きまぐれな日々

 以前にも書いたかもしれないが、「一月はいぬ(往ぬ/去ぬ、時が過ぎ去るの意)、二月は逃げる、三月は去る」という、主に西日本で使われる言い回しがある。阪神間に住んでいた小学校2年生の3学期に、四十代半ばの担任の教師に教えてもらった。小学校2年生というと、一年がうんざりするほど長かったと感じたものだが、そんな言葉を教わったせいか、3学期だけはやけにあっけなく過ぎ去ったような気分になったものだ。

 歳をとって、年々月日の過ぎるのが速く感じられるが、今年の1月と2月は、特にあっという間だった。ブログに関連する話題でいえば、年末にピケティ本を買って年明けを挟んで読み、年が明けたらパリでシャルリー・エブド襲撃事件があり、そのすぐあとに自称「イスラム国」(IS)による日本人人質事件が起きて凄惨な結末になった。その間ピケティが来日して経済メディアを中心に狂躁が繰り広げられ、国会が始まると農水相・西川公也が辞任し、今なお下村博文ら数人の閣僚に「政治と金」の問題が持ち上がっている。

 トマ・ピケティが来日した1月29日は、湯川遥菜氏殺害と後藤健二氏殺害の間に当たり、来日当日は大きく報じられなかったが、ピケティの離日後、改めて日本のメディア関係者との対談やピケティ本の評論がテレビや経済誌で大きく取り上げられた。安倍政権は、当初ピケティの経済論に冷淡な対応をとるかと見られたが、「ブームで人気の高いピケティの議論を否定的にコメントするのは得策でない」との政治判断が働いたらしく、「ピケティの主張と『アベノミクス』は矛盾しない、もしくは適合する」という宣伝を政府が行うようになった。

 なお、「アベノミクス」という言葉を普段私はブログの記事で用いないことにしているが、今回は例外的に用いる。

 それでなくても、リフレ派の経済学者は、昨年末来、「ピケティは安倍政権の金融政策を否定していない」と宣伝するのに躍起だった。特に彼らが論拠として用いたのは、昨年12月22日付の日本経済新聞に掲載されたピケティのインタビュー記事である(下記URL)。
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF19H05_Z11C14A2SHA000/

 以下、インフレに関する部分を引用する。

 ――日本の現状をどう見ますか。

 「財政面で歴史の教訓を言えば、1945年の仏独はGDP比200%の公的債務を抱えていたが、50年には大幅に減った。もちろん債務を返済したわけではなく、物価上昇が要因だ。安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい。2~4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退につながった」


 何もピケティのような経済学者の言葉を借りなくても、「物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい」ことくらいは誰にでもわかる。デフレは金持ちには恩恵をもたらすが、借金を抱える側にとっては債務が重くのしかかるばかりだ。

 しかし、このピケティの発言の拡散に励んだのが、「再分配も重視するリフレ派経済学者」の飯田泰之だった。
 https://twitter.com/iida_yasuyuki/status/547285071669899265

飯田泰之
@iida_yasuyuki

ピケティ氏の日本の金融政策への言及.要拡散.「(主に財政を巡って)安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。2~4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退に」ピケティ氏インタビュー http://s.nikkei.com/1HkOGl0

22:58 - 2014年12月22日


 まあ気持ちはわからなくないし、ピケティが金融政策自体を否定するはずがないとも思う。しかし、どう控えめに言っても、ピケティが金融政策よりも再分配を「より重視する」学者であることは間違いない。例えば、日経BPから『トマ・ピケティの新・資本論』というタイトルの便乗本が出ていて、これは実は日経BPのサイトにある通り、ピケティが「数年にわたってリベラシオン紙に連載していた時評をまとめたもの」であって、主にフランスを中心としたヨーロッパ経済を論じたコラムを集めたものなのだが、この本の81頁に「ミルトン・フリードマンに捧ぐ」という文章が載っている。これは、フリードマンが死んだ直後の2006年11月20日付のコラムだが、ピケティはフリードマンについて、

