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きまぐれな日々

 いやあ惨憺たる週末の政治報道だった。毎朝血圧を測っているのだが、今朝は特に高く、降圧剤だけでは抑えきれないようだから、血管が切れてもいけないから不本意ながら気持ちを抑えて書こうと思う。

 まず、来日したトランプ新政権の国防大臣ジェームズ・マティスに安倍政権がすり寄ることは予想通りだったが、それを報じるマスコミの報道に怒った。

 朝日新聞(2/4)でさえ「尖閣に安保 ひとまず安堵」などという見出しを掲げるていたらくだったが、NHKの報道など(私は一切見ていないが)推して知るべしだったようだ。下記のTwitterを挙げておく。
https://twitter.com/TrinityNYC/status/827398011399528448

TrinityNYC
@TrinityNYC

昨夜のNHKでは「トランプさんも、こうして満面の笑顔になることがあるんですねぇ~、意外な一面をお持ちの方ですね!」、そして今朝は「狂犬と呼ばれるマチスさんですが、意外にフレンドリーな面もお持ちだとのことですよ!」、ともかくそれでコメント締めくくればいいと思ってるんでは。

22:07 - 2017年2月2日


 ひどいものだ。

 そのマティスの発言。下記は2月5日付朝日新聞に掲載された記事。
http://www.asahi.com/articles/ASK245CVLK24UTFK00K.html

駐留費「日本はお手本」 マティス氏、中国には批判
佐藤武嗣、相原亮
2017年2月5日00時24分

 来日中のマティス米国防長官は4日、稲田朋美防衛相との会談後の記者会見で、中国による南シナ海での活動について「挑戦的な行動を高めている」と批判した。日米は懸念を共有し、南シナ海への関与を強化することでも一致した。日本の在日米軍駐留経費の負担については「見習うべきお手本」と述べ、適切であるとの認識を示した。(後略)

(朝日新聞デジタルより)


 朝日はいわゆる「客観的報道」にとどめているが、NHKや読売や産経などはこのマティス発言に大喜びしたであろうことは確認していないが間違いあるまい。

 昨日(2/5)のTBS『サンデーモーニング』では、保守の寺島実郎が、マティスはオバマ政権時代にも確認したことを改めて確認しただけであり、これがもし「尖閣は日米安保の対象外」なら大きな変化だが「対象」なら現状維持であって何のニュースバリューもないこと、またアメリカは尖閣諸島における日本の施政権は認めているが日本の領有権は認めておらず、もちろん中国の領有権も認めておらず、日中間で解決明日べき事柄であると考えており、それもオバマ政権までと変わっていないことを指摘した。

 また、岸井成格は米軍の駐留費負担について日本がお手本になるべきとのマティス発言に大喜びする保守メディアの報道に呆れてか、「思いやり予算」のことだろ、そんなのは本来金を出してはならないのであって、そんなことで褒められて喜んでたらダメだ、と苦笑いしながら一喝した。

 寺島実郎や岸井成格の発言は、70年代や80年代頃なら常識的な保守派論客の発言として受け入れられた程度の穏健かつ当たり前のものだが、『サンデーモーニング』程度の番組でさえ今の日本ではネトウヨによる「極左番組」扱いが一般の人々にも行き渡りつつあって、「左寄りの番組だなあ」と思う視聴者は少なくないのではないか。

 だが、私の血圧を激しく上昇させたのは、「狂犬」マティスにすり寄る「忠犬」安倍晋三と一億人の不愉快ななかまたちの一件より、むしろ昨日投開票された東京都千代田区知事選をめぐるマスコミ報道だった。

 こんなニュースバリューが高いとは到底思えない地方選の選挙戦を、TBSは先週半ばの『NEWS23』の番組冒頭で長々と時間を費やして報じた、否、「小池百合子対自民党都連」の「小池劇場」の映像を垂れ流した。また、昨日(5日)夜8時ジャストに毎日新聞は号外を発行して小池が推した現職の当選を伝えた。

 この千代田区長選は小池百合子が推した老区長が自公が推した与謝野馨の甥っ子ら対立候補2人にそれぞれ3倍を超える大差をつけて圧勝したが、多選首長が立候補した選挙において必ずなされなければならないはずの、これまでの4期16年の区政の検証など毎日新聞などのマスメディアはほとんど何も報じず、ただひたすら「東京大改革」とやらの是非を問うという「小池百合子目線」で報じて、否、垂れ流していたから、もはや「ジャーナリズムという名前に値しない何か」としかいいようがない。

