きまぐれな日々

もう1週間近い前の話になるが、10月1日。安倍晋三が来年(2014年)4月からの消費税率を、現行の5%から8%へと60パーセント(3ポイント)も引き上げる決断を正式に下した。

その少し前から新聞やテレビがしきりに、しかし一斉にではなく五月雨式に「首相。消費増税を決断」などと報じられていたから、安倍晋三がその報道通り消費税率を引き上げたことは当然だと思ったが、「安倍首相は消費税率引き上げを見送ってくれる」と信じていた人たちが結構いたらしく、このニュースに関する彼らの反応が一部で話題になった。

彼らは、官僚とマスコミの圧力に安倍首相が屈したと言うのだが、総理大臣の権力がそんなに弱っちいものではないことは、ここ10年の総理大臣たちの言動から周知である。郵政解散・総選挙を断行した小泉純一郎をはじめ、党内からの辞任圧力に抵抗し続けた麻生太郎や菅直人、それに消費税絡みでは三党合意を成立させて解散・総選挙のタイミングを自らの思う通りにした野田佳彦(通称「野ダメ」)などの例からも明らかだろう。

但し例外もあって、それはアメリカが絡んだ場合である。今春、安倍晋三が意欲を燃やした「憲法96条の先行改正」が見送られたことはその例だが、今回の消費税率引き上げはアメリカとは関係ない。安倍晋三が自らの強い意志で税率引き上げを決断したと見るほかない。

この件について、安倍晋三に期待しながら裏切られたネットの「識者」(?)を揶揄する向きがあったが、それに対して「識者」(?)が安倍晋三が正式に決定すると予告していた10月1日より前の報道は「飛ばし」ではないのか、などという枝葉末節にこだわる論陣を何日も張っていたことには正直言って呆れ返った。

一連の報道、特に注目された読売新聞のそれが、同紙の論説陣(というかナベツネ)の意に沿うものではなかったことは、当の読売新聞が8月31日付の社説で消費税増税の延期を主張していたことからも明らかであるが、某「識者」もそれは承知しているので、なおのこと官僚がナベツネを丸め込んだのではないかという仮説を延々と展開し、グダグダの文章になっていた。

私に言わせればそんなことはどうでも良くて、少なくとも大マスコミの全体においてもかなりのウェイトを占める読売が賛成していなかった来年4月の消費税引き上げを安倍晋三が決断した、それ自体を問題にすべきなのだ。これは、一部ネットの「リフレ(りふれ)派」が執拗に繰り返し、読者に悪影響を与えてきた安倍晋三礼賛論が崩れるきっかけになるだろうと私は予想するが、現実の安倍政権が崩壊するのは残念ながらだいぶ先で、その時に日本経済がどうなっているかは予想がつかない。めちゃくちゃに悪くなることだけは間違いないが、具体的にどのような惨状になるかに想像力が及ばないのである。

ところで税制を含む経済政策について、左派側から説得力のある処方箋が全く提示されないことが強い閉塞感の一因であろうかと思う。左派からは「弱者に打撃を与える来春の消費税率引き上げ反対」という主張はあっても、ではどのような税制を目指すのかというビジョンが示されない。私は、いずれは消費税率引き上げが必要だと思うが、その前に格差是正が先決であると思う。そのためには、所得税はむしろ増税の必要があり、今年(2013年)末にようやく廃止され、来年1月からは20%(復興特別税込みで20.315%)に戻される証券優遇税制も、そのくらいでは不十分で、30%程度に引き上げるべきだと思うが、それらだけで十分かどうかはわからない。資産課税の強化も必要なのではないかと思う。しかし、そういったしかるべき政策をとったのちには消費税率を引き上げるべきだと考えている。ただ、これに関しては今回はこれ以上述べない。

今回触れたいのは、保守政権に影響力を与える学者たちの間でも、デフレの原因について議論が分かれていることである。特に賃下げとデフレの関係について大きな対立がある。「デフレ 賃下げ」でググると、ノビーこと池田信夫と、元『しんぶん赤旗』記者・今田真人の記事が引っかかる。ノビーは「賃下げが原因でデフレが結果である」と主張するが、ノビーが依拠するのは吉川洋の論考である。その吉川洋のインタビューが9月7日付の朝日新聞オピニオン面に大きく掲載されていたが、吉川氏は下記のように語っている。

