きまぐれな日々

7月30日に書いた記事『安倍のもう一人の祖父は「平和主義者」だった』に対して、9月7日付でsonicさんからコメントをいただいた。

安倍家が安倍一族だと言うのは、安倍晋太郎氏が岩手に来ていく先々で直接人々に話していったことです。
地元新聞でも大きく取り上げられ、吉田司さんに限らず、多くの人が晋太郎さんにお会いして直にお話を伺いました。(私も)
ですから岩手では以前から有名な話でした。

晋太郎さんの言葉が事実どおりであるかどうかは検証されていません。
そもそも松浦党は30いくつの起源の異なる系図を持ち、安倍宗任につながるのはそのひとつに過ぎないのです。
ですから松浦党が奥州安倍氏の後継であること自体が疑わしいのです。
しかし、岩手県民にとって重要なのは安倍の血脈ではなく、安倍を名乗ることそのものにあります。
奥州安倍氏は奥州12年合戦で勢力としては滅亡しましたが、時代が後になるにつれ逆にその権威は高まっていきました。
東北の戦国大名の多くは中央政権向けには源平姓を名乗りますが、地元では安倍氏・藤原氏の婿筋でなければ権威・権力を維持できませんでした。
また、東北の民衆が抵抗のむしろ旗を上げるとき、指導者たちは血縁に関わらず安倍を名乗ることが少なくありませんでした。
歴史的には、東北で安倍を名乗ることは人々のために命をかけて反骨と正義を示す決意したとみなされてきたのです。
晋太郎さんが安倍をなのったのは、最初は東北における支持集めが動機だったのではないかと私は疑っています。
しかし、晋太郎さんのその後ののめりこみようは尋常ではなく、ついに国家権力側だった自分の政治姿勢を恥じて涙したほどです。
あの時晋太郎さんは蝦夷の魂を取戻したのだと私は思いました。
しかし、そのとき既に晋太郎さんはガンに侵されており、東北行脚のわずな期間でお亡くなりになったのでした。
(sonicさんのコメントより)

私の記事は、「AERA」(2006年3月20日号)に載った吉田司氏の記事を要約し、コメントをつけたものに過ぎない。それに対し、岩手県の方からこのようなコメントをいただいたのは、望外の喜びだ。
sonicさんのコメントは、私の記事などよりよほど価値がある。なんといっても、岩手県の方ならではの文章だ。「AERA」は全国どこででも買えるが、sonicさんのコメントはそうではない。そこにはオリジナリティがある。

このようなコメントをいただくと、ブログに記事を書いた甲斐があったと思える。感激したしだいである。
さて、sonicさんのコメントによると、長州の安倍家が岩手にルーツがあるというのは、安倍晋三の父である安倍晋太郎氏自身が語っていたことだが、真偽のほどは不明であるようだ。
しかし、

歴史的には、東北で安倍を名乗ることは人々のために命をかけて反骨と正義を示す決意したとみなされてきたのです。
(sonicさんのコメントを一部再掲)

との指摘はきわめて興味深い。

sonicさんは、上記のコメントのあと、もう一通の短いコメントを弊ブログに寄せられている。

それにしても安倍寛こそ蝦夷にふさわしい反骨と正義の心の持主ですね。
(sonicさんのコメント)

そう、安倍寛は「安倍」姓を名乗るにふさわしい人物であったようだ。
その息子、安倍晋太郎は、自民党タカ派の政治家であり、統一協会とのつながりも生前から言われていたので、私の好まない政治家だった。しかし、sonicさんによると、最晩年岩手を訪れた安倍晋太郎は、そこで本来の自分を取り戻したようなのだ。

晋太郎さんが安倍をなのったのは、最初は東北における支持集めが動機だったのではないかと私は疑っています。
しかし、晋太郎さんのその後ののめりこみようは尋常ではなく、ついに国家権力側だった自分の政治姿勢を恥じて涙したほどです。
あの時晋太郎さんは蝦夷の魂を取戻したのだと私は思いました。
しかし、そのとき既に晋太郎さんはガンに侵されており、東北行脚のわずな期間でお亡くなりになったのでした。
(sonicさんのコメントを一部再掲)

