きまぐれな日々

 通常国会が始まったが、国会論戦を取り上げた新聞記事やネットの議論を見ても、心に訴えてくるものはない。だから具体的な論戦を取り上げる気にはならなかった。ナンセンスとしか私には思われない軽減税率の話を書こうかと最初は思ったがやめた。

 昨年末に慰安婦問題の日韓合意があった。これに反対する極右が安倍政権を批判し、政権を退陣するデモまでをも行い、それを応援する極右ブログもあったようだが、読売新聞の世論調査で安倍内閣の支持率はまたしても上昇し、ついに5割の大台に乗せた。

 昨年8月に安倍晋三が「4つのキーワード」を形だけ盛り込みながら「村山談話」を骨抜きにしたばかりか「積極的平和主義」(=「自衛隊の海外での戦争への参戦」の言い換え)まで宣言した「安倍談話」を発表した時、安倍が「4つのキーワード」を盛り込んだことによって右翼の失望を買って内閣支持率が下がるだろうと取らぬ狸の皮算用をした「リベラル」がいたが、実際には内閣支持率が上がった。

 今回はさすがにそんな都合の良いことを考える「リベラル」はいなかったようだが、予想通り安倍内閣の支持率は上がった。北朝鮮の核実験(北朝鮮の自称「水爆実験」)も、安倍内閣支持率を押し上げる効果があったようだ。

 今考えているのは、どう考えても持続可能であろうはずもない、今の「復古自民党政治」がいつまで続くのか、その間日本はどうなるのかということだ。いつもいつも、1945年のような「リセット」が起きるとは限らない。暗鬱な反動の時代あるいは混乱の時代が何十年も続いても何の不思議もない。

 1989年11月にベルリンの壁が壊され、同年末にはルーマニアでチャウシェスク大統領が処刑された。その時、北朝鮮の体制(当時はまだ金日成が主席だった)もいつか崩壊するのではないかと思ったが、「金王朝」は祖父と父が死んで三代目の今も崩壊の兆しはなく、若い三代目が元気に(?)「水爆実験」をやらかす始末だ。

 北朝鮮にはもちろん「立憲主義」などないが、安倍晋三は「立憲主義が権力者を縛るという解釈は古い」と言い放ったことがある。自身は特に政治的に「色のついた」キャスターとも思われない国谷裕子氏が、2014年7月3日放送の「クローズアップ現代」で内閣官房長官の菅義偉に「他国の戦争に巻き込まれるのではないか」「憲法の解釈を変えていいのか」などと質問したことを根に持った安倍政権は、ついに国谷氏をキャスターから追放することに成功した。それを伝える朝日新聞記事の表現は結構生々しい。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1765P2J17UPQJ00K.html

NHK「クロ現」の国谷裕子さん降板へ 出演は3月まで
川本裕司
2016年1月8日05時45分

 NHKの報道番組「クローズアップ現代」の国谷裕子(くにやひろこ)キャスター(58)が降板することが7日、わかった。出演は3月までで、4月以降は、現在月~木曜の午後7時30分からの放送時間を午後10時に移し、番組名も「クローズアップ現代+(プラス)」にするという。

 国谷さんは1993年からキャスター。現在は1年契約で出演している。NHK関係者によると、クロ現を担当する大型企画開発センターは続投を強く求めたが、上層部は「内容を一新する」という方針を昨年末に決定。同センターを通じ、国谷さんにも契約を更新しない方針を伝えた。後任は同局アナウンサーを軸に検討しているという。

 国谷さんは「プロデューサーのみなさんが、編成枠が変わってもキャスターは継続したいと主張したと聞いて、これまで続けてきて良かったと思っている」と周囲に話しているという。(川本裕司)

(朝日新聞デジタルより)


 どう考えても、安倍晋三の息のかかった籾井勝人による強権発動だ。

 北朝鮮のように「粛清」されないだけマシだって?

 現政権が政敵の命までは奪わないのは、平和憲法によって、また立憲主義によって権力者の行動が縛られていたからに過ぎない。その縛りさえなければ、たとえば東条英機は自分に逆らう者に赤紙を出させて、敗色濃厚で戦死または餓死する可能性の高い激戦地に送り込んだりしたものだ。基本的に、権力者は何だってやる。反対者の命を奪うことが可能ならば、それを平然とやる。権力とは、人間とはそういうものだ。

 だから平和憲法は守らなければならない。また立憲主義をないがしろにしようとする安倍晋三のような人間は、一刻も早く権力の座から追い落とさなければならない。

 自衛隊を「国防軍」などにしてはならない。軍隊が守るのは国家であって国民ではないからだ。軍隊とはそういうものだ。だから「現実に合わせて個別的自衛権を守るために9条を変えて、自衛隊を国防軍にする」などと軽はずみに言ってはならない。