 「デフレの原因については意見が分かれます。ひとつの考え方は『インフレもデフレも貨幣の量(マネーサプライ)で決まる』というものです。この考えに立てば貨幣が少ないから物価が下がるわけで、『貨幣を増やせばデフレは止まる』という答えが導かれます。アベノミクスの第1の矢、大胆な金融緩和はそんな考えに立っている。しかし私は貨幣の量の問題ではないと思います。日本のデフレの原因は賃金にあるという考えです。ゼロ金利のもと、量的緩和によってデフレから抜け出せるかというと、懐疑的です」

 −− どういうことですか。

 「第2次大戦後、先進国の賃金はあまり下がってません。ところが日本では98年頃からタガが外れ、賃金の低下傾向が明白になった。そこが他の先進国と違うところです。バブル崩壊後、企業は借金、設備、雇用の三つの過剰を抱えた。一方で新興国が勢力を増して国際競争が激しくなり、コストカットの本丸が人件費だと言われた。正規から非正規への雇用の質の変化も進んだ。賃金の切り下げが常態化したことが、日本経済をデフレに陥れたのです」

 「日本企業は原油や原材料が値上がりしても、なかなか価格に反映できず、交易条件が悪化する。その分をコストカットでまかなう日本型のビジネスモデルを転換しない限り、デフレから抜け出すのは難しい」

(2013年9月7日付朝日新聞オピニオン面掲載・吉川洋インタビュー「デフレ脱却と消費増税」より)


吉川洋は、これに続いて消費税率引き上げの是非を問われると「予定通り引き上げるべきだ」と言い、デフレ脱却のために必要なのは規制改革だという。これらには全く賛成できないし(もちろん同様の主張をさらに過激に展開するノビーは論外である)、そもそも記事でもインタビュアーの駒野剛記者が指摘しているように吉川洋は小泉政権の経済財政諮問会議民間委員だった。だが、それにもかかわらず、デフレの原因に関する論考については、日銀がマネーサプライを絞ったせいだとする説よりもよほど説得力がある。1998年に「タガが外れ」る少し前、1995年には日経連が悪名高い「新時代の日本的経営」の提言を発表し、1996年には労働者派遣法が改正されて対象業務が増やされた。当時私が勤めていた企業でも、1997年から派遣労働者が勤めるようになったが、大学の修士課程を修了しながら就職口が見つからなかった若者が、やむなく全く畑違いの職場に入ってきたのだった。そしてデフレが始まったのは1998年だった。明らかに労働環境の変化が先で、デフレがあとだったのである。

ところがどうやら安倍晋三は、ひたすら企業に便宜を図ることが日本経済再生の唯一の道であるとでも信じ込んでいるらしい。安倍が口癖にしているのは、「世界一企業が活動しやすい国を作る」ことであり、そのために「解雇しやすい特区」まで作ろうとした(結局作れなさそうだけれど)。今回の消費税率引き上げでも、安倍晋三は法人税率の引き下げを画策した。麻生太郎以下自民党内の激しい反対にあってこれは凍結させたが、復興特別法人税の1年前倒しの廃止は通した。

要するに安倍晋三は、昨年の「三党合意」における「社会保障と税の一体改革」という建前すらかなぐり捨て、「法人税減税の穴埋めのための消費税増税」という本音をむき出しにしてきたのである。

消費税率引き上げの議論において、賛成論には、「消費税の逆進性が云々されるが、実質的に人頭税である保険料の方がよほど問題ではないか」という意見もあった。それには一理あるが、安倍晋三がやろうとしているような、法人税の消費税への置き換えだと、消費税の逆進性はいっそう凶悪に日本経済に悪影響を与えるだけだろう。

安倍晋三はひたすら大企業に便宜を図ろうとするが、過去を振り返ってみても、成長した産業は必ずしも政府の庇護を受けた分野ではなく、むしろ相手にされず放置されるか、さもなくば自動車産業のように厳しい排ガス規制で政府との緊張関係が続いた企業の方が成長したのである。安倍晋三が「世界一企業が活動しやすい」ようにと便宜を図ることは、かえって企業をスポイルすることになるのではないかと私は思う。

こんな安倍晋三を、「マクロ経済学を理解する有力政治家」と持ち上げるネットの「識者」(?)の思想は私には到底理解不能なのだが、既に賽は投げられた。結果は来年4月以降に表れる。

