きまぐれな日々

ついに消費税率引き上げ前の最後の日になった。

消費税率引き上げ前のこの時期、私はたとえば電化製品を買い込もうなどとは思わなかった。税率引き上げ後の需要の落ち込みによる値下げも考えられると思ったからだ。しかし、再販制によって価格が維持されている書籍は買い込んだ。

食料品や日用品は、既に消費税と関係なく値上がりが始まっている。同じ価格で内容量を減らすことも行われている。それに加えて明日からは消費税率が上がるから、家計の負担はその分重くなる。

インフレそれ自体には再分配効果がある。「持てる者」の資産価値を引き下げるからである。しかし、現在に見るように、大手企業では(スズキなどの例外もあるが)ベースアップ(ベア)が行われるが、中小企業では行われていない。そもそも、賃金とは物価上昇に遅れて上がるものだが、これは言い換えればインフレには「家計から企業への再分配」の効果を持つことを意味する。

などなどと考えると、安倍政権の「再分配政策を伴わない金融緩和」という経済政策は、やはり成功しないのではないかと予想する。「インフレ誘導も再分配の強化も両方行う」という行き方もあるはずだとずっと思っているのだが、なかなかそういう意見がメディアでも見られないし、日本の左派の多くはなぜかまず金融緩和やインフレターゲットを批判したがる。ただ、昨年6月の朝日新聞に掲載されたジョセフ・スティグリッツのインタビューで、スティグリッツは再分配政策の必要性と、安倍政権の政策にそれが欠けていることを指摘していたから、上記はあながち素人の妄想とも限るまいと勝手に考えている。

いずれにせよ、いよいよ安倍政権の経済政策の結果が出る時がくる。現在は時代における一つの区切りの時期なのではないかと思う。

外交・安全保障政策でも、時代は大きく変わりつつある。昨日(3/30)、TBSの『サンデーモーニング』を見ていたら、寺島実郎がワシントンを訪れた時、「西のイスラエル、東の日本は、地域の不安定要因を作る『迷惑な同盟国』になりつつあると見ている」と発言していた。

「日本 迷惑な同盟国」を検索語にしてググると、2ちゃんねらーどもが「寺島実郎が安定の韓国目線ww」などと噴き上がっていたことがわかる。保守派にして強硬な原発推進派、何かといえば国会議員定数削減を口にしたがるなど、私にとっても印象の悪い寺島実郎だが、ネトウヨたちは違った方向から寺島実郎を「反日」と決めつけているようだ。

しかし、さらにググってみると、「迷惑な同盟国」論は昨年から寺島が言っていたことがわかった。その文章は、寺島が属する三井物産戦略研究所のサイトに掲載されている。『世界』2013年11月号に掲載されたものらしい。
http://mitsui.mgssi.com/terashima/nouriki1311.php

他の事項に関する寺島の主張はともかくとして、この件に関しては寺島の指摘は正鵠を射ているというほかない。以下引用する。

(前略)三つは、米国にとって日本が「迷惑な同盟国」に変わりつつあることである。日本では集団的自衛権に慎重な論者の論点は「アメリカの戦争に巻き込まれない」だったが、米国では前のめりの日本に「日本のナショナリストが作り出す地域紛争に不用意に巻きこまれてはならない」という当惑が見え始めている。忘れず触れておきたいのは、野田政権下の民主党も「日本再生戦略」と銘打って、「集団的自衛権行使容認」に踏み込もうとしていたという思慮の浅さと愚かしさである。歴史的使命を見失い「米国と一体化してアジアの脅威と向き合う」程度の構想しか思いつかない政党だったということだ。しかもこの党は、二〇一三年夏という大切な時に、外交安保について一切のメッセージを出すことなく立ち尽くしている。

結局、安倍政権下の日本が二〇一三年の夏に見せた一連の動きを貫くものは何なのだろうか。ある種の自己主張への願望だろうが、近隣の韓国、中国との関係がささくれだち、竹島・尖閣などの領土問題、従軍慰安婦問題などにおいて多くの日本人にとっても不愉快な空気が漂い、「近隣の国には侮られたくない」という次元でのプチ・ナショナリズムに引き寄せられている状況を受け、政治的に強い自己主張をし、軍事的にも「強い国」に回帰する流れを作るということであろう。

日本の右傾化を図るメッセージの底流に存在するのは、「近代史において、日本だけが悪かったわけではない」という歴史意識であり、「アメリカを頼りにアジアに向き合おう」という「親米ナショナリズム」の矮小で屈折した心理である。二一世紀のアジアをリードする熱い情熱とビジョンに裏付けられた自己主張ではない。近隣との相互理解・交流への踏み込みなしに二一世紀への希望など存在しない。中国の脅威を日米同盟を中核とする「自由と繁栄の弧」で封じ込めようとする安倍外交の姿勢は冷戦イデオロギー外交を一歩も出ていない。(後略)