共感できる人物だったとは言いがたい。信念の人にありがちなことだが、経済面での超自由主義思想(市場至上主義、国家不要論)は、ある意味で自由主義に反する政治思想(市場の敗者を罰する権威主義的な国家)に行き着いた。一九七〇年代にピノチェト政権を表敬訪問したことは、その表れと言えよう。
(『トマ・ピケティの新・資本論』(日経BP社,2015)81頁)

とこき下ろしながらも、フリードマンが1929年の大暴落に続く大恐慌の時代にFRBがとった過度の緊縮策が、単なる株式市場の大暴落を過去に例のない大恐慌にしてしまったと結論を出した分析(同82-83頁)を高く評価している。

 ピケティが特に評価するのは、フリードマンがアメリカの資本主義を一世紀にわたって遡って実証的に分析したことだ(同82頁)。ピケティ自身が『21世紀の資本』で用いたのと同じ方法論といえる。

 しかしピケティは、フリードマンを評価しながらも下記のように書いている。以下再び引用する。

 フリードマンが経済学の研究から導き出した政治的な結論は、やはりイデオロギーを免れていない。「よい中央銀行」があればよいと言うなら、「よい福祉国家」があってもよかったはずだし、おそらく後者のほうがよいのではないか。とは言え、フリードマンの重厚な研究が、二〇世紀で最も深刻な危機を巡る当時のコンセンサスに疑義を提出したことはまちがいないし、あのみごとな研究に裏づけられていたいたからこそ、彼のメッセージはあれほどの影響力を持ったのである。今日では、一九二九年の危機と金融政策の役割に関する議論は、ほとんど決着がついている。だからと言って、フリードマンの業績の重要性が薄れることはない。(前掲書84頁)


 どこをどう読んだって、ピケティが金融政策の効果を否定する論者とは言えないものの、それよりも「富の再分配」を重視する経済学者であることは明らかだろう。

 さらに、『トマ・ピケティの新・資本論』には、「日本――民間は金持ちで政府は借金まみれ」という、東日本大震災の直後の2011年4月5日付のコラムでは、下記のように書いている。以下三たび引用する。

 民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。この不均衡を解消するには、民間部門(GDPに占める割合は三〇%程度)に重く課税する以外にない。論理的に考えれば今回の大震災は、一九九〇年から続いているこの現象を一段と加速させるはずだ。そして日本をヨーロッパに、つまりは債務危機に近づけることになるだろう(前掲書254頁)


 このピケティの提言が、いわゆる「アベノミクス」と適合的だと解釈できる人など、誰一人としていないのではないか。

 もちろんインフレが債務解消に有効であることはピケティも述べている(というより当たり前だ)。しかし、その処方がインフレターゲットであるとは限らない。日経のインタビューでは、「安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい」と言っているが、今年1月1日付の朝日新聞に掲載されたインタビュー(これは1月5日付の記事「平和・自由・平等の『揃い踏み』を追求すべし」でも取り上げた)では、ピケティはこう言っている。

 ――デフレに苦しむ日本はインフレを起こそうとしています。

 「グローバル経済の中でできるかどうか。円やユーロをどんどん刷って、不動産や株の値をつり上げてバブルをつくる。それはよい方向とは思えません。特定のグループを大もうけさせることにはなっても、それが必ずしもよいグループではないからです。インフレ率を上昇させる唯一のやり方は、給料とくに公務員の給料を5%上げることでしょう

(2015年1月1日付朝日新聞オピニオン面掲載 トマ・ピケティインタビュー「失われた平等を求めて」より)


 この答えには私も「その通り」と思うのだが、聞き手の朝日新聞論説主幹・大野博人は、「それは政策としては難しそうです」と反応している。ピケティは、金融緩和でバブルを発生させるのは「よい方向とは思えません。特定のグループを大もうけさせることにはなっても、それが必ずしもよいグループではないからです」と言い、金融緩和に代わる方法として公務員の賃上げを提案したのだ。さらにピケティはそれに続いて、

