きまぐれな日々

 前回の記事を公開してから2週間が経ち、第47回衆議院選挙の公示はもう明日(12月2日)となった。選挙というのは、公示日の時点でほぼ情勢は固まっており、そこまでの期間における動きが大勢を決する。2005年の「郵政総選挙」では、解散から公示までの期間に小泉純一郎が繰り出した「刺客戦術」が、残酷趣味を刺激された大衆の心を鷲掴みにして、空前の自民党圧勝をもたらした。それに対し、今回は、解散直後に分裂して小政党になってしまったみんなの党(11月28日解党)と生活の党の一部の議員が民主党に移籍した報道が少し話題になった程度で、特に大きな話題もなく公示を迎える。

 情勢は自民党の圧勝が決定的となった。解散直前に、GDPの2四半期連続下落が報じられ、その後も2014年の年間経済成長率がマイナスになる見込みという報道が流れたが、大衆の多くはもうそんなことは覚えていないだろう。安倍晋三の言葉をテレビが垂れ流している効果が出ているのか、あたかも「成果を上げつつある安倍政権の経済政策の是非」が争点であるかのような錯覚に陥っている人が多いのではないか。

 ごく私的な、つまり私が日々観察するところ、要するにごく狭い自分の周囲の状況から観察する限り、金融緩和とリフレを売り物にする安倍政権の経済政策は、確かに政権成立直後には一定の成果があったように見受けられた。しかしその効果は、今年4月の消費税率引き上げとともにピタリと止まっている。それよりも悪いのは安倍政権の財政政策で、再分配を軽視する、というより、金を大企業や富裕層に重点的に流す、「逆再分配」とでも言うべき政策の弊害が表れ始めているのではないかと思う。

 頭の悪いマスメディアによって、安倍晋三の苗字をもじった妙ちきりんな名前で呼び慣わされている安倍政権の経済政策だが、せめて金融政策と財政政策を切り分けて評価するくらいの水準が報道には求められるとは、経済学のど素人である私でさえ思うところだ。マスメディアには経済学部出身の人間もずいぶんたくさんいるのではないかと思うのだが、現在のていたらくには開いた口がふさがらない。

 また、野党もいただけない。なんとかのミクス批判というと、まず金融政策の批判から始めたがる。世界的にも実験的な政策として注目され、リベラル派の経済学者であるクルーグマンやスティグリッツも支持している安倍政権の金融政策を批判することから始めるのでは、有権者の説得は難しい。そんな論法では、昔から一貫した反安倍晋三である私ですら説得できない。もう指にタコができるほど書いているが、スティグリッツは昨年6月15日付朝日新聞掲載のインタビューで、安倍政権の経済政策からは再分配が抜け落ちていることを批判している。安倍政権を批判する勢力はまずこの点を突け、とはずっと言い続けているのだが、それは現実とはならない。

 ネット言論も「なんだかなあ」というレベルで、たとえば某氏の『民主党に学んでもらいたかったこと』派、民主党こそリフレを採用すべきだったと言っているのだが、そんな過去の話より、安倍政権の経済政策には再分配の観点がない、あるいは「逆再分配」をやっていることの是非を問う論点の記事を私は読みたい。しかし現実には、かつて書名に「脱貧困」の文字が入った雨宮処凛との共著を出したことのある「再分配も重視するリフレ派」の経済学者が、安倍政権が再分配を軽視、無視ないし逆再分配を重視しているとさえいえる現状を直視しようとせず、口をつぐんでいるのが現実だ。たとえば甘利明が「トリクルダウンがまだ弱い」との妄言を吐いたが、「トリクルダウン理論」とは「逆再分配の経済学」の別名ではないか私などは思う。しかし、そういう現実を「再分配も重視するリフレ派経済学者」は正しく指摘しない。おそらく経済学者仲間の人間関係を重視しているのだろうが、そんな日本の経済学界の堕落の気配を私は感じる。

 いろいろ繰り言を書いたが、たぶん安倍政権の経済政策は「信任」されてしまうんだろうなと思う。

 それから衆院総選挙における各党の得票率と議席のゆくえだが、解散直後の見通しと比べて、野党第一党の民主党の議席を低く見直さなければなるまい。マスメディアや一部リベラル派が推奨する「野党共闘」が、民主党の敗北をもたらすだろう。

 この予想には2つの根拠がある。前回の記事及び『kojitakenの日記』にいただいたコメントを引用しながら論じる。まず、『kojitakenの日記』の記事「『野党共闘』は本当に『良いこと』なのか?」にいただいたコメントを紹介する。この記事で私は、民主党(や生活の党)と維新の党との「選挙区調整」に疑義を呈し、前回の総選挙以降、「バブル人気」を失った維新の党と民主党が選挙区調整をして民主党が候補を立てない選挙区、特にそこに立候補している維新の党の候補が、猛烈な追い風を受けた前回総選挙でさえ選挙区で当選できなかった「弱い候補」である場合、選挙区に非共産系野党が維新の党しかいなければ、戦わずして自民党に議席を差し出すようなものだと指摘した。これに対する、中部地方(愛知県だろうか?)在住の、民主党支持と思われる方からコメントをいただいた。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141128/1417103697#c1417226155

tanyayoshi 2014/11/29 10:55
まったく同感。中部では、え?と思うようなところが(民主でなく)維新の候補になっていたりしてビックリすることが多いです。選挙区事情も考慮せずに、「競合を避ける」という大方針優先というのは大いに疑問。


