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きまぐれな日々

 安倍晋三は来年(2016年)に憲法改正を狙う姿勢を明確にしてきた。昨日(22日)朝のTBSテレビ「サンデーモーニング」で岸井成格が警鐘を鳴らしていた。かつて「毎日新聞の社論を『護憲』から『論憲』に変えた」と言って威張っていたはずの岸井成格が、第1次安倍内閣時代とは打って変わって第2次安倍内閣以降「リベラル」側にプチ転向した、その理由は不明だが、2013年の特定秘密保護法案審議中に、岸井が若手記者だった頃の1972年に起きた「西山事件」(外務省機密漏洩事件)の思い出を刺激されたことも一因だろう。もっともそれ以前に、父の安倍晋太郎にはシンパシーを持っていた岸井が、安倍晋三を見限ったものと私はみている。

 だが、70年代当時と今ではマスコミの布陣も大きく変わった。何より、1972年頃には毎日新聞と大してスタンスが変わらなかった読売が、79年の渡邉恒雄(ナベツネ)の論説委員長就任を機に右傾化を始め、現在ではすっかり「御用新聞」となった。そしてそのさらに右には、ネトウヨ御用達の産経がいる。

 新聞よりさらに大きいのがテレビ媒体の支配で、特に安倍晋三が送り込んだNHK会長・籾井勝人やNHK経営委員・百田尚樹といった布陣のインパクトは大きかった。現在のNHKは、ジャーナリズムに求められる批判精神を完全に失い、国営放送さながら、いや「大本営発表」に近いのではないかと思われる惨状を呈している。

 ここまで言論統制をしてしまえば、安倍晋三はもっとどっしりと構えそうなものだが、そんな気配は全くなく、安倍晋三やその一味は、とにかく早くゴール(改憲)にたどり着きたいと、しゃかりきになっているように見える。

 たとえば先週は籾井勝人と民主党衆院議員・階猛との猛烈な怒鳴り合いがあった。また、やはり民主党衆院議員の玉木雄一郎が国会で西川公也農水相の政治献金問題を追及する質問を始めると、安倍晋三が突然「日教組、日教組!」と意味不明の野次を飛ばし始める異様な光景があった。翌日、その野次を改めて問題にした前原誠司も、安倍と激しくやり合った。

 階猛、玉木雄一郎、前原誠司の3人は、いずれも揃って民主党のタカ派議員である。そんな人たちを離反させて、安倍晋三はいったい何をそんなに神経質になっているのかと不思議に思うほどだ。

 かくも余裕のない姿を見ていると、安倍晋三は内心「自分の持ち時間は長くない」と思っているのではないかと思えてならない。

 それは、一部で噂される健康不安というよりも、現在の自らの政権への追い風がいつまで続くかわからないという不安なのではないか。

 勝手な想像だが、安倍晋三には、自らの政権が「砂上の楼閣」で実は脆いものだという自覚があるように思われる。それには根拠がないわけでもない。2005年の郵政総選挙圧勝の4年後に自民党が下野に追い込まれ、それに取って代わった民主党政権も、3年後には総選挙で大敗した。これらは、日本国民、というより選挙に投票した人たちのおよそ10%が投票行動を変えただけの結果だ。自分の政権もいつまで続くかわからないから、早いとこ宿願の憲法改正をやってしまおうというのが安倍の狙いだろう。

 既に、安倍人気に便乗して成り上がった者の中にも、没落を始めた者もいる。百田尚樹である。

 一昨日、百田の「ベストセラー」であるらしい『殉愛』(幻冬舎)の「嘘を暴いた」という宝島社の新刊『百田尚樹『殉愛』の真実』が書店に置いてあった。東京では、やしきたかじんは没後に有名になった芸能人という位置づけの人が多いと思われる。だから、この本が出版されることも私は知らなかったし、本を店頭に置いていない本屋も多いようだが、幸運にも私が入った本屋に置いてあったので早速買って読んだ。その感想文の一部は『kojitakenの日記』に連載の形で、「(1)」「(2)」を書いた(続きも書くつもりだがまだ書いていない)。