 少し前には、現在長谷川幸洋の一件で私が批判の矛先を向けている東京新聞が、名物コラムの「こちら特報部」に、小池百合子に対する期待一色かつ小池への批判色が皆無の記事を載せたと聞いた。また、先週号の『週刊金曜日』も、「小池対自民党」の観点で区長選を報じていたとの話も聞いた(東京新聞も週刊金曜日もいずれも実物は目にしていない)。

 こうしたTBS・毎日新聞・東京新聞・週刊金曜日の醜態を見ると、今朝(2/6)の一面から千代田区長選の記事を排除して社会面に掲載した朝日新聞は、最近はリベラル派の間でも評判は最悪だし、私も日々大いに不満を持ってはいるのだが、もしかしたら千代田区長選の号外を出した毎日新聞や、ましてや長谷川幸洋とMXテレビの「ニュース女子」の一件にろくな対応ができない東京新聞などと比較すればまだマシな部類なのではないかと思ってしまう。毎日の東京本社版や東京新聞は、確認していないが千代田区長選の記事を1麺に載せたのではなかろうか。もっとも、朝日も区長選の記事は1面から排除した代わりに、「小池新党 60人超擁立検討」と題した都議選の記事を1面の中ほどに載せているから(1面トップは「トランプ氏 司法に矛先」)五十歩百歩ではある。

 マスコミよりもっと深刻なのは野党であって、民進党都連の松原仁(昨夏の都知事選では一時自公と相乗りして増田寛也に乗ろうとした人間)は小池百合子への全面協力を申し出たが、小池百合子にすげなく拒絶された。

 小池は少し前には、「4島ならぬ4党」として、公明、民進、「かがやけ」(旧みんなの党系。過激な新自由主義者・音喜多駿が中心)、共産の各党の応援を当てにするような軽口を飛ばしていたが、「民進と手を組めば、小池改革は失速する」と指摘した東京新聞論説室の忠告を受け入れてか、民進党への態度を一変させた。まあ小池百合子ならずとも誰だって、民進党にすり寄られては票を減らすだけの逆効果しかないと計算するのは当然だ。

 しかし民進党の醜態は今に始まったものでもない。今回私がもっとも腹を立てたのは、区長選で現職の5選が決まった直後に共産党・小池晃が発した下記のTwitterだった。
https://twitter.com/koike_akira/status/828200072227598337

小池晃
@koike_akira

歴代の自公都政に対する、都民の深い怒りが示されました。
都議選本番へ。
石原、猪瀬、舛添都知事と正面から対決してきた17名の共産党都議団をもっと大きくしなければ!

3:14 - 2017年2月5日


 「石原、猪瀬、舛添都知事と正面から対決してきた17名の共産党都議団」って、「小池都知事」とは正面から対決してないのかよ、と突っ込みたくなった人間は私だけではあるまい。

 東京の共産党は小池晃ならぬ小池百合子一派の「補完勢力」かよ。そう思った。

 なお、東京の共産党に関しては、2003年から2009年までの3度の衆院選で東京11区(板橋区)から立候補したことのある現東京都議・徳留道信が、「いたばし区民タイムス」に寄せた年頭の挨拶で小池百合子を持ち上げまくっていたことも知った。板橋といえば、ナノ純銀除染のトンデモを批判した共産党区議が昨年11月に共産党を除籍された一件があった。当時除籍された松崎参(いたる)区議は小池百合子にすり寄るのではないか、筆坂秀世みたいに「右転落」するのではないか、等の「下衆の勘繰り」を共産党支持者から受けたことがあったが、何のことはない。「右転落」していたのは共産党そのものの方だった。松崎区議は、Twitterで福留道信の挨拶文を批判したことからもわかる通り、小池百合子に対して批判的であり続けている。

 今回の区議選で朝日新聞NHKの出口調査が報じられた。朝日によると、

 小池氏が、政党と関係なく幅広く支持されている状況も浮き彫りとなった。自民支持層の83%、民進支持層の86%、無党派層の85%などが「支持する」と回答。都議選で小池氏の地域政党に勝ってほしいかを聞いたところ、72%が「勝ってほしい」と答えた。

とのこと。またNHKによるとNHKの出口調査によりますと、

石川さんは自民党支持層の60%あまり、民進党支持層の60%あまり、公明党支持層の70%台後半、共産党支持層のおよそ70%の支持を得ています。

とのことだ。

 だから蓮舫や長島昭久や松原仁といった民進党右派(右派以外もだろうが)のみならず、共産党都議の徳留道信や、それどころか小池晃までもが小池百合子にすり寄るのかもしれないが、こんなにはっきりと彼らの末路が見えているのに、小池百合子にすり寄るという最悪の自滅の選択肢をなぜ彼らが自分から選ぶのかさっぱりわからない。