 このように中部地方では、民主党がかなり強い選挙区にまで、「非共産系野党候補が維新の党の候補しかいない」状態が現に生じている。大阪のように維新の強い地域には弱めに、愛知のように自党(民主党)の強い地域には強めに候補者を立て、その場合競合も厭わないといった当たり前の戦術さえ、民主党執行部は取れずにいる。このことは生活の党に対しても当てはまり、神奈川1区では岡本英子の公認を取り消した。生活の党ではほかにも、また民主党にも、維新の党との競合を避けて公認を取り消した例があるが、海江田万里、枝野幸男、それに小沢一郎らは、「野党共闘」の美名に自分たちが振り回されているといえる。

 何より、選挙区調整によって小選挙区で候補を擁立しない選挙区においては、その政党の比例代表の得票も激減することが予想される。前回の記事「安倍晋三の身勝手な『自己都合解散』と小選挙区制の弊害」にいただいたコメントより。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1368.html#comment18405

選挙区で民維調整をするってのは、まあわかるのだが、民主がなし崩し的に擁立断念してるのを見ると、比例票は大丈夫なのかなと思う。悪名高い?「比例は公明」みたいな調整もないようだし、どれくらいワークするのか、果たしてどのくらい緻密な戦略のもとにやってるのか、ちょっと興味深いところ。

純粋に与党に対抗するという点だけ考えるなら、やっぱり小沢大先生がいうように、現状では統一新党でもつくらんと厳しいだろう。江田憲司が投票日から再編議論を始めるというのは、よくわからない

2014.11.28 00:38 都筑


 どことなく、立ち読みした『週刊文春』に載っていた飯島勲の文章を思い出させるコメントではあるが、まあその通りだろう。付け加えると、「小沢大先生」は今回の選挙では正論を言っているものの、前回の選挙では自ら小政党を作って自滅したことをも飯島勲はきっちり指摘していた。

 小沢大先生云々はともかく、よく非共産系野党支持者の間に、全国ほとんどの選挙区に候補者を立てる共産党を批判する声が挙がるし、これを特に声高に叫ぶのは、今や絶滅危惧種となった「小沢信者」なのだが、共産党は全国くまなく候補者を立てているからこそ比例代表の議席を獲得できるのである。「全国11ブロックの小選挙区比例代表並立制」というふざけた制度のせいで、その議席は微々たるものにとどまってはいるが。

 そして、理不尽な議員定数削減の別名「身を切る改革」よろしく、自ら公認候補を絞りに絞っている民主党は、比例票はそんなに伸びないどころか減らす可能性が高く、前回惜敗した候補が選挙区で多少議席を取り返したところで、民主党の議席全体としては、あの大敗した前回と大差ないものになるのではないかとの予想に私は傾きつつある。そういう結果をもたらしかねないのが「野党共闘」という美名に隠された戦術の致命的な欠陥なのだ。この衆院選でも、自民党の議席が解散前よりさらに増える可能性がますます高まってきたように思う。

 余談だが、こんなことを書いてもご存知の読者はもうほとんどおられないだろうが、私には「野党共闘」という言葉に、実に嫌な思い出がある。昔「野党共闘」と銘打ったブログキャンペーンを主唱していた、私にとっての仇敵がいたのだが、その人物は、2009年の「政権交代選挙」を終えて、民主、社民、国民新の3党が政策協定の協議がもめていると報じられた時、「小政党は民意を受けて選挙に大勝した民主党の言い分に(つべこべ言わずに)従うべきだ」と言い放った(書き放った)のだった。何だ、それがこの人の言う「野党共闘」の正体なのかと鼻白む思いだった。

 嫌な思い出云々はさておいても、政党とは本来主義主張や政策を共にする者は集まってできるものだと思うが、それを妨げ、政党やその構成員を「数合わせの野合」に走らせるのが、「小選挙区制」の性質である。

 第47回衆議院総選挙公示を明日に控えた、選挙前最後の日である今日、改めて思いっ切り叫びたい。小選挙区制を廃止し、比例代表制中心の選挙制度に切り替えて、政党が政策本位で集まり、その政策を競う政治を実現させようと。
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愛知でも当初民主空白がいくつもあって気になってたが、復党(鈴木克昌)や緊急国替え・駆け込み追加公認等でギリギリ全部擁立したからまだいいんですよw。でも維新への過剰な譲歩では、三重なんかは象徴的。あと岐阜、静岡もそうだし、北陸まで含めればもっと多い。

だいたい、おっしゃる通り維新票のボリューム自体を過大評価してるし、あったとしても、それがどのくらい民主に回るかというのが問題だと思う。

それに、大阪では維新に配慮するというのは、確かにもっともらしいが大阪市域にまったく立てないというのでさすがに地元が反発してるらしい。これも、比例もそうだが来年の市長選や統一地方選への影響も出てくるだろうし、どれだけ考えられた作戦なのかなと思います。まあ時間もないんでしょうけど。

追記:愛知は全部擁立した、と書きましたけど、昨日になって12区で土壇場で維新に譲歩して取りやめたらしい。前回の共倒れ区ですが、2012年は民主前職のほうが票を取ってるわけで、疑問も多い。ただ維新前職は知事選出馬など自民党との関係も深く、保守票狙いか?

