きまぐれな日々

 小渕優子と松島みどりの安倍内閣大臣(小渕は経産相、松島は法相)辞任から1週間が経った。小渕の後任の経産相には、これまた閨閥議員である広島の宮沢洋一が就いたが、この男が東電の株を保有していることが発覚し、問題になっている。そんなこともあって、小渕と松島のダブル辞任のあと、大手新聞・通信社としてはおそらく初めて行われた内閣支持率を問う読売新聞の世論調査で、内閣支持率は大きく下がった。

内閣支持下落53%…小渕氏辞任73%「当然」

 安倍内閣の女性2閣僚の辞任を受け、読売新聞社は24~25日、緊急全国世論調査を実施した。

 安倍内閣の支持率は53%で、前回調査の62%(10月3~5日実施)から9ポイント下落した。不支持率は37%(前回30%)。9月の内閣改造では女性の閣僚登用で支持率が上昇したが、今回はダブル辞任が支持率を押し下げた形だ。

 小渕優子前経済産業相が、関連する政治団体の不透明な資金処理の責任をとって閣僚を辞任したことを「当然だ」とする回答は73%に上った。松島みどり前法相が、地元選挙区で「うちわ」を配布した問題で閣僚を辞任したことは、53%が「当然だ」と答えた。

 今後、小渕氏が国会で自らの政治資金の問題について「説明すべきだ」との回答は76%を占めた。小渕氏の政治資金の流れが依然として明らかになっていないためのようだ。

(読売新聞 2014年10月25日)


 もっとも、読売の世論調査では前回の62%という支持率が高すぎただけの話といえるかもしれない。読売より1日遅いタイミングで実施された朝日新聞の世論調査では、呆れたことに内閣支持率が「微増」して49%だったという。

内閣支持率49%、閣僚辞任後に微増 朝日新聞世論調査

 安倍内閣の女性2閣僚が辞任したことを受け、朝日新聞社は25、26日に全国緊急世論調査(電話)を行った。内閣支持率は49%(今月4、5日実施の前回調査46%)と、わずかに上がった。不支持率は30%(同33%)だった。「ダブル辞任」に伴う内閣のイメージは、「変わらない」が52%と半数を超えた。「悪くなった」は42%で、「よくなった」は2%だった。

 小渕優子前経済産業相が、支持者向けの観劇会をめぐる問題などで辞任したことについては、「辞めたのは当然だ」は65%で、「辞める必要はなかった」の23%を大きく上回った。松島みどり前法相が、地元の選挙区内で「うちわ」を配った問題で辞任したことについては、「辞めたのは当然だ」が51%で、「辞める必要はなかった」は36%だった。

 2閣僚に対する安倍晋三首相の任命責任については「大いに責任がある」は16%にとどまったものの、「ある程度責任がある」は52%で、「責任がある」が計68%にのぼった。「責任はない」は、「あまり」23%、「まったく」7%で、計30%だった。

(朝日新聞デジタル 2014年10月27日00時24分)


 この読売と朝日の、一見対照的に見える世論調査報道について、「『誤報』問題で白旗を掲げた朝日が安倍晋三に阿っている」とかいった具合の陰謀論をかます態度は誤りだ。両社の世論結果の数字を比較すると、読売の方が朝日よりも支持率・不支持率とも高く、支持率と不支持率のの合計は読売が90%(前回92%)であるのに対し、朝日は79%(前回も79%)である。つまり読売は、朝日だったら支持でも不支持でもないとみなす層をさらに「支持」と「不支持」に分類していると解釈される。今回は、「支持も不支持もしないけど、女性閣僚を5人も入れるなどしたことは買える」とかなんとかいったいい加減な理由で「支持」に分類されていた人たちが離れただけであって、コアな安倍内閣支持率はあまり変わっておらず、しかもそのコアな内閣支持層はかなり分厚いと悲観的に解釈せざるを得ない。

 他の新聞社・通信社の世論調査は、いずれも小渕らの辞任前に行われたものだが、18,19日に調査した毎日新聞が支持47%(9月3,4日調査から横バイ)、不支持36%(同4ポイント増)、同じ18,19日調査の共同通信が支持48.1%(9月3,4日調査比6.8ポイント減)、不支持40.2%(同11.2ポイント増)、やはり18,19日調査の産経・FNNが支持53.0%(9月6,7日調査比2.7ポイント減)、不支持37.9%(同7.6ポイント増)となっている。

 10月の調査では、読売と産経・FNNが支持率50%台前半、その他が支持率40%台後半で、報道機関による差が小さくなったのが特徴だ。上記5つの報道機関より少し前の10月10〜13日調査の時事通信も、支持47.9%(前月比2.8ポイント減)、不支持28.2%(同0.9ポイント増)となっている。要するに国民の約半数が安倍内閣を支持するか、または肯定的にとらえていることになる。