 このままでは、「野党共闘」も「新・新進党」に呑み込まれて(回収されて)一巻の終わりになりかねない。というより現状の延長線上には「一巻の終わり」以外の結果はあり得ない。「新・新進党」は間違いなく改憲政党になるから、安倍晋三最大の野望である改憲は実現してしまうに違いない。

 またぞろ「崩壊の時代」というフレーズを思い浮かべずにはいられない。「崩壊の時代」の大きな特徴として、個人には正気を保っている者もいるが、組織全体がおかしくなることが挙げられると思う。先の戦争中の日本ではあらゆる組織がそうなった。

 民進党はもちろん、共産党までもがそれに当てはまろうとしている。
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右傾化のクライマックスは共産社民の壊滅かと思っていましたが、まさか自分から右傾化していくとは…
社民は小沢山本らカス右翼の植民地状態ですでに終わった政党ですが、共産までもが民進や小池に擦り寄るなんて世も末ですね。大政翼賛会か。
たしかちょっと前に共産党が長年欠席していた、天皇が出席する国会開会式に出席したあたりから怪しかった。あの時に志位を吊るし上げて右傾化を批難すべきだったのかもしれないですね。

2017.02.06 13:25 URL | 竹下 #- [ 編集 ]

TBSはじめ、トランプに批判的な割に小池支持になる理由が分からなくて困っています。

両方右派アジテーターなのに。

トランプは対穏健派だったからヒール扱いしやすいのに対し、小池は対既得権益だったから、分かりやすい構図を求めがちな面々にはヒールにし辛かったのでしょうか。

共産党が右傾化(というか劣化)しているのは、民進右派がどうも苦手な自分としては残念です。

フランスとかだと、極左と極右は支持基盤が似てるとか、昔何かで見ましたが、インテリぽさを放棄すれば同じ穴の貉なのでしょうか。

総じて衆愚政治に向かっているようで嫌な流れです。

2017.02.06 19:26 URL | 通りすがり_34 #EBUSheBA [ 編集 ]

東京大改革の意味がよくわかりません。
普通のことしかやってないように見えるのですが、そつのないアピール上手のせいで過大評価されるのか、それまでの都政があまりに不透明で腐っていたからこの人がもてはやされるのか。ひたすら勝ち馬に乗って大騒ぎするマスコミには腹が立ちますね。
野党の人がすり寄るのは御愁傷様としか、、、。
都庁に着いたら3秒で右翼、です。

2017.02.06 20:47 URL | たまさん #BK/hsg3U [ 編集 ]

すでにご存じかもしれませんが、東京新聞の長谷川ですが、自分に対する批判を受けて東京新聞が「反省」を表明したことについて、東京新聞が自分を処分するのなら、「言論の自由に対する侵害だ」などというたわごとをほざいたようですね。そんなことないことなど分かったうえでの、自分のシンパに対するふざけた印象操作でしょうね。

これは、言論をつかさどる者が自ら言論の自由を冒涜したとしかいいようがありません。もう、定年を過ぎているようですから、即刻解雇、こんなふざけた奴が要職につくことを許した経営陣も退陣くらいのことが求められると思います。

http://www.asahi.com/articles/ASK265RQKK26UTIL05J.html?iref=comtop_8_05

2017.02.06 23:00 URL | suterakuso #- [ 編集 ]

日記のJR北海道の受験生への対応に関するコメントですが、そちらにログインできないのでこちらに書きます。
電車の事故で動かなくなった場合なら鉄道会社はできるだけ客の被害を最小限にする義務があります。
「振替輸送」などもそういう対応の一つです。
もちろんそこに受験生、遊びのお出かけなどという区別もありません。
自己責任論者でも大半は振替輸送をなくせとはさすがに言わないでしょう。(笑)
間違えて急行や反対側の電車に乗った場合は、自己責任で鉄道会社に責任や義務はありませんが。

2017.02.11 17:09 URL | 一般的ウロタ #- [ 編集 ]

すべてが極右、極右へと。
即ち総極右化。
1930年代の日本を彷彿させれらます。
崩壊の時代、即ち戦前の軍国主義復活へとまっしぐら。
国民の退化、無関心が招いた惨状です。
そういった中で、キリスタン大名だった高山右近がローマ法王庁より福者に認定され、2月7日列福式が執り行われました。
明るいニュースです。
信念に生きた高山右近の生きざまは立派の一語です。
今の日本人は、高山右近の爪の垢でも煎じて飲むべきです。

2017.02.12 23:34 URL | 風てん #- [ 編集 ]













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