蛇足だが、「デフレ 賃下げ」でググって出てくるもう一つの記事、元『しんぶん赤旗』記者・今田真人の論評「『賃金の下落がデフレの原因』論の荒唐無稽」は実にひどく、問題外の代物である。今田は「デフレの原因は賃下げではない」と力説しているのだが(今夏の参院選のテレビ討論で。共産党は「賃下げがデフレの原因だ」と主張していたので、この件に関しては共産党と意見が違うらしい)、何よりも議論が事実に基づいておらず、記事は今田の妄想の産物としか言いようがない。

この今田の記事については、『kojitakenの日記』7月12日付記事「経済極右の長谷川幸洋と経済極左の今田真人はともに『トンデモ』だ」に少し書いたが、記事への反応は全くなかった。今田は長く『しんぶん赤旗』記者を務め、赤旗を辞めた後は『社会新報』にも寄稿しているようだが、デフレと賃下げの問題についてググってもこんなトンデモ記事くらいしか見つからず、これに対する批判もろくすっぽなされていないらしい左派の経済議論のお寒さには、呆れて言葉もない。
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ノビーが「賃下げがデフレの原因」説に賛同しているようですが、それは解雇規制が厳しくてなかなか正社員の解雇ができないから、非正規社員の賃金引き下げで対応しているのだ、解雇規制を緩和せよとの見解が背景にあるからでは。

少なくとも、同じ「賃下げがデフレの原因」説であっても、吉川洋氏はノビーとは異なるとは思います。

吉川氏の論考は私も首肯できるところが多いのですが、解決策としての「需要創出型イノベーション」などは、ではどうすればいいの?という感が否めません。

2013.10.07 23:14 URL | りょう #- [ 編集 ]

私も「池田信夫&今田真人ネタ」でブログを書いたことがあります(http://d.hatena.ne.jp/funaborista/20130602/1370196289/今読むと、特に今田という人に対してはそれまで知らなかったせいか、だいぶ手加減した書き方です)。
「あのノビーですら」と書いたつもりが、鍵コメで「あのノビーを肯定的に評価するとは何事か」とお叱りを受ける始末(で、後日釈明のコメントを書く羽目に)。
そこで紹介した「Everyone says I love you !」さんの記事(http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/713825b042ffbcb5747ef9ff49800512)のように受け取ってもらえなかったのは、文章の下手さと人徳の無さ、おそらくはその両方によるものでしょうw。

ところで、以前kojitakenさんは「金融緩和やリフレを言い出すと神学論争になる」から「リフレを叩くのは疑問」と書かれていたと思いますが、私の考え、というか“イメージ”は少々異なっております。

というのも、リフレを信じる(そう、まさに“信じる”)中の結構多くの人が「『賃金低下がデフレの原因』はトンデモ」と考えていて、実際にそのような発言をしているからです。
今回の件も「ノビーが主張することで、賃金デフレ説がトンデモであることが素人にもわかりやすくなって良かった」くらいの勢いでしょう。
(そういえば、あの山形浩生も吉川本(デフレーション)をトンデモと評していましたね・・・といっても、傍から見たら山形のケチのつけかたの方がよほどトンデモでしたが。)

彼らはなぜか「デフレこそが賃金低下の原因であり、それを逆に考えるのは間違い」と信じたがる傾向があります。
「リフレ(=金融政策)に効果がある」ためには、この理路の方が都合がいいから、なのかもしれません。

しかし、寧ろ私などの“リフレに期待を持たない者”からすれば、リフレとは
「デフレの原因が賃金低下にあるかどうかにかかわらず、“もし実際にインフレ期待を抱かせることができさえすれば”経済を再循環させることができる。」
という理論だと思っているくらいなのですが。
(実際には、“インフレ期待を確実に抱かせる処方箋”は現時点では開発されておらず、またリフレ自身には構造を変える力はないので、結局は再循環したところで企業の内部留保が積み上がるだけなのですが。)

もし彼らを放っておくと、結局は「賃金デフレ=トンデモで、要は左派の賃上げプロパガンダ、だから経済に弱い左派はダメなんだ」というイメージを好き放題広められてしまうだけでしょう。
とはいえ、彼らより“比較的まともな”リフレ派の人々が、彼らを批判しているようにはとても見えません(これはもしかしたら、私が知らないだけかもしれませんが/ただ、“歴史修正主義”ですらほとんど批判されない現状を見ると・・・)。

ですから、「インフレ期待の可能性」あたりを「神学論争」とするのは私としてもやぶさかではありませんが、一見「リフレを叩いて」いるかに見える「“あるタイプの”リフレ“派”に対する叩き」については、これはむしろ必要なんではないかと思っています。

