朝日が毎週のように世論調査を打つのは、安倍政権から明確に「敵」と名指しされている(たとえばトランプと安倍が「ニューヨークタイムズに勝った」「朝日新聞に勝った」と言い合った件など)ことや、2014年に慰安婦問題で安倍にすり寄ったところそれを「飛んで日にいる夏の虫」とばかりに政権に利用された失敗に懲りて、政権との対決姿勢を明確に打ち出したことと関係があるのだろう。
それよりも安倍晋三にとって打撃になったのは、政権と一体になっているはずの読売新聞の世論調査で、内閣支持率が2か月で25ポイントも暴落してしまったことかもしれない。最新の読売の調査による安倍内閣の支持率は36%で、前回(6月17〜18日)から13ポイント、前々回(5月)と比較すると実に25ポイントの下落となった。不支持率は52%で、朝日の調査と同様に、支持率と不支持率は第2次安倍内閣発足後最低と最高をそれぞれ記録した。
支持率の数字の低さでいえば、NNNの調査結果(下記URL)がもっとも低い。以下、NNNのサイトより引用する。
http://www.news24.jp/articles/2017/07/09/04366547.html
内閣支持率急落…政府・与党に危機感広がる
2017年7月9日 20:02
NNNが週末に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は前月比7.9ポイント下落して31.9%となり、2012年12月の第2次安倍政権発足以来、最低を更新した。首相官邸前から青山和弘記者が伝える。
安倍政権で入閣経験もある自民党のベテラン議員は、この支持率に「えー」と驚きの声を上げた。政府・与党内には危機感が広がっている。
政府・与党内には都議選の結果からも、ある程度、厳しい数字を予想する声はあった。しかし、第2次安倍政権発足以来最低だった2015年8月を6ポイント近く下回る支持率には衝撃が広がっている。
自民党のベテラン議員は「おととしは安全保障関連法をめぐる政策論だったが、今回は政権への不信感だ。早く対応しないとまずい」と語っている。与党・公明党の幹部は「自民党全体で危機感が足りない」と嘆いているが、政権幹部は「内閣改造をすれば、がらっと雰囲気が変わる」と来月上旬にも行われる内閣改造の効果に期待を寄せる。
しかし、交代は避けられないとみられている稲田防衛相など閣僚の顔の入れ替えが、どこまで政権浮揚につながるかは不透明。政府・与党内には「小手先の内閣改造では乗り切れない」との声も相次いでいる。加計学園の問題などに対する安倍首相の説明責任をどのように果たすのかなど、信頼回復に向けた政権の対応が問われることになる。
一方、野党・民進党の幹部は「国民が総理の言葉を信じられなくなっている」などと攻勢を強めている。ただ、今回、民進党の支持率も9.2%にとどまっていて、政権批判の受け皿になっていないというジレンマを抱えている。民進党幹部は「正直ショックだった」と語っている。
民進党・野田幹事長「野党第一党として、一つ一つ信頼を勝ち得ていくように、がんばっていきたいと思う」
民進党内には蓮舫代表など執行部に対する不満がくすぶっている。
一方、世論調査では「都民ファーストの会」が次期衆院選で全国に候補者を立てることに「期待する」が26.6%だったのに対し、「期待しない」が55.2%に上った。今の政権批判がこれからどこに流れるのか、今後の政治の行方を左右することになる。
(『日テレNEWS24』より)
安倍内閣の支持率低下の傾向には、歯止めがかからなかった。今回のNNN調査の31.9%という数字は、安保法案が批判を浴びた2015年7月に毎日新聞の世論調査が出した32%という「底値」に並ぶものだ。ついに「危険水域」といわれる内閣支持率30%をめぐる攻防の局面になった。
都議選での自民党の惨敗をめぐって、「THIS IS 敗因」などという馬鹿げた言説が流布している。自民党が負けたのはT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)のせいだというのだ。
冗談じゃない、「A級戦犯」が抜けてるじゃないかと思うのは私だけじゃないだろう。世論調査でも「首相の人柄が信用できない」ことを不支持の理由として挙げる人たちが増えている。安倍晋三こそ自民党の敗因に挙げられなければならない。
なお、この件に関して、「『THIS IS 敗因』ではなく『THIS IS A 敗因』かも」と題された記事をネット検索で見つけたので下記にURLを示しておく。「A」はもちろん安倍晋三を指すが、Iは稲田以外に今村雅弘や石原伸晃もいるよ、Sは菅義偉や佐川宣寿もいるよ、などと書いており、責任を分散させるような書き方にはぬるさを感じさせる。