2014.12.01 11:20 URL | 西尾 #4ARdecsc [ 編集 ]

論点が大きく二つに分かれているんで、それぞれについてコメントします。

先ずアベノミクスとか称される経済政策の是非、これについて実は数日前にTwitterで二つの対照的なツイートを見てどっちもどっちとしか思えなかったんですよね。

https://twitter.com/Y_Kaneko/status/538800567985119232
「景気回復は『思ったよりも売上が増加➡︎在庫切れ➡︎生産増のため労働者の残業時間増で対応➡︎非正規雇用が増える➡︎正社員を雇う➡︎設備を増やす』の順で進むという基本を押さえないから、「非正規雇用が増えただけ」というトンチンカンな批判をするのだろう。 @hidetomitanaka」(金子洋一・民主党参院議員)
https://twitter.com/syuu_chan/status/538874061074350080
「自民党を倒すためには現状では民主党を延ばすしかないにしても、金子洋一は絶対に応援しない。格差社会を全く悪いとも思っていない、アベノミクス万歳ばかり言っているのが民主党だなんて終わってるとしか言えない。」(しゅうちゃん氏)

金子参院議員のツイートって、一見筋道立てて説明して見えるんだけど何と言うのかトリクルダウン理論の変種みたいなもので、雇用が増えても食っていけるレベルなのかって問題とかそういうのを軽んじ過ぎる感があるんですよね。このツイート自体、リフレ論者の田中秀臣・上武大教授の「あたかも非正規雇用がみんな生活困窮者のようにみなすのはまったくおかしい議論だ。非正規を盾にして感情的な議論をするな」 https://twitter.com/hidetomitanaka/status/538740238311370752 を受けたもので、田中教授にしても金子議員にしても貧困層や秘跡雇用労働者の切実さを理解した上で言っているとしか思えないんですよね。

対するしゅうちゃん氏にしても、「アベノミクス万歳ばかり言っているのが民主党だなんて終わってる」って金子議員を批判しているけど、少なくとも金融緩和に関しては時給が上がったり過ぎた円高が是正されて(第二次政権初期の頃は)景気が良くなった事実も否定できないんですよね。彼は、輸出関連企業の従業員以外は給料が上がってないんだから、円高になってくれた方が好い http://t.co/Opyf5Hd6YQ とか言ってるんだけど、これとても「円高を望むということは日本に金融引き締めを望むことであり、熱狂的な好景気ならともかく不況なら明らかに多くの人を苦しめる」と後藤和智氏 https://twitter.com/kazugoto/status/469015871105806336 から批判されている訳です。

何と言うのかなぁ、「アベノミクス」って言葉に振り回されるあまり、経済政策ばかりか社会政策や福祉まで累が及んで煽情的な言説が拍手喝采されちゃってる一方で、当事者として問題を抱えている方々やその解決に尽力している方々からは逆に与野党の政治家ばかりか「意識の高い」「政治参加に熱心な」一般大衆まで何も解ってないなとしか醒めた目で見ているって気もするんですよね。リフレ政策の主張者としては田中教授同様に有名(?)な黒木玄氏にして、マトモな経済理論も政策も知らない人間が日本経済の苦境と貧困を招いた http://togetter.com/li/740578 と非難しながら、今回の選挙を前に「『アベノミクス』という言葉をつかうべきではない」 http://togetter.com/li/747832 と浮かれ気味の"りふれは"に釘を刺す様なことを言っていることを私たちは考えるべきではないかと思ったりしますね。かの松尾匡氏も「総選挙は無からの資金で福祉充実を訴える最後のチャンスかも」 http://t.co/Ij2QuUX6Nr と言ってますし、与野党問わずもう少しマトモな政策出せよ、って大声で言いたくなるのは自分だけですかね?

2014.12.01 18:24 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

この間鬼籍に入った土井たか子が「マドンナブーム」と自民党のスキャンダル続発で参院選で大勝ちし更に衆院選でも躍進した際に、主に当時の社会党支持者から「公明・民社は社会党より議席が少ないのに彼是文句言うな」って声が上がったりしたんですよね。で、それが却って公明・民社の社会党からの離反を呼びPKO法では逆に社会党が孤立してしまう格好となり、結局統一地方選での敗北から土井退陣という結果になった訳ですが。

どうも「連立政権」というのがどういうものなのか、この土井たか子の頃から民主党政権に至るまで20年くらい経ってはいるんですけど、こと野党側というのか「リベラル」「左派」を中心に理解が浅いとこがあるんじゃないかって思うんですよね。先の土井ブームの頃に政治学者の加藤秀治郎氏が『茶の間で聞く政治の話のウソ。』 http://amzn.to/1lAzp4g を上梓したんですけど、その中でこう指摘していました。