ちなみに私は、そもそも「リフレと民主主義は水と油」だと思っているので、とてもリフレには賛同する気が起こりません。

長文失礼いたしました。

2013.10.09 01:03 URL | funaborista #Lr6tztD6 [ 編集 ]

円安などによる輸入品価格の上昇で、物価は上昇傾向にありインフレ傾向が強まっています。
「デフレだから賃金が下がった」という論者は「インフレになれば賃金が上がる」とでも考えているのでしょうかね。インフレになれば必要経費も上がるので利益を圧迫し賃金上昇どころではないと思いますよ。少しは賃金が上がっても物価上昇には追いつかずに、実質賃金は下がると思います。
それにインフレになれば長期金利も必ず上がります。すなわち国債の金利も上昇することとなり国家予算からの国債利払い費も増大し、ますます財政を悪化させることとなります。

デフレ脱却をあたかも至上命題としているかのような現在の経済政策=アベノミクスどう見てもおかしいと思うのですが、正面から批判している経済の評論家は少ないようですね。みんな空気読んでいるのでしょう。
税制の全般的な改革は当然必要だと思いますが、国際公約している消費増税を今更実行しないという選択枝はないと思います。
民主党が党分裂・政権崩壊と引き換えに実現した消費増税は、財政再建と社会保障のためと言う趣旨だったと思います。しかし、どうやら安部政権ではその理念とは違う方向に行きそうですね。

2013.10.09 21:07 URL | ミリシヤ #- [ 編集 ]

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2013.10.10 01:00  | # [ 編集 ]

現代資本主義が抱える諸問題を解決(改善)するための展望や処方箋が見出せないのは、唯一「科学的経済学」を自負するマルクス経済学の責任に帰するところ大なのですよね。体制派経済学が現実的な経済政策策定に無力なのは、「エクセレントな机上モデル」作りに拘泥している当人達でさえ半ば以上自覚していますから、そう断言して間違いないと思います。

管見では、20世紀マルクス主義(経済学)は、レーニン的な「帝国主義論」の修正・補完という弥縫策に教条主義的立場で固執するあまり、20世紀後半から始まった資本主義世界における新自由主義の台頭原因にも、ソ連東欧の敗北原因にも深くメスを入れて来なかった。
ケインズ政策の破綻や覇権主義(軍事費負担の増大)・官僚統制システムの崩壊というような、東西の表層的・現象的な事実は問題にしても、現代資本主義の質的な構造変化が新自由主義の登場やソ連東欧経済の破綻を不可避化させたことに根本的な解明を与えなかったのです。
現代資本主義が、競争→独占→国家独占資本主義→帝国主義→社会主義の前夜という特殊20世紀的レーニン的図式を超克して、産業構造の変化やそれに伴う空洞化・国際化、脱製造業化に発展的活路を見出していたことにほとんど着眼して来なかった(経常収支中での所得収支の比重激増、製造業雇用の比重激減など参照)。

例えば、現在重大問題化している低賃金・劣悪労働条件の蔓延を道徳的に批判しても、非帝国主義論的形態である(そして実はこの方向こそマルクス本来の展望であった)資本の国際展開や非製造業への雇用のシフトなどを現代資本主義の構造的な必然的発展方向として理解せず、せいぜい「資本(家)の貪欲」レベルという恣意的選択結果に解消していた。
ユニクロのような価格破壊企業が、開発途上国の低賃金労働を利用したバッタ屋として登場したことや、そういう「国際企業」が国内でも低賃金・劣悪労働の蔓延を扇動・促進したことや、その前提である国内基幹製造業の「飽和」状況、過剰資本および過剰労働力人口のハケ口の問題などを等閑視して来た。いわゆる「サービス経済化」や非製造業の低資本構成、非集中性・非独占性、労務集約性(絶対的剰余価値生産の主力化)を等閑視してきたのです。

ここで詳論する余裕はありませんが、課題はやはり科学的経済学の現代的再構築なのでしょう。
巨額の内部留保を活用し法人課税を引き上げタックスヘイブン対策を徹底して再分配構造の再建努力をするだけでは、現状を幾分改善できても問題の根本的解決は出来ないでしょう。
現代の市場経済では、産業構造自体の民主化・人間化にまで及ぶ経済システムの革命(それは必ずしも「社会主義」を意味しない)無くして、大幅の現状改善を期待することは無理でしょう。