http://note365.net/?p=6741
ただ、来月(8月)に行われるという内閣改造は、内閣支持率を押し上げる一定の効果を持つだろうとは確実に予測できる。それは、10年前の8月にも起きた現象だ。結局内閣が持たなかったのは体調を崩した安倍晋三が政権を投げ出したためだったが、あの第1次安倍改造内閣で防衛大臣に就任したのが小池百合子だった。当時、小池は "Please call me Madam Sushi." なる妄言を吐いて失笑を買った。
その小池百合子が都議選前と選挙中にだけ党代表を務め、極右の野田数を代表に再起用した「都民ファーストの会」の国政進出について、NNNの世論調査で「期待しない」が過半数55.2%を占めたことも注目される。しかし、それなら民進党が受け皿として期待されているかといえば全くそんなことはなく、前記日テレニュースが伝えるところでも、民進党の政党支持率9.2%という低い数字に、同党幹部が「正直ショックだった」と語っている。
おそらく、辞意を漏らしたという野田佳彦が幹事長を辞任するだけで、現在の蓮舫体制が続くのだろうが、昨年の民進党代表交代以降の民進党低迷の原因として、野田佳彦幹事長任命のほかに、もっと大きな原因がある。それは昨年晩秋に蓮舫がいち早く小池百合子にすり寄って小池に「協力を申し出た」ことだ。しかも、小池はそれにつけこんで、民進党からの協力要請は断りながら、都議選では都ファが民進党から大量の現職・前職(いずれも当時)を引き抜いた(もちろん自民党からも引き抜いたが)。都ファが民進党から引き抜いた現職・前職たちは、ある者は右翼だったり、別の者はもともとは「みんなの党」に属していた新自由主義者だったりした者が多く、民進党内でも政治思想か経済政策かのいずれかが「右寄り」の者が多かった。
民進党代表に就任した直後に、自らのその一員である民進党右派にいい顔をしようとした蓮舫は、逆に右派に逃げられた形となった、海江田万里に代わって民主党(当時)の代表に返り咲いた岡田克也が、おそらく自らの思想信条とは齟齬があるかもしれない「野党共闘」路線にしか活路を見出せないと判断してこれに徹し、昨年の参院選で激戦となった1人区で成果を出すところまでこぎつけたのと好対照といえる。しかし岡田克也には、2005年の郵政総選挙で小泉自民党に惨敗したことからもうかがえる「ポピュリズム政治の攻勢に対する弱さ」があって、それが昨年の東京都知事選での鳥越俊太郎の惨敗(これは「タマが悪かった」側面も否定できないが)につながった。そのあとに蓮舫という「党首にしてはいけなかった」人間を党首(党代表)に据えてしまった民進党の体質を具現しているのが蓮舫なのであって、もはや蓮舫の首をすげ替えたところで蓮舫と同じような人間しか出てこないのではないかと私は思っている。
現在は国政進出を懐疑的な目で見られている「都ファの国政政党版」、これは「新・新進党」とも「国民ファ★ストの会」とも仮称できるが、間違いなく立ち上がるこの政党は、まず民進党からの政治思想右派または経済右派の連中を引き抜き、さらにかつての新進党に倣って公明党を自民党との連立から引き離そうとするだろう。人間は歳をとっても同じことを考えるものだ。小池百合子はかつて新進党を作った小沢一郎のやり方を真似るに違いない。仮に政党名が「国民ファ★ストの会」にでもなれば、それはかつての小沢一郎の「国民の生活が第一」とそっくりの党名になる。これは決して偶然ではない。
民進党右派を取り込み、公明党との連携に成功すれば(その際には自民党内の安倍晋三に対する批判勢力、たとえば石破茂らも動く可能性がある)、都ファの国政政党版への期待が今よりも高まる可能性がある。これに対する警戒を怠ってはならない。しかし、安倍政権をこれ以上長引かせてはならないとも強く思う。当面はろくでもない政治勢力同士のせめぎ合いが続くことになりそうだ。
今後のブログ運営に関して、当面は、「安倍晋三批判」と「小池百合子批判」の二正面作戦で行くしかないと強く思う今日この頃だ。
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でも那覇市では与党(翁長知事派)の右派が壊滅して、与党自体も議席を減らして過半数を割りました。
那覇市野党の自民党は相変わらず共倒れして3人当選させれる投票数で5人は落選(つまり二人立てすぎた)させてますが、それでも基地反対が離島より多い沖縄本島の中心で共倒れありとはいえ現有+3人も議席を増加させました。
