きまぐれな日々

 2017年最初の記事になる。今年もよろしくお願いします、との挨拶をするのももはや「僭越」であろう。なぜなら、昨年末にこのブログの幕引きを意識せざるを得ないと書いてしまったからだ。それでもブログを読んでやっても良いという方のために、今しばらくブログを継続したいと思う。とはいっても、幕引きは今のところ今年(2017年)か、遅くとも来年(2018年)のしかるべき時期を想定している。

 1月も今日で折り返し点とはいうものの1年の最初の記事だから、「崩壊の時代」云々は今回は止めておく。今回は、昨年ちょっと気になったことを書くことにする。

 それは、アメリカ大統領選でトランプ勝利が報じられた日及びその翌日以降の日経平均株価の動きだ。

 周知のように、アメリカや日本のマスメディアが全く予測していなかった(私は40%くらいはあり得るのではないかという悪い予感を持っていた)トランプ当選が報じられた日の日経平均株価は、前日から900円以上だったかの下げ幅で暴落し、外国為替市場も円高に振れたが、翌日になると、トランプの当選の弁が選挙選当時の暴言と比べておとなしかったというだけの理由で、トランプは意外と「現実主義者」なのではないかとの根拠のない憶測が広まって、株価は前日の暴落分を帳消しにして余りある1000円以上の上げ幅で急騰し、外国為替市場も大きく円安に振れた。その後しばらくこの流れが続いた。

 私にはこの株価の乱高下はひどく不健全なものと感じられた。まず、トランプの当選が全くの想定外だったという日米のマスメディアと、それを鵜呑みにしたとしか思えない市場の動きに、メディアも市場もともに理性的な判断力を失っているとしか思えなかった。さらに、「トランプ=現実主義者」なる根拠のない楽観論に基づく「ミニバブル」としか思えない株価急騰や円安に関しては、おいおい、大統領はまだトランプじゃなくてオバマなんだから大統領がトランプにならないうちから何も変わるはずないだろ、それなのに市場は根拠もなくトランプに期待してしまって、いったい何を考えてるんだと呆れ返ったのだ。

 案の定というべきか、2017年が開けてトランプは牙を剥いてきた。米大手自動車メーカーや日本のトヨタが、米国向け自動車の製造工場をメキシコに建設するのに噛みついたり、アメリカの対日本・中国・メキシコの貿易赤字に不快感を示して保護貿易の怪気炎を上げてみたり。トヨタの株価が一時暴落するなどしたらしいが、少なくとも日本の株価上昇をもたらしたであろう楽観論には何の根拠もないことが明らかになりつつあると私は冷ややかに見ている。

 昨年12月発売の『文藝春秋』新年号に掲載された福田康夫元首相の「安倍外交への忠告」を本屋で拾い読みして、福田氏もトランプ当選直後の株式市場の乱高下に違和感を持っていたことを知って意を強くした。少なくとも、株式市場の株価は、その時点までに知られている企業の経営状況や景気、それに政治・経済に関する出来事などが織り込まれた最適な値になっているという教科書の説明は、今の日本の株式市場には全く当てはまらないと思った。私には、日本の株式市場はもはや理性とか知性とかいったものを失っている用にしか見えない。

 うまく表現できないのだが、何らかの機能不全が起きているように思う。そしてそれは、安倍晋三という理よりも権柄ずくでメディアを制御する術を知ってしまった権力者が、4年以上も続けて日本の総理大臣を務めていることと何らかの関係があるのではないかとの仮説をこのところずっと持っている。「無理が通れば道理が引っ込む」社会では、いろんな機能不全が生じて当然なのではないかと思えてならないのだ。日本は過去にもそういう時代を経験している。いうまでもなく先の戦争中だ。