これは、なかなか胸を打たれる話だ。sonicさんのコメントを読んで、私は安倍晋太郎という政治家を見直す気になった。

ところで、その安倍晋太郎の息子・安倍晋三だが、この男が父・安倍晋太郎を軽んじ、何かというと「岸信介元総理のお孫さんでいらっしゃり」と紹介されたがる(2006年5月13日、統一協会系の総会で、安倍晋三祝電が披露された時の司会者の言葉)ことはよく知られている。

現在、「週刊現代」に、『安倍晋三「空虚なプリンス」の血脈』と題した、ジャーナリスト・松田賢也氏による記事が連載されているが、この連載には、「昭和の妖怪」との異名をとった岸信介の娘にして安倍晋三の母である安倍洋子の独断専横ぶりが、余すところなく描かれている。

先日、秋篠宮夫妻に長男が誕生し、41年ぶりに皇室に男子の皇位継承者が誕生したと報じられているが、現首相・小泉純一郎が女系天皇肯定論に立つのに対し、安倍晋三は男系天皇にこだわる論者のはずだ。

しかし、その安倍晋三は、こと自分自身のことになると、安倍寛、安倍晋太郎といった男系の血を排除し、母方の祖父・岸信介にこだわるのだ。これはいったいどういうことなのだろう。

吉田司氏は、岸信介の娘・洋子と安倍寛の息子・晋太郎の結婚を「戦争と平和」が握手した、と表現したが、最近私は「妖怪と人間」が握手した、という表現にした方がより正確なのではないかと思うようになった。それくらい、週刊誌などに掲載されている安倍洋子の容貌は異様である。そして、記事に書かれている安倍洋子の冷血ぶりは、記事を読んでいるだけで気分が悪くなるので、とてもでないけれど転載する気も起きない。
しかし、それではあまりに読者に不親切なので、少しだけ紹介することにする。

1946年に安倍寛が死去し、天涯孤独の身となった安倍晋太郎の「育ての家」となったのが、「木村病院」であった。木村家は、安倍家から何の見返りもないのに、安倍晋太郎の学資を援助し、政治家になってからも地元で物心にわたって晋太郎を援助し続けたという。以下、「週刊現代」から引用する。

木村家の力がなかったら、「政治家・安倍晋太郎」は存在しなかったといってもいい。晋太郎の選挙のたびごとにこの木村家に出入りしてきた洋子や晋三が、木村家から受けた言い尽くせないほどの恩義を知らないはずはない。
しかし、洋子はこの木村家をも切ったのだった。信じがたいことだが、洋子は晋太郎が膵臓がんを発症し、順天堂大学で危篤だったにもかかわらず、木村家に一本の電話を入れることすらなかったのである。木村家の親族が言う。
総理になれなかった晋太郎さんの血縁に用はないと言わんばかりだった
今となっては洋子も晋三も木村病院の近くまで来ても、いっさい木村家に足を向けることはない。8月13日に父の墓参りで油谷を訪れたときも、もちろん足を運ばなかった。
洋子は、寛や晋太郎の安倍家の血脈を消し去ろうとしているように思えてならない。
(「週刊現代」2006年9月16日号『安倍晋三「空虚なプリンス」の血脈・第4回「晋三の"ゴッド・マザー" 安倍洋子の冷酷』=松田賢也氏執筆=より)

「ゴッド・マザー」の言いなりになって、反骨と正義の象徴である、誇り高い安倍姓をないがしろにして、ひたすら強権と売国の象徴ともいえる「岸信介」の孫(=A級戦犯の孫)であることを売りものにしている安倍晋三という男は、「安倍家の面汚し」としか言いようがないのではなかろうか?
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 TBさせていただこうと寄らせて頂きました。阿倍→安倍(仲麻呂など)は飛鳥時代の名門豪族で、安倍貞任→松浦党はそれと別系統と見ています。直接関係はないけど、両系統に関する自著があるので、関心をもって拝見しました。