 だが安倍を倒す目処は今のところ全く立たない。
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運命はネズミのようにやってくるとはよく言ったもので、今回まさにそうなっている。まさかそんなはずが、とか大丈夫だろうとか、言っていたらもう手遅れになった。そうなると人間は否定に生きるのに耐えられない。いや安倍はそう悪くないよ、国のために死んだ人を祀るのは当然だ、そもそも悪いのは何もできない左翼だ、憲法にも足りないところはあるのだから、25条さえ無事なら仕方ない・・・気がついたら一丁上がり。いや気がつくこともないかも。そういう人の言い訳はいつも同じ。あの時は仕方なかったんだとくる。だけどさ、その言い訳は諸兄らが最も軽蔑した戦中派のものだ。いやそれ以下だ。だって今は特高もいないし憲兵もいないんだよ。かくて歴史は繰り返す。マルクスは間違った。二度目はもっと悪い。

2016.01.12 10:40 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]

>野次馬氏
「運命はネズミのようにやってくる」という件で思い出したんだけど何というのか今の安倍政権の「復古」って、元をただせば小泉「改革」更に遡ると30年前の中曽根「行革」辺りから連綿として続いているとこがあるんじゃないかと思いますね。以前にも言及したけど現政権に影響力を持っている日本会議にしてさえその頃から前身組織があった訳ですし、財界・有識者やマスコミばかりか時には"革新"の側にいそうな面子までも巻き込んで政策を進めるとこも、解り易い敵を設定しては"腑に落ちる"ビジョンを示すとこも、結局同じなんですよ。中曽根も小泉も安倍も・・・更に言うなら小沢やド鳩までやってることは同じなんです。で、"革新"の側はここまで批判されては仕方がない・この面さえ守れれば妥協止む無し・たとえ保守でもマシな方をと妥協をし続けた挙句に今や(「リベラル」「中道左派」さえも含めても)絶滅しかかっている訳です。

そもそも安倍の「復古」も小泉の「改革」・中曽根の「行革」も、どれを取っても"保守"と体制の中で見せているある面だけがクローズアップされていて、坂野潤治曰く「一〇や二〇の色を持っている」本質は何も変わっていないとしか思えないんですよね。神社神道が矢鱈タカ派的な政治と結びつきが濃かったりするのも教育の"偏向"云々も日本的なるものを賞賛することも今に始まったことじゃないし、何より「平和憲法」自体が敗戦という外力があって初めて成り立った(憲法研究会がお手本とした植木枝盛の「東洋大日本国国憲案」ですら軍備保有ばかりか──条件付きながら──外国軍の駐留や民間軍事組織の活用までも認めていた!)"保守"とは異質のものだったりする訳です。かの自由民主党が結党当初に「自主憲法制定」を謳ったのも、保守政党であれば自然な帰結なんですよ。

で、こういう遍歴を重ねているのに、今なお「籠城戦」を戦おうという"政権批判"の側に未だこの30年の"撤退"と"敗北"から学んでいない・そればかりか"保守"の側に迎合しておいて「××さえ無事なら仕方ない」ってのが結構目につくんですよ。"立憲主義"を主張する面子でも憲法9条を改正しようというのは"保守"ばかりか"リベラル"でも目立つし、経済政策に至っては社会民主主義を掲げる政党の議員が19世紀的な自由放任経済観念の持ち主と意気投合したり、里山何鱈と言ってはそれこそ"共助"の重要性を説くことで政権に援護射撃をする真似をする銀行員が"リベラル"だの"緑派"だのが心酔する始末・・・・・まぁ、特高も憲兵もいないでしょうけど江戸時代の五人組に始まり今の自治会・町内会に至るまで相互扶助と相互監視がセットになったシステムは健在だったりしますし、一時は新たな社会活動の担い手みたいな扱いだったNPOも"新しい公共"とやらが言われて以降は「プロ御用集団」 http://gudachan.hatenablog.com/entry/2016/01/12/143423 みたいになってますし、況や参加民主主義をや・・・・・途は遠いなぁ(嘆

2016.01.12 18:03 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

ルーマニアであれ、ムバラクのエジプトであれ、どんな強権的独裁を敷こうが経済がダメになったら、食えなくなったら人民が蜂起するし、盤石な権力基盤など一瞬にして瓦解する。
東条との対比で思い出したいのが、ヒトラーは軍拡と戦争を行うにしても、民需品生産は減らさなかった。国民を窮乏化するような権力は打倒されるというのが世界では常識だったから。
対する日本は軍需のために消費財生産を犠牲にし、国民経済が飢餓的なレベルまでなっても「欲しがりません勝つまでは」の精神主義によって、銃後の翼賛体制と戦争継続を支持を得られてしまうほど、支配層にとってチョロい国民であったということ。
北朝鮮も同じようなものでしょう。戦前日本並みの精神奴隷化をもってしなければ、これほど経済的に失敗し大量の餓死者を出して、三代世襲の王朝化までやり遂げるのは不可能です。もちろん現代の日本がそれを笑えないのは、経済政策に大失敗し、消費税増税で収奪されながら半数もの人間が安倍を支持するという「安倍カルト」の個人崇拝者が大量に存在するという暗黒な事実です。