今回も都議会自民党への批判票が小池支持に流れただけで、自民党の得票は小池の6割強もとってます。そもそも自民党と公明党合わせた支持率より下回ってるので、おそらく4割弱または強には回復されるだろう、
後、支持率は1000人しか調査してないので当てにならない。ケチらないで地域ごとに万単位を調査するべぎだ。都議選でも共産党と公明党の支持率が得票率に比べて圧倒的低すぎることからも分かるし、支持しないと答えても投票に行かない人が多いのはこんだけ報道された都議選に51%しか行ってないことからも分かる。そしてそもそもの昨今の選挙でさえ自民党の得票が有権者の4割に満たない。 6割支持しないでも、5割は得票に行かないから投票に行く支持しないが1割-2割になるのが今の有権者だ。今も支持しているのはコンクリート支持層なのに、閣僚交代で「閣僚に不満層」さえ戻ってきたら来年の解散で批判者はまた臭い飯の時代に戻されるとの予想には同意します。
2017.07.10 15:36 URL | 元島民 #- [ 編集 ]
民進は(旧民主時代から)お家騒動を繰り返してますね。
それで自民や公明(や都民ファ)をどれだけ助けているか…。
反自民の受け皿になるためにどうすればいいかを真剣に考え、鳩山から野田の時代を反省しなければいけないのに!
自分だけは議員を長く続けるため都民ファに移る口実を作ろうとしたりする連中は情けないです。
蓮舫も小池と組もうとしたりしてたから同情はしませんが。
いっそ「自公をアシス党」と再改名したら?言いたくなります。
2017.07.14 07:11 URL | 一般的ウロタ #- [ 編集 ]
最近の安倍政権を批判する世論にはおかしなものを感じています。ある程度政治に詳しい人や、左派的なポリシーを持つ新聞やテレビの報道番組は、安倍政権の独裁的な政治体制や、共謀罪法案や安保法案などを通したことを重視しています。また、加計学園問題や森友学園問題やその対応を原因と考えています。しかし、一般庶民は、そのように考えていないように見えます。一般庶民にとって、安倍政権の政策や政治手法はどうでもいい。加計や森友などのスキャンダルをきっかけに、何となく「安倍をつぶしたい」と思っているのです。根拠は新聞各紙の世論調査から2つ考えられます。1つは、安倍政権不支持の理由で「安倍首相が信用できない」という意見が最も多いこと。政策や政治手法よりも、安倍首相の人柄を嫌っているのです。もう1つは、安倍不支持の人に女性が多いこと。女性は人柄を重視し、一度裏切られたと感じるととことん嫌う傾向があります。テレビの(報道番組ではない、一般の)ワイドショーは、この庶民の世論に応える形で、安倍批判に多くの放送時間を割いています。
この傾向は前にもありました。昨年の舛添東京都知事(当時)の公私混同疑惑です。庶民は舛添批判を強め、それに押されて舛添氏は都知事を辞任しました。興味深いのは、彼が辞任すると、水が引いたように庶民の関心と問題の報道が消え失せたことです。庶民(とメディア)は、政策や事実関係の追及には興味が無いように見えます。舛添氏と同じ手に安倍首相もやられつつあるのです。
メディアは安倍に「説明責任を果たせ」と言いますが、説明とかはどうでもいいことです。はっきり言って、庶民は、安倍が政権を追われるまで批判をやめないでしょう。それが日本にとっていい事かどうかは分かりません。
ちなみに私は安倍政権を支持します。これだけ批判されているのだから、あまのじゃくな私は、かえって安倍政権を支持したくなります。それに、反緊縮・金融緩和推進の経済政策が見直されるのも怖いです。安倍の次に政権を担う人が、アベノミクスを維持すると明言すれば、私も信じたくなるのですが……。
2017.07.18 23:33 URL | にっしー #PGaXwyUs [ 編集 ]
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[世論調査][標本調査]「内閣支持率調査は信用できない」と叫ぶ前に「標本調査」について勉強してみてはいかが?
この記事では、きまぐれな日々 安倍内閣の支持率低下、未だ歯止めかからず(2017年7月日)にいただいた「元島民」とおっしゃる方のコメントを批判する。 http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1482.html#comment20689 でも那覇市では与党(翁長知事派)の右派が壊滅して
2017.07.11 08:04 | kojitakenの日記