 さらに長いタイムスケールで見ると、共同通信のサイトに、第1次安倍内閣後半の2007年5月以降の各内閣支持率の推移のグラフが載っている。これを見ると、昨年9月頃まで高止まりを続けていた安倍内閣の支持率は、消費税率引き上げ、特定秘密保護法の成立、集団的自衛権行使容認の閣議決定などを経て低下基調にはあるものの、低下のスピードはきわめて遅く、第1次安倍内閣後半の支持率よりはずっと高い。

 一方で閣僚のダブル辞任があり、後継の経産相が東電株を保有している(他にSMバーがどうとかいうスキャンダルもあるが、経産相の東電株保有と比較すれば些少な問題だろう)件などを見る限り、これまでの内閣なら「末期症状」と評されても仕方のない出来事が続きながら、内閣支持率を見る限り、安倍政権は安定しているとしか言いようがないのである。

 その最大の原因が、民主党による「政権交代」にあったことは、「反安倍政権のリベラル」だろうが「小沢一郎支持者」だろうが、もういい加減認めておかなければならないだろう。つまり、第1次安倍内閣から麻生内閣までの頃は、「自民党政権がダメなら民主党に政権を渡せば良い」と考えられていたのが、民主党政治の失敗によって、有権者に「自民党に任せておくほかしょうがない」という諦めを生じさせ、それが第2次安倍内閣の支持率を押し上げているのである。

 そして、その民主党政権時代の悪印象の最たるものが、小沢一郎を中心とする人たちと菅直人・松下政経塾連合軍による権力抗争であった。とりわけ、2011年の東日本大震災・東電原発事故後の、小沢一郎と鳩山由紀夫による「菅降ろし」は、民主党政権のイメージに回復不可能な大打撃を与えた。この一大事に一体何やってるんだと国民の多くが思ったのである。そして、小沢一郎を熱狂的に支持する「小沢信者」がもっとも得意とするのが、以下に例を挙げる「陰謀論」に基づく思考であった。その悪しき伝統は今なお続いている。

 たとえば、最初に紹介した読売新聞の記事によると、小渕優子の経産相辞任を「当然」とする意見が回答者の73%である。朝日新聞の調査でも同じ意見が65%を占める。

 ところが、日本の「リベラル」あるいは「脱原発派」たちがやっていることといえば、「小渕優子は電力会社に老朽原発の廃炉を要求した。こんなことをするから金銭スキャンダルで潰されたんだ」などという程度の低い陰謀論を撒き散らすことだ。ある時、ある新聞記事についた「はてなブックマーク」で、この手のコメントを見かけた時に頭に血が昇って、『kojitakenの日記』に批判記事を書こうとしたが、すぐに馬鹿らしくなってしばらく下書きを放置していた。しかし、あまりにも癪なので一昨日(25日)に完成させて公開したら、意外にも二桁の「はてなブックマーク」がついた(下記URL)。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141025/1414207313(『kojitakenの日記』〜「小渕優子は何も「『脱原発』を推進したから潰された」わけではない」=2014年10月25日)

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141025/1414207313(同記事についた「はてなブックマーク」)

 中には、「国際関係論」を専攻する政治学の学徒であるらしい、その実体はただのネトウヨによる知ったかぶりの糞コメントもあるが、現在原発をめぐっては、表に見られる原発推進派と脱原発派の意見の対立の他にも、経産省と電力会社の原発をめぐる綱引きがあり、あくまでも原発を「利益を生み出す『打ち出の小槌』」として死守したい電力会社と、原発事業を電力会社から切り離して東西2つの別会社として実質的に国が管理したいとの構想を持つ経産省との間で意見が対立している。こういう事情を含めて、国策として老朽原発の廃炉が推進されている状況下で、あくまで原発の再稼働を円滑に進める意図をもって(これに関しては電力会社と政府の利害は一致する)、「お飾り大臣」の小渕が電力会社に対して、形式的に廃炉を促しただけの話である。なお、某ネトウヨのブログ主が得意そうに書いている「電力会社各社が太陽光発電買い取りを控えるようになった」件は、電力会社がこれからも原発を囲い込んで、高利益を得られる企業体質を守っていきたいがためであるが、ここで電力会社の経営者たちが意図的に無視しているのは、原発のバックエンドのコストであって、そんなものは経営者たちが退任したあと、あるいは死んだあとの話だから「我が亡きあとに洪水よ来たれ」の論理に従って無視していることはいうまでもない。

 上記の文章も、原発をめぐる問題のほんの一端に触れただけだが、そういった事情を一切合切無視して、「小渕優子は電力会社に廃炉を求めたから金銭スキャンダルをほじくり返されて首になった」とコメントするレベルに「リベラル」や「脱原発派」が安住し続ける限り、安倍晋三や橋下徹や在特会の天下はいつまでも続く。

 昨日(26日)、民主・社民などが推す候補に自民党が相乗りした福島県知事選が、相乗り候補の圧勝に終わったが、これなども「リベラル」や「脱原発派」の敗北として位置づけられなければならないだろう。