「連合政治の力学は、"一般常識"に近いものもあるが、そうでない作用もあり、単純ではない・・・自民党の場合は、自分より左の政党としか連合を考えられないが、公明、民社の場合は、右の自民党とも、左の社会党とも可能ということで、相手を選ぶ可能性が大きくなってくる。連合の『かなめ政党』と言われる政党はこのような立場の政党である。特にその党がどちらにつくかで、連合政権が決まってくるという場合に、『かなめ政党』は大きな役割を発揮する・・・社・公・民・連の連合構想が一方にあり、また自民党も過半数割れを懸念して、連合を検討せざるをえなくなっている場合に、公明・民社両党の潜在的発言力が高まるのは、この『かなめ政党』として存在価値が大きくなるためである」
「条件によっては、小党が過剰なまでの影響力を行使しうるというのが、連合の"常識"である。特に小党がキャスティング・ボートを握った場合がそうである・・・各国の連合政権を分析したデータでも、閣僚ポストの配分で少数政党のほうが議席比よりも多くのポストを得ている傾向が明確だ。このように、キャスティング・ボートを握った場合の小党は、数に比して過大な影響力を行使できるが、これを政治学では『相対的弱者効果』と言う(篠原一『連合時代の政治理論』)」
「要するに、大政党の場合も、小政党の場合も、連合政権の内部では、単純な数の論理とは違う力学が作用することを認識した上で、連合政権に関与しなければならないのである。指導部は党内と、支持者に向かって、大きすぎず、小さすぎない期待を抱かせねばならないのであり、この点のリーダーシップは重要である」

加藤氏が所謂民社系のブレーンだってことを割り引いたとしても、この一連の指摘を読むと、何故自民・公明が一度は野党に転落しながらも連立を継続できたか・何故民主党中心の連立政権が内紛と脱党・離脱の果てに潰れたのかが解るって気がするんですよ。端的に言えば「連立政権の力学」を自民・公明は理解していたけれど、民主党や社民党など他の野党はそうした力学を理解出来ず頭数が揃えれば済む話と勘違いしているとこがあった訳です。加えて「政権交代」で矢鱈過大な期待を抱かせ過ぎたことが、実際に政権を獲ってみると重荷になって多数党も少数党も、更には民主党内の主流・非主流も総じて不満を抱いて内部抗争に明け暮れて自滅したとも言えちゃうんですよね。

で、小選挙区制の批判に関しては自分も賛成なんですけど、問題は世間一般ではその「代案」として比例代表制ではなく中選挙区制を待望する声が案外に多かったりするんですよね。何と言うのか、小選挙区では死票が多い・中選挙区なら死票が少ない→少数党や野党の議席が伸びる筈、って楽観視しているとこがありまして。だが、加藤氏はこの点にも批判を加えていて、そもそも中選挙区制は民党(=政権野党)を分裂させて藩閥官僚のイニチアシブを発揮させる目的で山形有朋が制定したのが最初であること、更に大正デモクラシー期の「護憲三派」が大選挙区制か小選挙区制かで揉めた際に妥協策として出来て(一時期の中断を経て)今に至るという指摘をしています。

そうでなくても、中選挙区なら死票は少なくなるかも知れないけど、野党や「リベラル」「左翼」が伸びるとは言い切れなくて、例えば戦後中選挙区で行われた衆議院の総選挙でも、長らく最大の野党だった日本社会党は最大獲得議席が1/3を少し超えた程度・一方の自民党(ないし保守政党)は過半数を割った選挙は1・2回くらいしか無く、その後で追加公認したり連立政権を組んだりして過半数を確保したこともあった訳です。更に都道府県議会だとこの傾向は顕著で、「平成の大合併」で中選挙区的な要素が大きくなったとは言え、多くの都道府県では自民党が絶対的な優位を占めているのが現実だったりする訳です。

何と言うのか、比例代表制には「人を選べない」「名簿の順位決定が不透明」とか批判がつきまとい、総評議長が自民党員になってたりオレンジ共済事件で金銭授受で比例名簿上位に詐欺師が搭載されたり、評判がかなり悪くなってますけど、しかしながら仮に政党は政策や価値観が同一なもの同士で結成される政治的な結社であるという前提に立てば、その特性を最大限に活かしたのが比例代表制であることも事実だし、何より比例名簿の順位決定で説明責任が生じたり人ではなく政策を選ぶ投票になったり、政党と政治行動を変えるインセンティブにもなり得たと自分は思うんですけどねぇ・・・・・

2014.12.01 20:37 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

訂正(爆

「田中教授にしても金子議員にしても貧困層や秘跡雇用労働者の切実さを理解した上で言っているとしか思えない」→「田中教授にしても金子議員にしても貧困層や非正規雇用労働者の切実さを理解した上で言っているとは思えない

2014.12.02 06:41 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

選挙に向けて何か情報を得ようと、こちらのブログを拝見しました。あの忌まわしい三党合意による消費税増税法案可決から、自民・公明・民主には一切投票しないと決めているので、私自身の投票の選択肢は狭くなっております。自公民と非自公民の対決の選挙だったら、面白いのにと思いますが、後何年かしたら既存政党か新政党かで争われる選挙が来るのではないでしょうか。小選挙区制度は弊害が多いと思いますが、政権交代のみならず政府交代も可能な制度でもありますので、暫く様子を見ていきます。

2014.12.03 20:07 URL | somubody #- [ 編集 ]

>somubody氏
本来ならはてなダイアリーの方 http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141204/1417649445 でコメントするとこなんだけど(生憎はてなのアカウントを取る手間は惜しいしw)、今回総選挙の世論調査で「安倍ヤメロー」=野党支持とは限らず、寧ろ「自民党は支持するが安倍は・・・」って層が結構いたりするんですよね。まぁ、野党が「アベノミクス反対」とか碌な政策を提示できず、ましてや「政治改革」で騒いでから20年以上経ち、野党が政権を2度獲ったにしても碌でもない政権だったってマイナスイメージばかりが先行しているんですよね。いわば『保守の本分』 http://amzn.to/1vPdOOB の著者の菅野完(noiehoie)氏の以下の呟きが的を射ている訳です。

https://twitter.com/noiehoie/status/540299782284005377
「今朝の二時間いろんな人と話してて気づいたこと。

1)おじーちゃんおばーちゃんだけじゃなく、フリーター労組とかで闘争したことある若い人でさえも『この選挙は安倍信任選挙』だなんておもってないこと
2)この選挙に限らず、結局のところ、『誰が俺を食わしてくれるのか?
』が争点であること」