(『世界』2013年11月号掲載 連載「脳力のレッスン」〜「思考停止の夏と希望への視界——リベラルの危機と再生 (その4)」(寺島実郎)より)


その後、昨年末に安倍晋三が靖国神社を参拝した時、直ちに米オバマ政権が「失望」を表明し、その流れが現在も続いている。

寺島も書くように、安倍晋三の政策のレールをわざわざ敷いてやったのが、私が「野ダメ」と言い習わしていた野田佳彦の民主党政権であり、社説でその野田を熱心に応援していたのが朝日新聞だった。当時朝日の社説で「決められない政治」という文字列を見る度、朝日は今に痛烈なブーメランを食うぞと思ったものだが、それがいま現実になっている。さらにその野田路線を生み出したのは、ともに権力闘争を生き甲斐にしていただけではないかと疑われる小沢一郎と菅直人だった。2010年6月の民主党代表選で、菅直人が野田佳彦や前原誠司を含む松下政経塾上がりの連中と組み、小沢一郎もまた新自由主義者の樽床伸二を担いだ。松下政経塾と組んだ菅も菅だが、それと対抗するのにわざわざ「他の新自由主義者」を担いだ小沢も小沢だった。

小沢は、菅政権退陣を受けての2011年の民主党代表選でも、原発推進派の野田佳彦に対抗する候補として、同じく原発推進派でその直前に玄海原発の再稼働を経産官僚とともに企んだものの菅直人にそれを阻まれて国会で悔し涙に暮れた海江田万里を担ぎ、代表選の争点から原発問題を消した。小沢が明確に「脱原発」を打ち出したのは、配下の者たちの相次ぐ離党によって、新党結成に追い込まれてからのことだった。その時には既に、野田佳彦が自民党の政権復帰へのレールを敷く政治を進めていたのだった。

その頃政界から干されていたも同然の安倍晋三がにわかに政界の中心に復帰したのは、橋下徹らによる安倍晋三引き抜き失敗がきっかけだったが、その橋下にしきりにラブコールを送っていたのも小沢一郎だった。

何よりも、自民党政治の旧弊の打破を小沢一郎の「剛腕」に託そうという、自民党政治の批判者たちの多くが「落とし穴」にはまってしまったのが痛かった。初めそれはネットの「小沢信者」だけかと思われたが、リアルの政界にも十分影響があったことを示したのが一昨年の「日本未来の党」結成であり、それが鎌田慧や澤地久枝といった文化人たちにも影響してしまったことが、今年の東京都知事選で明らかになった。何しろ、彼らは小泉純一郎さえ容認してしまったのだ。

権力に対抗するのに他の権力に頼る弊害を、現在はっきり見せているのが、かつての「小沢信者」の一部がロシアのクリミア併合を積極的に容認している件だ。大国の覇権主義の容認は、かつての「社会主義国の核はきれいな核」、つまりソ連や中国の核兵器開発を非難できなかった反核運動を連想させる。もちろん今ではそんな考え方をする人たちはほとんどいない。共産党は明確にロシアのクリミア併合を批判しているし、小沢一郎がプーチンに理解を示したという話も聞いたことがない。ただ、安倍晋三や麻生太郎がロシアに融和的な態度を取りたがっていることはしばしば報じられる。

アメリカであろうがEUであろうがロシアであろうが中国であろうが、覇権主義をきっちり批判できないようでは、今後安倍晋三がやらかしかねない日本の覇権主義を批判する資格はないだろう。一部の「小沢信者」たちの考え方は、誰よりも安倍晋三と親和性が高い。そんな「リベラル」が跡を絶たない現状では、安倍政権によって日本がどんどん間違った道を進むことを止められるとは、残念ながら到底思えない。

文章の後半はタイトルとはかけ離れた内容になったが、収拾がつかないのでここまでにする。
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迷惑だったら国賓待遇にはならないですね。ウクライナ侵攻で事態が急転したので寺島氏の話は時代遅れ。

2014.03.31 17:18 URL | popper #HfMzn2gY [ 編集 ]

「消費税は社会保障財源確保のため」というデマ謬論に幻惑されている人って、まだまだけっこういるみたいですね。
「所得の再分配たる社会保障のために逆進税制」という形容矛盾(「笑い話」か?)にも全く気づかずに(「社会保障」概念についての無知もあるのかな?)漠然、朦朧とした消費税観しか持てていないw

