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きまぐれな日々

 まずは24日のロイター通信の報道を引用する。
 http://jp.reuters.com/article/2015/09/24/abe-idJPKCN0RO0T820150924

[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三首相は24日、自民党の両院議員総会であいさつし、「さらに経済に力を入れ、社会保障の充実に全力を傾けていきたい」と、経済最優先で取り組む考えをあらためて表明した。

安倍首相は、政権奪還から2年9カ月の間に雇用や所得環境が好転したと指摘したうえで、デフレ脱却に向けて力強く歩みを進めていると強調した。さらに「経済の好循環を全国津々浦々に届けるため、地方創生を進めていく」と述べた。

また、19日に安全保障関連法案が成立したことを受け、「日米同盟は強化され、戦争や紛争を未然に防ぐ抑止力は強靭(きょうじん)なものになる」と語った。

両院議員総会では首相の自民党総裁再選が正式に決まった。首相は午後6時から党本部で記者会見し、今後の政権運営について説明する。

(梅川崇)


 安倍晋三の言葉は少々事実に反する。共産党系と思われる井上伸氏のブログ記事は、

 2015年4-6月期と2012年4-6月期を比較すれば、雇用者数全体は121万人増えていますから、これをもって安倍首相は「雇用は100万人以上増えた」と言っているのかもしれませんが、ここでも正規雇用は56万人も減って、非正規雇用が178万人も増えているのです。

 ですので、安倍首相は「正規雇用は56万~74万人減り、非正規雇用が151万~178万人増えた」と言わなければ正確ではないのです。

と指摘している。しかも前国会で労働者派遣法が「改正」(実体はいうまでもなく改悪)された。

 しかも、GDPを600兆円にするとブチ上げた安倍晋三の言葉とは裏腹に、4-6月期の実質GDP改定値は年率換算で1.2%減とマイナス成長だった(毎日新聞記事参照)。7-9月期もマイナス成長となると予想している向きもある。

 さらに、消費者物価指数が2年4か月ぶりにマイナスになった。もっとも、こう書いただけでは、いわゆる「リフレ派」の方々から、「いや、それはエネルギー価格の下落が原因であって、『コアコア』はプラス幅が拡大しているよ」と指摘されそうだ。実際、日経記事から引用すると、

食料・エネルギーを除く「コアコアCPI」は0.8%上昇の101.5となり、7月(0.6%上昇)から上げ幅が拡大した。

とのことだから、すわ、デフレに逆戻りか、と書くと、早合点の誹りを免れないかもしれない。

 ただ、昨年4月の消費税率引き上げ以来、景気回復が肌で感じられなくなったというのが私の生活実感だ。昨年度の仕事の実績を反映した今年の私の年収は昨年より多くなりそうだが、来年は今年と比べてはもちろん、昨年と比べてもかなり少なくなりそうなのだ。つまり今年の実績は思わしくない。

 最後に、昨日(9/27)のTBSテレビ『サンデーモーニング』のエンディングに少し言及しておく。同番組は、稀代の悪法である安保法を成立させたあと、安倍晋三が「経済最優先」を言い出したことについて、VTRで森田実(私が全く評価しない政治評論家である)のコメントを挿入しながら、「既視感がないか」として、1960年に岸信介が日米安保条約を改定したあと、次の総理大臣である池田勇人が「所得倍増計画」を掲げたことを、安倍晋三の「GDPを600兆円にする」宣言と重ね合わせていた。

 私は「森田実はアホか」と思ったが、それを代弁してくれたのが、日頃共感することが少ない田中秀征だった。田中は、1960年には総理大臣が代わったが今回は代わっていないとあまりにも当たり前のことを指摘した。さらに岸井成格はそれを受けて、安倍晋三は選挙の前には経済のことばかり言うが、選挙が終わると選挙の時には何も言っていなかった秘密保護法(2013年。岸井はこれを「悪法中の悪法と今でも思っている」と言っていた)や今回の安保法をやり出す。そんなやり方に国民はいつまでも騙されない」と指摘した。TBSの番組スタッフと森田実のどうしようもないアホさが浮き彫りになったことは言うまでもない。

 実際、本心では経済に何の関心もない安倍晋三にとって、最終目標は「憲法改正」であろう。だがそれに踏み出す前に日本経済が危機を迎えるのではないかというのが私の予想だ。