結局、原発にしても消費税や集団的自衛権にしても結局のところ「意識の高い」有権者向けの訴えにしかならず、ともすれば「誰が俺を食わしてくれるのか?」であれば独裁政権でも封建制度でも構わないって危うい事態になりつつあるんですよね。極端な話、自民党が300議席獲る圧勝でも食わしてくれたら好いって思っている面が、具体的に言うならかつての自民党一党優位での高度成長や列島改造・バブルでも構わないってものへの憧憬が増しつつある訳です。

まぁ、そういうことから小田嶋隆辺りが「自民党を取り戻す」とか言ってたりしてますけど、自分はそういう多種多様なのが参加・支持した自民党の一党優位の方が却って危ういと思うんですよね。暴走し易いというより暴走しても抑止が利かないという点で。

そもそも「リベラル」を中心に日本の戦時体制をドイツのナチスやイタリアのファシストに擬えて、軍部や資本家や右翼が暴走して云々って"俗説"が巷間言われてますけど、現実の戦時体制って独伊の様に一枚岩でないばかりか(それこそ「風太」氏流に言えば)様々な立場の人間や団体がともに手を取り合って前へ突っ走って破滅した、のがホントのとこなんですよね。実際、陸軍と海軍の対立と責任転嫁振りは「日本には二つも軍隊があるのか」とドイツを呆れさせたくらいですし、観念右翼と国家社会主義的「革新官僚」の対立もあったりして企画院事件が起きたりした訳です。

そういうのを見ていると、政治家・官僚や経済界ばかりか労働運動や市民運動・学者に市民が誰も彼もが「参加」して、内部矛盾を抱えながら制御不能に陥る可能性って決して少なくないでしょうね。無論、日本国憲法は一字一句改正されずに・・・・・

2014.12.04 18:27 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

最近、新聞で選挙予測が出てきていますが、自民単独で300議席、自公合わせて全議席の2/3を占めるという恐ろしい結果になりそうです。アベノミクス、集団的自衛権、原発再稼働すべてに否定的な世論調査が出ており、不支持が支持を逆転したという結果が出ても圧勝する予想なのです。

仮に現在の自公政権を潰して、どこの党が替われるかと言われれば安倍嫌いの私でも答えが出ない。民主党の経済政策を聞いていると、具体性のなさに悲しくなります。自民の反対を唱えていればいいってもんじゃないぞ。
ただ「あたかも非正規雇用がみんな生活困窮者のようにみなすのはまったくおかしい議論だ。非正規を盾にして感情的な議論をするな」には異論もあります。なぜなら実質賃金が低下していることはまさに増加分の非正規が噛んでいるからです。なお物価上昇分に賃金が追い付かないというのは、過去の好景気も初期はそうなので、これからの問題と言えます。ただし7-9月期マイナス成長だった景気が好転すると仮定しての話ですが。

考えてみれば地方の首長選挙などでは反自公の候補者が相当数当選しているのだから、自民党はその思想が支持されているわけではない。
調子に乗っているネトウヨが「安倍政権の政策が支持されているから多数なのだ。右翼と言われようが国民が支持しているのは選挙を見れば分かる」などと言っていますが、もし安倍の極右的体質が支持されているのなら、安倍よりさらに右に位置する次世代や幸福実現なども議席を伸ばすはずですが、今回は惨敗が予測されています。

次の選挙は当初の予想通り(というか安倍の計画通り)、自公圧勝で終わるでしょう。
ですが民主も弱体とはいえ議席を伸ばす予想ですし、共産は大きく伸びる予想になっており、アベノミクス論争に振り回されまいと考えている人は多いと思います。自民党へ投票する人が増えるのは、みんな・維新・次世代といった、元々自民の別働隊でしかない、ブームに乗って当選した候補者への投票が自民に吸収されるからでしょうね。

いきつくところ、選挙制度の問題に到達するのです。
選挙制度に理想はないとは言いますが、それでも中選挙区のほうが良かった。小選挙区の弊害は大勝・大敗を招くという結果で明らかですし、完全比例代表だと今度は落としたい候補者を落とせない(例・ワタミ)という面があります。

2014.12.04 23:32 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

>いきつくところ、選挙制度の問題に到達するのです。
選挙制度に理想はないとは言いますが、それでも中選挙区のほうが良かった。

全く同感です。安倍自民支持ですが、振り子の原理で119人の自民の新人議員は大きく議席を減らしそうで非常に心配です。私の選挙区は、いわゆる親中韓派の気配のある自民党議員です。それでも維新や共産に入れるよりはマシです。やっぱり中選挙区の方がいいと思います。


>自民党はその思想が支持されているわけではない。・・・・・もし安倍の極右的体質が支持されているのなら、安倍よりさらに右に位置する次世代や幸福実現なども議席を伸ばすはずですが、今回は惨敗が予測されています。