2006.09.09 15:19 URL | ましま #- [ 編集 ]

安倍系譜や登場人物のお話は、とても興味深く、新発見の連続です。「事実は小説より奇なり」といえますね。安倍氏が、歴史認識をあいまいにしたりするのは、もし戦時の歴史や自分の祖先までさかのぼられると、いいことも悪いこともたくさん出てくるからでしょう。どちらが出てきても、今の安倍氏の立場では、不利なことですものね。釈明するには、どうしても、戦争のこと、それをどう捉えているかきちんと説明せざるを得ませんから。それにしても、晋三氏が、寛氏と似てくれていたら!

2006.09.09 16:44 URL | 非戦 #- [ 編集 ]

ましまさま
コメントありがとうございました。なんと安倍一族について調査されたことがおありとは驚きました。ましま様のブログに足跡を残すとともに、弊ブログからリンクを張らせていただきました。

2006.09.10 09:08 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

非戦さま
コメントありがとうございます。
私は雑誌から記事を引っ張ってきただけで、その記事に対して岩手県の方からコメントをいただいたということで、接着剤の役割を果たしたに過ぎないんですね。でも、こうやっていろいろなことがわかってくるのは、とても面白いものです。
安倍晋三は、政治信条は岸信介に似ているけど、頭の程度は全然似てないと思いますよ(笑)。
父や父方の祖父より岸信介にこだわるのは、そういう教育を母・安倍洋子から受けたせいなんじゃないかな。多分安倍晋三は母・洋子に頭が上がらないのだろうと勝手に想像してます(笑)。

2006.09.10 09:13 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

TBありがとうございました。
確かに。安倍宗任伝説は私も気になっていたのですが確証はつかめません。安倍晋太郎元外相もsonicさんのコメント通り当初は伝説を頼りにした支持集めだったと思います。

貞任・宗任が凄かったという伝承は結果として源頼義・義家伝説(これも途方もなく強かったとなる)があって、それに肩を並べる戦ぶりが奥州人に強い感銘を与えたから生じたのでは。『古今著聞集』などにみられる怪物のような宗任の姿はまた『保元物語』の源為朝と似ています。そして『古今著聞集』『平家物語』などが松浦党へと宗任の子孫を結びつけたと。

もう1つが人形浄瑠璃の『奥州安達原』ではないでしょうか。モチーフの猿楽能『黒塚』に宗任伝説をくっつけて世に出した。『本朝廿四孝』の武田勝頼と併せて考察するに近松半二得意の付会なんでしょうね。

そこに奥羽越列藩同盟の戊辰での敗北が重なりそうです。源氏長者でもあった徳川を長州は倒したわけだから元来は安倍氏の敵をやっつけたという意味で長州は安倍氏の仇討ちをしたともいえるのですが戊辰戦争で岩手(盛岡藩)は賊軍にされてしまった。恨みは当然薩長へ。岩手県出身の原敬は露骨に長州・陸軍閥の山県有朋とやりあっていましたし。

考えてみれば岩手県は山口県(長州藩)と並んで首相輩出数トップなんですよね。安倍という苗字は安倍寛の存在から明治維新以来の主流派にも、宗任伝説から賊とされた東北側にも比較的耳障りよく響くとはいえそうです。ただ岩手は今は小沢一郎民主党代表を擁しているので晋三氏(ATOKでは最初に「心臓死」と出てきた)は安倍宗任伝説で東北の支持を得るよりもストレートに「長州の岸」を打ち出している・・・というのは穿ちすぎでしょうか。

2006.09.15 00:55 URL | 月刊「記録」編集長 #- [ 編集 ]

月刊「記録」編集長さま
ていねいな長文のコメントありがとうございます。
編集長様のコメントといい、もとになったsonicさまの7月30日付弊ブログ記事へのコメントといい、この記事へのましまさまのコメントといい、ブログ管理人の私の能力をはるかに超えた議論が形成されたことに驚いています。
ブログというメディアには、まだまだ十分引き出されていない可能性があるように思います。
それを引き出していって、「大衆の叡智」を形にしていきたいと思っています。