私は、もっとよい方法は日本でも欧州でも民間資産の累進課税だと思います。それは実際にはインフレと同じ効果を発揮しますが、いわばインフレの文明化された形なのです。負担をもっとうまく再分配できますから。

と語っている。これがピケティの本当の主張なのである。日経の記者から金融緩和によるインフレについて聞かれたらそれは否定しないが、インフレにするためには公務員の賃上げの方が効果的で、さらにもっと良いのが累進的な資産課税だというのである。

 さて、ここまで長々と書いてきたが、実は本論はここからである。だから、今回は前振りが異常に長い。だから全体も長い。私の無能ゆえに(毎度のように書くが、私は経済学の素養を全く欠くど素人である)馬鹿長い記事になってしまった。

 1月5日付記事で、

『21世紀の資本』の第16章「公的債務の問題」でピケティが最悪の解決法だと評しているのが緊縮財政である。

と書いた。私が書いた文章は信用できない、という向きには、ネット検索で「ピケティ『21世紀の資本』を読む」と題した連載記事を載せているブログ(『海神日和』=下記URL)に、該当箇所の要約が短く載っている。
 http://kimugoq.blog.so-net.ne.jp/2015-01-07

 いうまでもなく、政府が支出をまかなう方法は、税金と負債です。現在、先進国は1945年以来経験したこともないような負債をかかえこんでいます。「金持ち世界は金持ちだが、でも金持ち世界の政府は貧乏」という奇妙なパラドックスが生じている、と著者はいいます。
 この公的債務を解決する方法は、資本税、インフレ、緊縮財政の3つしかありません。このなかでは緊縮財政が最悪の解決方法です。

(ブログ『海神日和』 2015年1月7日付記事「累進資産税の提案──ピケティ『21世紀の資本』を読む(9)」より)


 ところが、安倍政権が現在やろうとしているのは、ピケティが言うところの「最悪の解決方法」である緊縮財政なのである。下記日経記事(下記URL)は、ピケティが来日した当日にして、日本の報道が日本人人質事件に集中していた1月29日に載ったので、うかつにもこの週末まで知らなかった。
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H6A_Y5A120C1PP8000/

自民、財政再建へ新組織 政府会議の民間識者参加

 自民党は2月から歳出抑制の議論に着手する。稲田朋美政調会長をトップに特命委員会を設け、高齢化で膨らむ社会保障費などに切り込む。財政問題に詳しい土居丈朗慶大教授ら学識有識者を助言役に加える。機械的な歳出削減だけでは党内の反発も予想される。行政改革などの専門家も交え、規制緩和による経済成長を通じた税収増や公共サービスの効率化なども含めることをアピールしたい考えだ。

(2015/1/29 2:00 日本経済新聞 電子版)


 せっかくピケティ来日のタイミングで流れたニュースなのだから、新聞社の経済記者は、このニュースについてピケティに質問すれば良かったのにと思った。この政策の是非について聞かれたら、ピケティは肩をすくめて一刀両断に切り捨てたに違いない。

 この件を私は週末に発売された講談社の写真週刊誌『FRIDAY』(3月13日号)で知った。「安倍首相が稲田政調会長に託した財政再建素案『痛みに耐えよ』」という見出しがついている。載っている写真だけ見れば、稲田朋美と安倍晋三の宣伝記事にしか見えないが、腰が引けながらも安倍と稲田を揶揄する調子の文章が書かれている。『FRIDAY』の記事をまとめると下記のようになる。

 安倍晋三は1月下旬に「財政再建に関する特命委員会」を立ち上げ、稲田朋美を委員長に指名した。つまり、財政再建を稲田朋美に丸投げした。安倍のお気に入りながら経済には明るくない稲田は、4人の有識者を特命委員会の会議に招聘したが、稲田の「指導係」と黙されているのが慶応大経済学部教授の土居丈朗。稲田じきじきの依頼で土居が招聘された。今年初め、土居を中心として作成された〈社会保障改革しか道はない〉と題されたレポートが、「稲田委員会」の討議の叩き台になる。稲田は、このレポートを読み込み、「財政再建はこの道しかない」と認識している。

