きまぐれな日々

 アメリカと北朝鮮との間に緊張感が高まり、森友学園事件がニュースの中心から去った現在、妙な現象が起きている。そもそも米朝の緊張関係が本物かどうかについて議論が分かれているのだ。

 「リベラル・左派」の間では、金正恩は自らの政権を守りたいだけだ、脅威を言い立てる安倍政権の思惑に乗ってはならないとする議論が人気のようだ。しかしこの議論は、北朝鮮の脅威についてはその通りだと私も思うけれども、北朝鮮の非ではなく脅威についての考察が完全に抜け落ちている。

 それは「トランプの脅威」だ。

 トランプ政権が何をやるかわからないことは、先のシリア攻撃で証明された。だが、これに関しても奇妙なことがある。

 昔からアメリカ国民には、大統領が他国を攻撃するとそれを熱狂的に支持する特徴がある。私が今までで一番呆れたのは、1998年にビル・クリントンがモニカ・ルインスキーとの不倫を暴露されて支持率を落とした時にアフガンとスーダンを空爆して支持率をV字回復させた時だ。

 それでは今はどうなっているのだろうかとネット検索をかけてみたがよくわからない。あるサイト(下記URL)によると、「トランプ大統領の支持率は3月中旬で43.8%まで落ち、就任直後よりは良いものの、就任期間中ではかなり低い数値となってい」たが、「ロイター通信が発表している情報をもとに支持率を分析してみたところ、現時点での政権支持率は46.6%となっています。これは3月中旬の支持率の落ち込みから考えると、大分挽回しているように見えます」とのことだ。
https://chanare.com/archives/1138

 上記サイトには「これは今のトランプ大統領の動き方に対して好感を持っているアメリカ国民が増えているということなのかもしれません」と書かれているが、私はそうは思わない。3月中旬の43.8%に対して4月中旬が46.6%なら横バイだろう。シリア攻撃と北朝鮮への強硬姿勢では支持率を目立って上向かせることはできていないように思う。

 一方、シリア攻撃でいち早くトランプ支持を表明した(政府筋は「決意を支持した」だけだと言い訳しているが、そんなものは日本国内でだけしか通用せず、朝日や毎日に腰の引けた記事を書かせるだけの効果しかない)安倍政権の支持率も、読売新聞の調査で4ポイント上げている(下記URL)。しかも問題はその中身だ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170416-OYT1T50104.html

米の対北圧力「評価する」64%…読売調査
2017年04月16日 22時07分

 読売新聞社は14~16日、全国世論調査を実施した。

 核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮に、米国が軍事力を背景に圧力を強めていることを「評価する」は64%で、「評価しない」の27%を大きく上回った。北朝鮮のこうした動きに脅威を感じる人は、「大いに」60%と「多少は」33%と合わせて93%に達し、「大いに」は前回調査(3月18~19日)から6ポイント上昇した。

 安倍内閣の支持率は60%(前回56%)、不支持率は29%(同33%)。北朝鮮への脅威を「大いに感じる」とした人に限ると、支持率は64%に上った。

 外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手の基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」を日本が保有することを検討すべきだと「思う」は58%、「思わない」は35%。米軍のシリア政府軍に対する攻撃で、安倍首相が化学兵器の拡散と使用を抑止する米国の決意を支持する考えを示したことを「評価する」は54%、「評価しない」は35%だった。

(読売新聞 2017年04月16日 22時07分)


 そもそもこの世論調査そのものに「トランプの脅威」という観点がないし、トランプに盲従する安倍政権を支持する日本国民が多く、「北朝鮮の脅威」については読売やNHK(岩田明子ら)の宣伝が行き届いてか、警戒する人たちが多数派のようだ。

 統計的に有意差が出ているわけではないが、印象論としては、「実際にシリアに軍事行動を起こしたトランプのアメリカより、トランプへの盲従をいち早く表明した日本国民の方が、より時刻の独裁者を強く支持している」ように思われる。

 しかし、実際には「リベラル・左派」の多くの人の意見の通り、北朝鮮は攻撃を仕掛けなければ自らアメリカや韓国や、ましてや日本に攻撃を仕掛けることは考えられない。真に警戒しなければならないのは、シリアでトランプがやったような軍事行動だ。