 そして、安倍晋三とそっくりの心性と手口の持ち主が、今週アメリカの大統領に就任する。それがトランプだ。『広島瀬戸内新聞ニュース』は「安倍晋三は4年早いトランプだ」と評したが、本当にその通りだと思う。質問には正面から答えず、自分の言いたいことだけ一方的にまくし立てるトランプのしゃべり方は、あまりにも安倍晋三と瓜二つだ。これからはアメリカも、2012年末以降の日本と同様、無理が通って道理が引っ込む国になる。その結果、アメリカの政治や社会の機能不全が一気に現れるかもしれないと予感する。

 安倍晋三のような、本人の能力は低いが祖父のA級戦犯容疑者・岸信介の孫という血筋と、魚住昭の指摘するところの岸の「民族主義」と「選民思想」を受け継ぐが故に右翼に担ぎ上げられた男が好き勝手に独裁権力を振るえる現状は、日本の政治の制度に大きなほころびが生じていることを意味すると思う。もともと世襲政治家に不当なアドバンテージを持っていた日本の政治制度に、やはり世襲政治家である小沢一郎が中心となって「政治改革」と称しつつ衆議院選挙に小選挙区制を力ずくで導入した。その結果制度の欠陥はさらに拡大され、現在の安倍晋三の独裁政治を招いてしまった。これが私の見立てだ。アメリカの場合はまた違った制度の問題があるのだろう。

 最近の『広島瀬戸内新聞ニュース』の指摘するところによれば、

安倍政権が歴代自民党政権や民主党の特に野田政権と比べて取り立てて「対米従属度」が高いとは思えません。

とのことだ。私もそう思う。同ブログは

安保法も、左派・リベラル派の懸念は「アメリカに従属して海外派兵」でした。

しかし、ここにきて、アメリカのいうことさえ無視して、南スーダンへの武器禁輸に対して棄権するなどしています。

と指摘している。

 さらに同じブログによると、安倍はフィリピンのドゥテルテ大統領にミサイル供与を持ち掛け、断られたとのことだ。ドゥテルテは安倍に「第三次世界大戦を見たくない」と言って安倍の商談を断った。フィリピン・スター紙が報じた(下記URL)。
https://sg.news.yahoo.com/duterte-rejected-japan-missile-offer-000000071.html

President Duterte has declined an offer by Japanese Prime Minister Shinzo Abe to provide missiles to the Philippines, saying he does not want to see a Third World War.


 安倍晋三の現状がかくのごとしだというのに、「戦争をさせない1000人委員会」は、呆れたことにあの孫崎享を講師に招いて「『安倍政治を終らせよう』1.19院内集会」を開くという。馬鹿じゃないか。

 なぜなら孫崎とは政治家を「自主独立派」と「対米従属派」に分類し、岸信介や佐藤栄作を前者に分類した人間だからだ。上記『広島瀬戸内新聞ニュース』の指摘する通り、少なくとも安倍晋三は小泉純一郎や野田佳彦と比較すると「対米従属派」より「自主独立派」に近い。そしてより危険だ。現状がそうなのに、5年前に孫崎が叫んだ図式で「アメリカに付き従った戦争反対」を訴えるピンぼけぶりでは、日本の平和運動が低迷する理由もよくわかる。

 平和勢力のピンぼけぶりはさておき、安倍晋三の暴走をこれ以上許さないために、この政権は可能な限り早く終わらせなければならない。この一点においては、私も「ピンぼけ平和勢力」と意見が一致するだろう。

 反安倍晋三・反小池百合子・反トランプは残り少ないかもしれないこのブログの中心テーマであり続ける。
関連記事
スポンサーサイト

アメリカ大統領選って我々が普通に考えがちな直接選挙制ではなくて、州ごとに選挙人を選んでその選ばれた選挙人の投票で大統領の当落が決まるという間接選挙制だったりするんですよね。だから一般有権者の得票で勝っていても選挙人の数で負けてしまい、必ずしも多数派の支持が無くとも大統領になれてしまう制度的欠陥があるんですよ。ブッシュJr.が初当選した際の17年前の大統領選でも一般有権者の得票ではゴアに負けていましたし、今回の大統領選ではクリントンがトランプに200万票差(!)もの票を獲得しても選挙人の数で多数を獲れずに落選する http://www.bbc.com/japanese/38088552 という「理不尽」なことがよく起きる訳です。