 中身は「大幅な歳出削減」。最初に標的にされるのは医療費(2.7兆円削減、ジェネリック医薬品利用促進でさらに0.5兆円削減)、次いで介護費(1.1兆円削減)。さらに年金受給者向けの優遇税制の圧縮(0.4兆円削減)。それでも数兆円不足するが、消費税率を12%に上げて賄う。国民に大きな痛みを強いる改革案だが、安倍はこの路線に賛成している。レポート発行元のNIRAの会長は、安倍の「後見人」と言われ、安倍の兄の岳父でもあるウシオ電機会長・牛尾治朗。

 稲田を「自民党のジャンヌ・ダルク」と高く評価する安倍は、財政再建改革案を無事にまとめれば、稲田を重役ポストに登用するという観測も。「身内」しか信用しない安倍に、国民に痛みを強いる重要な改革ができるか甚だ疑問。

(週刊『FRIDAY』 2015年3月13日号18-19頁 「安倍が稲田に託した財政再建素案の核は『痛みに耐えよ』」より要約。敬称略=週刊誌の記事には人名に役職名が付されていた)


 あまりに凶悪極まりない中身には唖然とするほかない。飯田泰之が「ピケティが安倍政権と日銀のインフレ政策を評価した」とされる日経記事をネットで拡散したり、高橋洋一が「ピケティ氏の理論を都合よく“編集”した言説にはご注意を」などと夕刊紙に書いたりして「アベノミクス」を宣伝している間に、こんな悪質な企みが進んでいたのだ。

 「再分配も重視するリフレ派」のはずなのに、いわゆる「アベノミクス」から再分配が欠落していることをどの程度批判しているのかはなはだ疑わしい飯田泰之もダメだが、夕刊フジの記事に「ピケティ氏はアベノミクスや金融政策に否定的だという印象を受ける」と書いた高橋洋一はさらに悪質だ。

 ここまでに書いたことから、金融政策はともかく、「アベノミクス」にはピケティは間違いなく大反対であると断言できる。ピケティが「アベノミクス」を評価する点があるとするなら、それはインフレ実現を指向した金融政策に限定されるだろう。

 そもそも、「アベノミクス」とは「安倍経済学」を意味する言葉のはずであって、当然そこには金融政策ばかりではなく、財政政策も含まれるはずだ。しかるに、安倍政権が進めようとしている財政政策は、ピケティが「最悪の解決方法」だと主張する緊縮財政政策なのである。こんなことをやっていたら、いくら金融緩和を続けても日本経済は上向くどころか、悪化する一方だろう。

 高橋洋一に対しては、「ピケティ氏の理論を都合よく“編集”した言説」をなすのは一体どっちなんだよ、と言いたいが、その高橋洋一に輪をかけて最低最悪な人間がいる。

 高橋洋一は、まだピケティがインフレ政策を肯定していること「だけ」を強調する程度だ。別件で、ピケティが資産(ピケティのいう「資本」)の話をしているのに、高橋洋一が書いたコラムで所得の話にすり替えているというご指摘を、渡辺輝人弁護士から『kojitakenの日記』のコメント欄にいただいているが、それよりもっとひどいピケティのねじ曲げをやった男がいる。それが、ほかならぬ稲田朋美の「財政再建に関する特命委員会」のブレーン・土居丈朗なのである。

 そのことは先週、『kojitakenの日記』の記事「ピケティをねじ曲げる土居丈朗、どうでも良い雑談をかます高橋洋一」に書いた。高橋洋一の記事を「どうでも良い雑談」と書いたの私の記事は、高橋がやらかした資産と所得のすり替えを見逃しているというのが、渡辺輝人弁護士のご指摘だと認識しているが、それでも土居丈朗によるピケティのねじ曲げは、高橋洋一よりももっとひどい。以下『kojitakenの日記』に書いた文章を引用する。

