きまぐれな日々

ブログピープルに削除依頼のあった8月30日以来、気分のすっきりしない日日、いや日々が続いている。

あの削除騒ぎについては、多くの記事が書かれているので、私が付け加えることなどほとんどない。ただ、どうしても見苦しいし、やり切れないと思うのは、あの自己正当化の論理である。

ある程度洞察力のある人間であれば、その動機は容易に見て取れる。その底流にあるのは、暗い情念だ。そして、論理は情念を正当化するために用いられる道具で、そこには普遍性などないのだ。だから、その論理には説得力が全くない。

彼が、自分が主宰したのは真面目な政治活動だと言う時、「AbEnd」あるいは「安倍ND」などというふざけた名前がついているのは不真面目な運動であると暗に語っているのだろう。だが、果たしてそうだろうか?

運動を私物化し、多数の同士を「除名」する。いくらアクセス数が日に数万だろうが、テレビの視聴率に換算したらどのくらいになるというのだろうか? あるいは、朝日新聞の読者の何分の一に当たるんだろうか? それを考えた時、自分の気に食わないからといっていとも簡単に「除名」なるアクションを起こす運動が、「真面目な政治活動」であるとは、私にはとても思えなかった。

AbEndがスタートした時、キャリアもあり、私にとっては雲の上の存在だった提唱者・美爾依さんのブログ「カナダde日本語」でさえ、アクセス数は1日あたり三桁の日が多かったと思う。美爾依さんの呼びかけに最初に賛同した私のブログに至っては、日に300件くらいのアクセスしかなかった(今でも四桁にはなかなかいかないが)。これを大きくしていこうと考えた時、私の念頭にあったのは、パーコレーション理論であった。

上記リンクから、少し引用してみる。

政治の世界における情報伝播のあり様を解明するのに、例えば、(本書に書かれている)うわさの広がりの考え方が参考になるのではないか。あるうわさは広がり、別のうわさは広がらない。その違いは何か。浸透閾値(つながりの濃度が増えていくとある段階で臨界値に達し、相転移的な浸透現象が起こる)に相当するものは何だろうか。2次元的な火事や伝染病の広がり方は、さまざまな政党や議員グループの盛衰現象の解明に応用できないか。政界内でのインターネットの普及は、情報の伝播(浸透)にどのような影響を及ぼすのか。石油の掘削メカニズムは、党内外の政策イデオロギー闘争の解明に使えないだろうか。…等々、読者が置かれた立場の違いによって、適用したいと思うテーマも異なるだろう。とにかく刺激を受けることは間違いない。
(小田切孝「つながりの科学?パーコレーション?」書評(佐々木孝明)より)
パーコレーションというのは、もともと統計物理学の理論であって、たとえば絶縁体のマトリックス中に導電性の粒子がある時、その粒子の濃度が大きくなっていくと、ある濃度以上で突如導電路がつながり、電流が流れる。こうした現象などを説明するのに使われる理論である。それが、上記リンクの記事に書かれているように、人文・社会科学の分野に応用されているのである。一つ一つのブログの影響力が小さい以上、たとえば安倍晋三統一協会への祝電問題やら、超タカ派の政策を批判するブログの濃度を増やすしかない。そのためには、まずは地道にAbEndに参加してくれそうなブログを見つけては、トラックバックを呼びかけるしかない。それが、AbEnd初期に私が考えていたことであり、幸い、自発的にAbEndにトラックバックしていただけたブログや、トラックバックの呼びかけに応じていただいたブログなど、多くのブログに参加していただいて、AbEnd(安倍ND)は、かなりの規模まで拡大することができた。この過程で、我を張って導電性粒子を排除してしまうような動きがあったら、この運動は成功しない。このことを、ずっと念頭に置いてきた。

いまや、運動はある程度の注目を集めるようになった。しかし、まだ部分的な導電路ができているだけであって、全体としてはまだまだ絶縁体の段階だ。さらに濃度を増していくと、突如導電体へと変わるはずだ。