 ただ、この本でもっともセンセーショナルであると思われる「やしきたかじんの死を看取った三番目の妻」の正体については、上記感想文で少し触れたものの、基本的には些末事だと思っている。渦中の家鋪さくら氏には情状酌量の余地もある。それよりも私が問題にしたいのは、百田尚樹の「言論弾圧」的態度である。百田は、自らが出版社に利益をもたらす人気作家であることを利用して、自らにとって不利益な週刊誌の記事を掲載させないという圧力を雑誌編集部にかけた。一例を挙げると、「大阪が人を明るくするまちにしたい」との趣旨で、やしきたかじん肝煎りで設立された一般社団法人「OSAKAあかるクラブ」のメンバーとの雑談で、百田は、「文春から、さくらさんに対する失礼な質問状がきたので、俺がすぐに圧力をかけて記事を潰した」と得意げに話していたらしい(前出『百田尚樹『殉愛』の真実』245頁)。

 先日、「国境なき記者団」が発表した2015年版「報道の自由度ランキング」で、日本はおそらく調査が始まって以来最低と思われる61位にランキングされたが、百田尚樹による週刊誌の記事潰しなども、ランキングを下げた要因の一つだったに違いない。

 一事が万事、すべてがこの調子である。政治に話を戻すと、国会で農水相・西川公也の政治献金疑惑を質問している最中に首相・安倍晋三に「日教組、日教組!」という野次を飛ばされた民主党衆院議員の玉木雄一郎は、すぐさま産経新聞に「民主・玉木氏団体に280万円」と書き立てられた。ネトウヨは「ミンス得意のブーメラン」と喜んだのも束の間、玉木雄一郎(私の好まない右派政治家ではあるが)の逆襲によって、ブーメランは産経に突き刺さったのだった(笑)。

 この件の詳細は、「たまき雄一郎ブログ」の記事「権力とメディア」を参照していただきたいが、玉木氏の国会質問の報復として産経が、玉木氏を取材した現場の記者の本位に反してまで掲載した記事は、おそらく自民党からのリークだったと思われる。

 私はかつて香川県に6年あまり住んでいたが、産経は行きつけのうどん屋に置いてあったのを昼食時にたまに見るだけで、それ以外の場所で産経を見かけた記憶は一切ない。香川県における産経の発行部数は、人口約100万人に対して、少し古いが2010年で7,568部しかない。つまり人口100人あたり1部にも満たないのだ(それでも、都道府県別の産経新聞発行部数のランキングにおいて、香川県は14位である。つまり、香川県よりもっと産経のシェアの低い道県が33もある)。だから香川県における産経の取材力は貧弱そのものだ。このことからも、また玉木氏自身がブログ記事で指摘する状況証拠からも、自民党によるリークである可能性がきわめて高い(なお朝日もこの件を後追いしているが、記事の中身もコメンテーターも産経とほぼ同一という手抜き記事である)。

 最高権力者の安倍晋三と蜜月の百田尚樹は、自らの都合の悪い週刊誌の記事を、編集部に圧力をかけて潰させ、政権政党は都合の悪い質問をする国会議員に報復記事を御用メディアを使って流させる。その御用メディアの記者自身が、「上の判断で掲載することになりました。」、「個人的には掲載する必要はないと思います。」などと弁解する記事を、である。これでは、日本の「報道の自由度ランキング」が世界61位であるのもむべなるかな、であろう。いや、100位以下でも不思議はないのではないか。

 ただ、安倍晋三のブレーンの一人である百田尚樹の化けの皮は、御用出版社・幻冬舎(ここの社長である見城徹は、政界に睨みの効くフィクサーにして安倍晋三にきわめて近い人間とのこと)から出版した、これまた安倍晋三を持ち上げて晩節を汚した芸能人・やしきたかじんゆかりの人間を持ち上げた「ベストセラー」に盛り込まれた数々の大嘘がもとで、勢いを大きく失った。既にNHK経営委員の退任も決まっており、百田は今後坂道を転げ落ちるような大転落を演じるだろう。5年後には百田の小説を読む人など誰もいなくなるのではないかと私は予想している。