 昨日、職場に置いてあった日本経済新聞(確か日曜日の22日付)を見ていたら、緊縮財政派にして消費税増税派と思われる土居丈朗がコラムを書いていて、ピケティの『21世紀の資本』に言及していたが、その言及が実にひどかった。イギリスが今の日本と同じようにGDPの200%にあたる政府債務を抱えていたが、低成長下で緊縮財政をずっと続けて完済した話を肯定的に引用し、自説へとつなげていたのだが、実はピケティはこの例を否定的に取り上げていたのである。土居はそのことをコラムに一言も書いていなかった。実に不誠実極まる態度だと思った。なお、ピケティがイギリスの方法に批判的であるのは、下記「東洋経済オンライン」の記事でも確認できる。
 http://toyokeizai.net/articles/-/58906?page=2

■ イギリスと同じ轍を踏んではいけない

 ――反対に、すべきでないことは?

 ピケティ たとえば公的債務の危機は過去にもあった。イギリスは19世紀に、今の日本と同様、GDPの200%の水準になったことがある。19世紀のイギリスは、歳出削減によって予算を黒字化させて公的債務を減らすという、オーソドックスなやり方でこの危機を乗り越えた。

 だが問題は、非常に時間がかかったということだ。解決には1世紀を要した。その間、イギリスは毎年GDPの1~2%の黒字を蓄積していき、自国の金利生活者にカネを返し続けた。結果、イギリスは教育への投資を減らしてしまった。これは、今の日本や欧州が「同じ轍を踏まないように」と考えさせる重要な教訓だと思う。


 東洋経済オンラインではこれだけだが、ピケティは「イギリスが教育への投資を減らしてしまった」ことがイギリス経済に悪影響を与えたと批判していたはずだ。それを、ピケティとは立ち位置が全く異なると思われる土居丈朗が我田引水する。これだから日本の「経済学者」とやらは信用ならないのだ。


 その「最悪の経済学者」にして、小泉純一郎政権時代に日本社会の格差を拡大させた竹中平蔵と同じ慶応大経済学部教授の土居丈朗が、あの稲田朋美のブレーンとなって安倍政権の「財政再建政策」の方向性を決める。

 トマ・ピケティの思想とは正反対、「反ピケティ」の極致であるのはもちろん、これまでに見たこともない凶悪な経済政策としか言いようがない。

 経済学者たちよ、それでも「アベノミクス」を支持するのか。
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日本人の緊縮好きってのには、どうも高度成長期からの宿痾みたいなものがあったりして、例えばかつての日本社会党など野党が自民党の一部を切り崩して政権を、と言う構想が出てきたりした場合に想定されていたのはハト派の三木派とかではなく財政規律派で尚且つタカ派の福田派(清和会)だったりしたんですよね。つまり表面的には護憲だ軍拡反対だと言っても、実際の政権構想では皮肉にも緊縮志向で馬が合うタカ派との連合を志向する皮肉なことになったりしますし。

何と言うのか日本人って(バブルの膨張と崩壊と言う体験が背景にあるんでしょうけど)兎角無駄とか消費に厳しく質実で質素な「健全」な社会が理想化されているきらいがあるのでは、って思ったりしますね。だから消費税は勿論、たばこ税だろうが累進課税や自動車税・果ては法人税(!)であろうが税負担を上げようとすると「税金を上げる前にやることがある!」ってハナシになって逆に緊縮やシバキを促す動機になってしまう訳です。「アホノミクス」の浜某やソフトな極右の内田樹なんて緊縮志向(で尚且つ再分配否定)だったりしますし、以前に『日本人よ、お金を使うな!』 http://amzn.to/1zVcdsA なる本を出した「火の玉教授」でさえ自ブログで3連荘もこんなこと書いているくらいですから。

ttp://29982998.blog.fc2.com/blog-entry-856.html
ttp://29982998.blog.fc2.com/blog-entry-857.html
http://29982998.blog.fc2.com/blog-entry-858.html