で、トランプに万歳する層と橋下や小池にリスペクトする層ってその「理不尽」さ(それは必ずしも彼らに対してではなく例えば安倍晋三やウォール街・所謂“エスタブリッシュメント”に対しても抱いているものだったりしますが)に感情的な憤りを感じながらも、一方で自分たちが支持することに関しては「理不尽さ」に鼻を摘んでリスペクトするオポチュニスト(機会主義者)な側面があると言えます。オバマケアの不備を非難するあまりトランプを支持した堤未果・沖縄の米軍基地問題の突破口としてトランプに期待した増山麗奈・欧米主導のグローバリズムによる歪みを潰してくれるとしてトランプを支持し期待さえした大槻義彦や内田樹・・・・・トランプの言動を具に観察するとその様な期待に沿える可能性は低いにも関わらず目の前の「理不尽」のためには別の「理不尽」には目を閉ざしている態度が見て取れるのですよ。小池百合子や橋下徹にリスペクトする層にも同じことが言え、たとえ小池や橋下が「理不尽」を通しても今までの都政や府政・市政の「理不尽」を潰してくれるならって期待感でそれを容認している訳です。

これに加えて、それこそ本エントリで指摘されている様な倍政権が“自主独立”って方向へ向かうとしたら、“リベラル”の多くがそれに拍手喝采してしまう未来図は強ち外れではない気がします。そもそも多くの日本人にとっての“自主独立”やアジア主義って他者性が決定的に欠けていて日本中心でモノを言うことは出来ても他のアジア諸国の立場に立って考えることがあまり出来ていないところがあるのです。吉方べき氏が従軍慰安婦問題で呟いていた https://twitter.com/tabisaki/status/819863820021567489 様に、表面的に共存や贖罪を掲げていてもその根本がオリエンタリズム的なとこにあるが故に何か少しの切っ掛けがあれば直ぐに「反日」「日本スゴイ」って真逆の方向へと向かう訳で、しかもそれを自覚できていないのがこと“自主独立”を謳ったり素朴に“反米”でいる側に目立つんですよね。

2017.01.16 19:52 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

私は頻度が落ちた今も毎回の更新を楽しみにしてますし、何より今年は憲法制定70周年の節目として政権と日本会議系の連中が改憲大キャンペーンを張り、改憲を睨んだ解散や発議を仕掛けてくる可能性が非常に高い年でもあります。
事情はさまざまあると思いますが、この大事な時期に少しでも声を上げることは大変意義深いですし、私個人としては是非今後も自由と権利のために続けてほしいです。

2017.01.17 13:27 URL | 小市民 #- [ 編集 ]

狂信的な日本軍国主義者、日本帝国主義者でA級戦犯だった岸信介の亡霊安倍晋三。
平和と民主主義を破壊するため暴走の限りをつくしていますが、暴走は悪名高い大日本帝国憲法下の戦前の暗黒時代に回帰するまで止まりません。
暴走の目的は戦前の体制への回帰ですから。
戦前の体制に回帰するまでは、米国を利用するかも知れません。
しかしA級戦犯同様、安倍晋三は対米従属派ではなく、日本が一番だ!八紘一宇だ!大東亜共栄圏だ!といった自主独立派です。
安倍政権を生み出したのは小選挙区制といった政治制度の綻びもあるでしょう。
しかし、それだけではない、日本の退化、即ち極右全体主義化が挙げられるでしょう。
55年体制の頃なら、極右安倍内閣などとっくに崩壊していたでしょう。
安保改悪を行ったA級戦犯内閣が倒されたように。

このブログの幕引きを意識せざるを得ない?
ネトウヨのブログが氾濫する今日この頃、当ブログはネトウヨに害されていない数少ないブログです。
ぜひ続けてください。

2017.01.21 00:45 URL | 風てん #- [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/1460-b247f368