 もちろん安倍晋三にとっては百田尚樹の代わりなどいくらでもいるに違いないから、百田が大きな打撃を受けたところで、安倍晋三にとっては蚊に刺された程度のものですらない。しかし、安倍晋三自身もかつて得意の絶頂から失意のどん底へと突き落とされたこともあり、人心の移ろいやすさは誰よりも身にしみて知っているはずだ。

 だから、今のうちにやりたいことをやってしまえ、と安倍晋三は思っているのだ。

 今は、安倍晋三が国民に対して戦争を挑んでいる状態にほかならない。それも将棋の棒銀さながらの急戦だ。心ある国民は、全力で安倍晋三を迎え撃ち、これを倒さなければならない。
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そういう移ろい易さを知っているが故に、反って変わり身が早いとこもあるだけに安倍って手強いんですよね。

安倍が仕えて結果的首相への切符をつかむ切っ掛けとなった小泉純一郎にしても、その辺りが巧くて(民主党に近いと言われていた)竹中平蔵とか木村剛とか政権内に取り込んだり、靖国神社へ何度も参拝したと思えば戦後60年談話では村山談話を踏襲する線で発表するなど、やり方が巧みな訳ですし(で、その一方で宿願だった郵政民営化を実現させちゃってる)。

仮に安倍も人気に陰りが出てきたり或いはアメリカとの関係がギクシャクしたりしたら、例えば(かつては安倍をヨイショしながら)今は政権批判に廻っている古賀茂明とか長谷川幸洋とか、政権批判ながら「自主路線」的な右翼とも言える孫崎享・内田樹とか矢部宏治、更には民主党を離れた鳩山由紀夫もとい友紀夫まで政権内に取り込む真似をやるかも知れませんよ。そうした手合いを政権批判側は今の処「同志」の如く歓迎してますけど、彼らが寝返って果たしてどういう反応をするんでしょうかね?

2015.02.23 10:08 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

安倍晋三(あるいは地方選の自民党候補者)をどこかで見かける度に

「日教組!日教組!日教組どうするんだ!日教組!」

って言い続けてやればいいんじゃないですかね?
街頭演説とかで出現した時にしつこく。
で、怒られたら(というか怒られそうになったら)

「正確性を欠く発言があったことについては遺憾で表明申し上げる
 こんな(あんな)安倍晋三を総理に任命した責任は私にもある。国民にお詫びしたい」

と言って頭を下げて、逃げる。

これを安倍(あるいは地方選の自民党候補者)が姿現す方々で、皆が入れ替わり立ち替わりそれぞれやれば、
かなりあの坊っちゃんや自民党関係者にはプレッシャー、ストレスになるんじゃないですかね。

個人的にはどんどん「日教組!日教組!日教組どうするんだ!日教組!」のフレーズは流行らせるべきなんじゃないかと思います。
笑ってやる方向で(笑)

2015.02.23 23:39 URL | 朱の盤 #epoDbB82 [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2015.02.28 18:11  | # [ 編集 ]

狂信的な日本軍国主義者、日本帝国主義者でA級戦犯「岸信介」の亡霊「安倍晋三」。
(次世代の党の党首も同じですが)
国民を戦争にかりたてるため、国民を戦場に送るために血眼になっています。
安倍晋三をのさばらせておくと戦前にカムバックするばかりでしょう。
日本はどんどんおかしな国になっていくばかりでしょう。
しかし安倍晋三を倒しても第二、第三の安倍晋三を登場させたら意味がありません。
当記事で今回名前が登場したのは右翼政治家ばかり。
左派、中間派がいなくなってしまい右翼だらけになってしまったところに最大の悲劇があります。
安倍晋三のお友達である極右カルトの百田尚樹が没落?
本当に没落なら良いのですが。
また、第二、第三の百田尚樹が登場しなければ良いのですが。

2015.03.01 22:48 URL | 風てん #- [ 編集 ]













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