いわゆるB層であって、安倍さんと思想が一致しない人でも安倍外交は評価するという人は多いのではないでしょうか。各国首脳との信頼関係をこれだけ築いた総理大臣は過去にはいません。世界における日本の存在感がアップしていることは間違いないでしょう。
幸福実現党では、このような外交はできないと思います。そういった現実路線で安倍自民支持という傾向になるのだと思います。

2014.12.05 02:37 URL | zappo #- [ 編集 ]

>飛び入りの凡人氏
と言うのかなぁ、以前ほど与党系の候補者が敗北するって現象って意外に少なくなっている感があるんですよね。沖縄県知事選&那覇市長選での敗北が大騒ぎになってますけど、小渕裕子の資金問題で前町長が辞めた中野譲町長選挙では大差で与党系の候補が勝ってますし、福岡市長選挙・愛媛県知事選挙さらには沖縄市長選挙でも与党側の候補が勝ってます。

「自民党の思想が支持されてる訳ではない」って言いますけど、じゃ「自民党の思想」って何?って言われたら今の安倍政権をイメージは出来ても、正確に応えられることは出来ない・そもそも種々の利害が交錯してて「日本的な保守」ってことでしか説明が出来なかったりするんですよね。そして、そうした多種多様の利害関係者や支持者・果ては一般市民や地域ボス・市民団体みたいなのまで総じて批判無き「参加民主主義」になってしまったのが、いわゆる「崩壊の時代」の日本だったのですから。結局、この圧勝を受けて今度は市民団体とか「リベラル」の少なからざる部分・更には「自主路線」とか称えて孫崎享や内田樹に幻惑されてる連中が「今こそ自民党を中から変えよう!自民党を取り戻そう!」ってやり兼ねないと予想します。既にその兆しは内田や小田嶋隆辺りの言動辺りに見られたりするのですし。

で、「選挙制度の問題に到達する」ってのは自分も同意しますけど、今更中選挙区になったところで結局は地域ボスの群雄割拠にしかならない・そこに僅かながら野党が入り込むって戦前の衆議院みたいな状態にしかならないって気がしますね。都道府県議会なんて、実際中選挙区でも保守が圧倒的な優勢ないし独占してる戦局は目に着きますし、中選挙区下でも田中角栄に田中彰治・中曽根康弘に佐藤孝行・竹下登・金丸信といった「落としたい候補者」が「落とせない」状態が長く続いたのですから。

2014.12.05 07:35 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

訂正!
維新の会、ごめんなさい。正しくは民主党です。

さて本題。次の案を一つ提案。
「誰にも入れたくないという人は、日本全国どこの選挙区でもいいから、落としたい人にマイナス0.5票を入れることができる。」
このような制度ができたらいいですね。(複雑になるからちょと無理かな?)
とんでもない議員の再選を防ぐことが出来るし、選挙を棄権する人もかなり減ると思うのですけどね。さらに言えば、選挙や政治を深く研究している人は、より有効に1票を行使することが出来ると思います。

2014.12.05 08:53 URL | zappo #- [ 編集 ]

>第47回衆議院総選挙公示を明日に控えた、選挙前最後の日である今日、改めて思いっ切り叫びたい。小選挙区制を廃止し、比例代表制中心の選挙制度に切り替えて、政党が政策本位で集まり、その政策を競う政治を実現させようと。


まあなぁ~、それでも、前段は善しとしても後段は空疎を感じるんだよなぁ~w
この20年間、政党の公約破りと政策判断無き偽りの対決構図に踊らされ続けた有権者の選択ミスが繰り返されてきたのが日本の政治なんだからねぇ・・・・選挙互助会政党の選挙目当て口先公約なんて、もう、ほとんどの有権者が信じないんじゃない???

ところで、メディアの序盤議席予測が出そろったけど、自民の圧勝や共産の議席倍増という予想は、kojiさんやオレが既に先月末の段階でここや4トロ板に書き込み済みなんだよねぇ。そんなことは、デタラメ解散直後に既に判り切っていたもん。
だからぁ、問題は、小選挙区制度にもあるんだけど、日本の政治の閉塞状況や混迷は、それに解消することも出来ないんだよねぇ。
だって、定数1という点では小選挙区選挙と同じだった先の沖縄県議補選では、反基地派の無所属統一候補(実際は共産の元市議たち)が自公候補と一騎打ちで勝利出来ているんだからねぇ。
つまり、沖縄型の統一戦線が全国で普及したならば、定数1のガチンコでも勝利の可能性が思いのほか広がるということ。

で、オレは、かつての社共共闘のような政党間共同にとどまらない、今回の沖縄型のような反安部、反格差・差別のオール沖縄型「国民的統一戦線」の結成を早急に模索しようと4トロ板や「ペガサスブログ」、「土佐高知の雑記帳」などで論陣張ってみたんだけど、大方の分からず屋サヨクや共産幹部などは、「野党間の協力・共同の条件は沖縄以外には存在しない」なんて、自らの情勢認識や原則的見地にさえ反する問題の立て方をして偽りの自問自答ゴッコに開き直っているんだよなぁw
社公合意で社会党が右転落した79年以降、日本政界では野党間共同の条件が失われていることぐらい当然の前提認識としてオレも沖縄型国民的統一戦線の模索・普及を主張しているのにねぇ。「しんぶん赤旗」なんか、自分がこさえた案山子に向かって渋面を作ってみせているよ。ホント、政治的誠実性が失われているんだよなぁwww(沖縄の統一戦線は二重の意味で「野党共闘」なんかじゃネーよっ!)