 核抑止論の最大の問題点として、おかしくなった独裁政権による核兵器使用を止められないことが昔から言われているが、自らの命が危ないと思った時の金正恩は、まさにそれに典型的に当てはまる。そして、世界各国の戦力から言って、北朝鮮が自ら核攻撃を仕掛けてくることがないことは明らかだから、より深刻な脅威はトランプ(政権)にある、としか考えられないのである。そんなことは誰が考えてもわかることだろうと私は思うのだが、現実はそうではない。安倍政権は日本にとって最大の脅威であるトランプに盲従し、多くの国民はトランプを信頼して北朝鮮に脅威を感じ、政権批判派の国民は北朝鮮の脅威などないと力説するもののトランプの脅威には鈍感だ。後者は、北朝鮮がアメリカに攻撃された時に北朝鮮が本物の脅威になることを見落としている。当然ながら、日本のなすべきことはトランプにブレーキをかけることであってトランプに盲従することではないはずなのだが、安倍独裁政権に飼い慣らされて常日頃から読売新聞やNHK岩田明子の宣伝を真に受けている日本人にはそれがわからない。これが現状ではないか。

 その「鈍感さ」の典型例を見たと思ったのが、昨日(4/16)のTBSテレビ『サンデーモーニング』に出演した毎日新聞の幹部級科学記者・元村有希子だ。同番組の常連で私が好まない寺島実郎が、日本は国連を中心とした問題解決を行うようアメリカに働きかけるべきだという普通の意見を発したあと、元村有希子は「国連はロシアや中国の拒否権発動によって無力化されている」と言った。これは番組の最後の方で寺島実郎から再反論を受けたが、さらに元村氏は「安倍総理は『外交上手』と言われているが、その手腕が問われる」と言ったが、安倍晋三を「外交上手」などと言っているのは、読売やNHKに加えて、あんたのところで「世界のアベ」とか「安倍首相は賢いから日本会議を距離を置こうとしている」などと宣伝した「異能記者」伊藤智永らだろうが、と画面を見ながら毒づいてしまった。今回に限らず元村有希子からはいつも、括弧付き「リベラル」または都会保守、という私がしばしば批判している市井の某ブロガー氏と似たような印象を受ける。そして、この手の「リベラル」(都会保守)こそが安倍政権最大の補完勢力になっているのではないかと思う。

 よく午後のコンビニで目にするのは夕刊フジの「斬首作戦」の見出しで、私はそのような日本が核攻撃を受けるリスクを煽る見出しをつける極右夕刊紙の編集者の神経が全く理解できないのだが、そういえばこの夕刊紙は、トランプが当選を決めた直後に、まだ大統領がオバマだったにもかかわらず安倍晋三がトランプに媚を売りに行った時に安倍がトランプの「攻略」に成功したかのような見出しをつけていた。しかしいま現実を見ると、したたかなのはどう見ても習近平をも動かす「ディールの政治」の独裁者・トランプの方であって、中国の独裁者・習近平でさえトランプの前では「格落ち」のように見える。まして安倍晋三は「外交上手」どころか、森友学園事件で見せた「瞬間湯沸かし器」的短気によって籠池泰典を証人喚問の場に自ら引きずり出したあげくに「首相夫人付」(安倍昭恵の「秘書」)のノンキャリア経産官僚の「FAX」が暴露されて傷口を広げた一件から明らかな危機管理能力の絶望的な低さを持つ無能な政治家でしかない。私の感覚では、日本は北朝鮮の次くらいに自国の安全保障リスクの高い国になってしまっているように思われる。もちろんトランプに手玉にとられる習近平にせよ、安倍晋三と比較するとはるかに格上だ。ましてやトランプやプーチンとでは安倍晋三とはまるで比較にならない。しかしそれにもかかわらずまだ政権側の「宣伝」が有効であり続けているために、安倍政権は当分続くとしか思われない。まさに絶望的な「裸の王様(夫妻)」を戴く帝国、それが今の日本だ。

 下記『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事(下記URL)は、これまで書いてきたようなことを考えている私がもっとも納得できるものだ。
http://hiroseto.exblog.jp/25697988/

 どうも最近晋三の顔色が悪い・・「日本最後の総理」になる可能性が強まり、ガクブルではないのか?

 朝鮮(金正恩帝)については、ハッキリ言えば、「皇室安泰」が一番です。要は戦中の日本が「国体護持」にこだわったのと同じこと。従って、アメリカ側から攻撃がなければ金正恩側から攻撃することは考えられない。その意味で「北朝鮮は脅威ではない」という言い方も、正しいという見方も出来る。

 特定秘密保護法やら安保法やらをごり押しするために、朝鮮をネタにしてきた面はある。

 しかし、トランプが前のめりに金正恩を攻撃すれば、自衛権の発動として金正恩が反撃するのは明らかである。そもそもが、朝鮮戦争自体が「終戦」していないのだから。

 トランプにとっては黄色人種の国がどうなろうが関係ない。
 他方、トランプ政権内で「アンチ・クリントン/ブッシュ」のチャンピオンであるバノンが失脚した結果、トランプと事実上大連立を組んだクリントン・軍産複合体一派も、別の考え方(欧米民主主義を至上とする考え方)から、日本会議と関係が深い安倍には批判的である。

 そして、韓国と日本が壊滅すればクリントン/ブッシュ系列の大手企業の復興需要も望める。

 「安倍ジャパン」は国民を巻き添えにしつつ、「トランプ・クリントン大連立政権」によって死刑台におくられようとしている。これが、実像ではないかと思う。

 それを知っているが、自分ではどうにも後戻りが出来ない。さすがに安倍晋三も、それを隠し通せるほど賢くはないので顔色が悪いのではないか?