 その危機を乗り切るために安倍晋三が何をやろうとするかといえば、ずばりそれは「戦争」ではないかというのが私の最大の懸念である。ポール・クルーグマンも戦争には経済効果があることを指摘しているが、クルーグマンが戦争に与しないことを著書でほのめかしているのは彼の経済理論のゆえではなく、政治思想のゆえだろうと私は推測している。

 しかし、日本の「リフレ派」にはクルーグマンのような政治思想の持ち合わせはあろうはずもないから、軍需による経済成長を大々的に翼賛するのではないかと疑う今日この頃なのである。
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矢張り、と言うべきか予想通りだったと思うべきか、政治から経済への季節へってのを繰り出してきたかってのが「新第三の矢」を発表した安倍を言い出した際の感想だったんですよね。kojitaken様は戦争への懸念を言い出してますが、既に武器輸出での貿易保険適用を検討している http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015092302000122.html など、軍需を梃子とした経済浮揚(!)って未来図は朧気ながら見えている格好ですから。こと軍需だと日本の経済を支えている製造業が恩恵を受け、こと「付加価値」とかをつけ易い分野である上に性格上として国内の中小企業にも"トリクルダウン"を齎しやすい側面がある訳ですし。

ところで「新三本の矢」の中で「一億総活躍社会」色付きの文字ってのが出ていたんですけど、これを聞いて自分はかつて80年代の社民派や左派がやっていた「第三の道」での「ワークフェア」というのを想起しました。詳細は松尾匡氏が詳述してますけど http://synodos.jp/economy/9541 つまり「働かざるもの食うべからず」ってレーニンの言葉通りのことを新古典派的なロジックで行う(!)という代物で、ブレア政権が現に政権に在った際にやっていたことなんですよ。それでも実際には失業率が改善されたとは言えず、そればかりか福祉プログラムが削減されたりして野党となった労働党ではこの間(以前なら「ルーニー=レフト」と侮蔑的に呼ばれてた)左派の党首が選出されていた訳ですが。

松尾氏は当該記事の中で、同時期に金融緩和や職業訓練など需要に関する政策を行った「アクティベーション」との対比で「ワークフェア」的『第三の道』を批判してますけど、同じNPOや協同組合との「協働」という形でも、「アクティベーション」では当事者間の参加と決定が必須で同時に責任を負う格好になっていますが、「ワークフェア」だと予算の削減とか政策的な介入とかで反ってNPOの好さが活かされず寧ろ問題解決にすらならなかったんですよね(保守党中心の政権になって「大きな社会」となっても、この状況は相変わらずのまんまですが)。

とは言いながら、日本では「ワークフェア」的なのって与野党問わず結構人気があるみたいで、「新第三の矢」ってのは勿論のこと鳩山由紀夫もとい友紀夫が政権投書に言い出した「新しい公共」とか「事業仕分け」とかもその様な性格が強い中で推進されてきた訳だったりしますから。何しろコンマ以下にも満たない生活保護の受給不正で大騒ぎして、ナマポとか侮蔑的に口にするのが少なからずいたりするのが我が日本だったりしますし(嘆

2015.09.28 08:55 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

戦争するとしたら「世に倦む日々」当たりが期待する対中戦争ではないでしょう。まずアメリカは金輪際戦争する気がない。だいたい右翼は自分より強いものには尻尾を振る。もう日本は中国には経済的に追いつかない。やつらが韓国を無闇に憎悪する感情には憤懣のはけ口を求めて弱い者を叩く部分がある。また自分らはデモする覚悟がないものだから左に中国でデモしをろと言う。実は本当にデモして欲しいのだ。

だから騒ぎを起こすならジブチだろうと思っていた。実際に統馬鹿議長は基地の役割拡大を米軍との会談で明言していた。ところが今度ジブチには中国の巨大海軍基地ができる。さあどうする。

というわけで南スーダンであれジブチであれ、戦争法制適用第一号は中国と協力しての集団的自衛権行使になりかねない。馬鹿が賢いつもりになるとこうなるという典型事例だ。悔しくてしょうがない馬鹿の次の手は国内の政治テロではないかと思う。

2015.09.30 18:03 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]













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