2014.03.31 17:43 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

それにしても「反原発系リベラル文化人」の妄言が酷い。
瀬戸内寂聴は湯浅誠との対談で、今はいちばん悪い時代だと宣っている。
戦時中のほうがまだ良かったらしい。
本気で言っているのだろうか。
しかも選挙に行かないどうのこうのと言って若者を非難しているし。
いい加減にしたらどうなのか。
こういうのって空気が読めてないのではなく、現実が見えてないんだろうね。

2014.04.01 22:48 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

「進歩派文化人」たちの愚民批判や民衆蔑視は無力なペシミズム解釈学でしかないけど、一方、「空気」や「現実」の無批判的前提視も問題でしょうね。
それらって、しょせんは「日本の空気」や「日本の現実」でしかない、時代遅れのものなんでしょうから。

本当の認識的実践的課題は、右傾化や多勢迎合=現状追認からの脱出でしょう。歴史発展の必然方向認識とそれに沿った新しい価値観の共有。

2014.04.02 08:32 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

西太平洋の国際秩序の維持を計りたい米国からすれば、日中日韓の関係悪化は避けたいところ。
その意味から言っても、安倍総理の靖国参拝は米国にとって迷惑な出来事であったでしょう。
それどころか米国自身にとっも不愉快であったに違いありません。
安倍総理の側近や友人たちが、南京虐殺は無かったとか東京裁判否定論を繰り返していることも米国の疑念を深めているでしょう。いや米国だけではなくて世界中から疑念を持たれて日本の立場を危うくしていると思います。

2014.04.03 23:33 URL | ミリシヤ #- [ 編集 ]

国家予算の3分の1以上半分近くを借金(赤字国債)で賄っている状態は異常でしょう。しかも、借金が増えれば増えるほど金利返済に圧迫されて使える予算が減って行くという悪循環に。
せめて、借金の元本だけは増えない状態にしないとマズイでしょう。
これまでは民間の多額な預貯金を元資として金融機関が国債を買い支えて来たわけですが、それももう
限界でしょう。何よりその預貯金が減って来ています。
また、ずっと黒字基調だった貿易収支経常収支が赤字に転じています。赤字基調が定着するならば、財政の赤字を対外収支の黒字でカバーすることがでなくなります。

財政の破綻を避けるためには消費税率を上げることはやむを得ないことと考えます。
現実に持続的な経済成長に確たる期待が持てない時に、比較的安定した財源に成りうる有力なものは他になかなか見つからないと思います。

2014.04.04 23:28 URL | ミリシヤ #- [ 編集 ]

ブログ主さんの記事の鋭い切り口は何時も勉強になります。
その記事を参考に疑問におもう点をコメントします。先ず、菅直人の脱原発発言は彼自身、率直に感じた意見をスピーチしたのを朝日新聞が煽って左翼陣営が強引にデモに持って行った。菅直人の脱原発発言を民主党の岡田克也がすぐに撤回しているのも党内に議論すらされていない状態で朝日と左翼の言葉狩りに強引に誘導された感は否めない。ここで問題なのは国民のほとんどが脱原発に賛成しているのにマジョリティでるマイノリティーデモは必要だったのか?そこにはエセ左翼文化人芸能人のしたたかな商売、利己主義、拝金主義のカラクリがあると我々は分析している。バカ文化人芸能人の汚い悪行商法は売れない芸能人の復活の道具でしかない。例えば坂本龍一の粘り強く交渉して行く!とゆう言葉の裏は、引き伸ばしイベント化することで長期的収入確保を意味するのではなだろうか?当然、見識ある庶民からは支持されない。現実に多くのエセ反原発文化人芸能人のTwitterをみればローリングストーンズやポールマッカートニーのPIVの高額チケットで観戦し平気でTwitterやFacebookに写真をアップしている。参考ではある反原発文化人のチケットは100万円である。それも仲間と連れ立って行っている。勿論、ストーンズ、ポール両方だ。むしろ脱原発よりコンサートの自慢の方が力が入っている。さらに悪質なのが坂本龍一の一派である。坂本龍一の会社は非常に奇妙である。坂本龍一は宇都宮を支持、同じ会社のグループは小泉を支持している。当然、反原発は分断され舛添のような二流知事が楽々当選している。その後に坂本龍一一派は脱原発などすっかり忘れ東京ファッションショーでド派手なパーティー三昧である。一流ブランドのパーティーだけに一般人は入れない。パーティー会場にはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど新車がずらりと並んでいる。チェックしてもらえば我々のコメントが嘘で無いことがわかってもらえると信じる。そもそも脱原発芸能人が福島にどれだけ貢献し復興支援やボランティア活動に
貢献したのか?謎である。このように被災地の不幸をダシに金儲けする悪徳商法は善良な国民から見抜かれている。今は真実がネットによって直ぐに真実が伝えられる時代である。余談ではあるが坂本龍一、加藤登紀子、スギゾーの反原発トークのYouTubeの再生回数は1000回に満たないのに対し田母神の都知事選の演説は軒並み10000アクセスを超え大いに演説だと10万を超えている映像も沢山ある。これが左劣化の現実ではなかろうか?現場ででは原発推進、九条破棄は確実であろう。我々は左翼に他党批判以前に左翼内部の改革を最優先すべきだと思う。