 そればかりではなく、特に小沢一郎に近い人たちは、沖縄県知事選でも翁長雄志の足を引っ張る妄動を起こして恥じるところがない。私が言っているのは、喜納昌吉や植草一秀や三宅洋平といった人たちのことである。彼らは、民主党の政権交代を失敗に終わらせた最大の責任者の一人である小沢一郎(他に菅直人その他にも小沢と同じくらいの責任があるが)の失敗を総括するどころか、失敗を認めることすらなく、現に今も沖縄県知事選で仲井真弘多、ひいては安倍晋三以下の自民党を助けようとしている。いつまで経っても日本が良くならないのは道理である。
関連記事
スポンサーサイト

読売や産経の支持率が前回非常に高く、朝日や毎日がそれほどでもなかった原因はすでに指摘されています。
読売・産経には「安部政権が内閣を改造しましたが…」という一文が入っていたため、期待感のバイアスがかかっていたためです。
一方、朝日と毎日は常に前置きなしで世論調査の質問をするので、比較ができるわけです。

つまり読売で安部の支持率が下がったのは、安部への批判ではなく、前回が実態以上に高すぎたのです。
要するに朝日の「横這い・微増」というのが正確な数字ではないかと思います。
安部に叩かれたので阿った、などというのは荒唐無稽な陰謀論のレベル。

なお、私は安部政権の支持率は実はそれほど高くはないのでは、と考えています。
というのも、安部政権は現在、ライバル的な野党がない独走状態なわけでして、この圧倒的有利な状況で40~50%程度の支持率というのはそれほど高いとは思えないのです。

2014.10.28 01:44 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

外国メディアは、相変わらず安部内閣の歴史修正主義や靖国復古主義を批判し続けていますね。
ルモンドなどの欧米紙誌が、極右女性3閣僚批判や任命責任問題をさかんに記事にしています。

しかし、国内の言論状況は、こういう「世界の空気」さえ全く読もうとしていませんね。
福島知事選での低投票率には(被災者住宅居住者累計人口にも及ばなかった熊坂票にも)ガッカリでした。でも、これも、争点ボカしや隠蔽に加担したメディアに責任の大方が求められるでしょうね。
やはり、日本もネット族・スマホ族や街頭運動が頑張るしかない時代なのです。

あとは、「外因論」にも期待するwww
「地球は一つの時代」ですから、視野狭窄が招くペシミズムには要警戒ですよ。

2014.10.28 10:32 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

「自民はクソだが、他は政治すらできない論外のクソ未満政党しかない」

国民にこう思われてしまっている状況で、
自民を批判したところで、自党の支持率は上がらないかと。

そういう「クソの自民しか選択肢がない」
国民の諦めの心境を理解できない政党は、
いてもいなくても同じではないでしょうか。

2014.10.28 15:34 URL | #- [ 編集 ]

現在の野党はどこも何がしかバランスを欠いていると思います。
色々と欠点はあるけれど、また異論反論あるでしょうが、政党のなかでいちばん広く浅く様々なことに対応できている(あるいはできうると考える人が多い)のが自民党だという感じではないでしょうか。
コウムインガーとか教育ガーとか原発ガーみたいな一点突破型の政党ばかりではとても政権運営など覚束ないのではないでしょうかね?
まあ安倍自身にも、「興味や関心が薄いことは放置する傾向」があるのは否めませんが、野党の目立ってる面々に比べれば相対的にマシなほうだという気はします。

2014.10.28 22:14 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

「派遣法改悪で一生派遣が可能になる」という社民党の主張の仕方は感心しませんね。
これでは、まるで派遣社員は正社員のより身分が下と貶めているみたいじゃないですか。
だから非正規雇用の人々からも共感が得られないんですよ。
「派遣社員は雇用が不安定なのだから、給料もボーナスも正社員の3倍にしろ」
と主張すべきでしょうに。
なぜそうしないんでしょうかね。

2014.11.01 07:06 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

狂信的な日本軍国主義者、日本帝国主義者であり、A級戦犯岸信介の亡霊である安部晋三。
数々の不祥事、蛮行を行いながらなぜ高支持率を保っているのか。
自由民主党野田派となってしまった民主党の裏切りもさることながら、日本の右傾化が最大の要因でしょう。
左右のバランスが崩れ極右全体主義化してしまったところに最大の悲劇があります。
二昔前なら秘密保護法成立、集団的自衛権の容認といった蛮行を行った時点で支持率は急落、再度上昇することはなく、政権は終焉へと向っていたでしょう。

2014.11.04 00:35 URL | 風てん #- [ 編集 ]

ところがさ、かつてはなかったような動きも一方では生まれている。
自民党草の根派議員から共産党までもが一本化して反米軍基地の立場でオナガ沖縄県知事候補を推し、それを元自民党幹事長だった野中氏のような人物が応援するというような構図も誕生してきている。
風てんの寅さんも、少しは希望を持てやい!www

2014.11.04 19:16 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

古きよき昭和の時代は終わりました。
いつまでもそのときの言説にしがみ付いていても、

国民からは相手にされなくなるだけだと思うのですが、
そんな危機感はお持ちでないようで・・・。

2014.11.04 22:09 URL | #- [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/1365-6c3a9daf