国際価値論をはじめまだ判らない事がいっぱいあります。お互い切磋琢磨して真実に接近して行きましょう。
学者や政治家などの「専門家」に思考を代行してもらうこともあまり期待出来ない昨今の人類社会ですからなおさらです。

2013.10.10 10:10 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

なお、かつて自動車、家電産業などがもたらした日本国内産業・雇用の空洞化と、今日貿易収支の赤字を招いている空洞化には、質的な違いがあります。
貿易収支の赤字転落原因となった今日の国内産業・雇用の空洞化、劣悪化は、輸出先国の企業活動や雇用を空洞化させ対米貿易摩擦を招いた時代のものとは異質です。
後者では輸出先相手国の消費分財貨生産の空洞化(輸出分の現地生産への置き換え)ですが、前者では、国内消費分財貨の生産にまで空洞化が及んでいる。現在の日本は、この問題でもかつての米国を後追いしている。

また、経済のサービス化も、低開発国にみられる資本不足による製造業未発達の結果としてのサービス経済化と、現在の日本のような過剰資本・過剰労働力人口のはけ口としての非製造業分野へのシフトは異質です。

今日の日本など「先進国」の事態は、粗雑な類推を許さないようです。

2013.10.10 10:41 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

なお、話しは違いますが、消費増税や財政再建が国際公約だという宣伝は、素人欺しの国内向けデマ宣伝であり愚論ですw

2013.10.10 10:44 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

ノーベル経済学賞受賞対象業績がリーマンショックによって学問などとはおよそ呼べない赤っ恥もんでしかなかったことを暴露されたように、体制派経済学の無力・無能は明らかですが、さりとて訓詁学化・解釈学化してしまった20世紀型マルクス経済学に政策立案能力をあまり期待出来ないことも事実ですから、これからは、なんとしても科学的・民主的で政策基礎理論として有効な経済学を再構築しなければなりませんね。
そのためには、まずマルクスによる資本主義分析・資本主義システムの歴史性把握に残された未完部分や歴史的被制約性を克服していかなければならない。レーニンの「帝国主義論」のように特殊20世紀的な横道に迷い込むことなく、マルクス経済学批判体系の「プラン問題」で残された世界資本主義論をまず完結させる王道を歩まなければならないでしょう。資本主義的な国際分業体制・空洞化現象や先進国産業構造の高次化・重層化の現実を折り込んだ対象分析を古典教条への護教趣味を超えて完遂しなければならない。

現在の共産党理論幹部的な一国主義的改良主義の視野狭窄を克服しなければ、彼らが目標とする「資本主義の枠内の改革」を真に実現することさえ困難なのだと思います。
韓国や中国の後には、東南アジア諸国もインドや南米諸国、アフリカも控えているのですからね。

2013.10.10 15:25 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

ところで、今田真人の「デフレが先か賃下げが先か?」という問題設定は、一国主義的視野狭窄病を共産党幹部と共有する元赤旗記者・今田が、デフレの概念も、その発足時期もいい加減にしか理解していないことの表白でしかないんですね。

デフレは、単なる物価の下落ではありません。
デフレが、もしそんな事態を指す概念ならば、資本主義経済の歴史は、一貫してデフレの歴史でした。
単なる製品名目価格(絶対価格)の下落と共に、物価を賃金水準と比較した実質価格(対賃金水準相対価格)でみても、戦後日本では大方の財貨・サービス価格は下落し続けていた。国際関係(財貨輸入)問題を捨象しても、大昔給与所得者の平均年収額をはるかに超えた自家用車価格が、現在では大方の勤労者の購入可能範囲額内になって来ている(実質価格の下落)。また、IT機器の普及などでは、製品の絶対価格の急激で継続的な下落が普及の原因です(絶対的相対的価格の下落・名目的にも実質的にもの価格下落)。
こういう物価下落は、今田の愚論のような「製品内容量の誤魔化し」などを方策手段として実現されたものではありません。実質的にも名目的にも、絶対的にも相対的にも価格が下落した諸商品は、それらの製品が含む内容の量においても質においても充実・進化させられてきている。

また、今日の日本で喧伝されているデフレは、バブル経済崩壊以降顕著になった物価下落現象ですから、その原因はアジア諸国の低賃金構造を利用した日本企業による開発輸入に起源をみるべきでしょう。そう、デフレの発端的原因は、低賃金、ただし当初は国内のではなく国外の低賃金です。国内での劣悪条件労働の蔓延は、開発途上国の低賃金構造の死重を悪用・助長させた結果です。だから、一国的視野でその後の循環構造(国内での低賃金とデフレのスパイラル)をみているだけでは不十分であり、問題打開のためには国際的な視野と国際的な対策が求められる。国際主義の立場です。