2014.04.07 01:36 URL | トルストイ #- [ 編集 ]

ブログ主さんの記事の鋭い切り口は何時も勉強になります。
誤字を途中でコメントが送信されてしまいこちらが成書です。乱文を送信して誠に申し訳ありませんでした。
ブログ主さんの記事を参考に疑問に思う点をコメントします。先ず、菅直人の脱原発発言は彼自身、率直に感じた意見をスピーチしたのを朝日新聞が切り取り煽って左翼陣営が強引にデモに持って行ったと思います。菅直人の脱原発を言い出してから民主党の岡田克也らがすぐに撤回している。党内に議論すらされていない状態で朝日と左翼の言葉狩りによって強引に誘導された感は否めない。問題なのは国民のほとんどが脱原発に賛成しているマジョリティであるはずの反原発をわざわざマイノリティーであるデモとゆう手法にする必要があったのか?非常に疑問である。現実にデモによって国民の反原発意識は高まったとは言い難い。そこにはエセ左翼文化人芸能人のしたたかな商売、利己主義、拝金主義のカラクリがあると我々は分析している。バカ文化人芸能人の汚い悪行商法は売れない芸能人の復活の道具でしかない。例えば坂本龍一の粘り強く交渉して行く!とゆう言葉の裏は、反原発運動を引き伸ばしイベント化することで長期的収入確保を意図があるのではなだろうか?当然、見識ある庶民からは支持されない。その証明が大きな選挙の大惨敗である。現実に多くのエセ反原発文化人芸能人のTwitterをみればローリングストーンズやポールマッカートニーのPIVの高額チケットで観戦し平気でTwitterやFacebookに写真をアップしている。参考ではある反原発文化人芸能人が観戦している外タレのチケットは100万円のプレミアがついた席もある。それも仲間と連れ立って行っている。勿論、ストーンズ、ポール両方だ。むしろ脱原発よりコンサートの自慢の方が力が入っている。さらに悪質なのが坂本龍一の一派である。坂本龍一の絡んでいる会社は非常に奇妙で坂本龍一は宇都宮を支持、同じ会社のグループは小泉を支持している。当然、反原発は分断され舛添のような二流知事が楽々当選している。その後に坂本龍一一派は脱原発などすっかり忘れ東京ファッションショーでド派手なパーティー三昧である。一流ブランドのパーティーだけに一般人は入れない。パーティー会場にはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど高級外車の新車がずらりと並んでいる。チェックしてもらえば我々のコメントが嘘で無いことがわかってもらえると信じている。そもそも脱原発芸能人が福島にどれだけ貢献し復興支援やボランティア活動に
貢献したのか?謎である。むしろ脱原発を利用し公演会などで高額のギャラをせしめとっているのが現実だと推測している。TwitterやFacebookに微々たる支援の写真や記事があるがほとんどが個人の利益を優先しているととられてもおかしくない。このように被災地の不幸をダシに金儲けする悪徳商法は善良な国民から見抜かれている。今はネットによって直ぐに真実が伝えられる時代である。余談ではあるが先月の脱原発週間の坂本龍一、加藤登紀子、スギゾーの反原発トークイベントのYouTubeの再生回数は1000回に満たないのに対し田母神の都知事選の演説は軒並み10000アクセスを超え人気のある演説だと10万を超えている映像も沢山ある。これが左劣化の現実ではなかろうか?政治の現場でも自民党がここまで強気に出れたのも左劣化が原因である。辺野古基地建設、教育改革、原発輸出、武器輸出、結局は左翼が国民から支持を失っていて芸能人文化人の金儲け主義が横行している象徴ではなかろうか?政治の現場ででは原発推進、九条破棄は確実であろう。結いの党などが急速に橋下連合を復活させたのも左劣化の証明である。左翼に他党批判以前に左翼内部の改革を最優先すべきだと強く思う。左派リベラルの再生は腐敗した左派リベラルの革命が第一歩だと確信する。

2014.04.07 02:50 URL | トルストイ #- [ 編集 ]













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