突如として民意が変化することは、実は珍しいことではない。たとえば、1998年の参議院選挙では、選挙の直前まで自民党有利といわれていたのが、蓋を開けてみたら自民党は獲得わずか40議席で惨敗し、橋本龍太郎内閣は辞職に追い込まれた。ちょっとした民意の濃度差で、結果は劇的に変わるのである。最初は小さくても、個々のブログが騒ぎ、他のブログに協力を呼びかけ、さらに呼びかけられたブログが騒いでさらに別のブログに協力を呼びかけることで、いつか運動は自律的に拡大していく。今はその段階だと思う。

私は、この運動には有名人を広告塔にする必要は全くないと思う。そんなことをしたら、ブロガーに依存心が生じ、活性が落ちるだけだろう。むしろ、運動を活発にしていくことによって、有名人の方から参加したいという気を起こさせる、それくらいの気概がないと、安倍晋三を倒そうなどという大それた運動は成功しないのではないだろうか。

また、この運動には、他のブロガーを排除しようなどと考える独裁志向のブログは不要だと思う。

まずはつながること。理論武装は、そのあとからでも遅くはあるまい。
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お書きの、逆ベクトルの流れが現在の保守政治+メディア連合では無いかと思うのです。
 抗するには、方法には原則賛成ですし、似たことをしていますが、結果としてあり得るかも知れない雪崩にも懸念はあります。ナチ、ファシストの台頭がそれにあたりは?と。
 地道な現実の繋がりの先での変化、現在の社会状況では、望みにくい事ですが、原則なのかと。
今日TBを呉れた若い方ですが、しっかり構成されていました。
http://blogs.dion.ne.jp/origutitetu/

2006.09.07 21:37 URL | じゅん #Rdt3XBbw [ 編集 ]

じゅんさま
コメントどうもありがとうございました。
逆方向のベクトル、というと、個々の粒子(この場合はジャーナリスト)がつながっていたのが、その粒子の活性を殺すような動き(いろいろな悪法の成立や、権力に従わせようとする有形無形の圧力)によって、日本の言論の状況が不活性化してきている、ととらえてよろしいでしょうか。そうだとすると、仰る通りだと思います。
いくつかのブログが指摘しているように、ネットの運動単体ではダメで、リアルな運動を絡ませなければならないというのも、その通りだと思います。その意味で、リンクを張られたるもむまんくさんのブログの主張は、傾聴に値すると思います。
もちろん、リアルな方面でも何らかの貢献はしたいと思っていますが(その報告をブログで行うかどうかは別として)、パーコレーションの話は、突然相転移が起きるところにキモがあって、ようするにこれまで安倍支持が当然の流れだと思われていたのが、ほんのちょっとしたきっかけで急激に流れが変わる、否、流れを変えることができる可能性がありますよ、ということを主張したかったし、そのモデルを実現させるためにも、AbEndの試みを続けていきたいと思っている次第です。

2006.09.07 22:53 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

こんにちは。安倍NDの粒子は、いま少しづつですが、確実に濃度を増して来ています。今回の騒動は、それに対する干渉でしょう。効いてる効いてる!あなたや「カナダde日本語」の奮闘が、実を結びつつあることを、はからずも敵陣営が証明してくれたようなもんです。自信を持って、イケイケGO!GO!ですね。僕も、ついて行きまっせ。

2006.09.08 13:51 URL | BLOG BLUES #- [ 編集 ]

BLOG BLUESさん
コメントどうもありがとうございました。
今回の騒動で、STKに参加されていた方からの反応が多くあって、さらにつながりを増すことができたかなと思っています。
有名ブロガーがひと皮むけばあんなもんだったなんて、正直言って今でも信じたくないんですけど、残念ながらどう考えても...
まあ、できるだけ早くあそこのことは忘れて、先へ進みたいと思います。

2006.09.09 04:51 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

はじめまして。
難しいことは判りませんが、小さなブログが繋がって大きなことをしよう、というフレーズが気に入りました。
塵を積もらせて行きましょう!