本当にこの国では右も「左」も「上も下」も重症だねぇ。思考停止と幻想拘泥は、何もウヨたちだけの専売特許というワケじゃないってことなんだよっ!


反ファッショ、反新自由主義の全人民的統一戦線を一刻も早く作りだそう!
全国で沖縄に続こう!!!

2014.12.05 21:11 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

「安倍政権の思想が支持されているわけではない」
と書けばよかったかな。

実は自民党ってのは思想色は薄い政党で、ガチの極右から社民主義的な議員までが混在している。ところがソリの合いそうもないこれらの議員が、こと選挙になると挙党体制になる、これだけは野党には真似できませんね。

現実問題として野党が政権を取り戻すことはここ数年ではあり得ないのですから、「自民党を中から変えよう」という手法も仕方ないのかも知れないのですよ。理想ばかりを追って、極右で財政規律型の政権でもできたらそれこそ破滅。
私には好きな政党がないのですよ。仕方ないから共産へ、というくらいで。民主党政権が誕生したときも、小泉劇場の流れを組む新自由主義臭がプンプンしたので支持できませんでした。

中選挙区だって理想なんて言っていませんが。
ただ選挙制度を考えるなら、中選挙区ぐらいで妥協するしかないだろうって言っているんですよ。これもまたファンダメンタリズムにこだわるのなら私の意見など徹底的に批判すればよろしい。
田中角栄とか中曽根康弘とか、決して支持は少なくなかったですよ。むしろ高支持率政権だった。私が言っているのは、完全比例代表だと、国民の大多数がいまやブラック企業の権化として認識しているワタミのような奴でも当選してしまう、このことです。

でもまあ、国民の半数以上が「アベノミクスの恩恵を感じておらず」「集団的自衛権の強引な決定に反対で」「原発再稼働にも反対」なのに自民党圧勝は確実。日本では政策で選挙結果が決まるわけではない。その時の風と選挙制度で最初から結果は見えている選挙ばかりなので、こうして論争することすら虚しくなりますけどね。

2014.12.07 00:28 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

マスコミの世論調査によると選挙予想は、極右安部自民党の圧勝。
誠に残念ながら私が、11/10付け当ブログ記事のコメントで予想したことが的中しそうです。
最大の要因は、
①小選挙区制の弊害
②日本の極右全体主義化
が挙げられるでしょう。
前回、ファシスト集団「維新」「みんな」に投票した人が今回は自民党に投票。
その分、自民党が議席増ということになりそうです。
狂信的な日本軍国主義者安部晋三は、アベノミクスのみを争点にしていますが、圧勝するやいなや国民の新任を得たと称して、残り4年で、国民の権利制限する、戦争を出来る国にする法案を次々に成立させ、彼の悲願である平和憲法改悪、即ち日本軍国主義復活に向けて暴走を加速させることが必至でしょう。
これに反対する勢力はあまりにも微力です。

2014.12.07 23:21 URL | 風てん #- [ 編集 ]

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2014.12.08 01:46  | # [ 編集 ]

>飛び入りの凡人氏
>>現実問題として野党が政権を取り戻すことはここ数年ではあり得ないのですから、「自民党を中から変えよう」という手法も仕方ないのかも知れないのですよ。理想ばかりを追って、極右で財政規律型の政権でもできたらそれこそ破滅。

kojitaken氏のはてなダイアリーをよく覗く方なら坂野潤治氏の昭和戦前期の政治状況・更には加藤陽子氏の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 http://amzn.to/1EnT5C9 辺りの言説ってのは御存知かも知れませんけど、所謂労働運動や農民運動・その他革新運動に携わっていた面々が「現実問題として晴雨による民主主義を取り戻すことは可能性が低いから、政権に協力して中から変えよう」というのは戦前期に実際起きていたことだったりする訳です。そして、彼らを巻き込む格好で官僚や軍部・政治家や経済人・地域ボスの利害が複雑に絡み合い制御不能のまま泥沼の戦争で破滅的な最期に・・・・・という次第。思想色が薄く多種多様な価値観を抱合しているってことと、それによってまともな政治判断が出来るかってのは別問題どころか時に排他的な結果を齎すってことは理解して欲しいんですよ。

田中角栄は兎も角、中曽根康弘政権は案外にして高支持率だった訳じゃないですよ。売上税に消費税・定数是正問題などで散々批判されたりしますし。それでも、スキャンダルで失脚した後でさえ大量得票を得たりしている訳だし、ワタミと比べても「落としたい候補を落とせない」可能性が大きかったと自分は思いますね。

2014.12.08 08:59 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

何かここへきて比例代表制を否定的に言う呟きが目立ち、こんなまとめ http://togetter.com/li/758462 まで出来ているんだけど、どうも批判が的外れってのかただ比例代表制を非難したがための論調って気もするんですよね。

よく比例代表制を批判する根拠に「人を選べない」ってのがあったりするけど、それはせいぜい拘束式名簿でしか当てはまらない話(非拘束式だと人への投票も出来る)だし、議席配分もドント式以外にサン=ラグ式・ヘア=ニーマイヤー式などもあるし、名簿式以外にも移譲式があったりするなど様々な方式があったりして、そうした制度的な相違を無視した比例制disが目立っちゃっているんだよね。