デフレ打開問題一つをとっても、一国主義的視野狭窄ではダメなんですね。こんなのマルクス経済学のイロハのイなんですがねw

なお、今日の価格現象の解明や劣悪条件労働対策(=労働力商品価格対策)では、その他にも各国政府による無政府的・自国中心主義的な為替誘導政策や企業税制など、考慮すべき論点が多々ありますから、上記はそれらの課題をも併せて念頭に置いた「部分」でしかないことを確認しておきます。

2013.10.11 10:01 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

それにしても今田センセイの商品価格論には笑っちゃうね。彼の商品価格とは、特別剰余価値部分とも超過利潤部分とも(また、価格競争のためのそれら部分の圧縮とも)無関係な、価値=市場価格だそうですw
今日のデフレの原因が、後進国低賃金水準を利用して獲得された超過利潤の圧縮(一部放棄)に先導された先進国労働力商品の価格破壊であることを全く無視している。後進国産品のコスト優位性が、先進国での超過利潤の獲得だけでなく、その一部放棄による価格破壊をも実現させ、先進国労賃水準切り下げの土壌形成から全般的物価下落(デフレ)を招いて来た歴史的事実さえ全く無視(無知?)している。

低賃金水準を問題にすることなくデフレ原因を詮索しようとすることが、いったいどういう理論的立場に帰結することになるかも全く考え及んでいないw
主観的マルクス主義の末路は本当に恐ろしいwww

2013.10.11 20:37 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

>ノーベル経済学賞受賞対象業績がリーマンショックによって学問などとはおよそ呼べない赤っ恥もんでしかなかった

ノーベル経済学賞なんて、あれ厳密には「ノーベル賞」じゃないですから。
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo2/e/1b0e7c368cb5e5aa404079044ffb9ace

「経済学賞の三分の二はアメリカの経済学者に与えられている ( 特に ─ 株式市場とオプションへの投機を人々に促す ─ シカゴ学派に )。これらの受賞は、アルフレッド・ノーベルのゴールである『人間の置かれた状況と生存の改善』に何の貢献もしていない。それどころか、その対極に位置している」

2013.10.13 23:27 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2013.10.13 23:55  | # [ 編集 ]

補足

商品価格の変動要因に、その商品の需給関係の変動や金価値の変動などがあることは事実ですが、それらは今日の日本のデフレ状況を理解する上ではあくまでも「副次要因」です(サプライサイド固執派はそこを理解していない)。
その点では中韓など後発資本主義国の為替誘導なども同様でしょう。アジア諸国からの輸入製品の低価格は為替操作で実現されたのでないことは自明です。低価格の主要因は、それら輸出国の低賃金水準です。

今日の日本のデフレを発生させた発端の原因は、あくまでも、国内流通商品(特に基礎的生活物資)の価格破壊により国内労働者の労働力再生産費の下落を準備・先導した後進国からの低価格製品輸入です。
日本の商社や繊維産業、食料品業界などが先行させ、果ては毒入り餃子事件で生協までが参加していることが露呈した日本企業による開発輸入は、それまで大中(daichu)のような中国物産店が売っていた趣味的なガラクタ雑貨とは異なり、日本人の消費水準を満たすように日本人自らの手によって企画・製造指導された基礎的生活物資の輸入が先行していました。
輸入製品による一般商品の価格下落が利潤追求を目的とする資本(企業)により賃金の価格破壊と価格競争に利用されて来たというのがこの間の経過です。
デフレスパイラルは、輸入消費財の低価格先導が国内でも賃下げ・劣悪労働を可能にし、低賃金・劣悪非正規の蔓延によって価格下落が全面化したということ、その流れが基本線です。アジアの低賃金が価格破壊を招き、安い消費財価格は国内での賃下げ・劣悪非正規労働を激増させ、全面的物価下落と労働条件切り下げの地獄へのスパイラルを産み出した。

だから、労働条件の改善は国際的な根本課題であり、「万国の労働者、団結せよ!」となるのです。
国際主義や国際連帯は、左翼の単なる善意表明や道徳的要請などではない、不可欠で現実的な唯一の現状打開方向なのです。

2013.10.15 18:10 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]













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