2006.09.15 01:30 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

岸信介は佐藤家からの養子であり、生物学的には安倍は岸というより佐藤家のDNAを受け継いでいるわけで、安倍が岸ばかり強調するので佐藤栄作はかすんでしまっているが、岸-佐藤-安倍ファミリーの佐藤も兄同様に悪辣な従米政治屋だった。
佐藤政権時代、佐藤は沖縄の核付き返還を行ったことで知られるが、そこで現在の沖縄海兵隊のグアム意中に日本が資金を提供するようになる先駆的な事件が沖縄返還協定密約事件だ。

*Yahoo!ジオシティーズ - 北海道新聞スクープを読む。沖縄返還協定~「密約隠蔽」の現在
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/appearancejapan

そして、アメリカの戦略爆撃による対日焦土化作戦立案者でカーチス・ルメイに勲一等旭日大綬章という最高位の勲章を授与した。

*カーチス・ルメイ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83 %AB%E3%83%A1%E3%82%A4

*戦略爆撃 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%88%86%E6%92%83

アメリカ人のビル・トッテンも自らのコラムで、「ルメイは、もし米国が負けていたら戦争犯罪者として裁かれていただろうと語ったという。」と書いている。

*ビル・トッテン「温故知新」過去から学ぶ戦争の愚かさ
http://www.nnn.co.jp/dainichi/column/tisin/tisin0503.html

これこそ、日本のラド・コン(ネオ・コン)こそが自虐の虜囚であるることの証明ではないだろうか。

2006.10.24 21:50 URL | ゴンベイ #eBcs6aYE [ 編集 ]

ゴンベイさん
古い記事へのコメントどうもありがとうございます。
確か「kojitakenの日記」へも同様のコメントをされていたかと記憶しています。
あそこでも書いたかと思いますが、沖縄返還をめぐる密約の件は、そのうち書こうとずっと思っていて書けずにいる件です。
それにしても、佐藤栄作の対米隷属ぶりは、岸信介や安倍晋三と全く同じですね。腐った一族としかいいようがありません。

2006.10.24 22:28 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

質問が、あります。木村家は、晋太郎氏の育

ての親ですよね・なのに「安部家の血縁に用

はない」となってしまうのでしょうか。

おしえてください。

2006.12.25 22:05 URL | ほっと一息 #- [ 編集 ]

ほっと一息さん、
コメントありがとうございます。
「安倍家の血縁に用はないと言わんばかりだった」の主語は、安倍洋子です。
この女は岸信介の娘ですが、旦那の安倍晋太郎の方の血縁なんてどうでも良くて、息子の晋三も「安倍晋太郎の息子」ではなくて「岸信介の孫」としか考えていないようです。

2006.12.25 22:10 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

安倍晋太郎が東北で支持を得るために「宗任の子孫を名乗った」という見方は実に短絡的です。何故なら、平安時代の安倍を支持する人間は岩手県人がほとんどです。つまり、国府のお膝元の宮城の人間にとって安倍は敵であり、その他の県人にとってはあまり関心がありません。安倍は「岩手」の豪族にしか過ぎず、仙台あたりでそれを名乗っても「敵の子孫か」ぐらいにしか思われません。なのに口にするということは本当の「子孫」であることの証拠でしょう。

2006.12.30 21:05 URL | 宗任 #- [ 編集 ]

勝手に書き込み失礼いたします。

ジャーナリスト・松田賢也も奇しくも岩手県出身って

大した事じゃ無いのにすいません。おじさんの名前が出てて少し興奮したもので。。。

2007.08.30 18:41 URL | 虎 #- [ 編集 ]

こんにちは
陸奥松浦はご存知でしょうか?
諏訪大社と陸奥の諏訪・須佐・須賀との関係はかなり強く、松浦党の系図(一文字ないし「信」含む二文字)と諏訪大社の系図を見比べれば、ある程度は判る事ですので、一度調べてみると良いかと思います

2008.04.16 14:57 URL | #SFo5/nok [ 編集 ]













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