 今まで、朝鮮をネタにして国民を脅してきた路線が、いつのまにやら国を滅ぼすことになったことにさすがに愕然としているのではないか?

 安倍は10年前、ブッシュからアフガン派兵(給油)継続を求められたが、参院選惨敗でそれが果たせず、政権を投げ出したという説がある。

 今度は、政権を投げ出すときにはもはや、手遅れ、ということになりかねない。

 一刻も早く、この男を引きずり下ろすことだ。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2017年4月15日)


 一刻も早く安倍晋三を政権の座から引きずり下ろさなければならない。私もそう強く思うのだが、トランプが北朝鮮への強硬姿勢を示し、いち早く安倍晋三がトランプの支持を表明すると内閣支持率上昇でそれに応えてしまう日本国民が自らの手で安倍晋三を引きずり下ろせるとは日々思えなくなってきている。

 そんなわけで、ブログ開設まる11周年を迎えて12年目に入った最初の記事でも、できれば使いたくはない「崩壊の時代」という言葉を持ち出して記事を締めることになってしまったのだった。嗚呼!
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このブログにコメントするのは今日が初めてです。私は、10年以上の永きにわたって的確な評論をされているブログ主様を尊敬しております。しかし、ブログ主様が「憲法違反の、独裁的で、国民を苦しめる、最悪の政権」とおっしゃる安倍政権がなぜこれほど長く高支持率を維持し、そして右傾化する自民党がなぜ国政選挙で勝利し続けるのでしょうか。私は、安倍政権を批判する「リベラル」の人々の安全保障政策に対する無策にあると思います。
「憲法9条を掲げて話し合えば戦争は起きない」という考えはおそらくほとんどの人(特に9条万能主義の教育を受けていない現代の若者)を納得させることができないのです。
結局、人間の恐れるものは道徳でも理論でもなく、武力であるというのは、日常生活のなかでも日々感じられることでしょう。
在日米軍撤退を訴えるのは結構ですが、アメリから独立して国土と国民を守るなら、自衛隊の増強、少なくとも維持が最低条件であり、在日米軍撤退と自衛隊縮小を同時に唱える人々(反安倍政権の人に多い)は理解に苦しみます。
また、集団的自衛権の行使容認は違憲という人がリベラルには多いですが、そもそも自衛権とはすべての主権国家がもつものと国連憲章に規定されています。さらに憲法9条には「国際紛争を解決する手段」としての戦争と武力行使の放棄がうたわれていますが、「自衛のための」
戦争や武力行使はうたわれていない、とみることができます。民進党の自称「護憲派」は、自衛隊は合憲だが、集団的自衛権は違憲といいますが、その理由を明確にしません。
私は、安倍政権は特に右翼的でも復古的でもなく、少なくとも安全保障のために現実的な政策を行っているとも感じます。
多くの人、特に左派の強いマスコミに触れることの少ない若者は、安倍さんは少しタカ派傾向の強く、怖いと思っていますが、日本を守るビジョンのまったく見えない「反アベ」な人々に国政を委ねるのはもっと怖いと思っていると思います。長々しい駄文となってしまいましたが、これらのことについて少し考えていただければ幸いです。

2017.04.17 21:44 URL | 政治初心者 #- [ 編集 ]

>また、集団的自衛権の行使容認は違憲という人がリベラルには多いですが、そもそも自衛権とはすべての主権国家がもつものと国連憲章に規定されています。さらに憲法9条には「国際紛争を解決する手段」としての戦争と武力行使の放棄がうたわれていますが、「自衛のための」
戦争や武力行使はうたわれていない、とみることができます。民進党の自称「護憲派」は、自衛隊は合憲だが、集団的自衛権は違憲といいますが、その理由を明確にしません

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詭弁を呈すな。

集団的自衛権はいらない。

個別的自衛権がある。

意図的に個別的自衛権の存在を隠すな。

卑怯者よ。

2017.04.20 00:40 URL | #- [ 編集 ]

どんなに大国が圧力をかけようと自主(チュチェ)の旗を下ろさない(核を放棄しない)北朝鮮に、
ちょっと憧れちゃいます。
日本も核があればアメのポチから卒業できると思うのですが。

2017.04.21 23:02 URL | #- [ 編集 ]













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