9月27日
私は、この山崎氏のつぶやきに反応した下記河野義弘氏の下記の呟きに共感する。
https://twitter.com/jossence/status/913367267840106496
すっげぇなぁ…この二十余年、小沢一郎の何を見てきたのだろう。民意を反映せず議員たちが政局に明け暮れる主因である小選挙区制と政党助成金を作り、保守二大政党樹立がライフワークの小沢が日本国憲法の理念に一番近いはずがないでしょうに…
4:38 - 2017年9月28日
だが、多くの「野党共闘」支持者の感覚は、上記の河野氏よりはむしろ山崎氏に近いのではないか。それが証拠に、小沢一郎がここまで明白な「寝返り」をやらかした今になっても、まだリベラルや左派や左翼から、あるいは社民党や共産党といった「左派政党」からさえ、小池百合子や前原誠司を批判する言葉は聞かれても、小沢一郎に対する批判の言葉はほとんど聞かれない。むしろ、政権交代の時代には「小沢信者」の代表的ブログとみられていたブログから、もっとも苛烈かつ的確な小沢批判の言葉に接することができる。あるいは、「小沢ガールズ」の一員とされた三宅雪子のTwitterに、玉石混淆とはいえ中には有用な情報も含まれている。「野党共闘」成立以前には、あれほど激しく小沢を批判していた共産党支持者たちは何をやっているのかと、腹が立ってならない。
「野党共闘」側がこのていたらくだから、前原・小池・小沢の三者による「クーデター」の煽りを直接食らった枝野幸男らの「新党」も、今日(10月2日)の未明になって毎日新聞がようやく報じたものの、迅速な結成どころか本当に結成されるかどうかも危ぶまれる状態だ(少なくとも私はかなり危惧している)。
それもこれも、「野党共闘」にとっての「トロイの木馬」だった小沢一郎に、あまりにもリベラル・左派・左翼が入れ込みすぎたせいだ。
衆院選は、まだ出馬するかどうかわからない小池百合子が出馬しない場合は、直近2度の衆院選をはるかに凌駕する、想像を絶する自民党の歴史的超圧勝になるだろうし、小池が本腰を挙げて維新その他の新自由主義勢力との糾合などで衆院選を戦う場合には、「極右二大政党制時代」の幕開けを告げる選挙になるだろう。
しかし、このように最初から劣勢とわかっている戦いであっても、戦わなければならない時がある。枝野幸男らにとって、今がその時だ。
それさえもできないようでは、日本の将来には暗黒以外の何もない。
小沢一郎について口を閉ざしているリベラル・左派・左翼は、日本に暗黒をもたらすべく生きているに等しい、最低の生物だ。
恥を知れ!
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今週発売の週刊ポストでは日本を悪くした政治家に小沢も入ってる暇なら立ち読みをオススメする
亡くなったハマコーもタックルで小沢が日本を悪くしたと嘆いてた
小沢が莫大な借金を大昔に作ったから今の世代がツケを払うはめになった
詳しくは90年代の日米構造協議で検索
2017.10.02 20:26 URL | ねこ #- [ 編集 ]
もう御存知かと思いますが、小沢一郎は無所属で出馬します。
そもそも、小沢一郎があなたのおっしゃるような人間なら、志位和夫や小池晃あたりから怒りや怨み言の一つも出ておかしくないと思いませんか?
西松事件で、小沢一郎を徹底的にこき下ろした穀田恵二だったら何て言ったか。
小沢一郎は共産党との信頼関係を崩したりはしません。
それどころか、前原が共産党との協力関係を結べなかったら、民進党を切り捨てるとまで言ったそうです。
どうせ、あなたは『失笑!!小沢一郎、小池百合子にソデにされてスゴスゴと無所属で出馬』なんて記事を書くのでしょうね。
何をやろうがボロクソですもんね。
どうぞ、お好きなように。
2017.10.03 00:48 URL | 支持者以上信者以下 #- [ 編集 ]
小沢一郎って金丸のパシリをやってた人でしょう? パシリって人の意を汲んでいち早く動くことで評価され、いつしかそれが本性になっていく。。。もともとそういう素質があったんだと思いますけど。人の意を汲むとき、その底に潜在している本人さえも気付いていない欲望(野心とか支配欲とか)をたくみに刺激してそれにも応えようとするので、ますます気にいられる。これはパシリだけでなくオルグの要諦でもありますよね。小沢一郎は、天性のパシリ+オルグではないかと思います。
以前、結婚詐欺にあった人の多くは、自分は詐欺にあったのではない、あの人(詐欺者)は、訴え出た人はだましたのかもしれないけれど、自分には真実を尽くしてくれた、きっと私のところに帰ってきてくれると言って断固被害を認めないと聞いたことがあります。
小沢一郎の人との関係の結びかたにはこのような詐欺者と同質のものがあるのではないでしょうか。
未来の党ができたとき、あの聡明な嘉田さんが!と驚きかつがっかりもしたのですが、いっぽう人の理性の及ばぬ心の領域に在るものを感知して利用する小沢の狡知にぞっとしたことを思い出します。
世に名の知れた人を報道などの情報のみで、その人格や心理をどうこう言うのはよくないこととは思いますが、小沢だけでなく安倍にしろ小池にしろ説明や理解のむづかしい行動が多いので素人性格判断の誘惑には抗しがたいです。
2017.10.03 08:05 URL | redkitty #- [ 編集 ]
こんにちは。
気持ちはわかりますが、小沢一郎ごときに執着しても有意義なことはないですよ。案の定小池百合子に使い捨てにされているような程度ですから。