2016.01.14 02:24 URL | スーベニア #- [ 編集 ]

>スーベニア氏
というのか、"政権批判"の側が経済に関しては安倍よりも酷いトンデモを口にするのが目立ってるでしょ。リフレや金融緩和は間違いだった・円高の方が円安より好かった等々、果ては資本主義崩壊みたいなことを言い出す御仁までいますし。

加えて、"政権批判"の側にこそ下手すれば安倍よりも"復古"・"反動"なことを言っているのも目立ってて、「リベラル」「左派」でさえも幻惑されてしまっているんですよ。例えば内田樹に藻谷浩介と耳にすれば"政権批判"で「リベラル」な論者だと思ってる人って多かったりしますけど、内田の『街場の共同体論』 http://amzn.to/1J5iWXT なんて江戸時代の封建体制・鎖国賛美でこういう批判がtogetterで出来ている http://togetter.com/li/684110 くらいなんです。藻谷の『里山資本主義』 http://amzn.to/1Oj9pZ3 にしても然りで考え様によっては"復古"志向だったりします。その上、この二人は『新潮45』で対談してたりもしているんですけど、其処で述べられている経済観念は(かのミルトン=フリードマンさえ「衰退と硬直の戯画」とまで言った!)20世紀前半のケインズが登場する以前の保守的な自由放任主義そのものだったりするんです。安倍ですら経済関係に関しては経団連や個々の企業に彼是口出しをしている(考え様によってはネオリベとは異質な)ことをやっているのに、"政権批判"の側にそれ以上にネオリベで"復古"的な経済政策や経済観念に拍手喝采しているのが少なくないというのが問題なんですよ。

かのエジプトにしても、ムバラクは倒せたけど後に選挙で選ばれた政権はイスラム原理主義ゴリゴリの権威主義的政府で、それに対する市民の不満から軍部が介入して現在では軍部の影響力の濃い体制になってますよね。精神奴隷化とか洗脳という前に、政権を批判するなら政権以上にマトモな政策を出してみてよ?と思ってるのは(自分も含めて)結構いるんじゃないかと。

2016.01.14 23:07 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

ここにも、「自らがデッチ上げた案山子に向かって渋面を作ってみせる」ような人たちが相変わらずいるねw何をかいわんやですw

2016.01.15 14:19 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

マクロ経済政策で安倍と対立するのは無理。クルーグマンの翻訳者は安倍信者であるように、日本は全員ケインジアンであって差はない。残る争点は分配だが、消費税増税は民主との合作であって攻めようがない。争点になり得るのは譲渡所得の総合課税だが、仮に野党が提案しても財務省に乗っ取られ国民的課題にされて終わり。労働分配率の向上は春闘で片がつく。結局のところ与党は市場原理主義者ではない。
右と左を分つ分岐点はそこにはない。分かれ目は立憲主義、法の支配か、人治主義かということだ。そして今のところ、支配エリート層と40パーセント以上の国民が人治主義を望んでいる。これで実現しなかったら不思議だな。

2016.01.16 19:16 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]

>マクロ経済政策で安倍と対立するのは無理。クルーグマンの翻訳者は安倍信者であるように、日本は全員ケインジアンであって差はない。残る争点は分配だが・・・・・


ずいぶん弱気ですねw
自民党の中からも内部留保に対する課税やタックスヘイブン対策の要求が出て来ている昨今なのに。

なお、再三主張しているように、世論調査の数字を妄信するのは危険ですよ。体制側から干渉と供応を受けている大本営メディア陣営は、左派・リベラルにペシミズムを撒き散らすことも一つの使命としているのですからね。
世論調査の数字は、抽象的な単なる「量」でしかなく、大手企業に迎合してエサにありつくオリコンの数字同様「質」が意図的に捨象されているのですから、もっと民意の内実や実態を見抜かなければならないでしょう。

経済的利害が事の真偽や善悪をネジ曲げる社会では、真実や本物を見分けることがいっそう簡単ではないのですから。

2016.01.17 11:15 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

内部留保課税やタックスヘイブン課税が自民党から出てきているから争点にならない。野党に独自色は出せない。いいね?

2016.01.18 16:50 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]

へっ!野次さん、自民党公明党ではいつから内部留保課税やタックスヘイブン課税が党論(公約)になったの?
支配層の動揺に敏感に反応し、支配層(支持者含む)の分裂や離反を画策努力するというのも反体制派や少数派の採るべき対応なんですよ!

少数派が多数派に転化して行くためには、書生論的正論「だけ」を振り回していてもダメだということが歴史の教訓ですw

2016.01.19 11:31 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]













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