こと最後のエントリ見てると1000兆円もの借金が大学・病院・住宅や国宝・文化財に使われている!って並べ立てて、まともな読解力があれば以前の「埋蔵金」ネタじゃないかって普通は思いますよね。で、コメント欄で指摘したら誤解とばかりにこの反応です。

ttp://29982998.blog.fc2.com/blog-entry-859.html
私は研究所も廃止し、文化財も売れなどと主張しているのではありません。実際には研究投資などまだまだ足りません。
私が連続3回にわたって主張したのは『100兆円の国の借金で将来日本国は崩壊(デフォルト)してしまうから消費税の増税は当然だ、年金減額も受け入れろ、社会保障も切り詰めろ。。。』という政府、一部マスコミの脅し、あるいは脅迫を批判したのです。
もちろん、あなたが上のような脅しを、脅しとお感じにならなければそれはそれで何も申しません。しかし多くの市民はこの脅し、脅迫、を素直に受け止め、『消費税もやむを得ないのか』と騙されてしまう昨今の風潮に異を唱えたまでです。

この反応を見て、あぁこういう言説が却ってシバきへのいい大義名分になるのだな、と思ったモノです。仮にこれが消費税だけでなく例えば法人税や所得税・更には(ピケティの言う様な)資産課税(具体的には固定資産税や株式配当への課税)だったとしても、「火の玉教授」が同じことを言う可能性は少なからずありますし、そもそも政治の世界でこの言説が用いられたが故に「埋蔵金」など更なる緊縮志向へと繋がったりした現実もある訳です。というのか、「火の玉教授」はドイツ(そしてEUやECBにも影響を及ぼしている!)の均衡財政・緊縮政策を評価する呟き https://twitter.com/Holms6/status/552985304827580416 をRTしていますから、こういう方が考えそうな政策は「質実」ではあれど福祉や貧困層対策には冷たい社会としか想像できないんですよね。

バブル崩壊直後にも中野孝次の『清貧の思想』 http://amzn.to/1K59pQp がベストセラーになったりしましたけど、こうした清貧とか質実を美化する発想と貧困層に対する冷たさ・勤労者に対するシバき、更には税金など公的な負担に対する敵意みたいな抵抗感と「小さな政府」志向って、何処か通底しているものがあるのでは?と思ってしまいます。

2015.03.02 08:15 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

ところでピケティに一応評価されながらも結局切り捨てられているフリードマンなんですが、クルーグマンも同様に最近の経済保守ではクルーグマンが「黒歴史」扱いされてるってNYTimesの連載で指摘してますね。
http://nyti.ms/162ujZz
ちなみに拙訳も(爆
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1143711594/744-746

2015.03.02 08:22 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

間違えた、クルーグマンじゃなくてフリードマンが「黒歴史」扱いでした・・・・・ orz

2015.03.02 08:28 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

僕の場合、アベノミクスは『外需・円安・インフレ志向』と考えていて、(この逆となると『内需・円高・デフレ』志向か。)
その意味ではピケティ氏の主張する『2-4%の物価上昇を恐るべきでない』というあたり、ピケティ氏はアベノミクスの方向性は間違っていないと主張していると考えていたんですけれど、意外でしたね。
(まあデフレ不況には日本のみならず欧米でも苦しめられているみたいですけれど。)

累進課税の強化と所得税率の最高引き上げは頷けます。
日本でもかつて所得税最高税率が75%(年間所得8000万円以上)で、累進課税が19段階だった時代もありますし。

問題の公務員の給与引き上げ。
公務員でも平は民間企業の所得より低い(ただし年金制度は充実しているよう)、と僕は見ているんですけど、日経の平田育夫氏によれば、
『公務員給与は人事院が司っているが、企業の50社の状況を判断していて決めていて、民間より高すぎるという批判が多い(フランスの学者はさすがに知らないだろうがとフォローはしていますが)』
そうです。
僕はどちらが正しいのか判断できかねますけれども、少なくとも、正規と非正規の格差是正が急務だとは思っています。

2015.03.15 19:34 URL | SPIRIT(スピリット) #Bcjh3QfU [ 編集 ]













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