小池百合子にしても右も左も見事に振り回されていますが、しょせんはメディアが作った虚像にしかすぎません。まあ、一時の熱狂でそこそこの議席は取ってしまうかもしれませんが、盤石な組織もなく、人材も小池人気に何とかあやかりたい有象無象のポンコツばかり(若狭や細野の小物ぶりを見れば一目瞭然!)では長続きするはずもなく、賞味期限もそう長くはないでしょう。まともな人が見たら何とも馬鹿らしい限りですが、そのうち熱も冷めるのではないかと思います。そもそも、金がなくて民進党の金庫に手を突っ込もうとしているようなあさましい連中で、希望の党ならぬ泥棒の党です。
ところで、「リベラルな政策はウケるが、左翼的なイデオロギーは嫌われる」というのが今の現実です。そういう意味では、立憲民主党の目指す方向は間違っていないのではと思います。今回は厳しいですが、何とか生き残ったリベラル議員たちがまとまって、左翼的なイデオロギーを脇に置いて、地道にリベラルな政策を訴えていけば、5年後、10年後にはそれなりの勢力にはなると思います。もっとも、つまらないイデオロギーの違いでいがみあったり、変なスキャンダルを起こしたりと茶番劇を繰り返せばその限りではないですが。
今回のような逆風で生き残ったリベラル議員は選挙に強いだろうし、これからも生き残る可能性は高いです。願わくば、排除されるとも知らずにのんきに小池百合子に媚びを売っていたような菅直人や阿部知子のような偽物は淘汰されることを期待します。
2017.10.03 10:29 URL | D.J. #- [ 編集 ]
社民党県連合・独自候補の擁立を断念/岩手
>3区は元県議会議員の久保孝喜氏でまとまったものの党の全国連合に認めらなかったことから、
>結局独自候補の擁立は断念することになりました。
https://news.ibc.co.jp/item_31351.html
選挙区は目をつぶって鼻をつまんで自民に投票します。
小沢氏、無所属出馬へ 共産擁立見送り 岩手3区
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171004/k00/00e/010/195000c
>3区では、これまで県内で進められてきた民進、共産、自由、社民の野党共闘の枠組みが維持される公算が大きくなった。
3区の社民は反小沢。だから独自候補を擁立しようとしたのだ。
共産は小沢真理教に媚び売って県議選で県南で議席貰ったようなもんだからねぇ・・・。
2017.10.04 20:02 URL | 岩手3区住民 #- [ 編集 ]
自民・希望による右翼二大政党を生み出してしまった政界右傾化の戦犯の一人は、間違いなく小沢でしょう。
まあ、保守(右翼)二大政党制が悲願だった小沢が、小池女帝にあっさりポイ捨てされたのには笑いましたが。
あと、今回の前原小沢の「謀反」により、左派に潜り込んでいる民進信者や小沢信者などが「排除」されればいいとは思います。連中は自民を支持してないだけで、ネトウヨの亜種に過ぎない。
立憲民主の枝野もよく調べてみれば過去に右翼的な言動をしているし、何より出身が日本新党なんで胡散臭い。なぜか「リベラル(自称)」には救世主扱いですが。
選挙結果を見ないとなんとも言えないですが、立憲民主は社民党のように消えていくのではないかと思います。あるいは大敗した後に希望に吸収されたりして。
しかし、そうなるといよいよ大政翼賛会が現代に蘇ってしまうわけで暗澹としますね…
2017.10.07 20:27 URL | 非国民 #- [ 編集 ]
「岩手3区」という政治的に特殊な(?)土地柄に住んでいるためか、
ネット上で野党共闘でハイになっている野党支持者を見ると「何だかな~」と思ってしまう。
「野党支持者たるもの、野党共闘に少しの疑問も抱いてはいけない」という空気感が
野党支持者の間にあるような気がしてならない。
「お前の住んでいるところが特殊なだけだよ」と言われたらそれまでですが。
少ない選択肢、悩む有権者 衆院選、県内小選挙区7人
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20171006_1
2017.10.08 14:24 URL | 岩手3区住民 #- [ 編集 ]
小沢批判について
私は中道左派(もう少し左かも)に位置する者です。今も社民党支持です。
そして、現在の状況の元凶は小沢にある事も理解しています。
だから、選挙で民主党小沢代表時代すら一度も1票を投じたことはありません。そして常に批判もしてきました。
しかし安倍政権が倒れることと、格差是正を期待もありました。そして今も期待しています。
そこはブログ主さんと違います。
しかし今は「護憲」一本でとにかく共闘すべきです。期待できるのは「とりあえず」立憲民主党です。小沢批判より遙かに大切です。
今は護憲の声がより大きくなるようなプラス思考の記事を書いていただいた方が効果があるようにも思えます。
とはいうものの、私は立憲民主党にも疑いを持っています。護憲に対しての確固たるものが感じられません。なぜ、希望との対決を望まないのか?なぜ、改憲発議をストップさせる候補者を出さないのか?「将来合体するつもりでは」と勘ぐっています。
また、共産党にも護憲への強い意志が感じられません。小池(共産党)のへらへら態度にそれが感じられます。
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[小沢一郎][小池ファ★スト]「小沢一郎、無所属出馬へ 希望の党に合流せず」(共同)
やはり小沢一郎は今回の政変で前原誠司と共謀して小池百合子にすり寄ったものの、小沢だけ切られてしまったようだ。 https://this.kiji.is/287562076036727905 自由小沢氏、無所属出馬へ 希望の党に合流せず 自由党幹事長の玉城デニー前衆院議員は2日、沖縄県沖縄市の選挙
2017.10.03 07:38 | kojitakenの日記