仮に少し譲って「人を選ぶか党を選ぶか」って論点に絞ってみても、政党の組織的ガバナンスの問題が往々にして影響したりするんですよ。比例代表制とは真反対(?)の小選挙区制にしてもイギリスとアメリカでは政党ガバナンスが正反対で、イギリスだと党本部が公認や擁立・政策立案に強い権限を持っていて「党を選ぶ=政策を選ぶ」ってなのに対し、アメリカでは党組織委員会は党大会や資金集めなど最小限の役割しか負わず個々の選挙区の候補者は党員集会や予備選で党員が選んだりしたりするので「人を選ぶ=政策を選ぶ」ってなっちゃうんですよ(だから同じ政党でもある選挙区ではリベラルの候補者・別の選挙区では右翼ってこともあったりする)。同じ選挙制度を採用してさえ、政党組織の運用如何でここまで違ってきたりする訳です。


で、比例代表制に批判的な論者の多くが中選挙区制に過度な期待を抱いている感がありますけど、自分に言わせれば中選挙区の方が保守や右派で多くの議席を占める可能性が高くなると断言できます。本日の朝日新聞茨城版で、そのことを裏付けた茨城県議選の土浦市選挙区(定数3)と衆院選の茨城6区を取り上げた記事が載っていたので一部引用しますね。

「『決起集会は中止にします』衆院選公示を1週間後に控えた先月25日の連合茨城土浦地域協議会(土浦地協)定期総会。終了後に予定していた青山(大人)氏の決起集会が突然取りやめになってしまった」
「青山氏は流通系労組のUAゼンセンの準組織内候補だ。『決起集会は中止せず、衆院選向けに切り替えてほしい』UAゼンセンはそう懇請したが、土浦地協は『まだ内部が固まっていないので』と断った」
「青山の責任産別UAゼンセンに対して、別の産別から『なぜ青山氏を止めなかったのか』と批判の声が上がったという・・・『公示まで1週間というときに、普通は決起集会を中止などしない。連合にやる気がないとい感じた』という恨み節も聞かれた」
「青山氏を組織内候補並みに支援するUAゼンセンだが、県外出身で知名度のない今野(貴子)氏を準組織内候補として認めなかった。連合茨城も推薦こそしたものの、今野氏には選挙戦を通じて1人の運動員も出さなかった

結局、茨城6区で民主党は敗れたばかりか県議選でも民主党候補は次点に終わり貴重な一議席を失う結果になったのですが、この記事を見て数年前に黒川滋・朝霞市議から聞いた昔の社会党の選挙体制と衰退の原因ってのを思い出したんですよね。つまり自分の単産出身なら或いは地元出身や政策集団が同じなら熱心に支援するけど、そうでない候補だと選挙運動の手を抜いたりする、そういうことが結構あったんだそうです。だから自分のとこで推している候補が落ちたりするとその後継候補を擁立するってインセンティブが働かず、それどころか同じ地元なら自分たちの言うことを聞いてくれるかもとばかりに保守系候補への支援に回ったりすることが起きたりしたんですよ。典型的なのが田中角栄の選挙区だった旧・新潟3区で、社会党で3議席を獲った時期もあったけど後継候補が落ちたりすると別の社会党候補じゃなくて田中支持になったりした、と高畠通敏が『地方の王国』 http://amzn.to/1kHJyw1 で指摘しているんです。

で話を中選挙区制に戻しますけど、実際中選挙区制の生い立ちって我々が考えている様な民意の反映ってのとは程遠い・それこそ官憲的な発想から生まれたものだっていうのは案外知られていないんですよね。加藤秀治郎が『茶の間で聞く政治の話のウソ。』 http://amzn.to/1lAzp4g で指摘しているんですけど、そもそもは山県有朋(藩閥政治のまさに象徴的人物!)が政党同士で多数派が取れない様にして(藩閥に近い)官僚がイニチアシブを握るがために導入したのが「定数は複数・しかし投票できるのは一人」という中選挙区制だったそうなんです。で、これって案外日本の政治風土・殊に保守系のそれに巧い具合にマッチしているとこがありまして、(「緑派」の士別市議でもある国忠たかしが批判的に指摘してます https://t.co/KLkObJL5Aa けど)「保守の相剋」の中で自分の(利害や地域を)代表し得る議員への投票のインセンティブを生んでいるとこがあるんですよね。所謂「オラがセンセを地元から」って閉鎖的なコミュニティならではの心情。こうした内輪で固まる割に余所者や革新者に対しては厳しい「保守相剋」の中で野党やリベラル・「革新」が参入するには、相当個人的な繋がりがあるか(労働組合など)組織力が無い限り当選できないシステムになってしまうのが中選挙区制で、事実かつての社会党でも最盛期は1/3をやっと超える程度・中選挙区最後の総選挙だった1993年総選挙での政権交代も保守の分裂・離脱という事態があって初めて可能だったって現実もあったりします。

どうも比例代表制批判ってのを見ていると、「人に投票できない」って一点で小選挙区派と中選挙区派が呉越同舟になっている様に自分には思えるんですけど、「保守相剋」という政治風土の中でそんな批判を見ていると日本人は政策ではなく地縁・血縁で投票するのが理想的なのか?って勘繰りたくなるんですよね。

2014.12.19 19:19 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]













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