2006.09.09 11:30 URL | imacoco #Zg5JYosw [ 編集 ]

imacocoさん、
コメントありがとうございました。
私と同じく、今年4月にブログを開設されたんですね。今後ともよろしくお願いします。
この記事は、もともと美爾依さんの「カナダde日本語」の記事へのコメントとして書き始めていたものを、ブログのエントリにしたものです。「カナダde日本語」の記事のURLは下記の通りです。
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-260.html
そこでも、コメント欄で多くの方が熱心な提言をされています。

2006.09.10 09:05 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

昨日はありがとうございました!^^
あまり政治のことは詳しくないので気がひけますが、国民の一人として発言する権利くらいはありますよね!?^^;小さな一滴も集まれば大きな川にも滝にもなりえる筈だと信じています。よい国にしたいですものね!

遅くなりましたが、TB送らせていただきました。

2006.09.19 09:53 URL | ココロ #mQop/nM. [ 編集 ]

ここでも紹介されている「やさしいことばで日本国憲法」を書かれた池田香代子さんの講演を聞きました。
日本国憲法は、アメリカに押し付けられたと言う勢力があるけど、うそっぱち。うそも100回言えば、本当に聞こえる、ということですね。日本の民間人たちが、いろいろよい原案を持ち込んで、そのうちの一番いいのをたたき台にしたそうです。そういった日本人のことを知れば、その人たちに小さな手でそっと押されるように、自分達も微力であっても、将来、誰かの背をおすことができるかもしれないと。
ブログというのも、同じ志を持つ今現在の人々だけでなく、将来、過去の人たちもがんばってくれたんだ、と思って、これからの人もまたがんばってくれるでしょう。
権力側は、一人一人を分断して、孤立させたいんですよね。ブログでも、仲間でも、友達でも、つながっていることが大切です。自分の考えが、間違っていないんだよ、って時々確認できることは、うれしいし、励みになりますね。

2006.09.19 17:16 URL | 非戦 #- [ 編集 ]

ココロさん、コメントありがとうございます。
誰にだって発言する権利は大いにありますよ!
最近は、政治家の力量が低下してきたので、メディア戦略やなんかを使って、それを覆い隠そうとしているのだと思います。
真実は、時に直視するのが辛いこともありますが、直視し、問題と向き合って、それを解決しようと努力しない限り、この国は良くならない、そう信じてブログの発信を続けています。
水滴の集まりは沢になり、いずれ怒濤の急流になっていくのだと思います。

2006.09.19 22:36 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

非戦さん、
非戦さんお住まいの地域に池田さんが来られたんでしょうか?(今年の憲法記念日ですか?)
日本国憲法が押しつけなんかじゃない、ということに関しては、最近「反戦な家づくり」さんも紹介されていた下記の本にも詳しく書かれているようです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061498509/sr=1-1/qid=1158051246/ref=sr_1_1/250-8339280-7952267?ie=UTF8&s=books

私もそのうち買って読みたいと思っているのですが、まだ読んでない本がたくさんあるので、いつになることやらわかりません。
しかし、アマゾンの読者レビューって、こと憲法関連となると(池田さんの本についてもそうですけど)、右寄りの人たちが出てきて本を酷評しますね。
こんな声なんかに負けないよう、こちらも声高に反戦平和を唱えていきたいものです。

2006.09.19 22:53 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

池田さんは、つい最近、市民のボランティア団体で、お話されたんです。憲法記念日というわけではないので、憲法の話はもちろん、教育基本法、「100人の村」の本の話、フェアトレイド、民話の話など、さまざまな話と結び付けて、「メディアが何を報道しないか、メディアの嘘を見抜け」というテーマで話されました。疑問に思ったことは、国立図書館で調べたり、専門家に聞いたりして調べ、ご自分でよく考えられ、ご自分の言葉で話されます。そして文学者ですから、お話が文学的でもあり、すばらしいですよ。
昨日、私は、「茶色の朝」(大月書店)を読みました。この中では、「『茶色の朝』(茶色は、ファシズムや全体主義をあらわす)を迎えたくなければ、まず最初にわたしたちがなすべきことー、、、思考停止をやめること、考えつずけること。、、、勇気をもって発言し、行動することは、考えつずけることのうえにたってのみ可能なのです。」と書かれています。
池田さんも、このような趣旨のことも、言われました。池田さんの講演を聞かれる機会がありましたら、是非聞いてください。
「反戦の家づくり」さんところを見せていただきますね。

2006.09.20 08:33 URL | 非戦 #- [ 編集 ]













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